e-bike試乗レビュー

「e-bike×キャンピングカー」で、大自然を優雅に自由に遊ぶ!!【前編】

 ようやく秋らしくなってきた今日このごろ。e-bike部メンバーから「そろそろサイクリングしたいよね」的な話が出てきました。もちろん、e-bikeでのサイクリング!!

 ちなみにe-bikeとは、スポーツ走行向きの電動ドライブユニットを搭載するスポーツタイプの自転車のことです。具体的には、クロスバイクやMTB、ロードバイクといったスポーツ自転車に、シマノSTEPSなどのスポーツ走行向けに開発されたドライブユニットが搭載されたもの。e-bike用のドライブユニットは、レスポンスやトルクの大きさ、それから小型・軽量といった点で、アシスト付き軽快車(シティサイクルタイプなど)とは走行感が大きく異なります。

写真はMTBタイプのメリダ「eONE.SIXTY 800」
ドライブユニットにはシマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載。e-bike先進国でも非常に評価が高いハイエンドのドライブユニットです。最近はミドルレンジの「E6180シリーズ」「E5080シリーズ」も新たにラインナップ
大容量のバッテリーも搭載されます。504Wh(36V/14Ah)で100km以上の航続が可能
こちらは新型のコンパクトなディスプレイ。アシストモードやバッテリー残量などを表示

 さて、e-bikeでどこへサイクリングに行くか? 海だ山だ川だと喧々囂々で全然まとまらない相変わらずのe-bike部でしたが、誰かが「信州!」と一声。メンバーは「いいねぇ~秋の信州~」とハモりつつ同意し、長野県方面へ行くことになりました。

秋の信州ってこんな感じ? とメンバーのイメージが一致。妄想混じりに「今の季節の長野県はサイコーのハズ!」と意見が合って行き先が決定

 そこへe-bike部メンバーの難波 賢二氏が一声。「じゃあヨーロッパスタイルでe-bikeレジャーを楽しんでみませんか?」と。……ヨーロッパスタイル?

 つまりはキャンピングカー(モーターホーム)を拠点としたe-bikeアクティビティだそうです。自由に移動できるキャンピングカーに一切合切まとめて積み込んで、訪れたい場所まで一気に行っちゃう。そしてキャンピングカーを拠点とし、自然の中をe-bikeで散策するもよし、ヒルクライムするもよし。ちょっとした観光や食材の買い出しなんかにもe-bikeを使う。それがイマドキのヨーロッパスタイルのe-bikeレジャーなんだそうです。その様子をちょっと写真で見てみましょう。

e-bikeを積んで走っているキャンピングカー
夏のヨーロッパはキャンピングカーで渋滞することもあるほど、キャンピングカーによるレジャーが盛んです
アルプスの山岳リゾートに行くと、キャンピングカーにe-bikeを積んだアクティブな人たちがたくさん!
キャンピングカーを拠点として、その周辺観光などにe-bikeを使うのがヨーロッパスタイル。キャンピングカー自体が宿泊施設になり、さらにe-bikeを併用することで、とても自由でアクティブなレジャースタイルを組み立てられるというわけです
自転車が積みやすく拠点としての利便性も高いので、自転車レーシングチームも積極的にキャンピングカーを活用しています

 ヨーロッパスタイルの説明を受けると、「いいねぇ~キャンピングカーでe-bike!」と再度ハモって同意しそうになりましたが、誰かが「ていうかキャンピングカーどうすんの?」と疑問を提示。すると難波氏「ボク持ってますのでソレで行きますか? レンタルするという手もありますが」と。

 まさかの隠し玉! ではありましたが、難波氏の提案に即座にすっかり乗っかるe-bike部メンバーでした。ちなみに今回使うキャンピングカーはこの写真↓とほぼ同じ車両。

独Hobby社「HOBBY OPTIMA DE LUXE」。Hobby(ホビー)は50年以上の伝統を持つドイツのRVブランドで、ドイツのキャンピングトレーラー市場22%のシェアを持つ業界最大手。国内ではトーザイアテオが輸入総代理店。写真はトレーラーではなく自走式で、自動車メーカー製のキャンピングカー専用シャシーにキャンピングカーメーカーの家の部分が美しく融合した、いわゆる「セミインテグレート」のキャンピングカー。 ちなみに運転席部分までキャンピングカーメーカーが作ったものが最高級で「フルコンバージョン」と呼ぶそうです。写真の車両の後部には大きなストレージがあり、そこにe-bikeを格納することもできます

 という流れで「e-bike×キャンピングカー」のe-bike部活動が決定しました。難波氏は「行きますか! モーターホームe-bike活動!」「キャンピングカーならe-bikeの良さを完璧に発揮できますよ!!」「キャンピングカーとe-bikeを組み合わせない手はない!!!」と、なんかテンション高めですが……。この秋まで超多忙でキャンピングカーに全然乗れず、ようやく乗れそうで嬉しかったもよう。ともあれ、どんな活動になるのでしょう。

拠点は富士見パノラマリゾート

 信州と言っても広いわけですが、今回は平地も山も楽しめるエリアとして長野県諏訪郡富士見町を選びました。キャンピングカーを駐めて拠点とする場所は、富士見パノラマリゾート。冬はスキー場として、春夏秋は登山やトレッキングやMTBアクティビティを楽しめる山岳リゾートです。

 クルマでのアクセスは、八王子から約90分、横浜から約130分、静岡から約120分、名古屋から約130分。けっこう近い! ともあれ、まずは富士見パノラマリゾートを目指してゴー! その道中の様子を駆け足で写真にて見ていきましょう。

e-bikeはキャンピングカーのリアキャリアに1台、車体後部内ストレージに2台積み込みました
このタイプのキャンピングカーでの移動は、高速バスのような安定した走行感です。が、ひとつ違うのはその快適さ。いろいろとスゴ~く快適です
運転席も助手席も余裕アリ。走行中の静音性も高いので、後部にいるほかのe-bike部員とのコミュニケーションも問題ありません
自走型のキャンピングカーなので、走行中にリビングで過ごすこともできます。トレーラータイプだと走行中にキャンピングカー内に人がいるのは法律違反になりますので、こういった点でも自走型キャンピングカーは利便性が高いです
目的地まであと一息。ちょっと駐車して休憩という時に、車内でリラックスして休めるのがキャンピングカーのいいところです
もうすぐ目的地。道の駅で夕食の食材を買いましょう♪
この道の駅には、新鮮で安くてヒジョーにおいしそうな地元の食材がた~くさんありました。今夜は地元食材でバーベキューだ!

 そんなこんなで富士見パノラマリゾートに到着。キャンピングカーは富士見パノラマリゾートの駐車場に駐め、そこを拠点にします。富士見パノラマリゾートには2,000台収容可能な駐車場があり、そこでマウンテンバイクやゴンドラ利用者のキャンプも認められています(一部エリアを除く)。キャンピングカーの駐車もOK。以下の写真は、キャンピングカーを富士見パノラマリゾートへ駐めた様子です。また当然ですが、キャンプ場ではないので利用する際にゴミは持ち帰りましょう。

富士見パノラマリゾートのゲートハウス。この奥に各種施設を備えたセンターハウスがあります。センターハウスにはレストランやMTBレンタルショップがあるほか、スキーやMTBなどの各種スクールも受け付けています。ちなみに、この地点で既に標高約1,000m。空気が違う♪ ここにいるだけで爽快な気分になれます(今シーズンの夏季営業期間は11月4日まで)
未舗装駐車場にキャンピングカーを駐めて椅子やテーブルを設営。カーサイドオーニング(タープ状の屋根)装備のキャンピングカーなので、設営は容易です。ここが今回のアクティビティの拠点になります
澄んだ空気と青い空を楽しみながら、とりあえずコーヒーで一休み

 いや~キャンピングカーって凄くイイですね♪ ナニカと快適。安楽。そして人も機材も必要なもの全部をまとめて移動できて、どこでも拠点になっちゃうので、e-bikeのトランスポーターとして考えたらサイコーです。 e-bikeは「これまで行けなかったところへ次々と行けるようになる乗り物」だと思うんですが、その魅力と可能性ががさらに拡張されます。

 ただし、富士見パノラマリゾートは、シマノなど自転車関連メーカーが主催するMTBレースやサイクルイベントが行われることがあり、そういう時期は無料駐車場も混みがち。キャンプなどで駐車場を長時間使うのは遠慮すべきかもしれません。また、駐車場でキャンプなどする場合、使用不可のエリアがあることもありますので、事前に富士見パノラマリゾートへ問い合わせることをオススメします。

e-bikeで南アルプス・サイクリング! そして本格ダウンヒル!!

 キャンピングカーからe-bikeを下ろしたら、さっそく走りましょう。この富士見パノラマリゾートはスキーや登山やトレッキングでも有名なスポットですが、日本最大級のMTBフィールドとしても有名。そしてこのMTBフィールドはMTBタイプのe-bikeでの走行もOKです。

 ちなみにMTBやe-bikeは「Backyardgaragehouse」というショップでレンタルが可能。もちろん、ヘルメットやプロテクターなどの装備品も用意されています。e-bikeはミヤタの「RIDGE-RUNNER」が用意されており、スキルアップエリアを走って楽しむことができます(レンタルの場合はダウンヒルでの使用は不可)。

 ならばソレを堪能するしかない! ということで、e-bikeを駆って秋の富士見パノラマリゾートを遊んじゃいます♪ 今回はフルサスMTBのe-bikeを持ってきました。

 富士見パノラマリゾートには本格的なダウンヒルコースが整備されているとのことで、そこを走る……前に、まずは基本を練習。実はe-bike部メンバーの難波氏、ダウンヒルレース参加経験もあるガチの人。そこでe-bike部員にMTB走行の指導をお願いしました。その様子を写真でどうぞ。

富士見パノラマリゾートにはMTB用の練習コース「スキルアップエリア」があり、MTBのレンタル・MTB走行スクールもありますので、初心者が手ぶらで訪れてもMTBを楽しむことができます。我々はスキルアップエリアにe-bikeを持ち込み、ダウンヒル走行に備えて練習を
スキルアップエリアはこんな傾斜の「緩めのMTBコース」です。MTBが初めてという人でも楽しめますのでオススメ♪ ただし、緩めとはいってもMTBで走るオフロードコースなので、ヘルメットの着用はもちろんですが、プロテクター類も着用するとより安心です
指導役の難波氏。もともとガチのMTB野郎だったっていうかレースなどにも出場していたMTBライダーだったので、さすが「乗れてる感じ」の走りっぷりです
一方の筆者は乗り慣れてない感じ? 至ってフツーですがさておき、このスキルアップエリア、とても走りやすくてそこそこ技術も磨かれて、意外なほど楽しいんですけど!
今回の筆者はBESV(ベスビー)のフルサスMTBタイプのe-bike「TRS2 AM」に乗りました。フルサスだとこういうトレイル的な場所を走っても乗り心地がイイ!! ドライブユニットはシマノSTEPS「E8080シリーズ」で、トレイルのヒルクライムもラクラクです
[写真で見るBESV「TRS2 AM」]

 一通り練習を終えたら、山頂付近までゴンドラで上がります。もちろん、人もe-bikeもゴンドラが運んでくれます。ちなみにゴンドラ山麓駅の標高は1,050mで、ゴンドラ山頂駅の標高は1,780m。一気に730mも上がってしまいます。

 山頂駅付近には「山頂周回ルート」と呼ばれるMTBツーリングができる全長約10kmの道があり、その途中に湿原もあるそうです。ただし、そのルートは一般道でクルマも通行しますので、自転車での走行には交通ルールを守り十分な注意が必要です。また、山頂周回ルートにはコース案内看板などがなく、道を間違えると山の向こう側に下ってしまって自走では戻って来られないようなケースもあり得ますので、これも十分な注意が必要です。

 そんな注意点はあるものの、絶好のロケーション。以下、写真でご覧ください。

ゴンドラ山麓駅でゴンドラにe-bikeを積み込む様子。e-bikeはゴンドラ内に入れて運搬します
1台のゴンドラに自転車×2台と人が2人まで乗れます。慣れていなくても係員さんが手伝ってくれますので大丈夫
そして出発♪
絶景を見下ろしていればすぐ山頂駅です
ゴンドラから山肌を見下ろすと道のようなものがありますが、これはダウンヒルコース。上級者コースなどは「信じられないほどの急峻な坂道」です。エクストリーム!
すぐにゴンドラ山頂駅。絶景が広がります。左のデッキには「Mons Diner」というカフェがあり、タイミングと運が良ければ雲海を眺めることができます。カフェでは飲み物や軽食とともに絶景を楽しめます
前方には八ヶ岳。サイコーの風景ですね~♪
絶景を楽しんだら、今度は山頂周回ルートを楽しみます。実はややキツめのアップダウンがあったりもしますが、e-bikeなら問題なく走れます
少し走ると「入笠(にゅうかさ)湿原」に到着。徒歩で散歩できますヨ
その絶景に感謝のポーズ(!?)を捧げるe-bike部員たち
左は難波氏が乗ったメリダ「eONE.SIXTY 800」、右は筆者が乗ったBESV「TRS2 AM」。どちらもフルサスMTBのe-bikeですが、こういうダートを走るとフルサスの良さ快適さがよくわかります

 山頂周回ルートをサイクリングした後は、ゴンドラ山頂駅付近のMons Diner脇道から、ダウンヒル「初級コース」で富士見パノラマリゾート駐車場近くまで下ります。富士見パノラマリゾートのダウンヒルコースは、前出のスキルアップエリアの他、初級・中級・上級があり、最長約8kmで高低差は730m。ダウンヒルコースなのでほぼ下りっぱなしです。

 我々が走るのは初級コース。わりと幅広で走りやすいダートコースですが、急傾斜もあるのでスピードが出やすかったり、石や砂利や木の根もあります。漫然と走ると自転車がジャンプしてしまう箇所もあります。なので、初級コースとはいっても、MTBの扱いに慣れてから、自分で制御できるスピード内で走ることが大切。ともあれ、コースの雰囲気を写真と説明文で見てみましょう。

今回の富士見パノラマリゾートでのダート走行にて。我々はプロテクターを着用していませんが、万が一に備えてプロテクターを着用することをオススメします
初級コースで広く走りやすいですが、斜度はけっこう急峻。スピードが乗りがちです。でもe-bikeのディスクブレーキで十分にスピードを抑えられました
途中すれ違った方々。ヘルメットもプロテクターも、そして自転車も本格的なダウンヒルスタイルです。ダウンヒルライダーの鑑。こうした装備ならより安全にダウンヒルを楽しめますね!
初級コースの途中には「絶景トレイル」と呼ばれる、文字通り絶景を楽しめるコースがあります。八ヶ岳をバックに記念写真も
本当に絶景!!
あまりにも絶景で、気づけば長居しているほどです
ダウンヒルは楽しいわ絶景は美しいわで、ついつい我を忘れてはしゃいで珍しく自撮りまでしてしまうe-bike部メンバーたち(左から、清水、難波、筆者)

 上の自撮り写真ですが、筆者の顔はともかく、仕事で顔をよく見る左の2名がこういう開放感のある表情を見せるのは、ちょっと珍しいかも。特に清水氏は「めちゃめちゃ楽しい!!」を連呼していました。走っているとすぐに笑顔になってしまう富士見パノラマリゾートのe-bikeサイクリング&ダウンヒル体験なのでした。

スタパ齋藤