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読者が選んだNo.1のe-bikeは!? クロス、MTB、ミニベロ、ロード各部門賞も発表【e-bike大賞 2022】

2022年を代表するe-bikeを決定するアワード「e-bike大賞 2022」。今回で第4回目の実施となりましたが、たくさんの投票をありがとうございました。すでにe-bikeを購入された方や検討中の方のリアルなご意見、知りたいことや読みたい記事など数多くのご意見をいただきましたので、今後の企画作りにも役立てていきます。

行動制限も解除されてじわじわと日常が戻ってきた2022年。しかし、社会情勢もあって車体価格の高騰や在庫不足は続きました。自転車に限った話ではなく、とくに生活に影響する電気料金など、どの業界でも厳しい値上げが続いています。メーカーも在庫の確保や新モデル発売に苦労していました。そんな状況の中でも、年末~年明けには市場が盛り上がるモデルも登場しました。すでに発表されていたものの延期されていたり、新たに発売されるモデルの話題がいくつも届いています。

大規模サイクルイベントでの試乗とは別視点で、メーカーも「e-bikeをしっかり体験」できる試乗イベントもより強化していきそうです。我々e-bike Watchでも試乗会を少しでも増やせる1年にしたいと思います。違法電動系の乗り物、マナー違反の自転車への罰則、4月からのヘルメット努力義務化など、自転車業界も注目を集めていますが、e-bike市場が盛り上がること、1人でも多くの人が楽しめることを期待します。

それでは、前置きが長くなりましたが、読者のみなさんの投票で決定する「e-bike大賞 2022」の発表に移っていきましょう。投票結果から「クロスバイク部門賞」「MTB部門賞」「ミニベロ部門賞」「ロードバイク部門賞」、e-bike部メンバーが選ぶ「e-bike部大賞」も決定。

ちなみに昨年は「e-bike大賞」がメリダ「eONE-SIXTY」シリーズ、スペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ、「ミニベロ部門賞」がターン「Vektron S10」、「MTB部門賞」がヤマハ「YPJ-MT Pro」、「ロードバイク部門賞」がスペシャライズド「TURBO CREO SL」シリーズが獲得しました。

2022年にもっとも注目を集めたモデルとは? どんな結果になったのでしょうか?

e-bike大賞 2022:トレック初のロードバイク「Domane+ AL 5」

「e-bike大賞 2022」に輝いたのは、昨年11月に発売されたトレック「Domane+ AL 5」。日本市場では2018年にクロスバイク「Verve+」(現在は生産終了)を発売し、これまでにさまざまなモデルを展開してきましたが、初となるロードバイクタイプのe-bikeです。ニュースもレビュー記事も非常に読まれましたが、パッと見は通常のロードバイクに見えるデザインです。軽量でコンパクトなハイエナ製ドライブユニットをリアハブに搭載し、e-bikeでは約14kgというトップクラスの軽量さ、平坦ではアシスト不要の走りが特徴です。

トレック初のロードバイクe-bike「Domane+ AL 5」。価格は549,890円。カラーは写真のブラックに加えて、レッドの2種類
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総合2位は、ヤマハ「WABASH RT」とスペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ。同率でした。続いて、各部門賞を発表します(部門賞では大賞モデルをのぞく)。

クロスバイク部門賞:スペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ

「クロスバイク部門賞」を獲得したのは、スペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ。3連覇となりました。2020年に日本でe-bikeの展開をスタートし、現在はステップインモデルも追加されており、豊富なラインナップも魅力です。パワフルなドライブユニットが主流の中、独自開発した35Nmの「SL 1.1モーター」を搭載。コンパクトさを重視し約2kgという軽量なドライブユニットを搭載しています。

写真は「TURBO VADO SL 5.0」。価格は528,000円。ラインナップはステップインモデルも含めて6車種。価格は396,000円~
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2位は2022年1月に登場したヤマハ「CROSSCORE RC」。フロントサスやスリックタイヤなどを採用し、快適さを重視したモデル。新型ドライブユニット「PWseries ST」を搭載し、500Whの大容量バッテリーはダウンチューブに内蔵されています。3位は同率でトレック「FX+ 2」とジャイアント「ESCAPE R E+」。「FX+ 2」はリアハブにドライブユニットを搭載し、バッテリー容量は少なく軽量にこだわったモデル。「ESCAPE R E+」は静粛性を高めた新型ドライブユニットと大容量バッテリーを搭載。気軽でスポーティーで価格も魅力的なモデルです。

2位はヤマハ「CROSSCORE RC」。価格は317,900円
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3位はトレック「FX+ 2」。価格は324,500円
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3位はジャイアント「ESCAPE R E+」。価格は330,000円
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ミニベロ部門賞:BESV「PS」シリーズ

「ミニベロ部門賞」を獲得したのは、BESV「PS」シリーズ「e-bike大賞 2020」に輝いていますが、ミニベロ部門賞は初受賞となります(部門賞では大賞モデルをのぞくため)。e-bike専門メーカーとしてさまざまなモデルを発売していますが、ミニベロではカーボンフレームの「PS1」、アルミフレームの「PSA1」、折りたたみモデルの「PSF1」をラインナップしています。そのデザイン性も高く評価されています。

写真はフラッグシップの「PS1」(カラーはスカイブルー)。価格は348,000円。ラインナップは3車種。価格は224,000円~
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2位はターン「Vektron」シリーズ。2019年の登場以来、根強い人気のモデルですが、4連覇とはなりませんでした。現在はハイエンドのS10に加えて、N8もラインナップされています。どちらもボッシュ製のドライブユニット「Active Line Plus」を搭載。3位はベネリ「mini Fold16」シリーズ。2年ぶりのランクインとなります。日本でもいち早くe-bikeを展開してきましたが、ミニベロのラインナップも充実。「mini Fold16」シリーズでは「mini Fold16 DIRT」が人気でした。

写真はフラッグシップの「Vektron S10」。価格は443,300円。「Vektron N8」の価格は350,900円
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写真は「mini Fold16 DIRT」。価格は220,550円。「mini Fold16」シリーズは5車種をラインナップ。価格は152,020円~
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MTB部門賞:スペシャライズド「TURBO LEVO SL」シリーズ

「MTB部門賞」を獲得したのは、スペシャライズド「TURBO LEVO SL」シリーズ。クロスバイクやロードバイクでは部門賞を獲得してきましたが、MTB部門は初となります。独自開発の「SPECIALIZED SL 1.1 モーター」を搭載し、e-MTBとしては圧倒的な軽さが特徴です。ハイエンドのS-WROKSも含めると7車種をラインナップ。価格は698,500円~。

写真はフラッグシップの「LEVO SL EXPERT CARBON」(カラーはサテンレッドウッド/ホワイトマウンテン)。価格は1,045,000円。S-WORKSも含めるとラインナップは7車種。価格は698,500円~
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2位はヤマハのYPJシリーズのフラッグシップモデル「YPJ-MT Pro」。連覇ならず。モーターサイクルメーカーの技術を注ぎ込み、車体剛性と最適な重量バランスを実現する「YAMAHA Dual Twin Frame(ヤマハ デュアル ツイン フレーム)」が特徴。新型ドライブユニットを搭載する2023年モデルも注目を集めています。3位はパナソニック「XEALT M5」が初のランクイン。2022年3月に発表された新たなe-bikeブランドで、その第一弾がハードテイルe-MTBです。そろそろ次のラインナップが気になります。

写真はYPJシリーズのフラッグシップモデルのヤマハ「YPT-MT Pro」。価格は748,000円
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写真はパナソニック「XEALT M5」。価格は442,000円。90Nmというパワフルなトルクも特徴
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ロードバイク部門賞:ヤマハ「WABASH RT」

「ロードバイク部門賞」を獲得したのは、2022年1月に登場したヤマハ「WABASH RT」。YPJシリーズ初のグラベルロードでPWシリーズではミドルレンジとなる「PWseries ST」を搭載。従来のドライブユニットよりも軽量化されており、新制御プログラムを採用しています。すべてを自社で製造できるゆえのコスパも魅力。昨年に開催した代官山モトベロでの試乗会で購入した読者がいたのも印象に残っています。

YPJシリーズ初のグラベルロードe-bike「WABASH RT」。価格は438,900円
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2位はスペシャライズド「TURBO CREO SL」シリーズ。3連覇ならず。独自開発の「SL 1.1モーター」を搭載し、バッテリーを完全インチューブにするなど軽量さを重視。フラッグシップのS-WORKSをはじめ、全部で9車種をラインナップしています。 3位はキャノンデール「Topstone Neo」シリーズ。片持ちフォーク「レフティ」搭載のカーボンフレームとアルミフレーム2車種をラインナップ。

写真はフラッグシップの「S-WORKS TURBO CREO SL」。価格は1,815,000円。「TURBO CREO SL」シリーズのラインナップは9車種で、価格は737,000円~
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写真は「Topstone Neo Carbon Lefty 3」。価格は682,000円。アルミフレームの「Topstone Neo 5」は600,000円
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e-bike部大賞は……

昨年は「アーバン」「スポーツ」部分でそれぞれ選出しましたが、今年も在庫不足や新車登場の話題も少なかったこともあり、シンプルに注目の1台を選出しました。

左上から時計まわりで難波・スタパ齋藤・増谷・清水

 初めて体験する海外製のドライブユニットということもあって、「とりあえずパワフルでやや乱暴な感じのアシストなのかな?」とか勝手に思い込んでいましたが、実際に乗ってみると「アシストも絶妙でいいな、コレ」という印象に変わりました。

スタパ齋藤

 新しいe-bikeだなという印象。車体が軽いのはもちろん、トルクが細くても走りが重たくなることはない。リアハブモーターが想像以上に進化していて驚かされました。

増谷

 以前はモーターの重量が4kgもあったため、リアハブを採用すると車体のバランスが悪かった。でも軽量のモーターがそれを解消し、走りが格段に良くなっています。

難波

 スッキリした見た目でe-bikeには見えないデザイン。これからロードバイクを始めたい人はもちろん、通常のロードバイクに乗っている人にも刺さるのでは? 「e-bikeは重たい、まだアシストはいらない」という考えが変わる気がします。

清水

コメントからも想像できたと思いますが、我々e-bike部メンバーが選出した1台もトレック「Domane+ AL 5」。冒頭でも説明していますので詳細は割愛しますが、試乗車の用意ができた店舗では、続々と試乗予約が入っている話も聞きます。

トレック「Domane+ AL 5」

ドライブユニットとバッテリーを搭載するe-bikeの唯一のデメリットが重量です。アルミフレームで約14kgというのは、スペシャライズドと並んでトップクラスの軽さです。また、e-bikeといえばドライブユニットのトルク、バッテリー容量の数字を気にする声も聞きます。「Domane+ AL 5」は最大トルクが40Nm、バッテリー容量は250Wh。最近では90Nm、600Whを超えるモデルに比べると半分以下ですが、十分にe-bikeとしての性能を発揮してくれます。気になる人はぜひ試乗して、車体の性能や軽さを体験してください。

自転車業界に限った話ではないですが、在庫不足や値上げなど明るい話題が少ない一年でした。そして、日本の法律では公道を走れない違法の電動モペットなども問題になっています。e-bikeライフを楽しむためにも「正しい」e-bikeを広げていくことにも貢献したいと思います。

昨年末にはe-bike大賞を受賞したトレック初のロードバイク「Domane+ AL 5」、3年ぶりにビアンキが新モデル「E-Ominia」を発売し話題を集めました。e-MTB元祖的存在のミヤタ「RIDGE-RUNNER」もフルモデルチェンジ。先月にはキャノンデールが初のミニベロ「Compact Neo」も発売。それ以外にも在庫が戻ってきたり、今年の新モデルの情報もいろいろ届いています。「欲しくても買えない」「もう少し手頃な価格のモデルが欲しい」といった悩みが解消されるような年になりますように。

ちなみに難波氏によると、「国産」がキーワードにもなりそうです。e-bike先進国の海外メーカーが強い状況でしたが、国産勢も負けていません。ヤマハやパナソニックもランキングに入っていましたが、国内ブランドの進化を実感したと語っています。新ブランドを立ち上げたパナソニック「XEALT M5」(442,000円)、フルモデルチェンジしたミヤタ「RIDGE-RUNNER i 6180」(396,000円)、ヤマハで人気のグラベルロード「WABASH RT」(438,900円)、フルサスe-MTB「YPJ-MT Pro」(748,000円)などは、価格性能比で見てもかなりお買い得だと言います。

我々も小規模ながらも試乗イベントをできるだけ開催していきます。それ以外にもご興味のある方はぜひ気になるモデルを体験してください!!

e-bike部