家電ラボの徹底「本音」レビュー
象印のトースターで高級食パンがサクふわに! 休日のブランチを彩る1台
2022年12月23日 08:05
ここ数年、高級トースターのトレンドといえば、スチームを使用し、中がふわっとしたトーストを焼ける製品が人気です。象印マホービン(以下、象印)のオーブントースター「EQ-FA22」(実売価格:18,000円前後)は、スチームを使わず、綿密な温度調整をすることで「サクふわトースト」を実現したとのこと。本当に「サクふわ」になるのか、試してみました。
時間をかけてゆっくりあたため、一気に加熱する
EQ-FA22は、デザインで定評のある「STAN.」シリーズです。黒の本体に木のような脚の組み合わせで、尖りすぎず、あたたかみがあります。炊飯器やホットプレートなど、ほかのSTAN.シリーズとも統一感があり、どこに置いても目立ちすぎず、馴染むデザインが人気です。
EQ-FA22はマイコン制御でパンを焼きます。焼き時間や温度を自動でコントロールするので、コースを選べば最適な焼き加減で焼くことができます。マイコン自動コースは「トースト」「サクふわトースト」「冷凍サクふわトースト」「冷凍トースト」「ロールパン」「クロワッサン」「冷凍クロワッサン生地焼き上げ」「手づくりパン」「フライあたため」の9種類。
特徴的なコースが「サクふわトースト」です。マイコン制御で、はじめにパン表面の焼き色が濃くなりにくい温度帯をキープし、表面の水分をゆっくり飛ばします。サクッとする層を生成した後、高温に切り替えて、パン内側の水分をトーストの中に閉じ込め、最後に急速で表面に焼き色をつけます。
操作は、つまみを回してコースを選び、枚数と焼き色を選択します。1枚、焼き色「中」で6枚切りの食パン(超熟)を焼いてみました。表示部のコース名の表記は「1」などの数字だけで、少々不便……。それぞれの数字がどのコースなのか、確認する必要があるからです。本体上にガイドがあったので、そちらを見ながら設定しましたが、表示部にコース名も表記してほしいところです。
驚いたのは、焼き時間です。じっくりと焼き上げる「サクふわトースト」、焼き色は「中」に設定したところ、1枚焼くだけで4分半もかかりました。最初は火力が抑えめで、最後の30秒ほどでパッと明るくなり、一気にキツネ色に焼き上がります。
焼き上がったパンは、表も裏もこんがりと焼けています。裏面は少し焼き色が薄いのですが、他のトースターと比較するとムラが少ない印象です。
さっそく食べてみたところ、表面がパリッとしており、香ばしさを楽しむことができました。耳までサックリした食感が好きな方におすすめです。
最初に焼いたのは「中」でしたが、焼き色を「淡い」「濃い」でも焼いてみました。焼き色を3種類から選べるので、好みや気分に合わせて自動でちょうどよく焼き上げてくれます。マイコン制御なので、設定さえしておけば、あとは自動です。
スチーム系のトースターと比較。時間が経ってもサクッと食感
スチーム系のトースターでは代名詞とも言える「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」と比較してみました。
6枚切り(超熟)を、EQ-FA22は「サクふわトースト」の「中」、BALMUDA The Toasterは給水口ぶ水を入れた後にトーストコースで2分半焼きました。
比較をしてみると、BALMUDA The Toasterで焼いたパンは、キツネ色に焼けていますが、全体的にふんわりとした仕上がりです。スチーム効果で食べやすく、やわらかい食感で耳までふわふわでした。
一方、EQ-FA22はピンと表面が張っているようなしっかりとした仕上がり。小麦の香りや香ばしさ、ざっくりとした食感を味わえます。好みにもよりますが、スチーム系で慣れているとEQ-FA22は少々かたいと感じるかもしれません。指で押してみると、EQ-FA22はザクッと表面が割れ、BALMUDA The Toasterはそのまま指が沈みます。
冷めてくるとBALMUDA The Toasterで焼いたパンは少々しけたような食感になってくるのですが、EQ-FA22の方がパン表面にハリが残り、トーストらしいサクッとした食感を楽しむことができました。
焼き時間は、EQ-FA22は4分半、BALMUDA The Toasterは2分半と時間も開きがありました。朝の忙しい時間にやはり4分半は長いと感じます。サクふわトーストコースではなく、通常のトーストコース(ずっと強火)では2分ほどで焼くことができるので、時間がないときは使い分けをすることも可能です。
相性がよく、抜群に美味しい「生食パン」のサクふわトースト
「乃が美」の生食パンをサクふわトーストコースで焼いてみました。これが感動する美味しさ……! リッチな生食パンと、サクふわトーストコースの相性は抜群です。
リッチな食パンに「サクッと層」を作ることで、表面は適度なサクッとした食感と香ばしさが引き立ちます。練乳、バター、はちみつなどの材料が入っているので中はしっとりとしたまま。香りの良さが引き立ち、無限に食べられそうな勢いでした……。
切って冷凍しておいた生食パンも「冷凍サクふわトースト」で焼いてみました。6枚切りよりも少し厚くなってしまいましたが、表面はちょうどよい焼き具合で、中もアツアツに。冷凍から焼いても、香ばしさは変わらず、食感と香りを楽しむことができます。
個人的には一般的な食パンよりも、高級食パンのトーストが好みでした。少し時間がある休日のブランチであれば多少時間がかかってものんびりとゆとりを持って待てるので、切って冷凍しておき、「冷凍サクふわトースト」で食べるようにしています。
レシピも充実、「クロックムッシュ」に挑戦
取扱説明書のほかにおしゃれなレシピ集もついています。その中からフランスの定番カフェメニューという「クロックムッシュ」を作ってみました。
電子レンジでホワイトソースを作り、8枚切りパンの上にハムと一緒にのせて、さらにパンをかぶせます。表面にホワイトソースを塗ってチーズをのせてから手動で200℃、10分加熱しました。
火力が強いため、チーズの表面に美味しそうな焦げ目がついていました。ホワイトソースを使っているため濃厚です。ホワイトソースは電子レンジで短時間で作れます。
これも休日のブランチなどで楽しみたいメニューです。ほかにも、映えるレシピがたくさん掲載されており、色々試したくなりました。
ロールパンの表目は焦げず、中までアツアツ
あたためが難しいロールパンを、「ロールパン」コースで焼いてみました。自分で焼くと火加減を失敗して表面が焦げてしまったり、中があたたまっていなかったり……ということが多いので、いつも面倒に感じていました。
しかし、ロールパン専用のコースがあるのでおまかせできます。時間は5.5分。少しシワシワしていたロールパンの表面は焦げることがなくそのままで、ハリがあります。中を割ってみたところ、湯気がふわっと立ち上りました。中心の温度は55℃。まるで焼きたてのような焼き上がりでした。
焼きいもや揚げ物あたためなど、「パン以外」も優秀
惣菜のとんかつも「フライあたため」であたため直しができます。電子レンジなどで加熱すると衣がべちゃべちゃ、トースターであたためると表面だけが焦げて中があたたまらない、といったことがよくあります。
しかし、EQ-FA22の「フライあたため」コースで加熱すると表面はサクサクで中もしっかりあたたまっていました。時間は16分と長めですが、サクッと揚げたてのような仕上がりです。
焼きいもは手動で200℃、25分設定で焼いてみました。中がホクホク、表面は焦げ目があり、本物の焼きいものようです。25分で焼けるのは手軽でいいですね。おやつにもぴったりです。
心にゆとりを持って使いたい、暮らしを彩るトースター
一般的なオーブントースターは扉を外してお手入れすることはできないものが多いのですが、EQ-FA22はカンタンに扉を外せます。隅々までキレイにできるので、いつもピカピカの状態を維持できます。デザインもモノトーンで美しいのですが、お手入れもしやすく、長く使っても薄汚れた感じにならないのが嬉しいですね。
実際に使ってみて、EQ-FA22は時間にゆとりがあり、毎日の暮らしを大事にしている方におすすめのトースターだと実感しました。個人的にはしっとりしたパンが好きなのでトーストは少々かたい感じもしましたが、リッチな食パンが本当に絶品で欲しくなりました。
休日などのブランチでちょっと贅沢をして高級パンを買い、EQ-FA22で少し時間をかけながら焼いて、美味しいコーヒーと一緒に楽しみたいです。カンタンにできるおしゃれレシピも豊富なので色々作りたくなりました。個性的なオーブントースターなので、ぜひチェックしてみてください。