e-bike試乗レビュー
トレックのフルサスe-bike「Rail 9.7」と神鍋のe-MTB専用コースを初体験!! グランピングや豊富なアクティビティで家族サービスも【前編】
2020年1月7日 00:00
今回は炎上覚悟でお届け!! なんとe-bike部のメンバーで、日本にまだ1台しかないトレックのフルサスMTBタイプのe-bike「Rail 9.7(レイル)」(関連記事) にRide ON! しかも、今年の春にオープンする「UP MTB PARK IN KANNABE」のe-MTB専用コースを一足早く体験してきた。さらに、そのMTBコースがある「アップかんなべ」は、グランピングやアクティビティまで楽しめるという。ということで、初心者目線でレポートをまとめろ! というe-bike部 清水氏の命を受け、行ってきました兵庫県の神鍋へ!!
e-MTB専用コースでヒルクライムするもサッパリ上れなかった筆者が、「アップかんなべ」でプロの指導を受けたら、サッパリ→アッサリであっぱれ!! 山頂まで上り切って、雄大な自然を堪能できたというところ。さらにダウンヒルは木の根が這うシングルコース&恐怖の急坂にチャレンジ!
e-bike部メンバーとコースを走った後は温泉に入って、夜はグランピングで美味しい料理に舌鼓。翌日は初めてのアクティビティ体験と、思いっきり遊んできた!! あーちゃう! ちゃう! 取材してきた(笑)。
いや~、マジ780,000円(税抜)のトレックのフルサスe-MTB「Rail 9.7」、最高っす!! ボッシュの最新ドライブユニットのパワフルなアシストもあって、まったく運動しない筆者でも、スキー場の上級者斜面を上れちゃうんだもん。しかも、プロライダー監修のMTB専用コースがこれまたスゲェ!!
プロライダー監修のe-MTB専用コースを試乗! パネェ!!
関西の人ならギリ場所がわかるかもしれない「神鍋」。それ以外にお住まいだと、日本地図のどの辺に位置するのかもわからないかもしれない。そんな神鍋は兵庫県の山陰側にある山の中。駅でいえば京都から山陰本線に乗って約150km。ギリギリ山陰本線の電化区間だ。
JRが国鉄だった時代には山陰本線をキハ58の急行但馬が走っていたが、今となってはコウノトリ但馬空港があるぐらいだ。だが、北近畿豊岡自動車道が開通したので、日高神鍋高原ICから約15分、コウノトリ但馬空港からもレンタカーで約30分ほどでアクセスがラクなのに驚いた。
「アップかんなべ」のある神鍋高原は、さほど標高は高くないが冬は雪深くなるため、関西のスキーヤーが集まる場所として有名。最近では夏のアクティビティも注目され、関東からの利用客も増えているという。
特に注目されているのが、7月にオープンしたばかりのMTBコース「UP MTB PARK IN KANNABE」だ。プロMTBライダー阿藤 寛氏が監修した本格的なMTBコースとなっており、今年の春からは、さらにe-MTB専用コース「BOSCH Uphill Flow Volcano」もオープンする。「Volcano」(火山)とはこれいかに? ここ神鍋(かんなべ)は、太古の昔に火山が噴火し、溶岩と火砕流が作り出した複雑な坂が織り成す町なのだ。
その地形を活かしながらマウンテンバイクタイプのe-bike(e-MTB)の特性を最大限楽しめる本格的なヒルクライムコースだ。しかも! しかもだ! ここではトレック「Rail 9.7」がレンタルできるのだ。
そんなコースをトレック「Rail 9.7」で一足早く走れるという知らせを受け、e-bikeメンバーと取材(正しくは遊び)に来たというわけだ。車体の詳細は、e-bike部 増谷氏がレポートしてくれるので、ここでは「超」初心者の筆者でも遊べるスポットなのかをしっかり見極めていこう。
「手ぶらで楽しめる」。それが「アップかんなべ」や「UP MTB PARK IN KANNABE」の魅力。トレック「Rail 9.7」は春のオープンに備えて、すでに現地でレンタルできたが、どうせなら同じコースを他のe-MTBと乗り比べてみよう! ということで、あらかじめ輸送されていたトレックの別モデルやコラテックのe-MTBと乗り比べてみた。
プロ直伝のライド指南でスキル174%アップ(オレ比)
東京は羽田空港を7時半頃に飛び立つと、伊丹空港で乗り換え、プロペラのコミューター機でコウノトリ但馬空港へ到着するのが9時半頃。そこからレンタカーを借りて、目的地の「アップかんなべ」まで30分ほど。早起きすれば10時頃には到着できるのだ。しかも身軽に。
本来なら10時過ぎぐらいからe-MTBに乗ってコースに出られるところだ。しかし取材なので、いろいろ大人の事情(仕事の準備)があって、すでに時刻はお昼近く。そこで、まずは腹ごしらえということで、地元で人気のおそば屋さんへ向かう。神鍋はそばの産地として有名で、このお店は裏の畑でそばの実から育てているという、こだわりの店だった。
午後はさっそくコースに出て、人生初めてのヒルクライム!! 筆者はこれまで何回かe-MTBに乗ってきたものの、MTBの正しい乗り方を教わったことがない。強いていえば、アシストスイッチの使い方くらいだ(笑)。せっかくプロライダーの阿藤氏が同行しているので指南してもらうと、目からうろこだらけ!!
・MTBはしっかり足(かかと)がつくまでサドルを下げる
・手は小指を使わないとしっかり握れないので、ハンドルを握る際には小指も使う
・登坂では前傾姿勢をとって、ハンドルを胸に引き上げるように持つ
・ペダルは足の指で掴むようにしながら漕ぐ
これが基本的なポイントだそうだが、実際にやってみると難しい。コースのアチコチにある急坂では、ギアを落としても立ち漕ぎになってしまい、最終的に足をついてしまう。それを見ていた阿藤氏がアドバイス。
「前傾姿勢がとれてないよー! もっとハンドルを胸にひきつけてーっ! きつくなったら積極的にギアを下げて、モーターにアシストしてもらうように!」
再びトライすると、それまでのキツさがまったくなくなる!! 「えっ!?」ってぐらいに……。ギアを落としてモーターのアシストを受けるので、速度は落ちず、ハンドルを胸に持ってこようとすると、立ち漕ぎしなくてもしっかりペダリングできるのだ。さっき上れなかった坂をアッサリ上れてしまったのにはビックリだ。阿藤氏も「いいねー! しっかり姿勢が取れてましたよ!」とお褒めのお言葉。
残念ながら阿藤氏は常駐していないので、誰もがアドバイスを受けられるわけではない。しかし、見よう見まねや独学でe-MTBを学ぶより、本の1冊とまではいわないが、Youtubeなどでライドの基本を学んでから行けば、よりエンジョイできること間違いない。これマジで。
日本の歴史や良さ知らずして京都・奈良を訪れる修学旅行より、人生経験を積んでいろいろ日本を知ったうえで行く京都・奈良が何倍もおもしろいのと同じことだ。
炎上覚悟! 初心者でもわかるトレックのフルサスe-MTB「Rail 9.7」の凄さ!!
プロライダー阿藤氏が監修するe-MTB専用コースは1.7kmの上り坂と、ダウンヒルの1.7kmのコース。いきなりフルサスに乗るよりはハードテイル(後輪のサスペンションなし)のe-MTBを体験したほうが違いがわかりやすいというので、初心者の筆者は、コラテックのハードテイル「E-POWER X VERT 650B」(関連記事)でトライ!
うんうん。白馬で乗ったe-MTBも似たような感じだった。でもこのコースは、緩やかな傾斜が続くこともあれば、突然現れる急斜面もあって、ペダルへの足の力の入れ具合も変わってくる。そんなとき「ドロッパーシートポスト」を搭載するモデルは「超」便利だった。手元のレバーを引くと、走りながらでもサドルの高さを調整できるというもの。急斜面では阿藤先生の言葉どおり、サドルが低いほうが怖さもなく力が入る。でも緩斜面ではサドルを少し高めにしたほうが、ペダルに体重を乗せやすく漕ぎやすい。特に登坂続きで疲れてくると、ドロッパーシートのありがたみが良くわかる。初心者こそドロッパーシートポストを選ぶべきだろう。
「アシストが欲しいところで、必要なトルクだけアシストしてくれる感」がe-bikeの特徴だが、こうしたコースを走ると、ボッシュ製のドライブユニットは人の動きや疲れを見ながらトルク制御してくれるって感じ。ボッシュ、スゲーな。あと同じドライブユニットを搭載していても、車体によって乗り(漕ぎ)心地がが違うのもe-bikeならではでおもしろい。
さて初心者の筆者にとって1.7kmの上り坂は、初心者コースといえど、かなりキツイ。乗っているのがe-MTBだとはいえ、究極の有酸素運動なので、息がゼーゼー。ただ足へのダメージは、ほとんどないのがe-MTBの凄さ。いやトレック「Rail 9.7」だからかも!?
阿藤氏の言葉を身に染みて感じたのもトレック「Rail 9.7」に乗ったとき。電動アシストなしでは絶対漕ぎ出せないような急坂でのこと。ギアをいちばん下げて思いっきり漕ぎ出すと、リアがグッと沈んで地面をキャッチし、そして太いトルクでグンと前に走り出すので、前傾姿勢を取っていないとウィリーしてしまうほどなのだ。脚力のない素人でも急坂をプロ並みのダッシュができるので、このようなことが起きる。でも、さすがはプロ! それも加味したアドバイスだったというワケだ。
フルサスe-MTBはもう疲れ方が全然違うので、頂上まではトレック「Rail 9.7」を筆者が独占!! いや、フルサス乗った後にハードテイルe-MTBに乗り換えると、ドッと疲れちゃうから(笑)。e-bike部の面子は、いろいろなモデルに嬉々として乗り換えているので好都合だしね!
ということで、頂上まで阿藤氏の指導の元で上り切った筆者。脚力の強い他のe-bike部のメンバーにも、それほど離されることもなく完走できた。
さて、上ったからには下るわけで、今度はダウンヒルに挑戦。トレックのハードテイル「Powerfly 5」に乗り換えてスタート! ダウンヒルは楽ちんで気持ちがいい! と思ったのも束の間。白馬と違って高速ダウンヒルなので、少し怖さが湧いてくる。
フロントブレーキは制動、リアブレーキはスピードコントロールで、何よりもギュッとブレーキを握って後輪をロックさせないことが大切。前後のブレーキの7:3くらいでブレーキングを心掛けるが、それはうまい人のお話。速度が乗ってくると、前ブレーキをかけるのが怖くなってくるので、次第にリアに入る力が強くなってくるのだ。しかも凸凹のバンプになってくるとさらに怖い。
白馬のダウンヒルに挑戦したときの経験から、フルサスは安定性が高く、怖さも少なくなるばかりでなく、リアに頼りがちなブレーキングでも路面をしっかり捉えるので、ブレーキの効きがいいというのを知っている(少し知恵がついた!)。
「清水さん! 下りのフルサスの乗り心地も試したいなぁ」
この一言でトレック「Rail 9.7」を再び奪取! 怖さが全然違うのなんの! 初心者こそいい車両に乗るべき! お金があれば……。とまぁ、日本に1台しかないトレック「Rail 9.7」は、まだメディアにすら貸し出されていない状況なのに、初心者の筆者が乗りまくるという炎上確実な暴挙。そこで垂涎してる読者のみなさん、ゴメンなさいね!!
途中シングルトラックの木の根が這う道もあったが、抜群の安定性を見せた。またコースを走り終えたあとは、そのまま数キロ先にある、火山の噴火が作り出したという有名な滝へ! だらだら坂が続く舗装道路も難なくこなす万能っぷりも堪能した。
と、MTBコース「UP MTB PARK IN KANNABE」の話だけで長くなってしまったので、続きは後編で。