e-bike試乗レビュー
モーターサイクルメーカーの本気が凄いっ!! ヤマハのe-bike「YPJ-MT Pro」でコースを走ってきた♪
2020年11月17日 08:00
ヤマハのe-bike「YPJ-MT Pro」。2020年7月29日に発表され、e-bike界をザワつかせたフルサス(前後サスペンション)のe-MTBです。
ヤマハが東京モーターショー 2019(会期:2019年10月25日~11月4日)で披露した参考出展車は、「何あれカッコイイ!!!」「すげぇe-bikeが出てくるかも!!!」と大いに話題になりました。その参考出展車と非常に近いカタチで製品化されたのが、このYPJ-MT Pro。「うっわ、ホントに出てきた!!!」「やっぱりカッコイイ!!!」とザワついたわけですね。
いや~筆者は物凄く期待していたんですよ、あの参考出展車の製品化。だってe-bikeメーカーの老舗であり、世界で初めて電動アシスト自転車を発売したヤマハ発動機ですよ。ドライブユニットメーカーでもあり、かつ完成車メーカーでもあり、さらに世界屈指のモーターサイクルメーカーなわけですよ!!! そんなメーカーが放つフルサスe-MTBは凄い完成度で登場するハズ!!! と、ヤマハのハードテイルe-MTB「YPJ-XC」に乗って感動した筆者は思っていたわけです。
そして、発売直後のYPJ-MT Proをお借りすることができましたので、3密を避けソーシャルディスタンスを取り手洗いを励行しつつ前のめりで試走してきました。以降、YPJ-MT Proのレビューをお届けします♪
YPJ-MT Proって、どんなe-MTB?
YPJ-MT Proはヤマハ製e-bikeのフラッグシップ・マシン。どんなe-MTBなのか、その細部を写真と説明文で見ていきましょう。
実際に走る前の印象としては、フレーム構造の斬新さが魅力的です。MTB好きの人に二度見されるでしょうね~コレ。
それからちょっとコンパクトな印象があること。実際、29インチタイヤ(29er)を履いたMTBと比べると若干全長が短いと思いますが、それ以上に小さめのe-MTBであるような気がします。フレーム形状やカラーのためかもしれません。タイトな雰囲気が「日本の山と相性が良さそう」と感じさせます。
それと重さ。前述のとおり他社のe-MTBと比べると少々重いのですが、実際に持ち上げてみるとより重く感じられました。これは恐らく「手を掛ける場所が非常に少ないから」だと思われます。ツイデに、このフレーム形状だとまず「担ぐことができない」ですね。他社のフルサスe-MTBも同様ですが、担げず手を掛ける場所も少ないYPJ-MT Pro、トレイルによっては一瞬凄く疲れる場面があるかもしれません。
ただ、ある程度整備されているトレイルや今回走行するMTBパークのような場所では、ほとんど問題になることはないと思います。また上記の「重さ」も、実は走り出すとまったく重く感じられないのがYPJ-MT Proの凄いところ。ともあれ、試走に移りましょう。
e-MTB初心者がYPJ-MT Proの走りをどう感じたか?
試走は神奈川県にあるMTBパーク「トレイルアドベンチャー・よこはま」で行ないました。MTB未体験者~初心者向けのやさしいコースです。ただ、少し難易度が高めのコースには連続するテーブルトップ(ジャンプなどもできる盛り上がり)や深いバンクがあったりしますので、ある程度はYPJ-MT Proの実力を体験できると思います。
筆者のMTBの腕前ですが、こんなふうなMTBパークを数度走ったことがある程度。かなり初心者で、ジャンプなんか全然できませんし、バンクは深かろうと浅かろうと徐行。そんなレベルです。人力MTBでのオフロード走行の経験もありますが、単に荒れた山道を走っているといった程度。
MTBよりも、オフロードのモーターサイクルに乗っている経験のほうが長いと思います。オフロードのモーターサイクルはヤマハの「セロー250」。このバイクでたまに林道を(ゆっくり)走ったりしております。
余談が長くなってしまいましたが、気を取り直してYPJ-MT Proで試走開始。トレイルアドベンチャー・よこはまは、まず上ってから下ってくるMTBコースです。なので、まずはYPJ-MT Proがどんなふうに登坂するか?
勾配に合わせて各アシストモードを試しましたが、意図してアシストモードを控えめにしたりしなければ、も~どんな坂でも力強く上れます。立ち漕ぎとか一切不要。息切れもナシ。見るからに急勾配で「ホントに上れるの?」って感じの箇所でも、サドルに腰掛けたままグイグイと♪
そして下り。長めの下りコースはスピーディーに走れつつ、時々急カーブがありつつ大きな凸凹が連続したりもします。初心者にとってはなかなか手応えのあるコースなんですが……。
YPJ-MT Proで下ってみると、恐る恐るって感じなのは最初だけで、すぐに強気で走れるように。積極的に凸凹を超えてみたり、少し速めのスピードでカーブを曲がってみたり。
仕事を忘れ、どんどん楽しくなってしまいます。でも、そんな中で、ふと思ったことがいくつかありました。
ひとつはYPJ-MT Proの重さの件。乗車前は「ちょっと重いかな」と感じていましたが、走り出したら非常に軽快。前述のとおり、何でも来いって感じの登坂力があるYPJ-MT Proは、上り坂で車体の重さを感じさせることはありません。逆に、最大アシスト力が発揮されるEXPW(エクストラパワー)モードだと、急勾配では「そこまでアシストされると前輪が浮くかも!」と初心者としては焦っちゃうレベルで、アシストモードをひとつ下げたりするほど。
もうひとつ、路面をしっかり掴んで走っている感覚。フロントとリアのサスペンションが常にタイヤを路面に押し付けている感覚が強いんです。タイヤの性能も高いんでしょうし、サスペンションの挙動やバランスも良いのでしょう。それに加えて、たぶん、重心が低いことも、こういう走行感につながっているのだと思います。
YPJ-MT Proは総じて安定感が際立つe-MTBです。上りも下りも安定的。かと言って、小回りが利かないかと言えば全然そんなことはない。狭いカーブでもクイックに曲がってくれます。
ちょっとヘンな例えですが、考えてみると、YPJ-MT Proって前述のヤマハ「セロー250」にちょっと似たところがあるような気がします。セロー250って、わりとコンパクトな印象のオフロードバイクなんですが、走り始めると安定感があって、でも小回りも利くんですよね。だからと言って、YPJ-MT Proとセロー250の走りが同種ってわけではないんですが、なんと言うか、オフロードモーターサイクル乗りの琴線に触れるようなものを、YPJ-MT Proは持っているような気がするのでした。
ともあれ、YPJ-MT Proは筆者のような初心者でも十分MTBコースを楽しめるe-MTBだと感じられました。また、同行のMTB慣れしたライダーも終始「YPJ-MT Pro楽しいっすね~♪」と走りまくってましたので、幅広いライダーを受け入れる懐の深さもあるのでしょう。
試乗してみた結果、非常に欲しくなってしまいました。十二分なアシスト力を発揮してくれるし、抜群の安定感で走ってくれるし、サスの良さからか乗り心地もかなりイイんです。
あと、やはりヤマハ製という安心感。まず単純に、付属の説明書が非常に詳細。雑さ一切ナシのデキの良い説明書があるところから安心です。それに加え、他社より販路が広いとかサポート窓口が多いとか、3年間の盗難保険(無料)が付いているとか。「YPJ-MT Proならオーナーになっても後の心配や苦労が少なさそうだな」と思わせるあたり、大きな魅力です。
さておき、YPJ-MT Proは非常に完成度が高いe-MTBだと感じられました。凄くイイですYPJ-MT Pro。なのでゼヒ、実車に触れ、そして試乗してみてください♪