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e-bike部メンバーが選んだ「e-bike部大賞2019」はコレだ!!

 読者が選ぶ「e-bike大賞2019」(関連記事)のほかに、年末にe-bike部メンバーで座談会を開催し「e-bike部大賞2019」も決定しました。

 座談会に参加したメンバーは、スタパ斎藤・藤山 哲人・難波 賢二・増谷 茂樹のライター陣、編集部からは清水・瀬戸・西村・鄭、営業部の木村の計9名。試乗したe-bikeの車種数も異なりますが、一年間e-bike Watchを継続してきた中で、それぞれが実感したことやオススメの理由など含めて話し合いました。

 ということで、サクッとe-bike部大賞2019に輝いたモデルを発表します。

e-bike部大賞2019:ターン「Vektron S10」

 e-bike部メンバーのほとんどが2020モデルにも多数試乗していることもあり、座談会でも新車の話題が多くなりましたが、今回の受賞条件は「発売中のe-bike」に限定しました。2019年はe-bikeの種類がかなり増えましたが、我々がe-bike部大賞2019に選んだモデルはターン「Vektron S10」となりました。その理由は下記のとおりです。


選定理由


・実際に購入しているメンバーが2人もいる
 ※スタパ氏、難波氏が実際に購入。自転車歴の長い難波氏は初のミニベロ
・ケータイ Watchのスタパ氏連載の編集担当が実際に購入
 ※連載記事を読んで欲しくなってしまい、すぐに家電量販店で購入
・SNSでも購入者の投稿をよく見かける
・レビュー記事を読んで購入した読者がいる
・ハンドルやサドルの調整幅も広いので家族や夫婦でシェアしやすい
・誰でも乗りやすいモデルで、2019年e-bikeの裾野を広げてくれた
・長期間借りていたが、保管もラクで便利さも実感
・ロケの車両として使い勝手がバツグンだった
・折りたためるので自宅での保管も便利
・街で見かける機会も多くなった
・通勤・通学はもちろんアクティビティにも使える
・最初の一台としてオススメしやすい
・2019年までで唯一チャイルドシートが装着できる(オプション)

ケータイ Watch編集部 細田の愛車

 こうした意見が挙がり、満場一致で「Vektron S10」に決定。読者投票のミニベロ部門でも、ラインナップが豊富で人気のBESVを超える票を得ていますし、その使い勝手の良さに魅力を感じた読者も多いと思います。折りたたみのミニベロながら剛性も高く、もちろん走行面も文句なし。車体重量は22.1kgなので気軽に輪行はできませんが、クルマには積載しやすいので旅先にも持って行きやすく、ハンドルやサドルの調整幅も広いため、新たな自転車の楽しみ方を与えてくれる一台だと思います。

 また、読者アンケートのフリーコメントにも多くご意見が寄せられていましたが、高価なe-bikeは盗難を気にされる方が多いため、折りたたんで部屋に収納できるのも大きなポイントでしょう。クロスバイクやe-MTBは敷居が高いと感じる人も多いと思いますが、まずは「Vektron s10」のような使い勝手の良いe-bikeを体験することで、今度はもっとスポーツバイクタイプを楽しみたい! という人が増えるという期待も込めています。

ケータイ Watch編集部 細田は、マンションの入り口で折りたたんで、廊下ではタイヤを転がして運んで部屋に収納しているそう

 今年はさらにe-bikeのラインナップも増えるので、次回のe-bike部大賞を決めるのは苦労しそうです(笑)。

女性たちが感じたe-bikeの魅力

 試乗したe-bikeの車種数も異なりますが、座談会ではそれぞれがe-bikeを試乗して感じたことなどを自由に語り合いました。特に主要メンバーの男性陣が自由気ままに話しまくって、記事でまとめるのは不可能な状態に陥ったため、いくつかのコメントをご紹介します。

左上から清水・瀬戸・スタパ斎藤、中央左から鄭・藤山・西村、左下から難波・木村・増谷。一人だけヘルメットなのは、みんな話に夢中で写真を撮り忘れたため

 まずは貴重な女性陣のe-bikeに対する印象から。

西村 :普段から「ちよくる」(ドコモのシェアサイクル)を利用していて、ビアンキ「Lecco-E」(関連記事)に乗ったら全然感覚が違って驚きました。ちよくるで30分走ったら筋肉痛になりましたが、ビアンキ「Lecco-E」だとどこまでも行けちゃいそうだと感じました。ちよくるはレンタサイクルなので消耗していたり、メンテナンスの問題もあるでしょうが、坂道がキツいこともよくあるので、e-bikeは本当に別の乗り物なんだな、と。

:もともと自転車に興味があってクロスバイクに乗ってましたが、通勤でゆるやかな坂が続くエリアで辛くてすぐやめちゃいました(笑)。でもコラテックのミニベロe-bike「E-POWER LS」(関連記事)を試乗したら、スイスイ坂が上れて驚きました。会社にあった「Vektron S10」にも乗りましたが、小さいけどスピードが出るし乗りやすかったです。あと、都内を走る企画でメリダ「ePASSPORT TK 600 EQ」に乗りましたが、跨がなくていいのは女性にもオススメですね。

 「e-bikeを街乗りで使ってみて、郊外でも長い距離走って景色を楽しめそうという自信は持てた? あるいは行ってみたい?」という質問に対して。

西村 :e-bikeだと今まで電車で行っていた場所に自転車で行けるので、行動範囲が広がります。自転車の魅力は景色を楽しめるところなので、白馬とか富士見のような企画をやってみたいと思いました。以前に湯布院へ旅行に行った際に、自転車で下りだけ楽しむ企画に参加して絶景で気持ちよくて楽しかったので、e-bikeならもっと楽しめると思いました。

:都内を休憩せずに10km以上走ったときも、慣れてないので少し足が疲れた感じはありましたが、体は全然疲れてなくてまだまだ走れると実感しました。

西村が試乗したビアンキ「Lecco-E」
鄭が女性にもオススメだという「ePASSPORT TK 600 EQ」

初心者男性陣のe-bikeの感想

 営業の木村は子乗せ用の電動アシスト自転車の経験はありますが、スポーツサイクルは初めて。企画には登場していませんが、試乗車のピックアップや撮影同行などでいくつかのe-bikeを体験しています。

木村 :パナソニック「XM1」に乗った時に、クルマと同じでサスペンションがあるとずいぶん乗り心地が変わるんだなと実感しました。あとは発表会やロケでジャイアント「ESCAPE RX-E+(関連記事)」、ルイガノ「AVIATOR-E」(関連記事)、サイクルスポット「eVITA」(関連記事)、ターン「Vektron S10」などにも乗りましたが、それぞれ個性があっても非常に乗りやすかったです。クロスバイクタイプの試乗が多かったですが、その中ではジャイアント「ESCAPE RX-E+」がいちばん乗りやすかった印象があります。

 日ごろはクルマと電車が移動の中心の藤山氏。シェアサイクルの発表会で電動アシスト自転車に驚いていたので、「e-bikeに乗ってみろ!!」と半ば強引にメンバー入りさせられました(笑)。まともに自転車も乗っていなかったのに、年末には日本に一台しかなかったトレック「Rail 9.7」まで試乗したり、プロライダーの指導まで受けたり、本格的なコースを走ったり、かなり貴重な経験をした一年でした。

藤山 :パナソニック「XM-D2」(関連記事)、トレック「Rail 9.7」「Powerfly」(関連記事)、コラテック「E-POWE X VERT CX-P」(関連記事)とか、高級車ばかり乗ってる(笑)。初心者であればあるほど高級なモデルがいいのかも。お金があれば(笑)。ドロッパーシートポストは本当に便利だった。フルサスだと乗り心地の快適さというより、コースを走る時の怖さがまるで違う。ヒルクライムでもみんなについて行けたのは車体とドライブユニットの良さなんだと思う。

木村がクロスバイクタイプでお気に入りのジャイアント「ESCAPE RX-E+」
藤山氏が伊豆のダラダラ坂を苦労せずに上れて本当に感動したというミヤタ「CRUISE」

 「今度は何に乗りたい?」という質問に対して。

藤山 :(非常に贅沢な経験だったんだけど)MTBばっかりなので、またクロスバイクに乗ってみたい。ミヤタ「CRUISE」(関連記事)で沼津を走った時は本当に楽しかったし、聖地巡礼にピッタリだと思った。2日間でかなりの距離を走ったけど、筋肉痛にもならなかったし、足も痛くならなかった。お尻はすげー痛かったけど(笑)。なので今度はお尻が痛くならないかチェックしたい。パッド付きのインナーパンツもネットで買ったし(笑)。あとソロキャンプできるようなe-bikeがあると聞いているから、ぜひやってみたい。クルマで行くキャンプとは一味違う楽しさがあると思う。最近は電源確保しているサイトも多いから、バッテリーも充電できるし。寒い時期でもいいからやらせて(笑)!!

 ということで、今年はぜひキャンプ企画も体験してもらおうと思います。

e-bike乗りまくった男性陣の感想

「Vektron S10」についての話題

難波 :私も自転車歴25年ですが、初めてミニベロを購入したのが「Vektron S10」でした。ハンドリングもいいですし、女性でも誰でも乗れて、折りたたみできて日本の住宅事情に合っていますね。

瀬戸 :全体的な評価なら間違いなく「Vektron S10」だと思っていました。折りたたみであの剛性はすごいし、富士スピードウェイで初めて見た時にデザインの良さにも驚いたけど、試乗の時の走りの良さに「何コレ?」ってビックリした。折りたたみからイメージするネガティブな要素が全然なかったから。MTBタイプだと何度か山に走りに行かないと元は取れないけど、そう考えると「Vektoron S10」はどこでも走れるからすぐに元も取れる(笑)。都内なんでほぼ自転車で行けるので、e-bikeがあれば移動手段の考え方も大きく変わるはず。

スタパ :「Vektron S10」はハンドルシステムが本当に良くできてますよね。キャリアをつけたらイロイロ荷物も積めますしヒジョーに便利ですよ。どこでも走って行けます。奥多摩によく走りに行きますけど、ゆっくり走っているロードバイクを「Vektron S10」で抜くと、後ろでギアを変える音が聞こえてプレッシャーを感じたり(笑)。抜かないようにいったん止まろうかな、と。でも「いったん止まろう」ができるのがe-bikeならではですよね。

スタパ斎藤氏の愛車

増谷 :e-bikeは心理的なハードルがなくなりますよね。ロードバイクに乗っていると、ちょっと寄り道しようと思っても止まるのが面倒で通過しちゃうことがよくあります。でも「Vektron S10」のようなミニベロe-bikeだとパッと止まってお店など見られますよね。一旦止まっても、e-bikeでアシストがあるからすぐに加速してくれますしね。これがロードバイクだと、いい感じのスピードで走っていると、「また今度でいいかな」と思って通過して、今度はないという(笑)。

清水 :「Vektron S10」は長期間借りていましたけど、社用車として1台あると重宝します。誰でも乗れますし、駐輪場がなくてもオフィス内にたたんで置いておけば文句も出ない。MTBを何台も置いておくと、さすがに白い目で見られますけど(笑)。2019年のロケで裏方バイクとしても本当に活躍してくれました。2020年も色あせないでしょうし、BESVの「PSF1」とともに引き続き注目を集めそうですね。

他にはどんなe-bikeが良かった?

スタパ :メリダ「eONE.SIXTY 800」(関連記事)が良かったですね~。富士見パノラマリゾートのダウンヒルは猛烈に楽しかった!! 今はコラテック「E-POWER SHAPE PT500」(関連記事)を借りてるんですが、めちゃめちゃ速い!! サイクリングロード走ったらカーボンのようなバイクで、あんまり突き上げを感じずヒジョーになめらか。足の力が全部スピードに変わる感じで、コレだったらロードバイクと一緒に走れるな~、と。調子に乗ってるとすぐ30km/hに達します。あと興味があるのがターンの「HSD P9」(関連記事)。アレは自分に合っているんじゃないかと思います。ちなみに誰よりもe-bikeに乗りまくってる清水さんのお気に入りは?

スタパ斎藤氏が気に入ったメリダ「eONE.SIXTY 800」
カーゴバイクタイプのターン「HSD P9」にも興味津々

清水 :どのe-bikeも個性的で乗れば乗るほど順位付けが難しくなりますよね。e-bikeの裾野を広げた意味で1位は「Vektron S10」です。クロスバイクでは、コラテック「E-POWER SHAPE PT500」に乗るまでは、フカヤ「DAVOS E-600」(関連記事)やジャイアント「ESCAPE RX-E+」をオススメしていました。このあたりが個人的な2位かな、と。そのほかに挙げるとすれば、車体でなくBESVブランドですね。どれもデザインが良くて「PSシリーズ」も人気でe-bikeの知名度を高めてくれていると思います。2018年~2019年の頭くらいまでは、MTBでは「TRS1」もオススメしていました。ハンドル幅がそこまで広くないので初心者も乗りやすいので。でも、いろいろコースでフルサス体験してしまうと、やっぱりe-MTBはフルサスですかね(笑)。

清水お気に入りの「DAVOS E-600」
BESVで人気の「PSシリーズ」

難波 :2019年はフルサス元年(関連記事)でしたが、e-MTBはやっぱりフルサスです。新幹線で乗り心地が悪いと最悪なのと一緒で、e-bikeは乗り心地が大切。上りでのMTBのデメリットを解消しています。フルサスじゃないとずっと段差で突き上げられますが、オンロードでもオフロードでも快適に走れるのがフルサスe-MTB。これまでにe-bikeを8台購入しましたが、フルサスが届いたらその1台でいいかも。今までの勉強代みたいなものですね(笑)。それでも「Rail 9.7」「ePASSPORT TK 600 EQ」(関連記事)「eONE.SIXTY 9000」(関連記事)あたりは欲しいですね。

難波氏が欲しいというトレック「Rail 9.7」(左)とメリダ「eONE.SIXTY 9000」(右)

増谷 :トレックとコラテックの4車種をたっぷり比較試乗する貴重な経験をさせてもらいましたが、e-MTBは絶対フルサスという意味がわかりました。トラクションが良いから、後ろが滑らない。グンと踏んだ時に滑ってしまうのが、フルサスは押し付けてくれるので滑らない。トラクションに無駄がないぶんパワーが出ているようにも感じます。ふつうのMTBだとフルサスは高いし、マイナスも目に付くから必要ないかなと思いますが、e-bikeに関しては絶対フルサスですね。

瀬戸 :e-MTBは倒れそうになって立て直した瞬間が気持ちいい。俺、凄くね!? みたいな。ハードテイルのコラテック「E-POWER X VERT 650B」(関連記事)は乗りやすかったし、メリダ「eBIG.SEVEN 600」(関連記事)の軽快感も良かったけど、メリダやトレックのフルサスも乗ってみたいな。

瀬戸がお気に入りのコラテック「E-POWER X VERT 650B」(左)とメリダの「eBIG.SEVEN 600」(右)

スタパ :みんなが「Rail 9.7」に乗りまくって楽しんだ話を聞いてから、「Rail 9.7」のことばっかり考えちゃいます。まだ乗ったことないのに猛烈に欲しいモードに突入。近くにトレックショップあるしなーみたいな(笑)。

増谷 :みんな同じ意見を持っていると思いますが、やっぱり「Rail 9.7」は凄かったですね!! それ以外ですと、クロスバイクはジャイアント「ESCAPE RX-E+」、ミニベロだったら「Vektron」もいいです。個人的な推しはヤマハ「YPJ-XC」。ヤマハのドライブユニットは制御がいいので。最新のe-MTBをいろいろ乗ったところで、また改めて乗ってみたいと思います。

増谷氏お気に入りのジャイアント「ESCAPE RX-E+」(左)とヤマハ「YPJ-XC」(右)

難波 :「eONE.SIXTY 9000」も「Rail 9.7」も北米やヨーロッパ価格で見ると、本来日本では120万円くらいで売らないといけないのですが、実際は80万円とかで売っている。だから買ったほうがいい(笑)。あと購入するなら専門店で買うことをオススメしたいですね。量販店で最初の1台として買っちゃったら、そのへんを散歩して終わってしまいますが、e-bikeに詳しい専門店で買って遊び方なども聞くのがいいでしょう。

清水 :フルサスe-MTBが一気に増えていますけど、メーカーが協力して遊べるフィールドをたくさん作ってほしいですね。そうすればe-MTBを購入する人は絶対に増えるはずです。初心者の僕がこの1年間でMTBの楽しさにハマりましたから。ただ事故がないように乗り方の指導なども必要だと思います。難波さんも各方面にどんどんお願いしてください。

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