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家電がその場で最大8万円引き「東京ゼロエミポイント」でお得に買う方法

エアコンや冷蔵庫など省エネ家電をお得に購入できる「東京ゼロエミポイント」活用の仕方などを解説します

家電を含む物価の上昇、電気代の高騰など、家計にとって厳しい状況が続いている。それでも家電は長く使っていると、どうしても故障や劣化などで買い替えのタイミングは来てしまうものだ。そんな場合も、今ならお得に購入可能になる東京都の制度「東京ゼロエミポイント」をご存じだろうか?

この制度は東京都民を対象にしたもので、省エネ性能の高い対象家電に買い替えることで、特典を受けられるものだ。この10月からは制度が新しくなって再スタートし、値引き額が最大8万円と大きいのが特徴。都民であれば知らずに購入するのは非常にもったいない。

新しい制度によって、手続きについても個人の負担が減ったのはうれしい点。従来は購入後に個人で申請する必要があったが、2024年10月以降は申請書の作成や申請も販売店が行なう。これまで手続きが面倒で制度を利用していなかった人には朗報だ。ただし、申請の手間がなくなった分、購入時には事前の準備が必要となる。

そこで、今回は、東京ゼロエミポイントの対象者や対象となる家電のほか、利用条件、事前に用意すべきものなどをまとめた。家電の買い替えを検討している人はもちろん、故障などで急に購入が必要になることは誰にでもある。予算が限られた期限付きの制度でもあるため、ぜひ一読いただき、周りで家電を購入する人にも教えてあげてほしい。

「都民が登録販売店で購入」するとお得 申請は販売店が行なう

家電購入時のポイントといえば、一定以上の年代ならかつての「エコポイント(家電エコポイント制度)」(2009~2011年)を思い出す人もいるだろう。こちらは国による購入支援策だったが、購入金額に応じてほかの商品やサービスと交換できる“特典”だった。新しくなった東京ゼロエミポイントは東京都民に限られるものの、購入時点で既に“値引き”の形で直接お得さを実感しやすいのが大きな違いとなる。

まず実施の経緯について説明しよう。東京都は、省エネ性能の高い製品への買い替えを促進するための制度「家庭のゼロエミッション行動推進事業」を実施している。家庭の省エネを推進し、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」を実現するため、2019年10月1日に開始した。エアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具を対象とし、買い替えた東京都民に対して東京ゼロエミポイントが付与される。

従来はポイントが付与され、そのポイント数に応じて商品券やLED割引券と交換する仕組みだったが、2024年10月からは制度が拡充され、ポイント相当分が直接値引きされる形に変更された。

特に長期使用している家電の買い替えには優遇措置があり、製造から15年以上経過した製品の買い替え時は最大8万円の値引きが適用される。例えば、約30万円の冷蔵庫が割引きで22万円相当になる場合もある。また、省エネルギー性能が高い一部のエアコン、冷蔵庫に関しては新規購入も値引きの対象だ。

かつての家電エコポイント制度のタイミングに「エアコン」や「冷蔵庫」を購入した人にとっても、現在は寿命による買い替えを検討する時期と重なる。東京ゼロエミポイントを活用するにはチャンスといえるだろう。

東京ゼロエミポイントの利用条件は以下の通りだ。

対象機器

・通常買い替え:エアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具
・長期使用家電(製造年から15年以上)の買い替え:エアコン、冷蔵庫
・新規購入:エアコン、冷蔵庫

対象者

1.東京ゼロエミポイントに登録された家電販売事業者(店舗)で購入する人
2.都内に住所を有する個人かつ住所を公的な書類(免許証等)で証明できる人
3.住宅に設置済みの対象家電を省エネ製品に買い替える人(一部新規購入も対象)
4.購入した対象家電を都内の住宅に設置する人

店舗で購入する際は、本人確認証が必須。また買い替える際に、LED照明器具なら買い替え前の製品の写真、長期使用家電なら製造年がわかる銘板写真と設置状態がわかる全体写真を用意する必要がある。

なお、東京ゼロエミポイント事業の登録販売店以外ではポイントが付与されない。登録販売店は公表を希望する事業者のみ公開されており、東京ゼロエミポイント公式サイトの検索ページで、住所や店舗名、市区町村から検索できる。

登録販売店の検索(東京ゼロエミポイント)

キャンペーン期間は、買い替えは2027年3月31日まで、新規購入は2026年3月31日まで。なお、期間中であっても各年度の予算がなくなり次第、キャンペーンは終了となる。

通常買い替えは最大26,000円、長期使用は最大80,000円引き

付与されるポイント数は、「通常の買い替え」「長期使用家電の買い替え」「新規購入」によって異なり、製品の省エネ性能などによっても変わってくる。以下、対象製品の値引き額を記載する。なお、東京ゼロエミポイントの公式サイトでは、製品型番、製品名、冷房能力といった条件で付与ポイントを検索することができる。

対象製品の検索(東京ゼロエミポイント)

通常の買い替えの場合

通常の買い替え時の対象製品の値引き額は以下の通りだ。

対象機器省エネルギー性能冷房能力または定格内容積等付与ポイント(値引き額/1ポイント=1円)
エアコン多段階評価点2.0以上2.9以下、もしくはAPF5.8以上6.5以下(目標年度2027年度または2029年度)2.4kW未満9,000
2.4kW以上3.6kW未満10,000
3.6kW以上23,000
多段階評価点3.0、もしくはAPF6.6以上(目標年度2027年度または2029年度)2.4kW未満15,000
2.4kW以上3.6kW未満18,000
3.6kW以上23,000
冷蔵庫省エネルギー基準達成率100%以上(目標年度2021年度)251L未満14,000
251L以上501L未満16,000
501L以上26,000
給湯機高効率給湯器12,000
LED照明機器住宅の屋内に固定して使用するLED照明器具購入のみ4,000
取替作業費が発生する場合6,000

長期使用家電からの買い替えの場合

製造年から起算して15年以上経過したエアコンもしくは冷蔵庫から、対象製品への買い替え時の値引き額は以下の通り。

対象機器省エネルギー性能冷房能力または定格内容積等付与ポイント(値引き額/1ポイント=1円)
エアコン多段階評価点2.0以上2.9以下(目標年度2027年度)2.4kW未満20,000
2.4kW以上3.6kW未満30,000
3.6kW以上40,000
多段階評価点3.0以上(目標年度2027年度)2.4kW未満50,000
2.4kW以上3.6kW未満60,000
3.6kW以上70,000
冷蔵庫省エネルギー基準達成率100%以上104%以下(目標年度2021年度)251L未満14,000
251L以上501L未満25,000
501L以上40,000
省エネルギー基準達成率105%以上(目標年度2021年度)101L以上251L未満20,000
251L以上501L未満40,000
501L以上80,000

新規購入の場合

省エネ性能が高いエアコンや冷蔵庫を新規購入する場合の値引き額は以下の通りだ。

対象機器省エネルギー性能付与ポイント(値引き額/1ポイント=1円)
エアコン多段階評価点3.0、もしくはAPF6.6以上(目標年度2027年度または2029年度)10,000
冷蔵庫省エネルギー基準達成率105%以上(目標年度2027年度)5,000
エアコンや冷蔵庫は新規購入も割引きの対象

以上のように、長期使用している家電の買い替えでは最大8万円の値引きとなり、とくに恩恵が大きい。古い家電を使用しているのであれば絶好の機会だ。

買い替え時には家電を経済的に利用する上で、大きめのサイズを検討するのも一案だ。エアコンの場合、部屋が製品の適用畳数より大きい場合、冷暖房効率が悪くなり電気代が増えることがある。また、450L以上の大型冷蔵庫には省エネ性能が高い製品が多いため、消費電力を抑えやすいメリットも。大きいモデルほど購入費用は高額だが、電気代との兼ね合いを考えるとコストパフォーマンスのよい選択となる可能性があるだろう。

東京ゼロエミポイント事業の活用は、家計の負担軽減だけでなく、環境への配慮にもつながる。事業予算には限りがあるため、この機会を逃さずお得に家電を購入してみてはいかがだろうか。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。