家電製品ミニレビュー

至福のトーストが家庭で味わえる! 「BALMUDA The Toaster」

バルミューダ「The Toaster (ザ・トースター) K01A-KG」

 焼きあがったトーストを食べて、「ギャー! うんめェェェッ! 何コレェェェッ!」と思わず叫んでしまった。

 表面はサックリ香ばしく、中は熱々、しっとり&フワフワ&モッチリの“理想的なトースト“を焼き上げたのは、その名もバルミューダの「The Toaster (ザ・トースター)」。今回は、DCモーターで日本の扇風機の潮流を大きく変えた、バルミューダが初めて手がける調理家電、スチームオーブントースターを紹介しよう。

メーカー名バルミューダ
製品名BALMUDA The Toaster
購入場所Amazon.co.jp
購入価格24,732円

 ザ・トースターの最大の特徴は、水を入れて発生させる「スチーム」と「温度制御」の2つの独自のテクノロジーが搭載されていることだ。一見すると普通のオーブントースターにしか見えないが、仕上がりは全く違う。

 トーストはもちろん、厚みのあるフランスパンやクロワッサンも、焼きたてのように美味しく仕上げてくれるのだ。

水を5cc入れて実現するスチームテクノロジー。高温の蒸気でパン表面だけを軽く焼き、中の水分や香りをしっかりと閉じ込める(商品HPの動画より抜粋)
3つの温度帯を制御するトーストモードの温度変化グラフ(HPより抜粋)。最初スチームを使ってデンプンをα化してから中をじっくりと焼き、最後に高温で一気に焼き上げるという

一度に焼ける食パンは2枚。5ccの水を使って焼き上げる

 本体サイズは、357×321×209mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約4.3kg。一般的なオーブントースターなら食パン4枚が一度に焼ける大きさだ。だが、内部にスチームを発生させるボイラーがあるため、一度に焼ける量は食パンなら2枚。焼き網の大きさは、268×190mm(幅×奥行き)だ。ヒーターは庫内上下に2本と、スチームボイラーがドア側に配置されている。

 使い方は一般的なオーブントースターとさほど変わらない。調理するパンの種類に合わせてダイヤルを回し、次に時間をセットすると調理がスタートする。その前に、5ccの水を付属カップで計量して、本体上部の給水口に注ぐのが大きく違う。

本体のオーブントースターに、5ccの計量カップ、レシピが掲載されたガイドブックが付属する
大きさは、一般的な4枚焼きのオーブントースターと変わらない
ザ・トースターの焼き網。食パンや山型パンなら2枚載せられる
ヒーターは3つ。上ヒーター、下ヒーターにスチームを発生させるヒーターが組み込まれたボイラーがある
ボイラーカバーは簡単に外せる
給水の様子。扉を倒すと給水口が表れる。計量カップで水を注ぐと、ボイラートレイに水が流れこむ仕組み

 調理モードはドアの正面左側にある「モード選択ダイヤル」を回し、5種類の中から選ぶ。スチームを使うのは、「食パン/チーズトースト/フランスパン/クロワッサン」の4種類。残りの1種類はスチームを使わない「クラシックモード」で、一般的なオーブントースターと同じように機能し、火力を300/600/1,300Wで調整できる。

 調理時間は右側にある「タイマーダイヤル」を回して設定する。ダイヤルは5分までは30秒刻みだ。設定した時間分、LEDが点灯するのでわかりやすい。時間をセットして、数秒後に調理がスタートする。パンの種類に応じた調理時間は、本体の上面に記載されている。

 設定はダイヤルを回すだけと簡単。だが、スチームを使って焼ける4つのモードは、それぞれに温度制御パターンが変わるという。

操作部のダイヤルは2つ。左は調理モード。小さいがイラストがあるのでわかりやすい。右側が時間設定ダイヤル
スチームを使った4つのモードは、温度のパターンが変わる

 トーストを例にとると、第1段階はスチームを使って60℃前後の温度で柔らかさと風味を蘇らせ、スチームが切れると第2段階に入り、160℃前後でじっくり焼き始める。第3段階は220℃前後の高温で一気に仕上げる、といった具合だ。

 今回は食パンから調理パンまで、全部で9種を用意し、スチームを使う4つのモードでそれぞれを焼いて食べてみた。なお、スチームを使わないクラシックモードは、一般的なオーブントースターと変わらないので割愛した。

今まで食べたどのトーストよりも美味しい「トーストモード」

 最初に試したのは「トーストモード」。使用したパンは、青いパッケージのヤマザキの角型食パン、ロイヤルブレッドの6枚切りだ。食パンを2枚網に載せ、給水し、トーストモードにダイヤルをあわせ3分半焼いてみた。

 スタートして20秒程で水が沸騰するジュワジュワという音が聞こえ、蒸気が立ち上り始めた。すぐにガラス窓(覗き窓)が蒸気で曇り始める。2分もしないうちに蒸気は消え、その間ヒーターは細かくON/OFFを繰り返す。徐々にパンが焼ける良い香りが漂い始め、調理終了間際に一気に過熱が進み、パンが目に見えて焦げ目がつく。3分半ピッタリに焼きあがった。

 これが本当に美味い! 外側はパリっとサクサクで香ばしい。焼きあがった時、ちょっと焦げすぎかなと思ったが、中はアッツアツのモッチモチのしーっとり! 少しぐらい冷めても中はふんわりで、パサパサにならないのだ。一般的なオーブントースターでここまで焼いたら、これほどまでのしっとり感はまず得られないだろう。

スチームボイラー。調理をスタートして20秒ぐらいで水が沸騰し、スチームが庫内に充満する
トーストモードで調理している様子。スタートしてすぐに庫内にスチームが満たされる。スチームが消えた頃は焼き目はまだついていない。焼き上がりの直前に高温になり、どんどん焼き目がつく
焼き上がったトーストの表面(中)。パンを網の奥まで入れないと、ボイラーが邪魔をして下ヒーターの熱が届かな場合があった。それでも美味しく焼きあがった

 次に、付属のガイドブックに記載されている「バタートースト」を作ってみた。使ったパンは、ちょっとお高いホテル仕様の4枚切りの食パン。パンに切り込みを入れて常温で柔らかくしたバターを塗り、焼き目がつくまで焼く。仕上げにさらにバターを載せて、予熱でバターを少し溶かしてからいただいた。

 レビュー冒頭の叫びはこの時のものだ。30mm弱の厚さのパンは、フゥフゥ言いながら食べるほど中はアッツアツ。少し焦げたところはパリっとこの上なく香ばしく、バターの香りがたまらない。こんなにも美味しいバタートーストをウチで食べられるなんて……と、思わず幸せを噛みしめたほどの仕上がりだった。

あまりにも美味しくて、思わず叫んだバタートースト。バターを薄く塗って焼く(右上)。30mm弱の厚切りパンが、中までアッツアツ。焦げがいっそう香ばしい

 どちらも、普段から食べ慣れている筆者定番の食パンだ。なのに、香ばしさと食感が、今まで使っていたオーブントースターと明らかに違う。想像以上に美味しいのだ。パンそのものの味、香りがグンと増し、うかつにもガツガツと3枚、撮影しながら一気に食べてしまったほどだ。ちょっと焦げすぎなぐらいが美味しかった。

 トーストモードは、ベーグル、イングリッシュマフィンにも応用できる。慣れるまでは少し長めに時間を設定し、焼き色をみながら時間を調整するといいだろう。

のけぞる美味しさ。「チーズトーストモード」

 次は「チーズトーストモード」。先の6枚切りのパンでチーズトーストを、4枚切りのパンでピザトーストを作った。

 このモードは、上下のヒーターの点灯を調節し、パンの上に乗せた具材にしっかり火を通しつつ、下面の焼きすぎを防ぐ温度制御となるそうだ。調理時間は4分に設定した。

 チーズトーストは、脚色抜きで「のけぞるほど」美味しかった! チーズ表面は軽く焦げて、中はとろ~り。パンの外側はカリッ、中はアッツアツだ。焼けたパンと少し焦げたチーズのハーモニーが堪らない。今までこんな美味しいチーズトースト、ウチで食べたことありましたっけ? と自問自答するほどだった。

チーズトーストは、チーズを少し焦がしたほうが俄然美味しい。ヤミツキ必至だ
外食でいただくような絶品のチーズトースト。パンの上に乗せた生の具材(右上)も、火がしっかり通り、パンのトースト具合も完璧!

 ピザトーストも絶品だった。ピザ窯で焼き上げたかのような仕上がりで、来客に胸を張って出せるほど、とても美味しい1品となった。調理時間は6分。

 具材で使った生の玉ねぎ、ピーマンは、甘みが感じられるほどしっかり火が通っていた。チーズが軽く焦げ、4枚切りの分厚いパンも中までアツアツ。もちろん裏面は丁度いい焦げ色が付いて香ばしい。

焼きたての仕上がりになる「フランスパンモード」

 「フランスパンモード」の特徴は、160℃前後でパンの表面を焦がさずに焼き上げるモードだ。フランスパンはブロックでもスライスでもOK。焦げやすいバターロールもこのモードで調理できる。フランスパンは、パン屋さんのバタール。バターロールはフジパンの6個入りのものを使っている。

 フランスパンは、レストランの食事でいただくものと遜色ない仕上がりだった。4~5分焼いたが、高さ6cmのバケットの外側はパリッパリに仕上がり、中は温かくふんわり。小麦の香りが鼻をくすぐる。中までしっかり温かいのに、周りはほとんど焦げてない。

 バターロールも、ふっくらアツアツに仕上がった。焼き時間は3分。買ってきた時よりも表面に張りがでて、中はふんわりモッチリで甘さが引き立った。

フランスパンは、高さのあるブロックもスライスも焦げずに美味しく焼きあがった。周りはパリッ! 中はモッチリアツアツだ
オーブントースターでは焦げやすいバターロールも、完璧に温められた

 どちらもまるで、オーブンで「リベイク」したような仕上がりで感激してしまった。一般的なオーブントースターの温めではこうはいかない。高さのあるパンはあっという間に焦げてしまうからだ。

 それに対して、ザ・トースターの成功率は100%といっても過言ではない仕上がりだった。給水し、調理をスタートしたら、様子を見なくても確実に美味しくリベイクできるので、毎食ごとに気負わずに温かいバケットやロールパンが、手軽に楽しめる。

焼きあがったフランスパンの音に注目。焦げてないのにパリッパリだ!

焦がさずにサックリ仕上げる「クロワッサンモード」

 「クロワッサンモード」は、バターや砂糖を使ったパン、調理パン等の温め用だ。焦がさずに中までしっかり温め、最後に約200℃の高温でサクサクに焼きあげるというモード。

 このモードで調理するのに、パン屋さんで購入した「ミニクロワッサン」、パスコの「クロワッサン」の2種に、敷島パンの「銀座カリーパン」と、パスコの「フレンチアップルパイ」の調理パン2種を用意した。いずれも筆者が普段から食べ慣れているものだ。

 ミニクロワッサンは3分焼いた。バターの香りが立ち上り、表面は焦げずにサックリ、中はアツアツに仕上がった。このミニクロワッサン、実は半額セールで購入したもの。4個の袋入りで、表面が水分を吸ってすっかりシメシメになったものだ。だが、まるで焼きたてのような風味、美味しさが楽しめた。

 握りこぶしサイズの、大きなクロワッサンも焦げつかずにバッチリ温められた。温かいクロワッサンで作るサンドイッチは、冷えたもので作るよりも美味しさが倍増。パンが温かいだけで、食欲も一段と増す。

シメシメになったクロワッサン(右上)が、焼きたてのように仕上がった
高さのある大きなクロワッサンも全く焦げ付かなかった

 調理パンや菓子パンの温めにも威力を発揮する。

 個別包装のカレーパンは、袋から出した時は表面に油が浮き、シメシメになっている。ところが、クロワッサンモードで4分温めるだけで、表面は揚げたようにカリッ、サクッで、パンの中は甘みが感じられるほどモッチリ。もちろんカレーもしっかり温まっていた。カレーパンは、温めた方が絶対に美味しい。

 アップルパイは、サックリとしたパイ生地の食感が蘇り、中までアツアツになった。ただの菓子パンなのに、アイスクリームを添えてデザートの一品にしたくなるほど、美味しいものにグレードアップした。長めに5分間も調理したのに、ほとんど焦げなかったのは驚きだ。

表面に油が浮きシメシメのカレーパン(右上)。焼き上がりの表面はカリッとして油臭さも感じない
菓子パンのアップルパイが、温めてデザートに昇格

 以上の4種類のパンは共通して焦げやすいものなので、いままでは常温で食べていた。ところが、ザ・トースターで数分の温めただけなのに美味しさが倍増。温めると「こんなに美味しかったんだ!」と目からウロコだった。しかも失敗知らず。

 こんなに簡単に本来のパンの美味しさ、風味を引き出せるのは、他の調理器ではなかなかできない事だろう。

冷凍だった事を忘れさせる出来栄え

 ここまで焼いてきた菓子パン以外の全てのパンを冷凍して、同じようにそれぞれのモードで焼いてみた。冷凍したものは、それぞれ1~2分長く調理するだけだ。焼き上がりはこちらもお見事としか言いようがない。冷凍してなかった時と違いがわからないぐらい、どれもとても美味しく焼きあがった。

 特に気に入ったのは、甘く厚みのあるロールパンだ。冷凍ロールパンは、下手にオーブントースターを使うとあっという間に焦げてしまうので、今までは注意しながら電子レンジを使っていた。ザ・トースターで焼くと、焼く前に寄っていたシワが伸び、見た目もふっくら。周りはサックリで中はフワフワのアッツアツ。本当に美味しかった。

 ほかにも、冷蔵庫で保存していた、揚げ物の温め直しにも具合が良かった。烏賊とオクラの落とし揚げとサンマの竜田揚げをフランスパンモードで10分調理したところ、どちらも周りはサックリと軽く、落とし揚げは中までモッチリ、竜田揚げは身がパサパサにならず、とても美味しくいただけた。

冷凍していたロールパン(右上)はシワが寄りいかにも美味しくなさそうだった。それが、5分焼いただけでまるで出来立ての美味しさが復活
クロワッサンモードで温めなおした揚げ物。食材の味、食感がしっかり楽しめる仕上がりだった(下)

驚きと幸せを生むトースター

 4種類のスチームを使ったモードの運転中、ヒーターは3~7秒ぐらいの間隔で、頻繁にON/OFFが繰り返される。ワットチェッカーで計測すると1,000W前後~0Wと目まぐるしく数値が変わるほど。きめ細かくヒーターをコントロールして、確実に焼き分けているようだった。

 多少面倒なのは、ボイラー部のお手入れだろう。10回使ってボイラートレイを見ると、かなりの汚れがこびりついていた。定期的に網とボイラーカバーをはずし、ボイラートレイを布で水拭きするお手入れが必要だ。

トーストモードの消費電力の様子。頻繁にON/OFFが繰り返される
ボイラートレイはすぐに汚れるのでお手入れを怠らないこと。パーツは簡単に外して手入れできる

 それよりも、問題は価格だろう。安いオーブントースターなら3,000~4,000円ぐらいで買える事を考えると、ザ・トースターはその7倍を超える。さすがに躊躇する価格なのは否めない。

 だが、一度ザ・トースターで焼いたパンを食べたら、買って良かったと思うほど満足度は高い。普段から食べ慣れているパンが、「こんなに美味しかったっけ!?」と驚き、食べる楽しみが倍増、至福のひとときと変わるからだ。

 特に、パン好きの方には強力にオススメしたい、類い稀なるスチームオーブントースターだ。

藤原 大蔵

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