e-bike試乗レビュー

スペシャライズドのe-bike「LEVO」で絶景を巡る!! 初めての離島サイクリングへ

久しぶりのe-bike旅へ

どーも、e-bike部の清水です。サイクリングには絶好の季節となりましたね。昨年はキャンピングカーで信州に行ったり、軽井沢で紅葉ライドを楽しんだり、毎月のようにe-bikeで出かけていましたが、今年は新型コロナウイルスのおかげで、できるだけ外出は控えて遠方へのお出かけは諦めていました。近場でサイクリングしていた人も多いのではないでしょうか。

ワタクシも緊急事態宣言発令直前の3月にしまなみ海道を走って以来、基本的には密を避けたのサイクリングやe-bike通勤が中心で、ずっと「旅したいなー」「あそこ行きたいなー」「前に行ったあそこはなー」と妄想ばかりの日々でした。Go To トラベルも発表された時に、旅に出たい気持ちはあるものの、すぐに飛びつくこともなく、悶々とした毎日を過ごしていました。

が、これまでの自粛生活での鬱憤を晴らせそうなe-bikeサイクリングツアーを発見。まだまだ感染拡大防止の生活が続く中、果たして参加すべきか悩むところもありましたが、体調管理に細心の注意を払いながら参加してきました。開催場所は島根県の隠岐諸島。初めての離島サイクリングでしたが、先に結論をお伝えしますと、仮に自粛生活からの開放感がなかったとしても、最高に大満足のe-bikeサイクリングでした!!

島根半島の北方約80kmに位置し、大小約180を超える島で構成される隠岐諸島。青い空と海、美しい風景に包まれています

2泊3日の旅。初日は移動のみでも久しぶりのゆったり旅時間が心地よい

今回参加したのは、スペシャライズドが運営する「74 by SPECIALIZED」のライダーコミュニティのサイクリングツアー。e-bikeで自然豊かな隠岐諸島の西ノ島&中ノ島をサイクリングしながら、絶景やグルメなどを2泊3日で満喫するというもの。スペシャライズドのユーザー関係なく、誰でも参加できるサイクリングツアーです。今回の開催地は隠岐諸島。東京から陸路で800km以上で時間も費用もかなりかかりますが、非常に貴重な体験をすることができました。e-bikeに関しては2回目の開催となりますが、今後も随時ツアーを開催していくそうなので、気になるツアーがあったらぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

初日は9時台の羽田空港発の飛行機で米子鬼太郎空港へ。西ノ島行きのフェリーに乗るために、空港すぐそばの米子空港駅から境港駅を目指します。米子鬼太郎空港という名のとおり、ここは鬼太郎というか作者の水木 しげるさんのゆかりの街。電車も通常の駅名に加えて、妖怪キャラクターの名前がついており、電車もゲゲゲの鬼太郎キャラクターが4種類走っており、この日お迎えに来てくれたのは「ねこ娘列車」でした。

米子鬼太郎空港では、鬼太郎と一反木綿がお出迎え
(左上)空港の手荷物受取所には目玉おやじ(右上)空港と隣接する駅(左下)米子と境港市を結ぶ単線のJR境線(右下)この日は「ねこ娘列車」で境港駅へ

お昼前に境港駅に到着し、フェリーの出航までは約3時間。「初日はe-bikeにも乗れないで移動のみか……」と思いながらも、水木しげるロードを散歩したり、日本海の魚介ランチを堪能してもまだ時間を持て余してしまいます。とりあえずフェリーが到着するまで海を見ながらボーっと過ごしていましたが、久しぶりの旅で何も考えないのんびりした時間は新鮮。新型コロナウイルスでいろいろ生活が変わって、慣れてきたつもりがやっぱり疲れていたんだなーと実感。

境港駅の改札を出ると、そこは妖怪の街。(左上)約800m続く妖怪だらけの「水木しげるロード」(右上)観光客に人気の「水木しげる記念館」(左下・右下)境港駅前にも様々な妖怪たちが
人気の観光名所「水木しげるロード」では、鬼太郎やねずみ男など177体もの妖怪がお出迎え。大小様々な妖怪ブロンズ像が展示されていますが、それぞれがライトアップされる仕組みには驚き
絶品の海鮮グルメに舌鼓
海を見ながらボーっとフェリーを待つ

フェリーが出航すると、旅慣れた人や釣りに向かう地元の人たちは客室ですぐにゴロリ。2時間半の船旅なのでゆっくり寝て過ごすようです。移動のみでe-bikeにも乗らないワタクシは、ビール片手に心地よい潮風を浴びながら、青い空と海、緑の島々を眺めながら、人の少ないデッキでほとんどの時間を過ごしました。やっぱり、旅っていいなー!!

境港フェリーターミナルからフェリー「しらしま」で西ノ島の別府港までは約2時間30分。デッキで優雅な時間を過ごす
夕食前に周辺を散歩
漁を終えた漁師の方
贅沢な海鮮料理で翌日の英気を養う

いざ、e-MTB「LEVO」でサイクリングへ

2日目。遂に離島e-bikeサイクリングがスタート!! 今回のサイクリングツアー告知ページでは、ロードバイクタイプe-bike「CREO」と案内されていましたが、クロスバイクタイプ「VADO」、MTBタイプ「LEVO」まで用意されていました。ということで、ワタクシは試乗したことない「LEVO」で走ることに。「LEVO」シリーズには「S-WORKS LEVO」が3車種「LEVO」には4車種とラインナップも豊富で、この日に用意されていたのは「LEVO SL EXPERT CARBON」(以下、LEVO)。カーボンフレームのフルサスe-MTBで、価格は869,000円。

LEVO SL EXPERT CARBON

車体に関する記事は別途お届けしたいと思いますが、非常にハンドリング性能も良く、舗装路中心でも楽しく走ることができました。スペシャライズドのe-bikeは、オリジナルのドライブユニット「スペシャライズド SL 1.1モーター」を搭載します。70Nm以上のトルクの大きなドライブユニットが多い中、35Nmと細めのトルクになっており、その分軽量でコンパクトさを重視。車体が重ためのe-MTBだとちょっと心細い印象かもしれませんが、TURBOモードを使わずともラクラク走れてしまいます。バッテリー容量も十分。初日は距離50km以上・獲得標高1,000m以上走りましたが、一緒に走ったクロスバイクタイプの「VADO」よりもだいぶバッテリーが余っていましたし、バッテリーを追加できるレンジエクステンダーの出番もありませんでした。

軽量&コンパクトなドライブユニット「スペシャライズド SL 1.1モーター」
完全インチューブタイプの320Whバッテリーは最長走行距離が130km。さらに160Whのレンジエクステンダーを装着すると約65km分のバッテリーを追加可能
e-bikeはみんな同じペースで走れるのが魅力

空! 海!! 山!!! 動物!!!! 溶岩!!!!! 絶景!!!!!!

ホテルを出発し、自然豊かな風景や運河などを眺めながら、まずは摩天崖までヒルクライム。道中の山中には牧場があり、牛や馬などが放牧されており、間近で動物たちを見ることができます。牛も子牛にちょっかいを出さなければ基本的には穏やかな性格だそうで、人間を見ても餌をもらえると思い、のんびり近づいてきたり、ほのぼのほっこりムード。

天気予報は微妙な感じで心配していましたが、良い方向で外れてくれて、青い空と海、山の緑のコントラストが最高で、どこを走っていても美しい。嫌なことをすべて忘れさせてくれます。気になるスポットがあれば止まって撮影して、会話して、笑って、再び走り出す。もともとストップ&ゴーが得意なe-bikeですけど、こうした山でのヒルクライムこそ、その威力が倍増されます。

ホテルを出発して摩天崖を目指す
おい、どこ行くんだ? 餌をくれよ
のんびり放牧中
馬と記念撮影
誰も疲れることなく楽しみながら、間もなく山頂

みんな笑顔で絶好調。それに合わせて天気もますます絶好調に!! 摩天崖に到着する頃には見事な青空に。ちなみに世界ジオパーク認定されている摩天崖は、海面から257mの高さを持ち垂直にそそり立つ急峻な断崖。ワタクシのボキャブラリーでは説明できないほど、半端ない絶景を満喫できます。

到着
珍しく記念撮影してみたり。ここは標高257m
ドン!
ドドーン!! ここが摩天崖!! 絶景!!! 日本じゃないみたい
よく見ると崖の先端には牛と馬が

みんな「なにこれ?」「最高すぎる!!」と大興奮した後には、黙々と写真を撮っていました。まさかこんな絶景と出会えるとは……しかも青空のもとで。もし今回ツアーに参加しなかったら、一生縁がなかったかもしれない離島で本当に貴重な体験です。これだけでも十分に元が取れちゃったかも……とか思ったり。とはいえ、まだ絶景があるというので少し山を下りて、今度は通天橋へ。

少し下って
到着。ここからは徒歩で下ります
……そして、ドン!
ドドーン!! これが通天橋!! 巨大な岩の架け橋で、中央部が海蝕作用によってえぐりあけられているそう。今も少しずつ浸食が進んでいるので、目でわからなくてもこの景色はこの時だけかもしれない
こんなところに神社が!! 水もキレイ
周辺をパノラマで撮ってみました

その後も美しい景色が望める展望台までヒルクライムして、届けてもらったお弁当でランチしながらみんなでワイワイ盛り上がったり、海の端まで走ったり、地元のコーヒースタンドでコーヒーを飲んだり、ほぼ島の見どころを満喫してしまうという、非常に満足度の高い一日でした。

展望台の手前で撮影。e-bikeといえどもヒルクライムでお腹も減るのでお弁当は撮り忘れる
由良比女神社に立ち寄ったり。由良比女命(ゆらひめのみこと)が芋桶に乗って海を渡っている時、海に浸した由良比女命の手をイカが引っ張ったお詫びで毎年社前の浜にイカが押し寄せるようになったとか
由良比女神社のある海。最近はないそうだが、以前は本当に大量のイカが押し寄せたそう
その後も美しい海を満喫しながら走る
海っていいなー、離島っていいなー、e-bikeって最高だなー
サイクリングのラストに地元のコーヒースタンド「Sailing Coffee」で一休み
こんな古民家を改装したオシャレなお店
2日目の宿泊先は高台にそびえる宿「国賀荘」。部屋からの眺めも最高です
この日も美味な海鮮三昧!! 牛見たから魚料理でよかった

ヤバイ!! 最終日は東京に帰りたくないモードに突入

摩天崖や通天橋などの絶景を満喫した前日。静かな夜に部屋で撮った写真を見ていると、「帰りたくないモード」がスイッチオン。最終日は翌日の仕事の兼ね合いもあり、フェリーや高速船の時間を考えると、昼過ぎに途中離脱しなければいけません。

うーーん、もっと走りたい。旅したい。島を巡りたい。帰りたくない。若干低めのテンションで迎えた最終日ですが、前日とは違う楽しみがあるそうで、あっという間に回復します(笑)。ホテルを出発すると、朝イチ約7kmほどのヒルクライムで神社を参拝し、その後フェリー乗り場まで走って、e-bikeごと中ノ島に渡ってサイクリングするというワクワクなスケジュール。

本殿・通殿・拝殿からなる社殿は国の重要文化財に指定されいてる焼火(たくひ)神社。航海安全の守護神として信仰を集めているそう
(左上)楽勝でヒルクライムも終え、神社へは徒歩で。e-bikeよりも徒歩のほうが大変(右上・左下)なんであんな洞穴的な場所に作ったの? 作れたの? すごい!(右下)社務所で抹茶もいただきました
社務所からの展望。晴れているともっと素晴らしい景色が拝めるそう

朝イチからけっこうなヒルクライムだと、その後のツアー行程に影響を与えてしまいますが、そこはe-bike。e-bikeの本領発揮ですし、ツアー主催側もプランニングがきっとラクになっていると思います。朝でも昼でも夜でもサクサク上っちゃうのはやっぱり強烈なメリットですね。上ったら当然下りますが、車体はディスクブレーキなのでリスク少なめで下ってこられます。

余裕を持って組まれたスケジュールも、e-bikeなので予定より早く進めます。今度は島に渡るために港に戻ります。別府港から10分強(船の速度はだいぶ早いですが)で、人もe-bikeも一緒に乗船できて便利。

ダウンヒルの途中で立ち寄った滝
内航船「いそかぜ」で中ノ島へ。料金は人が300円、自転車が100円
中ノ島サイクリング開始

西ノ島と中ノ島は内航船で10分強ほどの距離ですが、だいぶ雰囲気は違います。西ノ島は“海にある島の山”という感じで、中ノ島は“海が近くにある山”といった印象。どちらかといえば、中ノ島は「あっ、前に行った〇〇に似てるなー」と、わりと親近感があります。とはいえ、どちらも海沿いを走れるので非常に気持ち良いのは変わらないのですが。島同士少しの距離しか離れていませんが、平地が少ない西ノ島に比べて、中ノ島は明屋海岸付近の火山から流れた溶岩によって、平坦な溶岩の大地が誕生したので農耕地帯になっています。

最初の目的地「宇受賀命神社」(うずかみことじんじゃ)に到着
周辺で地元の人や神主さんに会えず。他地に見えない当神社独自の神を祀っているそう
続いて2km強のヒルクライムで明屋海岸へ
こちらも通天橋のように浸食で溶岩がえぐられています
隠岐諸島は日本海なので、“冷たい白波がザッパーーン”みたいなイメージですが非常に穏やかな印象。10月上旬でしたがビーチでキャンプを楽しむカップルもいました

西ノ島とはだいぶ印象が違いますが、のんびり新鮮な気分でサイクリングを楽しめます。「この島の海もいいねー」「あそこでテント張ったら最高じゃない」みたいな会話も多々。最後に隠岐神社を参拝してサイクリングは終了。西ノ島に戻ってから東京へ……。

明屋海岸への道中には牧場も
ここにも牛が!! おいしいんだろうけど食べなくてよかった
最後に隠岐神社参拝&周辺観光で終了
港に戻る頃には青空に

今回は2泊3日のサイクリングツアーでしたが、正直、もう数日は走りたかったです。外出自粛からの開放感を差し引いても、とても楽しく忘れられないサイクリングとなりました。小さな島々をフェリーで渡って、各島を一周できたら……東京帰りたくない……という思いで帰路につきました(笑)。

正直、2泊3日という日程で、東京出発の場合はトータルの旅費も約120,000円(参加費+レンタルバイクは16,500円)と負担は大きいですし、しかも天気悪かったらどうしよう……という決断のいるサイクリングツアーです。でも、負担が大きいからこそ出会える風景、忘れられない思い出ができると思います。個人的にも想像以上のサイクリングツアーでした。また、いつか隠岐諸島の島々を巡ってみたいです。

今後もスペシャライズドの「74 by SPECIALIZED」ではe-bikeツアーを実施するそうですし、他にもちょっとハードルの高いツアーがあると思います。そんな時に思い切って参加してみると、とても素敵な経験ができるかもしれません。

[隠岐諸島サイクリングツアーその他の写真]

e-bike部