特別企画
読者が選んだNo.1のe-bikeは!? クロス、MTB、ミニベロ、ロード各部門賞も発表【e-bike大賞 2023】
2024年2月14日 09:00
2023年を代表するe-bikeを決定するアワード「e-bike大賞 2023」。今回で第5回目の実施となりましたが、たくさんの投票をありがとうございました。すでにe-bikeを購入された方や検討中の方のリアルなご意見、知りたいことや読みたい記事など数多くのご意見をいただきましたので、今後の企画作りにも役立てていきます。
昨年の5月に新型コロナウイルスが「5類」に以降されて、遂にイベントの制限も解除となり、さまざまな業界でイベントやフェスを思い切り楽しめる日々が戻ってきました。イベント取材やロケの回数も増え、我々もイベントへの出展やコラボもありました。気持ち良くe-bike試乗を体験した読者のみなさんも多いのではないでしょうか。
車体価格の高騰や在庫不足も解消されましたが、主要メーカーの新車や新ブランドの参入も少なくやや寂しかったのが正直なところです。価格も落ち着いて在庫も十分にある状況となりました。昨年よりは新モデルや新ブランドの参入もあるはずです。これからe-bike生活スタートを検討されている人は、ぜひ堂々と楽しめる安心・安全のモデルをお選びください。今回の「e-bike大賞 2023」の結果も参考になるはずです。
それでは、読者のみなさんの投票で決定する「e-bike大賞 2023」の発表に移っていきましょう。投票結果から「e-bike大賞」「クロスバイク部門賞」「MTB部門賞」「ミニベロ部門賞」「ロードバイク部門賞」、e-bike部メンバーが選ぶ「e-bike部大賞」もご紹介します。
ちなみに昨年は「e-bike大賞」がトレック「Domane+ AL 5」、「クロスバイク部門」がスペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ、「ミニベロ部門賞」がベスビー「PS」シリーズ、「MTB部門賞」がスペシャライズド「TURBO LEVO SL」シリーズ、「ロードバイク部門賞」がヤマハ「WABASH RT」が獲得しました。
2023年はどんな結果になったのでしょうか?
e-bike大賞 2023:ベスビー「PS」シリーズ
「e-bike大賞 2023」に輝いたのは、ベスビーで根強い人気のミニベロ「PS」シリーズ。常に「ミニベロ部門賞」常連で、大賞に関しては2020年以来の2度目の受賞となります。日本のe-bike市場で初期に登場したのが「PS」シリーズ。昨年は新ブランドのAIバイク「SMALO」が登場しましたが、「PS」シリーズは昨年は新モデルが登場していません。読者のみなさんにもすっかりお馴染みのe-bike専門ブランドですが、当初は「BESV」を読み間違えられる存在だったのも事実です。さまざまなe-bikeが誕生しては生産終了という流れもあるなか、“ベテラン”の存在が大賞を受賞したのは、日本のユーザーニーズにマッチしたモデルの証です。そろそろ新モデルの登場も期待したいところです。
クロスバイク部門賞:スペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ
「クロスバイク部門賞」を獲得したのは、スペシャライズド「TURBO VADO SL」シリーズ。これで4連覇となりました。2020年に日本市場でのe-bike展開をスタート。独自開発した軽量ドライブユニットもパワフルさが増した第2世代のモデルも登場。誰でも乗りやすいステップインモデルも含めて、豊富なラインナップも魅力です。
昨年に続き惜しくも2位となったのが、2022年1月に登場したヤマハ「CROSSCORE RC」。街で見かける回数も増えています。フロントサスやスリックタイヤなどを採用し、快適さを重視したモデル。新型ドライブユニット「PWseries ST」を搭載し、500Whの大容量バッテリーはダウンチューブに内蔵されています。3位はジャイアント「ESCAPE R E+」シリーズ。ヤマハと共同開発したパワフルなドライブユニット「SyncDrive Core」を搭載する快速系e-bike。レディースのLivにも「ESCAPE R W E+シリーズ」も用意されています。
ミニベロ部門賞:キャノンデール「Compact Neo」
「ミニベロ部門賞」を獲得したのは、2023年1月に発売されたキャノンデール「Compact Neo」。これまでにグラベルロードやクロスバイクをラインナップしてきましたが、初のミニベロe-bkeとなります。ダウンチューブにバッテリーを内蔵し、オシャレなデザインがインパクトありますが、標準装備も充実しているのに18kgという軽さも魅力。ハンドルを折りたためて収納しやすい点も日本の住宅環境にマッチしています。街で見かけることも増えたのではないでしょうか。
2位はヴォターニ「H3」。ベスビーのセカンドブランドとして2020年に日本デビュー。e-bikeというよりは電動アシスト自転車といえるカテゴリーですが、コスパ抜群で初のランクイン。スポーツバイクは必要ないけど、日常生活に加えて趣味などの行動範囲を広げられたというオーナーも。オプションでバスケットも用意されているので買い物シーンにも活躍します。3位はターン「Vektron」シリーズ。2019~2021年まで「ミニベロ部門賞」を3連覇していましたが、変わらず根強い人気です。ハイエンドのS10に加えて、N8もラインナップされてる折りたたみモデル。どちらもボッシュ製のドライブユニット「Active Line Plus」を搭載しています。最新のSmartSystemには対応していませんが、既存モデルは引き続きバッテリーやディスプレイをアップデートできるのも魅力です。
MTB部門賞:ヤマハ「YPJ-MT Pro」
「MTB部門賞」を獲得したのは、ヤマハのフラッグシップe-MTB「YPJ-MT Pro」。e-bike大賞を惜しくも逃しましたが、「MTB部門賞」ではダントツの人気でした。昨年は30周年記念モデルも登場しましたが、モーターサイクルメーカーの技術を注ぎ込み、新型ドライブユニットを搭載し、車体剛性と最適な重量バランスを実現する「YAMAHA Dual Twin Frame」が特徴。
2位はトレック「Rail」シリーズ。昨年はボッシュの最新e-bikeシステム「SmartSystem」搭載が話題となりました。日本市場では最先端のドライブユニットに興味がある読者のみなさんも多数。e-bike部メンバーのスタパ齋藤氏も購入したモデルです。3位はミヤタ「RIDGE-RUNNER」シリーズ。日本のe-bike市場を初期から牽引するモデルが、昨年はインチューブバッテリーに進化。ジオメトリーも見直されており、走行性もグッと進化しています。初代RIDGE-RUNNERオーナーのスタパ齋藤氏も性能進化に驚いていました。
ロードバイク部門賞:トレック「Domane+ AL 5」
「ロードバイク部門賞」を獲得したのは、昨年e-bike大賞を受賞したトレック「Domane+ AL 5」。日本市場ではブランド初のロードバイクe-bikeです。軽量でコンパクトなハイエナ製ドライブユニットをリアハブに搭載し、e-bikeでは約14kgというトップクラスの軽量さ、平坦ではアシスト不要の走りが特徴です。
2位はスペシャライズド「TURBO CREO SL」シリーズ。独自開発のドライブユニット」を搭載し、バッテリーを完全インチューブにするなど軽量さを重視。フラッグシップのS-WORKSをはじめ、豊富なラインナップも特徴です。価格は3位は昨年に部門賞を獲得したヤマハ「WABASH RT」。2022年1月に登場したYPJシリーズ初のグラベルロード。PWシリーズではミドルレンジとなる「PWseries ST」を搭載。従来のドライブユニットよりも軽量化されており、新制御プログラムを採用しています。
e-bike部大賞は……
我々が2022年にe-bike部大賞に選出したのはトレック「Domane+ AL 5」でした。キャノンデールのミニベロ「Compact Neo」、ベスビーが新たに展開するAIバイク「SMALO」、パナソニック「XEALT」新ラインナップ、スペインから日本初上陸のオルベア「WILD M20 20MPH 2023」などの話題があったものの、前年同様に寂しい印象が残りました。
この要因として、やはりコロナ禍の影響が大きいと難波氏は語ります。
コロナ禍での自転車需要の急増、戦争による原材料不足や価格高騰、それによって特に輸入車は値段が上がりすぎてしまった。車体不足を解消する時期が遅くなる一方で、一気に在庫を抱えてしまった現状があります。そのために新車を見送るしかなかったのです。社会情勢による影響とはいえ、ネガティブな印象が強いかもしれません。しかし、これ以上の値上げはないうえ、現行モデルをお得に購入できるチャンスにもなっています。コロナで数年ズレてしまいましたが、新車の動きも進み始めるでしょう。
難波
そんな状況の中、国産メーカーの元気なのも印象的でした。ヤマハとパナソニックは自社製のドライブユニットをアップデート。ホンダはワイズロードとタッグを組んで、ドライブユニット後付けの「スマチャリ」を発売。ジャパンモビリティショーでは、e-MTBの参考出展車を展示。e-bikeではないですが、トヨタやスズキなども魅力的な電動モビリティを発表しています。2024年e-bike市場は「国産」に注目する一年になるかもしれません。
本題に戻ります。我々がもっとも印象が強かったのがボッシュのe-bike向け最新システム「Smart System」。ボッシュ製ドライブユニットはパワフルという印象の人も多いかもしれませんが、これまでにも「乗りやすいパワフルさ」を意識して細かくアップデートしてきました。また、互換性があるため、新しいバッテリーやディスプレイ、操作スイッチなども変更が可能。他メーカーのドライブユニットを搭載するe-bikeを購入したオーナーは羨ましく思ったかもしれません。今後も「Smart System」の進化が楽しみです。車体ではありませんが、2023年度のe-bike部大賞に選出させていただきました。
2023年はBESVが3つめのブランドのAIバイク「SMALO」を発表しましたが、やはり日本のe-bike市場ではボッシュ「Smart System」が圧倒的にインパクトがあります。今後のスタンダードとなる拡張性の高いドライブユニットの今後の進化にも期待です。また、「SMALO」は従来の自転車メーカーができていない機能を搭載しました。現時点では「AIバイク?」という人も多いかもしれませんが、こちらも今後の進化を期待します。
難波
記事でも書いていますが「Smart System」搭載のトレック「Rail 9.7 Gen 4」を購入しました。最初のモデルから試乗してきましたが、「こんなに進化したんだ~」と実感し、「へーきち」さんの記事の影響も受けて遂に購入。拡張性もあるのでまずはノーマルで、今後のカスタマイズが楽しみなのもイイですね!
スタパ齋藤
初期ドライブユニット搭載モデルを乗り比べる機会がありましたが、「Smart System」は最大トルクもアップしていながら繊細さも加わっているのに本当に驚きました。「ガツン」というわかりやすいパワフルさがなくなってスムーズです。新モデルで“e-MTBペダリング”を試してみましたが、ヒルクライムレースでは効果が薄くなりそうです(笑)
増谷
ヨーロッパでは一足早く「Performance Line SX」が発売されていますが、自分のニーズに合わせて「ドライブユニットやバッテリーを選べて」e-bikeを購入できるスタンダードに近づけるといいなと思います。たとえば、コラテック「E-POWER SHAPE PT500」でe-bikeレースを走りましたが、(互換性のないモデルですが)ドライブユニットやバッテリーが軽かったらどれだけ変わるんだろうというのは興味があります。「この日はこの組み合わせ」みたいな使い方にいちばん近づいている気がします。
清水
これまでのボッシュ製ドライブユニットが劣っているという話でもありません。使い方や遊び方にこだわる人は、さらにe-bikeライフが充実するというイメージです。なので、両方を乗り比べる機会があればぜひ体験してください。
最後になりますが、違法系フル電動自転車の話題も多かった一年でした。今春からは道路交通法改正で「青切符」を交付して反則金を納付させる交通反則通告制度に、新たに自転車が加わります。e-bikeも、日本の法律に適していないものは罰則対象となります。購入を検討する場合は、「公道」を走れるモデルなのか、「安心・安全」なのかもお忘れなく。