家電レビュー
時短で美味しいアラジンのトースターは、おかず作りにも大活躍! そしてご飯も炊けるように
2022年2月8日 08:05
数多く存在している高級オーブントースター。その中でも初期に登場したブランドの一つで、火力の高さや使い勝手の良さから多くのファンを抱えているのが、アラジンの「グラファイト トースター」シリーズだ。
外観のレトロなデザインが印象的なだけでなく、最大の特徴は0.2秒で発熱するため短時間でトーストが焼ける独自技術グラファイトヒーター。これまで、コンパクトな2枚焼きモデルとグリル調理に対応した4枚焼きモデルをラインナップしていたが、2021年春にフラッグシップとなる「グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A(以下GP14A)」が発売された。
メイン機能であるトーストだけでなく、さまざまな料理を作るのに数カ月間に渡って使ってみたので、その実力を紹介しよう。
グリル・オーブン調理に加えて炊飯もできるように
GP14Aは一度にトーストを4枚焼けるトースターだ。カラーはアラジンブランドらしい、グリーンとホワイトの2種類を用意。ブランドを象徴する石油ストーブのブルーフレームヒーターを踏襲する、レトロなデザインを採用している。直販価格は39,000円。
一般的なオーブントースターの中では大型の部類に入り、本体サイズは391×391×276mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約7.1kg。2枚焼きの小型トースターと比べると、奥行きなどは非常に大きいので置き場所には注意したい。
庫内の上部中央に搭載されているのが、製品名にもなっているグラファイトヒーターだ。これはスタートするとすぐに発熱する。下段には石英管ヒーターを3本配置。食パンの裏側を焼くとともに、庫内の温度を安定的に保つ役割を担っている。
GP14Aは、トーストが焼けるのに加えて、多彩な調理ができるのも特徴。付属のグリルパンを使うことで、オーブン調理や蒸し調理、煮込み料理などができる。同じ4枚焼きの従来モデル「AGT-G13A」と比べると、グリルパンの容量は2倍となっており、より多くの食材が調理できる。
さらに面白いのが、新たに炊飯釜が付属することだ。専用のメニューを搭載しており、1合~2合のご飯が炊ける。
短時間でカリッとしたトーストに
では実際に調理をしていこう。まずは基本となるトーストだ。ダイヤルにはトースト1枚、トースト2枚~、冷凍トースト1枚、冷凍トースト2枚~のメニューがあり、焼きたい枚数やパンの状態に合わせて選ぶ仕組み。
GP14Aでは焼き網の位置を2段階に調節できるようになっており、トーストでは上段にセットする。
焼き網の中央に食パンをセットしたら、ドアを閉めてダイヤルをトーストの状態に合わせる。電源ボタンを押して、焼き色を「薄い」から「濃い」まで5段階から設定し、スタートを押す。焼き色「標準」では、1枚の場合、約2分20秒、2枚以上の場合、3分20秒で焼ける。
食パンは表面にしっかり焼き色がつき、美味しそうにトーストできた。上部のグラファイトヒーターは庫内中央に設置されているため、食パンを置く位置によって焼き色の付き方が変わったのは、やや仕方がないところだが、短時間で美味しそうな色に焼けた。
この他、冷凍パンモードも用意。中まで温めたあと、表面にこんがり焼き色をつけることができる。厚切りの冷凍食パンの中までしっかり温めることができた。
ただし、使い方に注意がある。グラファイトヒーターが非常に高火力ということもあり、事前にバターやマーガリン、ジャムを塗ったパンをトーストモードで焼くのは、焦げにつながるためNGだ。そういったパンは、バターロールやクロワッサンと同様に、「温め・オーブンメニュー」で温度を設定して焼く必要があった。ある程度は、マニュアルに設定が記載されているので、それを元に、ベストに焼ける設定を探していくことになりそうだ。
グリルパンを使った調理機能が最大の魅力
GP14Aを使っていて最も惹かれるのがグリル・オーブン機能だ。メニューは「低温」、「蒸す」、「煮る」、「グリル」、「温め」の5つ。このうち、温め以外は基本的にすべてグリルパンを使った調理となる。グリルパンを使ったおかず調理を行なう場合、まずは、焼き網の位置を変更する。トーストの位置ではグリルパンは入らないので注意したい。
今回はレシピに沿って油淋鶏(ユーリンチー)を作ってみた。
鶏肉に下味をつけたあと片栗粉を振って、グリルパン(深)に、すのこをセット。そこに鶏肉を並べる。グリルパン(浅)でフタをして、GP14Aに入れる。ダイヤルをグリルに合わせ、電源ボタンをオン。温度を300℃、タイマーを20分に設定してスタートする。準備はこれだけで、20分後にノンフライ唐揚げができる。あとはカットして、お皿に盛り付け、別に作った油淋鶏のタレをかけるだけでいい。
ノンフライでできた唐揚げは表面がカリッと仕上がっており、それでいて中までしっかり火が通っていた。ノンフライ唐揚げとしての出来の良さも、これまでいろいろな調理家電を使ってきた中でトップクラスだった。
続いて「煮る」メニューを使ってビーフシチューを作る。これも非常に簡単だ。牛肉やじゃがいも、マッシュルームなどの食材をグリルパン(深)に入れてデミグラスソース缶やワインなどを加えて煮るだけで良い。グリルパン(浅)でフタをして、「煮る」モードで50分。美味しいビーフシチューができた。オーブントースターでビーフシチューが作れるのは、さすがにアラジンのトースターだけの面白さだ。
この他、鶏ハムやローストビーフなど様々なメニューをグリルパンで作った。GP14Aでは最大320℃まで設定でき、4人分の調理が一度にできるので、家族の人数が多くても安心。例えばガスコンロでメインの料理を作り、その間にGP14Aで副菜を作るといった使い方もできる。オーブントースターは朝が主な出番で、夕食を作るときにあまり使わないことが多い。このため、夕食の準備にトースターが活用できるのは非常に便利なのだ。
ただし、このグリルパンを使った調理機能に関して気になったことがひとつある。料理が出来上がった後の細かな点で使い勝手が悪かったことだ。最大320℃で加熱するグリルパンは非常に熱くなる。このグリルパンが持ちづらい。
実際に計測してみたところ、グリルパンの外側や庫内の温度が170℃を超えていた。この状態でグリルパンを取りだすのだが、トースト時とは異なり、ドアを開いても焼き網は前面に出てこないため、グリルパンをそーっと引き出すしかない。しかも、グリルパンのフチがあまり持ちやすくできていないのだ。
何度か調理をした結果、焼き網を5cmぐらい引き出してから、グリルパンの手前左右角を耐熱ミトンなどでしっかり持って取り出すと安定して取り出せた。カレーやシチューなど水分の多いメニューの時は非常に重くなるため、すぐ近くに鍋敷きなどを用意し、一度、そこに置いてから対角を持つか、取り分けると良い。
GP14Aのグリルパンを使った調理が非常に優秀だからこそ、細かい使い勝手に関しても改善されると嬉しい。
ごはんも炊いてみる
GP14Aの特徴の一つが、炊飯機能を搭載したことだ。ダイヤルには1合と2合のメニューが用意されており、炊飯鍋にお米をセットするだけでご飯が炊ける。炊飯時間は1合の場合28分、2合の場合は30分。別途、お米を研いで炊飯鍋にセットし、30分ほど浸水した上でスタートする。
炊き上がったご飯はよくいえばシャッキリとした食感。やや硬めで甘みはあまり強くなかった。いくつかの銘柄米を炊いてみたが、個人的に一番美味しく炊けたと感じたのは、ゆめぴりかの1合だった。しゃっきり炊けるため、もっちり感が元々高い低アミロース米が向く印象だった。
効率的な4枚焼きと、調理機能を活用したい家庭におすすめ
GP14Aは多くの高級オーブントースターの中でも特に多機能なモデルだ。本体価格は3万円台と、ライバルとなるパナソニックのオーブントースター「ビストロ NT-D700」や「BALMUDA The Toaster」よりもさらに1万円近く高い。
しかし、それでもその価値はある。4枚のトーストを同時に3分20秒で焼けるスピードは、他にはない。育ち盛りの子供がいる朝食を考えると、この点だけでも価値がある。さらに多機能のおかず調理機能も利用できる。
前述のように使い勝手の面での課題はあったものの、機能としてはより高価なオーブンレンジのオーブン機能と比べても遜色はない。食材や調味料をグリルパンにセットするだけで、ほったらかし調理ができるのもポイントだ。
デザイン性の高さ、トーストの早さ、そして多彩な調理機能を備えた「グラファイト グリル&トースター CAT-GP14A」。パンを焼くだけでなく色々な料理に活用したくなる多機能な一台だ。