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高級トースター6モデルを一挙に食べ比べ! 焼き上がりはけっこう違う?

高級トースター厳選6モデルで、トーストを食べ比べ

主に食パンをトーストするための家電「トースター」。すこし前までは、トースターは価格優先で1万円弱の製品を使う人が多かったのではないだろうか? そんなトースターが、一気に脚光を浴びたのが、2015年にバルミューダが「BALMUDA The Toaster」を発売してからといっても過言ではないだろう。以来、各メーカーから「美味しくトーストできる」というトースターが続々と登場した。

そんな、いわゆる「高級トースター」に分類される6モデルを厳選。メーカーごとにトーストの味は変わるのか? 劇的に美味しくトーストできるモデルはあるのか? を探るため、同じ食パンをトーストして、編集部で食べ比べしてみた。

今回のラインナップは、「パナソニック ビストロ NT-D700」、「バルミューダ BALMUDA The Toaster」、「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」、「アラジン グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」、「シャープ ヘルシオグリエ AX-GR2」、「シロカ すばやきトースター ST-2D351」の6モデル。

なお、食べ比べに使用した食パンは、全国のスーパーやコンビニなどで一般的に販売されている、パスコの「超熟(6枚スライス)」。それぞれのモデルの取扱説明書を元に、標準的なトーストのメニュー/焼き時間を設定して比較した。

どのトーストもそれぞれの特徴があって美味しかったが、人によって焼き加減や食感の好みも分かれるため、限られた人数の主観的な部分の強い評価となっている。それぞれの特徴や編集部のコメントを見ながら、みなさんの好みに合いそうなモデルを探してもらえると幸いだ。

食べ比べた6機種のラインナップ

まずは、今回試した6機種の基本情報と、それぞれの特徴を紹介したい。同じ「トーストを焼く」目的の製品でも、それぞれ目指すところや、おいしく焼くためのアプローチに違いがみられるのも面白い。

メーカー名製品名実売価格(ビックカメラ.com/6月17日時点)発売時期
パナソニックビストロ NT-D70026,730円2021年2月
バルミューダBALMUDA The Toaster K05A27,940円2020年9月
三菱電機三菱ブレッドオーブン TO-ST133,000円2019年4月
日本エー・アイ・シーアラジン グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A39,000円2021年4月
シャープヘルシオグリエ AX-GR223,780円2021年10月
シロカすばやきトースター ST-2D35117,800円2021年4月

パナソニック「ビストロ NT-D700」

パナソニック「ビストロ NT-D700」

庫内上部に遠赤外線と近赤外線、下部に遠赤外線のヒーターを配置した、遠近トリプルヒーター採用のトースター。メニューやパンの厚み/温度、庫内温度などによってヒーターの出力を7,200通りに調整する、インテリジェント制御を搭載。温度や時間の設定が不要で、厚切りや冷凍のパンも自動で中まで熱々に焼けるという。

庫内上下に配置された遠/近赤外線のヒーターを、きめ細かく制御して焼いていく

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パナソニック公式サイト 製品情報

バルミューダ「BALMUDA The Toaster」

バルミューダ「BALMUDA The Toaster」

独自のスチームテクノロジーと、温度制御を搭載したトースター。使用前に5ccの水を専用タンクに入れて、スチームを発生させる。スチームが庫内に充満し、パン表面を薄い膜で覆うことで、パンの中に水分が閉じ込められる。その後、上下のヒーターを細かく制御していく。表面はさっくり焼けて香ばしく、内部は水分をしっかりと閉じ込めてふわふわな食感を目指して開発された。

使用前に5ccの水を専用タンクに入れて、スチームを発生させる

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バルミューダ公式サイト 製品情報

三菱電機「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」

三菱電機「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」

本体はパッキンを備えた密封断熱構造で、上下ヒーターを採用。パンを1枚1枚密封して焼くことで、水分や香り、うまみをギュッと閉じ込める。狭い庫内に蒸気と香りが充満し、食パンの水分が内側と耳に行き渡るため、耳までふわふわな焼き上がりになる。運転メニューは「トースト/冷凍トースト/トッピングトースト/フレンチトースト」の4種類。

パンを1枚ずつ密封して焼く

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三菱電機公式サイト 製品情報

日本エー・アイ・シー「アラジン グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」

日本エー・アイ・シー「アラジン グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」

「遠赤グラファイト」を搭載し、短時間に高温で焼き上げる点が特徴のトースター。温度センサーを搭載しているうえ、マイコン制御により自動調理に対応。トーストを焼く際の、温度や時間設定も不要だ。トーストは5段階の焼き色を選択すると、焼き時間と温度が自動で設定される。調理中はセンサーがパンの状態を判断して自動制御を行ない、焼きすぎや焦げを防ぐという。

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アラジン公式サイト 製品情報

シャープ「ヘルシオグリエ AX-GR2」

シャープ「ヘルシオグリエ AX-GR2」

過熱水蒸気でパンを焼くウォーターオーブン専用機。容量約40mlの水タンクから、たっぷりの過熱水蒸気を発生させ、水分をたっぷり含んだ高温状態の過熱水蒸気でパンを包み込み、パンの内部に水分を保ちながら焼いていく。本機は「トースト」、「弱(生食パン)」、「中(クロワッサン、そうざいパン)」、「強(トレイ調理)」の4つの加熱モードを搭載。

使用前に約40mlのタンクに水を入れ、過熱水蒸気を発生させて、パンなどの食材を焼く

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シャープ公式サイト 製品情報

シロカ「すばやきトースター ST-2D351」

シロカ「すばやきトースター ST-2D351」

食パン1枚を90秒で焼けるというトースター。コンベクションファン/疎密ヒーター/ヒーターリフレクター/2重ガラスの4つを組み合わせた独自技術「炎風テクノロジー」により、高火力で素早くパンの表面を焼き上げる。高火力で素早く焼き上げることで、一般的なトースターと比較してパン中心部の水分含量率が2倍になったとする。

外気の影響を受けやすいヒーターの両端に向かって、コイルを多く巻いた「疎密ヒーター」により、火力を高めている

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シロカ公式サイト 製品情報

全6モデルでトーストして実食!

今回は、編集部員6名のほか、現在トースターの購入を考えているという営業部員1名が、食べ比べに参加した。

第1ラウンドでは、それぞれ食パンを1枚ずつトーストし、マーガリンやバターなどをつけずに、そのまま味わった。第2ラウンドでは、とろけるスライスチーズ1枚を載せてトースト。第3ラウンドでは、あらかじめ冷凍しておいた食パンを、解凍せずにトースターへ投入。どれだけ上手に解凍し、トーストができあがるのかを試した。

設定は各モデルで異なるが、取扱説明書に書かれた標準的な焼き方に沿って設定した。ただし、チーズトーストについては専用のメニューがあるものと無いもの(チーズ以外も合わせたメニューなど)があったため、あくまで参考としていただきたい。

パナソニックの「ビストロ NT-D700」では、自動メニューの「薄切りトースト/焼き色ふつう」を選択
三菱電機の「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」では「トースト/ふつう/6枚切」と設定

なおトーストは、焼き上がったものを順次試食。だいたい焼き上がりから5分以内に、試食していった。

参加者は「食感(さくさく←→ふわふわ)」や「食感(ぱさぱさ←→もっちり)」、「香ばしさ(弱い←→強い)」、「風味(あっさり←→強め)」、「耳のおいしさ」を10段階で評価した他、それぞれの感想を記していった。

以下、それら参加者が食した際の感想をまとめていく。

焼き上がったトースト

パナソニック「ビストロ NT-D700」

自動メニューの「薄切りトースト」を選択し、焼き色を5段階中の「3」に設定して「スタート」ボタンを押す。調理時間は「3:00(3分)」と表示された。食パンを焼き始めると、カチッ……カチッ……と音を立てながら、3つのヒーターがオンオフを細かく繰り返していた。

全体までムラなくきれいに焼き上がった

トースト後には、しっかりと焼き色が付いていた。参加者の印象も、さくさく食感でありつつ、中のもっちり感も標準的というものが多く、「さくさくともっちりのバランスが良い」という感想もあった。同機の場合は、スチーム機能があるわけでもないが、「もちもちしている」と感じた参加者もいる。また、全体をムラなく焼けていて、パンの風味が「いちばん感じられた」とする意見もあった。内容が一部重複するが、参加者の雑談の中でもっとも頻繁に聞かれたのが「パナソニックは、もっとも標準的で、バランスよく焼き上がっている」というものだった。

バルミューダ「BALMUDA The Toaster」

「トーストモード」を選択し、トースト時間を「3分」に指定。焼き上がり予定の数十秒前までは、窓から様子を見た限りでは焼き色がほとんどついていなかった。それでも、最後の数十秒から追い上げるように出力を上げて、終了時にはこんがりとしたきれいな焼き色になっていた。

最終盤で一気に焼き色を付けていった

参加者の評価では、いずれの評価項目も標準的だとする意見が多かった。なかには「香ばしくてもっちりとしている」と高評価する参加者もいて、特に「焼き上がって扉を開けた時の香りがおいしそうだった」という。ただし、スチームを発生するトースターで初めて試食した参加者の1人は、「スチームを発生させるということで、もっと圧倒的に“もっちり”とした食パンになると思っていたが、想像するほどではなかった」という感想もあった。全体的には、食パンをもっちりと焼けるうえに、操作がしやすいと高く評価する参加者が多かった。

三菱電機「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」

食パンを1枚セットして、本体前面の操作パネルで「トースト/ふつう/6枚切」を選択し、スタート。食パンを1枚ずつ焼いていくことに、不思議さというか違和感を抱くが、食パンが好きな人からすれば、丁寧にトーストしていく茶道のような雰囲気を、ポジティブに感じられるかもしれない。最後の数十秒くらいは、本体後部の蒸気孔から、ほんのりと蒸気が立ち上り「そろそろなんだな」と思わせてくれる。

後半に差し掛かると、本体後部から湯気が立ち上り、おいしそうだった

実際の焼き上がりについては、「ふわふわ」と「もっちり」していると感じた人が圧倒的に多かった。女性参加者の1人は「もちもちに感動した」という人も。ただし設定のためなのか、何度か「ふつう」で焼いても、今回のモデルの中ではもっとも焼き色が薄かった。

興味深かったのは、40代男性の3人が「もっとカリカリっとさせて欲しい」と口を揃えて言っていたのに対し、「このくらいの焼き色がちょうど良い」と、20~30代女性の3人が話していたこと。なかには「パンの耳が嫌いだったけど、これで焼いたトーストは美味しかった」と絶賛する声も。1枚ずつしか焼けないという汎用性の低さはあるが、耳までふわっとした食感が好みの人は、同機で焼いたトーストに、やみつきになるのかもしれない。

日本エー・アイ・シー「アラジン グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」

左側のつまみを回して「トースト1枚」に設定し、焼き色は5段階中の「3」を選んでスタートした。4枚まで焼けるからなのか、1枚を焼くときは、パンの置き方にも注意が必要。今回の(山型ではない)食パンを焼く際には、網の真ん中に置く。庫内上部に1本配置されたグラファイトヒーターは、スタートボタンを押すと“同時”と思うくらいに、オレンジ色に点灯して素早く起動し、終了すると焼き色がシッカリと付いていた。

上部のグラファイトヒーターと、下部に3本ある石英管ヒーターでしっかりと焼き上げていく

できあがると、食パンの耳の一部が焦げるほどのしっかりした焼き上がり。食感は「さくさく」が強めで、「香ばしい」と感じる参加者が多かった。また前述の通り、カリカリに焼けているのが好きな40代男性3人からは、耳までしっかりと焼き上げる本機は高めの評価。一方で普通のトースターでも、同様の焼き上がりになるのでは? と指摘する声もあった。参考までに、同機を使ってレビュー中にウィンナーを焼いた。歯を入れると「パリッ」と音がして、香ばしい風味が肉汁とともに口の中に広がった。本機の場合は、オーブン調理器として、様々な料理を作るのに使うことで、本来の力を発揮するだろうと、参加者の多くが口にした。

シャープ「ヘルシオグリエ AX-GR2」

「トースト」モードを選び、タンクに水を入れてから「3分」に設定して、スタートボタンを押すだけで焼き上げてくれた。過熱水蒸気でパンを焼くということで、時間がかかるのかと思いきや、特に焼き上がり時間が他モデルよりも長いとは感じなかった。過熱水蒸気での調理を初めて見る人は「こんなに蒸気が出て、パンが本当に“焼ける”のか?」と、疑問に感じるかもしれない。結果……3分後には、ちゃんとトーストが焼き上がった。

【訂正】モードの説明について初出時「トーストモードがない」としていましたが、正しくはトーストモードが。お詫びして訂正いたします(15時10分)

過熱水蒸気で焼くため、庫内の窓は水滴が溜まっている

過熱水蒸気で焼くといっても、しっかり香ばしい仕上がり。参加者の感想を見ても、香ばしさや風味を強く感じた人が多い。他モデルでは、香ばしいと感じる場合には、もっちり度が下がることが多かった。だが本機の場合は、「香ばしい」も「もっちり」も、比較的高めに評価されていた。特に「もっちりしている」と、ほとんどの参加者が「しっとりとしつつ、もっちりとしていて良かった」と感じたようで、「もちもちとカリカリのどちらも楽しめて、一番おいしかった」と、絶賛する声もあった。過熱水蒸気で焼いている効果か、全体をムラなく焼けていることも、好印象だったようだ。

シロカ「すばやきトースター ST-2D351」

メニューを「1(トースト)」にして、焼き色を「ふつう」に設定してスタート。操作ダイヤルが1つというシンプルさで、焼き色を「ふつう」にする方法に迷った参加者も少なくない(ダイヤルを押しながら左右に回す)。「すばやきトースター」という名前から分かる通り、90秒で焼き上がる。それでいて、十分にカリッと仕上がっているので、忙しい朝食時などは大いに助かりそうだ。また今回の6モデルの中では、最もリーズナブルな価格で購入できるところもポイントが高い。

90秒という短時間で焼き上げる

焼き色を「ふつう」に設定したところ、焼き上がり時には、耳の一部に焦げもあった。そうしたこともあり、「もっちり」や「しっとり」というよりは、「香ばしさ」をより感じる人が多かった。総じて参加者の印象としては平均的な評価だったが、40代のカリッカリに焼くのが好みの男性参加者は「トーストって、こういうので良いんじゃないか?」とつぶやいていた。またもう1人は、「もっちりとカリカリのバランスが良い感じで、味が飽きなそうだった」とコメント。味に関しては、試した中ではもっともオーソドックスなトースターといっても良さそうだ。

トースト試食のまとめ

今回の6機種で、使用前に水を注入するモデルは、バルミューダの「BALMUDA The Toaster」とシャープの「ヘルシオグリエ AX-GR2」の2モデル。この2モデルに関しては、多くの参加者が「食パンがもっちりと仕上がっている」とコメントしている。「水を物理的に加えると、もちもちになりますね。もっちり好きは、水をプラスするバルミューダやシャープが良いかも」と話す参加者もいた。

また、両機の中で特に高評価されたのが、シャープの「ヘルシオグリエ AX-GR2」。「食べ始めてからしばらく経っても、もっちり感が持続していた。手でパンをちぎった時に、ふわぁっとした感じが残っていて、口触りも柔らかい感じがした」という声もあった。ただし同機の場合は、「トーストするために、毎回、水を入れなくちゃいけないのが面倒じゃないか?」という意見もあった。実際に、バルミューダの「BALMUDA The Toaster」で、毎回5ccの水を入れるのが習慣になっている参加者もいるので、これは使う人の性格などによるのだろう。

一方「スチーム系ではないのに、もっちりとしておいしい」と、評価する参加者が多かったのが、パナソニックの「ビストロ NT-D700」と三菱電機の「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」の2モデル。特に後者については、全員が揃って「もっちりしている」と回答しているので、味の違いは確かといえる。ただし、トースト専用機(オーブン調理はできない)ということで、実際に購入を検討する際には、その汎用性を考慮する必要がある。

チーズトーストと冷凍パンでも焼き比べ

番外編として、全6モデルで、チーズトーストと冷凍パンも焼き比べてみた。

すでに全6モデルで、6枚切3枚分を食べた直後だったので、お腹は厳しめだ。それでも、チーズトーストにしただけで、どれも美味しかった。

「番外編」としたのは、トースターの製品によっては説明書でスライスチーズを使ったチーズトーストのメニューがあるものと、それ以外のトッピングも含めたアレンジメニューとして用意されているものがあり、同じ基準では比べにくかったため。厳密な比較というよりは、あくまで参考としていただければ幸いだ。

筆者が特に印象に残ったのは、バルミューダの「BALMUDA The Toaster」。チーズの表面がカリッとしているのは、他モデルと同様だが、他よりもパンだけでなくチーズも「しっとり」しているように感じた。チーズがまろやかというか、単なるスライスチーズとは異なる食感で、美味しかった。

バルミューダ「BALMUDA The Toaster」ほどではないが、パナソニックの「ビストロ NT-D700」も、チーズのカリカリ感としっとり感のバランスが良いと感じた。

バルミューダで焼き上がったチーズトースト
パナソニックも、チーズがカリカリとしつつ、しっとり感も多くて美味しい

アラジンの「グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」と、シロカの「すばやきトースター ST-2D351」に関しては、トーストのときと同様に、耳までシッカリとこんがり焼けている。昭和時代から続く喫茶店でオーダーしたら、こういう香ばしいチーズトーストが運ばれてくるだろう……そんな懐かしさを感じる仕上がりだった。なお、今回はすべてスライスチーズを使ったが、シロカの「チーズトースト」モードはスライスチーズではなく、モッツァレラチーズやピザ用チーズを使うメニューなため、そうやって作るとまた違う仕上がりになるだろう。

アラジンは、耳までこんがり
シロカもカリッカリに焼き上げる

一方で三菱電機の「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」については、チーズトーストの焼き色も薄め。見た目も、上品に焼き上がった印象だ。またパンのしっとり感は、トーストのときと同様だった。カリッカリに焼き上げたい人には「ちょっとおとなしい感じ……」と今ひとつな評価だった一方で、チーズもパンもふんわりとした食感で味わいたいという人は「パンにもしっとり感が残っていておいしい」と、とても好評だった。

女性に人気だった三菱電機の「ブレッドオーブン」
チーズもとろ〜り

三菱電機の「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」は冷凍パンでも美味しい

冷凍パンに関しては、一般的にぱさぱさしてしまいがち。今回の高級トースターでは、どう焼き上げてくれるのか?

残念ながらというか、当たり前というか……「冷凍でもむちゃくちゃ美味しい!」というトースターは少なかった。参加者の中では「やっぱり冷凍パンだと、ぱさぱさしてしまう」という感想が多い。とはいえ、美味しくないわけではない。そこそこまでは、もっちり度を復活させてはくれるのだ。

特に三菱電機「三菱ブレッドオーブン TO-ST1」に関しては、パンを狭いスペースに閉じ込めて温めるからか、「冷凍パンでも、もっちりとしていて美味しい」とコメントする参加者が複数いた。

そのほかシャープの「ヘルシオグリエ AX-GR2」に関しても、「もちもちとカリカリのどちらも楽しめていい」という意見が。

【番外編】ウィンナーを焼いてみた!

あたりまえだが、試食中はトーストばかり食べていた編集メンバー。正直、トーストだけだと飽きちゃいます……ということで、ほとんど試食を終わらせたタイミングで、ウィンナーを焼いてみた。

ウィンナーを焼くのに使ったのは、どちらも立ち上がりの早く、トーストをカリカリ系に焼き上げてくれていた、アラジンの「グラファイト グリル&トースター」とパナソニックの「ビストロ NT-D700」。特にアラジンの「グラファイト グリル&トースター」は、高温で焼けるので、ウィンナーに歯を入れるとパリッと音を立てながら、弾けるような食感だった。

こうした料理のためのメニューが豊富なトースターも多く、充実したレシピブックが用意されているものもある。パンを焼く以外にも様々な活用ができて、比較的手ごろな価格なのも、トースターの魅力の一つといえる。

「じゅるじゅるじゅる〜」と音を立てながらウィンナーが焼ける様子を見ていると、食欲が一層そそられる

以上、実売価格が1万円以上の6モデルで、トーストの焼き比べをした。

どれか突出した1台に評価が集まることもなかったが、傾向としては、しっとり系はシャープの「ヘルシオグリエ」や三菱電機「ブレッドオーブン」で、どれも上手にバランスよく焼いてくれるのがパナソニックの「ビストロ NT-D700」やバルミューダの「BALMUDA The Toaster」。とにかくしっかり焼くよ! というのがアラジン「グラファイト グリル&トースター」とシロカの「すばやきトースター」、といった感じだ。「美味しくパンを焼く」という同じ目的ながら、焼き上がりにそれぞれ個性があることがよくわかった。

なお、今回は標準的な焼き方を設定したが、焼く時間を変えたり、メニューで強め/弱めに設定することなどで、ある程度は自由に仕上がりは調整できるため「1つのトースターでは決まった焼き方しかできないわけではない」ことも触れておきたい。設定などによって、自分の好きな焼き上がりを見つけることも、買った後の楽しみの一つといえる。

前述した通り、今回の試食メンバーは、40代男性3人と20~30代女性3人という構成だった。その世代間なのか男女の違いなのか、もしくはたまたまだったのか、前者はしっとり感も重要だけどカリカリ焼かれたトーストが好きで、後者はカリカリよりもしっとり優先と、きれいに好みが分かれた。

そうした、使う人で異なる好みによって、トースターを選ぶと良いだろう。

河原塚 英信