e-bike試乗レビュー

景色も人も最高!! 1泊2日の三宅島旅で最後にクジラは見れるのか? 【e-bike離島旅.3】

まずはこちらをご覧あれ。今回のe-bike旅のダイジェスト動画です。本編も準備中なのでお楽しみに!!

これまで2回にわたって三宅島のe-bike旅をお届けしてきました。スキューバや釣りといったイメージで、あまり自転車とは縁のない島かとも思っていましたが、火山島ならではのダイナミックな溶岩エリア、訪れて良かった観光スポット、今回は諦めたエリアなどなど……正直、1泊2日で帰るのは名残惜しかったです。旅先での嬉しい出会い、ここでしか体験できないイベントにも参加。最後にe-bikeや自転車でなくても楽しめる魅力をご紹介します。

三宅島での宿泊先は阿古漁港のホテル海楽

今回のe-bike旅で宿泊したのは、阿古漁港からすぐの「ホテル海楽」。今回のe-bike旅を三宅島観光協会に相談したところ、アクセスも含めて拠点としてオススメされたそうです。

日の出前から三宅島の大自然で遊ばせてもらった我々は、初日の伊豆岬灯台ライドを終えると、ちょっと早めに宿を目指しました。

伊豆岬灯台ライド、オススメです
朝から走っていたので早めにチェックイン
翌日に備えて持参した充電器で充電させてもらいました

宿泊した部屋は、畳の広めな部屋でのんびり過ごすことができました。無料で洗濯できるのも嬉しいポイント。大浴場は17時~と制限がありますが、シャワーは24時間利用可能。この日は15時にチェックインしたので、大浴場は我慢してすぐさまシャワーへ。元旦の寒さであってもe-bikeでしっかり走るとそれなりに汗はかきますので。

フェリーではしっかり眠れましたが睡眠時間は少なめ。三宅島をe-bikeで走り回って遊び疲れたのと、翌日を考えて少し休んだほうが楽しめるという判断で、少しお昼寝。回復は大事です!! 洗濯終わりにアラームをセットしていたので短めでしたが、最高の昼寝でした。

ちなみに部屋にはハンガーもタオル干しも充実しているので、1人での宿泊なら洗濯物の干場も持て余すかもしれません。冬場は乾燥も気になるため、最高の加湿器にもなります。サイクリストも要チェックのホテルです。

すっきり回復したところで、夕方の散歩へ出かけることに。部屋でコーヒーを淹れていたので、それをお供に。自転車もいいですが、ゆっくり徒歩での散歩も楽しいですよね。元旦の三宅島は爆風でゆっくり歩くことはできませんでしたが、コーヒー片手の夕焼け散歩は思い出になりました。

本当は三宅島の絶景を見ながらコーヒーも飲みたいと思っていましたが、この日は強風で……ようやく出番です
初日の入りでのコーヒーを楽しみました。風さえなければ外で湯を沸かしたかったな~……残念
清水氏も夕暮れのe-bike撮影に出かけたそうですが、強風で自転車が倒れたり、海水ががっつり飛んでくるので諦めたそう(笑)

夜は早めの夕食。3人で乾杯! 多少のお酒も旅の醍醐味ですよね。ビールから入り、最後は三宅島の焼酎で締め。美味しい時間でした!

年に一度のイベント「船祝い」へ。最終的に島を一周する

1泊2日の三宅島e-bike旅。2日目はゆっくり起床からのスタートです。前日も早めに解散し、昼寝もしましたがすぐに爆睡。朝食後にはコーヒーを淹れてからのんびり準備です。e-bikeは前日にフル充電。人も自転車も体力もバッチリです!!

ずいぶんゆっくり過ごしているように感じるかもしれませんが、実は2日目の目的に合わせての行動です。三宅島で年に一度しか体験できない行事。毎年1月2日に開催される「船祝い」です。

宿付近の阿古漁港でも準備が着々と進んでいました。キレイな大漁旗

日本各地でも行なわれていると思いますが、1年の豊漁と安全を祈願する祭りです。例年は島の5カ所の漁港で開催されますが、今年は「湯の浜漁港」「坪田漁港」「阿古漁港」の3カ所となります。せっかく三宅島に来て、しかもお正月に滞在しないと見られないイベントです。2日目はその船祝いをe-bikeで追うことに。

宿に別れを告げ、前日同様に時計周りで駒を進めます

最初に始まるのが「湯の浜漁港」。島の北に位置する漁港です。初日は灯台まで行きましたが、この湯の浜漁港からスタートすると、まだ走っていないエリアも含めて島を一周できることになります。前日に灯台に向けて走った気持ちいい道を再び走り、少し早めのペースで最初の漁港を目指します。

出発前に確認すると、到着はギリギリ!? 朝から2人をあまり気にせずに気持ち良く走行して(もちろん都度確認していますよ!)、少しの遅れで無事に港に到着。朝に余裕を持ち過ぎました(笑)。

港は色とりどりの大漁旗を揚げた船と島中の人が集まったの!? と思えるような盛況ぶり。船上からみかんやお菓子を撒いて祝うようです。持参の箱や段ボールいっぱいにもらっている人もいて、参加者の気合の入り方に圧倒されました。前日は島民にほとんど会うことがなかったので、どこから出てきたの!? と驚きました。でも、お正月にこうした行事を楽しめる日々に少し参加できたのも嬉しかったです。

湯の浜漁港での船祝いが終わると、あっという間に参加者は撤収!? すぐに移動するようです。民族大移動のような勢いです。次の坪田漁港を目指す一行に遅れまいとe-MTBで移動を開始します。とはいえ、我々は自転車なのですぐに置いていかれましたが(笑)。

時間的にはだいぶ余裕がある計算なので、途中で足を止めて撮影していても少し前につけるはず。残された時間もあとわずかなので、移動中も旅を楽しみながらのんびり進みます。

すると、ある看板を見つけます。これは……見たい! 道路から海側を覗くとひょうたん山が。複数の小さい火山口から溶岩流などが溜まってできた砂の山だそう。当時の噴火でも海底噴火が起きたらしく、それも混じってできています。時間がないため、道路からしか見れませんでしたが、新鼻新山とはまた違った魅力を感じたポイントです。

この道も気持ち良く走れます! 三宅島は西と東で違った表情を楽しめます

ドローンで上からのぞくことも試みましたが、三宅島空港が近くにあるため飛ばすことができずに残念でした。停車する場所を見誤りましたが、少し上った場所には三七山展望台があり、そこから望むと周辺が丸わかりです!

とりあえず向かってみます
展望台からの景色も最高です!

ひょうたん山に圧倒されて、なんだかんだで余裕のある時間を撮影で使い切ってしまった我々。わずかな展望台滞在で去ることに……。今さらですが、初めての土地でもしっかり計画する必要性を感じました(笑)。そして、少し速めの行動が必要になりましたが、お2人の頑張りもあって無事に次の船祝いスタート前に到着。

なんとか間に合いました

今回は最初から参加できます。わいわいした雰囲気、新年の挨拶をする島民のみなさん。新年だな~まだ1月2日なんだ~とあらためて実感。島にいると時間感覚を忘れてしまいます。先ほどは少し遅れてできなかったみかんやお菓子の振る舞いも参加でき、熱気を味わいながら豊漁と安全を願わせていただきました。

活気がすごかったです!

さて、残すは阿古漁港ですが、ここで大切な情報を入手します。フェリー乗り場の情報です。往路同様に、入港する港は当日に決まります。11時に発表となる情報をもとに、最終目的地を決めなければなりません。南側の坪田漁港にいるので、阿古漁港なら問題なし。ですが、往路も三池港となりました。阿古漁港の船祝いに参加すると、コンテナにe-MTBを預ける時間に間に合いません。後ろ髪を引かれながら三池港を目指します。風が強いため、復路も三池港の可能性が高いと聞いていましたが、もしかして阿古漁港なら……とも期待していましたが、そこは運のなさ!? いや新年早々、運を使い切らなくて良かったと思います(笑)。

いよいよ旅の終わりが近づいてきました。三池港を目指します

三宅島での出会いも楽しく嬉しい。これも旅の醍醐味!!

元旦ということもあり、お店も営業しておらず、島民の方とも触れ合う機会は少なかったですが、いくつかの嬉しい出会いがありました。

まずは宿泊したホテル海楽オーナーの息子さん。夕食時にお酒を飲んだこともあり、歩いて行ける星空スポットを聞いたところ、わざわざクルマで案内してくれました。もう最高です! 夜になってさらに強くなった風で撮影は諦めましたが、街灯のない海辺で星を見ることができました。

ちなみにご自身は別の仕事をされているそうですが、ホテルの仕事もたまに手伝っているそうです。いろいろお話しさせていただきましたが、まだ19歳の若さだというのに、落ち着いた態度や心遣いは超一流。見習いたいと思います。今回は特別に対応してくださって感謝です(本来はそうした送迎などのサービスはありません)。

強風のなか清水氏ががんばってスマホで撮った星空。この日は月が大きかったのですが、月明かりがなければ大量の星が見られるそうです

続いては湯の浜漁港の船祝いで出会った少年。自転車で来ているのは我々だけで、インパクトあるe-MTBだったので気づいたようです。興味津々なので「乗ってみる?」と聞いてみましたが、本能ですごい自転車だと感じたのか、そこは遠慮されました。友人がMTBタイプに乗っているようで、たくさん話をしました。ドロッパーシートポストの動きに「うわー、すげー」と興奮していました(笑)。地元で自転車が好きな少年と交流できたのも思い出です。

ちなみに少年にどこから来たのか尋ねると「ランドリー」という回答。ちょっと意味わからないですよね。我々も「?」となりましたが、次の港を目指して走っている時に意味が分かりました。島で唯一のコインランドリーがあったのです(笑)

最後は三池港の近くにある「サンライズ」という食堂のおばちゃん。コンテナに車体を預けてから出航まで時間があるのでランチに行きました。お店を1人で営み、メニューは焼肉かハンバーグの2択! ライド後の空腹には最高の味わいだったのはもちろん、なにより温かい人柄が素敵で大満足でした!

コンテナに車体を預けて徒歩で向かいます
迷わず焼肉を選んで、美味しすぎてご飯もしっかりおかわり

帰るのが名残惜しい……クジラも見たい! 三宅島の魅力は?

ゆっくり食事をした後はフェリー乗り場に戻って、着替えなどを済ませて最後の楽しみ……クジラ探し!! 三宅島はクジラが見えるかもということで、走行中もずっと探していましたが発見できず。私は不精して待合室から見ていましたが、清水氏は外に出て最後までクジラを探していました。が、誰も発見できずに残念でしたが、「クジラが見えるかも」というドキドキしながらの体験も素晴らしいです。いつか三宅島でクジラに会える日を夢見て!

クジラはどこだーい?

帰りも強風だったものの、無事に出航し、船上からもクジラを探しながら少しずつ離れて行く三宅島に別れを告げました。海が荒れていて少し遅れたものの、無事に竹芝桟橋に到着。まだ1月2日。最後にお正月ナイトライドを再び開催。三宅島とは違った寒さの都心の空気を切り裂きながら、再び神保町へ。テンション高めにライトアップされた東京タワーに寄り道したり。

三宅島からの東京タワー

このナイトライド中も2日目も、走行中に「もっと三宅島を走りたい」とずっと話をしていました。今回は1泊2日のe-bike旅でしたが、正直、ぜんぜん時間が足りませんでした。もっともっと行きたい場所がありました。日帰りで楽しむ三宅島も楽しいと思いますが、私は2泊以上してじっくり島を巡りたい。落ち着いて過ごしたい。一周30kmの島だからすぐに回れてしまうかな……と島を舐めていました。

もっと時間が欲しかった!
もっと走りたいスイッチが入って、三宅島空港付近の気持ち良い道で“e-bikeではなく自転車として踏んだ”のはここだけの話。三宅島で力を出しておかないと後悔する気がして、本気でしっかり踏みました(笑)

三宅島の何が良かったのか。ざっくりとした感じになってしまいますが、島特有の空気感に包まれて、ゆっくりした時間を過ごす。大きすぎず小さすぎない島は、短期旅行にぴったり。1泊2日ではまだまだ見つけられない場所もたくさんあるはず。

火山から伝わる地球の力、自然、海、山を感じ、そのすべてを味わえる環境はなかなかありません。「行けば分かる」魅力がたくさんあります。e-MTBライダーにはすでに知られたエリアのようですが、もっとたくさんの人に感じてもらいたいです。

近い将来はレンタルe-bike導入も検討中だそうです。手ぶらでも楽しめますね!! また、三宅島観光協会では電動アシスト自転車をレンタルしています。e-bikeほどの行動範囲にはなりませんが、のんびり三宅島観光を楽しむこともできます。

休憩&ランチのお店探しで三宅島観光協会に寄った際、一人旅(?)の女性がレンタル電動アシスト自転車で大路池を目指して出発して行きました

e-bikeをレンタルして持ち込む選択もありですね。がっつりロードバイクで走り尽くしたい!! という人には少し物足りないかもしれませんが、そこは楽しみ方次第。次の三宅島でどこを巡ろうか、さっそく考えています。

さらば三宅島! また会う日まで
平塚吉光

元プロロードレーサー。引退後、サイクルツアーなどを中心にe-bikeにハマり、自分の中での自転車の可能性を広げ続けるサイクリスト。ロードもトラックもMTBも、もちろんe-Bikeも大好きです。Instagram:@yoshimitsu_hiratsuka Twitter:@yokkun1113