e-bike試乗レビュー
【e-bike離島旅.1】火山島のダイナミックな溶岩ライドをe-MTBで満喫する
2023年1月27日 08:05
年末年始空いてますか?
2022年の年末。e-bike Watch編集部・清水氏より連絡が入りました。特に予定を入れていたわけではないので、「暇です!」と即答しました。すると、なんと年またぎスケジュールが送られてきたのです(笑)。
今回のe-bike旅の行先は伊豆諸島の三宅島! 島は嫌いじゃありません。むしろ大好き。しかし、なんで島なのか!? という疑問が浮かびます。
聞いてみると、三宅島はe-MTBで楽しむには絶好のスポットらしく、e-MTBで走った関係者からもずっと「絶対に行くべき!!」と勧められていたそうです。そして、すでにe-MTBも手配済みだとか。そんなざっくりした状態で、初めてのe-bike三宅島旅が始まりました。
先に結論を書いてしまうと、e-MTBオーナーが楽しむ理由がよくわかりました。今回は1泊しましたが、まったく時間が足りませんでしたので、また絶対に行きたいと思います。現在はe-MTBのレンタルはありませんが、今後導入を考えているそうなので、サービスが始まったらぜひ旅してください。
旅の始まりは夜の都心サイクリング。いざ船を目指す
今回のe-bike旅の相棒はメリダのe-MTB「eONE-SIXTY 10K」と「eONE.SIXTY 500」。どちらもドライブユニットはハイエンドのシマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載しており、前者がカーボンフレームで後者がアルミフレームのフルサスe-MTBという豪華な組み合わせ。
私の自宅の近所にあるMERIDA X BASEでもレンタルできる29インチのフルサスe-MTBですが、実は乗るのは初めて。その楽しみも胸に秘め、三宅島の絶景を見ながら飲もうと目論むコーヒーを仕入れ、集合場所のインプレス(東京・神保町)へ向かいました。
さすがの大晦日。神保町のオフィス街は静まり返っています。当然、インプレスのオフィスにも人はいません。何よりもビルの廊下にe-MTBが2台あるのは不思議な光景でした。そそくさと準備を済ませて、竹芝客船ターミナルを目指すことに。
東京の道路の作りに翻弄されつつも、順調に皇居や銀座を抜けて行きます。……普段ならクルマが多くて走れた場所ではないでしょうが、都心の夜景を眺めながらのサイクリングも新鮮です。そこは大晦日。道路がめちゃくちゃ空いています。
冷たい夜風でも快適な都心のナイトサイクリング。来年もやりたい! とすでにワクワクしていました。
約6.5kmの都心のナイトサイクリングを楽しみ、竹芝客船ターミナルへ到着。今回は冒頭の動画スタッフも帯同しますが、時間どおりに合流し乗船手続きを開始します。まずは受託手荷物受付に車体を持ち込み支払いをします。
東海汽船では自転車をコンテナに積み込むサービスがあります。もちろん、輪行でもOKですが、そのまま持ち込める強みは大きいですね。片道料金は輪行で500円、車体が1,500円。ただし、今回のe-MTBでは車体全長が大きかったため、今回は三宅島まで原付料金の3,500円になりました(行先によって料金は異なります)。
まだまだ利用も少ないようで、その場判断になることが多いそうです。e-bikeを預ける場合は臨機応変に対応してあげてください。また、サイクリスト目線としては、どんどん利用してぜひ定番化したいところです。
車体を預けて乗船券もゲットしたので、出航まで腹ごしらえを目論みます。さすがに大晦日でオープンしているお店も少なく、浜松町の駅まで流れ着きました。2022年最後の食事は……年越しそばでなくビール(食事なのか)に決定! もう自転車も乗らないし船で寝るだけなので、翌日の計画を立てながらのんびりした時間を楽しみました。
三宅島を目指す大型客船の橘丸。東京湾上での年越し
三宅島へ向かうのは大型客船の橘丸。まずは寝床を確認します。今回は特2等室を予約。コンパクトな2段ベッドが並ぶ雰囲気は秘密基地のよう。シーツ等をセットし、いつでも寝られる状態を作ってから船内散策へ。甲板に出て出航シーンを見ます。さよなら2022年よ。
出航直後は東京湾内のため、のんびりとナイトクルージング気分。寒くて船内に戻りたい気持ちと景色を見たい気持ちが交差します。でもなかなか体験できることではないので、東京スカイツリーに東京タワー、レインボーブリッジに羽田空港、遠くに見えるディズニーランドなどなど、東京の夜景を一通り満喫できました。
夜景を満喫後には、ひとまず船内に逃げ込み某歌合戦をテレビで鑑賞。三宅島へは条件付き出航だったので、ドキドキしながらも時間を潰しつつ年越しを待ちます。海上での年越しが近づくと船長からのアナウンスが! 再び甲板にあがってカウントダウン。遠くには祝いの花火が見えるなか、船長の計らいで新年あいさつと共に特別な汽笛で新年を迎えました。そして、海上での新年あいさつも手身近にそそくさと船内へ。5時の入港に備えてすぐに夢に落ちました。
無事に着岸! 三宅島で初日の出を見よう
初日の出を迎える前に無事に三宅島に入港できました。この日の御蔵島は欠航となりましたが、八丈島へも向かう船なので足早に荷物を下ろし、再出航するフェリーを見送ります。我々も寝坊することなく下船し、無事に車体を受け取りました。
初日の出まで時間があるので、少し明るくなるまで待合室で待機。生まれ育った環境が伊豆半島の西側で、日の出が見えない環境だったので、実は初日の出を拝むのが初めてでした。果たして見られるのでしょうか?
ちなみに、この日は島の東側の三池港に入港。潮の流れや風向きによって港が変わるのは「島あるある」なのでしょうか? この時期の三宅島は天気が良くても海が荒れて欠航が続いていると聞いていたので到着できたのもラッキーなのですが。
少し明るくなってきましたが、残念ながら雲が出ており、水平線からの日の出は拝めない気配もあります。でも、わずかな期待を抱きながら出発します。いよいよ三宅島e-bike旅のスタートです!!
三池港から日の出を見るなら南下ということで、三宅一周道路を時計回りで回るぞ! とスタート。そして、今回は気になるポイントはどんどん立ち止まるスタイルです。寄り道しやすいのは、やっぱりe-bikeならでは。
走り始めて3.5km。最初の気になるポイントを発見したのでUターンの合図。海岸の案内板どおり道を下って行くと、海に出ました。着岸した港とは目と鼻の先、空港のすぐ裏手にある海岸は、まさに火山の爪痕でできたジオ島という感じ。
道路からは砂浜で繋がっている溶岩の海岸に、ひとまず飛び込んでみることに。2023年のウォーミングアップといったところでしょうか? 砂浜はもちろんタイヤを取られますが、MTBの太いタイヤとパワフルなアシストで楽しく走行。これだけで今年一年の自転車ライフが楽しくなりそうな気がしました(笑)。
水平線から見えそうにない初日の出に興味を失っていましたが、海岸でキレイに見えそうなので、そのまま待機することに。それまで砂浜や溶岩の上を走り回ったり。e-bikeでなければなかなか走行が大変な場所でしたが、汗をかかない程度に楽しみます。走りやすい場所さえ探せば、アシストのおかげで誰でも走れますし、真面目な話をすると基礎練習になるため、シリアスサイクリストにとっても重要な遊びです! 大切なことはあくまでも「遊び」だということ。本気になってしまってはダメですよ(笑)。
日の出が近づいてきました。朝日を見ながら今度は溶岩に自転車を置いて、気ままにお散歩。自由です! 地球感が凄すぎるポイントなので、どう撮ってもカッコ良くなってしまうために写真を撮る手も止まりません。
火山島はやっぱりダイナミックなスポットが多数
日の出と御蔵島と自転車の写真を撮り、ご満悦な我々はさらに少しだけ砂浜で遊んで、海岸を後にしました。今回の旅ではいろいろなスポットを巡りましたが、やっぱりダイナミックなエリアが強く印象に残っています。
その1つが「新鼻新山(にっぱなしんざん)」。月面着陸したのか? とも感じるスポットで、海沿いにそびえ立つ丘は、1983年の火山が作り出したもの。それから年月を経て、現在は海側だけが削られた状態で、陸側には岩石や火山灰などでできた砂地が広がっています。第1種特別地区に指定されており、自転車に乗車した状態での立ち入りは禁じられていますが、押し歩きはOKとのこと。
地球が作り上げる壮大な大地を踏みしめながら、丘の頂上を目指します。風の強さで押し歩きが大変なこともさることながら、高所恐怖症の私は途中で諦めることに……。お立ち寄りの際は無理せずに楽しんでくださいね。
元旦でも営業しているお店がオープンするまで、その近くのメガネ岩をガッツリ楽しみました! 我々以外は誰もいない地球貸し切り状態で、冷えて固まった溶岩の上を走ったり、広大な砂地を爆走したり。
動画撮影のためのドローンと追いかけっこしながら、どこまでも続きそうな広場を走りまわります。子供のように遊び尽くし、さすがにぐったりして足を止めました。高所恐怖症ではありますが、好奇心は旺盛なので、今度はがんばってメガネ岩の上を歩いてみます。風の影響で視界も悪くなっていましたが、撮影ポイントの1つです!
昼食後には、島の西北に位置する伊豆岬灯台を目指します。どこの島もそうですが、全方向において多少地形が変わります。灯台に向けては強い風とアップダウンが続き、まさにe-MTBの本領発揮といった感じでライドを楽しませてくれます。
下りもそれなりに急勾配ですが、広いハンドルと安定した乗り心地のe-MTBは基礎さえつかめば、しっかり安全に下ることが可能です。実はこの旅でいちばん気持ち良く下った気がします。適度に広く、適度に下り、海も山も見えて、コーナーもある。楽しい道でした!
三宅島の象徴としてポスターにもなる伊豆岬灯台は、圧倒的な量の星が現れる星空ポイントで人気だそうです。夜に宿から自転車で星を見に行く計画も少しだけ考えましたが、さすがに遠いのと真っ暗な道は危ないので断念。昼間の灯台を楽しむことにしました。
灯台の周りには地層が見えており、その岩場をe-MTBで走りたい!! ですが、灯台下から海岸部にかけては危険な箇所になるため、自転車で進入はできません。新鼻新山同様に、第1種特別地区に指定されています。e-bikeでだからこそ楽しめそうなスポットですが、ルールなのでグッと我慢。
灯台付近は古くからの地層がミルフィーユのように重なった岩肌で、三宅島のジオガイドさんに話を聞いてみたいと思いました。自転車で目指さなくともクルマで行ってベンチに座るだけでも価値があるスポットです。この日は神津島などが見え、うっすらと伊豆大島と思わしき影も。案内板によると、天気が良ければ伊豆半島も富士山も見えるようです。残念!
海の向こうにある、島々と本州。何も遮るものがなく、遠くが見えるのは素晴らしいですよね。建物でごった返した生活をしていると、遠くを見ることを忘れる時があります。三宅島で海を望むと、その向こうにあるいろいろなものが見えます。のんびり遠くを眺める時間が心を豊かにしてくれる気がしますね。
火山島ならではのダイナミックなスポットだけでも長くなってしまったので、三宅島で巡ったその他のスポットは後編であらためてご紹介します。