ぷーこの家電日記

第576回

梅シロップを漬けて美味しく熱中症対策

私の趣味は家庭菜園だ。毎週末、借りている猫の額ほどの小さな畑にせっせと通い、家庭菜園にいそしんでいる。夏場にやることなんて8割雑草抜き、1割収穫、1割お手入れって感じで、毎週毎週好き好んで雑草を抜きに行くようなものだ(笑)。

それでも平日の座り仕事から離れて、汗をかいて土を触って、心地よい疲労感が整えてくれる感じ。サウナが趣味の人が言う「整う」の感覚はよく分からないけれど、こういう感じなのかなぁなんて思ったりしながら、せっせと汗をかいている。

そしてもう一つ、これももう趣味と呼んで良いような気がするものが「漬ける」こと。梅を漬ける、ラッキョウを漬ける、ピクルスを漬ける、漬けることが非常に好きである。毎年梅雨前くらいに並ぶ梅やラッキョウや山椒などを見つけては、うずうずと漬けたい欲に駆られる。

でも、私はお酢は苦手だし、塩っぱい梅干しは苦手だし、甘いお酒は苦手という、趣味と味覚が全くもって伴わないのだ。味覚の嗜好を趣味に寄せたい。そう思って何度もトライしながら、なかなか上手くはいかない。なので八百屋の前を通るたびに、漬けたい衝動でうずうずしながら「今年はスキップする。今年は漬けない」と心の中で唱えながら素通りを決め込んでいた。

梅のピークを超えて、あんなに並んでいた店頭からも消え始めた頃、「衝動に負けず、なんとか乗り切ったぜ!」という油断がいけなかった。いつものように八百屋さんで買い物をしようしとして目に飛び込んできたのが激安の梅。なんと通常の梅の半額以下。

思わず八百屋さんに「な、なんでこんなに安いんですか!?」と興奮気味に聞いてしまった(歳をとってきて感じるのは、思ったことをすぐ口に出しがち)。「粒が小さいことと、梅の産地ではない近郊の梅であること、もうこれで最後だから全部持っていってほしい」とのことで、この激安っぷりだという。

「味はどう?」と聞くと、「小さいから、ちょっと(エキスの)出は悪いみたいだけど、普通に美味しくできるよ」と言われて、頭の中では天使と悪魔が激戦……にもならず、カゴの中にさっさと2袋入れてしまった。「梅を買ってしまったー! 2袋も買ってしまったー!」と、後悔だか歓喜だか分からない感情と共にスーパーに寄り、氷砂糖も購入して帰宅した。

買った梅は全部梅シロップにすることにした。梅干しも梅酒もまだまだあるし、梅シロップは以前漬けた時もそういえば結構早々に消費してしまっていた。なぜならば梅シロップを薄めて作った梅ジュースは二日酔いにめちゃくちゃ効くからだ(笑)。梅にたっぷり含まれるクエン酸が肝臓の機能を高めてくれ、糖分はアルコールの分解を助けてくれる。水分とミネラルを補給してくれて、しかも美味しい。「これで心置きなく酒が飲めるぞー!」なぁんてバカな発想をしながら、瓶2つ分の梅シロップをルンルン気分で漬けた。

二日酔いに効くということは、熱中症対策にもすごく有効だということだ。二日酔いと熱中症、どちらも体内の水分と塩分やミネラルが不足することで起きる症状だ。今年も6月から真夏のような暑さで、家庭菜園をする時に熱中症にならない様に気をつけている。

去年は平気だったから今年も大丈夫とも限らないし、自分を過信するのは本当に危険だから、大きな水筒にたっぷりの麦茶を入れてこまめに水分補給をしているけれど、それでもちょっと怖い。ということで、梅シロップの出番だ。

ここ数年、熱中症対策として注目を集めている凍らせて飲むアイススラリー。大塚製薬が2018年に通販で販売開始した「ポカリスエット アイススラリー」という製品から始まり、最近はコンビニなどでも販売されていて、それに伴い認知度も人気も上がっている。

細かい氷と水分が混ざったシャーベット状の飲み物で、体の中から効率的に冷やしてくれる。そしてミキサーなどを使うと家でも簡単に再現できるのだ。

まずは梅シロップを使って、経口補水液のようなものを作る。梅ジュースを作る要領で水で希釈し、そこにひとつまみの塩を入れるだけだ。そして作った梅ジュースを、半分は製氷器に入れて冷凍し、半分は冷蔵庫で冷やしておく。氷も砕けるミキサーに合わせて入れて撹拌すると、シャーベット状の梅シロップアイススラリーのできあがり。2Lの水筒には麦茶を、そして500mlの水筒にはアイススラリーを入れて畑に持っていく。

草むしりは「キリが良いところまで」なんて思ってはダメ。時間で区切って休憩をした方がいい。私の場合は、大体45分作業して、15分エアコンを効かせた車で休憩するようにしている。そこに冷え冷えのアイススラリーを流し込むと、「冷たい! 美味しい! 幸せ!」と最高の極みのような気分になれる。

身体中にクエン酸やミネラルや糖分が浸透していく感じ! 五臓六腑に染み渡るとはまさにこのこと。風呂上がりのビールより美味しいんじゃないか?!(笑)。こんなことなら、もっとたくさんの梅シロップを漬けておくんだったと、買うまであんなにも我慢してたのが嘘のように後悔している。

今年もかなり長く暑い夏になりそうだし、熱中症対策として、そしてたまに発症する二日酔い対策として追い梅シロップを漬けたいなぁと思いながら、激安梅がまだどこかに残っていないか探しに出ようと思っているのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。