家電ラボの徹底「本音」レビュー
冷蔵庫6メーカー比較! 使ってわかった個性と選び方
2024年10月3日 08:05
冷蔵庫は家電の中でも使用頻度が高く、購入したら長く使うものです。最新の冷蔵庫は性能も使い勝手もさまざま。自分に合った冷蔵庫を選びたいですが、種類が多いので迷うのではないでしょうか。
そこで、今回はアクア、シャープ、東芝ライフスタイル、パナソニック、日立グローバルライフソリューションズ、三菱電機の6メーカーから、500~600Lクラスの大型冷蔵庫をお借りしました。並べて使用してみると、より特徴がハッキリわかったので詳しくご紹介します。
肉や魚などの生鮮食品をまとめ買いするなら三菱電機
たくさん買った生鮮食品をなるべく冷凍せず、解凍する手間を省きたい……そんな方には三菱電機の冷蔵庫「MR-MZ60K」がぴったりです。
冷凍なのにサクッと切れる約-7℃で凍らせる、大人気の「切れちゃう瞬冷凍A.I.」や、-3℃〜0℃の氷点下なのに凍らない過冷却現象を応用した「ひろびろ氷点下ストッカーD A.I.」もあります。前者は最大約3週間、後者は約3日〜10日間保存できます。
週末にまとめ買いをして、冷凍する前に食べきるためのスペースが色々用意されているので、食品を使うタイミングを「3日後に食べたいから冷蔵室」「1週間後に食べたいから瞬冷凍室」とだいたい決めて、それぞれのスペースに入れておくと便利。解凍や入れ替えの手間が減って時短につながります。
このように長期間保存できるのは、すべての部屋が仕切られた独立構造だから。庫内温度が細かくコントロールされているので温度変化が少ないんです。
冷蔵室や野菜室の鮮度保持については、乾燥が少し気になるものの、そのぶんカラッとしています。ビンや棚などに水滴が付きにくいため、手が濡れることもなく、衛生的に使えます。冷凍は優秀で、先に瞬冷凍室に入れて冷凍してから通常の冷凍室に移動しておくと、解凍してもドリップがほぼ出ません。
一番感激したのは、給水タンクを冷蔵室の床に埋め込んでいる、同社独自の「洗える埋めちゃっタンク」。給水タンクの出し入れもしやすく、とても使いやすいので、全メーカーで採用してほしいと思ったほど。ムダがなく、冷蔵室を広く使えました。
ラップするのが面倒な人、週末に作り置きする人には日立
週末に作り置きをするなら、冷蔵室を丸ごとチルドの温度設定にできる日立「R-HXCC54V」が便利。
チルド温度は約2℃と低めなので、菌の繁殖が抑えられ、食品の鮮度が長持ちします。これなら、冷蔵室のどこに入れても、週末に買い込んだ肉や魚は約5日後でも美味しく食べられます(加熱は必要)。作り置きや下ごしらえした食品も、フードコンテナに入れてたっぷり冷蔵室に保存しておくことができるので、ラクでした。
また、優秀だったのは乾燥を抑えること。ラップをしなくても1日程度ならサラダもほぼ乾燥せず、ハムは3日置いても変色していませんでした。また、冷蔵室下段の「特鮮氷温ルーム」にアジをそのまま入れておいたのですが他社のように乾燥せず、今回試した中で「ラップなし保存」では一番優秀でした。
さらに、個人的に助かったのは「デリシャス冷凍」です。冷凍室は引き出し3段で、その1段目がデリシャス冷凍スペース。大型アルミトレイが敷かれています。アルミトレイは食品の熱を奪ってすばやく冷凍するため食品の細胞の破壊を抑え、美味しく冷凍できることが特徴です。小分けにした肉や魚、ごはんなどを一度にたっぷりホームフリージングできるのは、このモデルだけ。最近はごはんを一度にたくさん炊いて冷凍保存する方も増えていますが、そういった方にもぴったりです。
カメラも搭載しており、外出先から冷蔵室の中身を確認することもできます。ただ、現状では奥側に食品を入れると写らないので、使う側の工夫が必要です。
使いやすさではダントツ、毎日料理をするならパナソニック
「食品の出し入れがラクだなあ」と実感できたのはパナソニック「NR-F55WX1」でした。毎日料理をする方、冷蔵庫の使用頻度が高い方はパナソニックが便利です。
他社と大きく異なっているのは、冷蔵室の最上段にコンプレッサーを配置していること。冷蔵室の最上段奥が使えなくなるわけですが、私のような160cm程度の身長ではどうせ最上段の奥には手が届かないため、ここは不要なスペースです。手が届かない部分にコンプレッサーを配置することで、下段の引き出しはたっぷり入るようになっているわけです。
たくさん入れると引き出しが重くなるわけですが、高耐荷重ベアリング式レールを採用しており、軽い力でスルスルと開閉できます。さらに100%全開できる「ワンダフルオープン」機能によって、引き出しの奥に保存した食材も一目でわかります。奥側にある食品も簡単に取り出せるので、食品の出し入れはストレスゼロでした。
ドアポケットに入れた2Lのペットボトルの取りやすさにも驚きました。これは低めの位置に棚やドアポケットを配置する「ローウエストライン」にしているためで、無理のない姿勢でサッと出し入れできるのです。扉にある飲み物をよく出し入れする方は、ぜひ体感してほしいところです。
「毎日ちゃんと料理をするならコレ」と言い切れるほど、比較してみると使いやすさを実感できる冷蔵庫でした。個人的には、丁寧に作り込まれている高級感のある質感、落ち着いたデザインも好みでした。
鮮度のよい野菜を楽しみたいなら東芝ベジータ
新鮮な野菜をたっぷり食べる人におすすめの冷蔵庫は東芝「GR-W550FZS」です。野菜室が冷蔵室の真下にあり、キャベツや白菜といった重く取り出しにくい野菜も簡単に出し入れできます。また、湿度が高いので、鮮度が長持ち。「袋やラップなしでそのまま入れるだけで約10日間鮮度キープ」と製品紹介サイトにありましたが、確かに葉物などもみずみずしさをキープしていました。
付属の「使い切り野菜ボックス」も、料理で残った使いかけの野菜をそのまま入れるだけで、鮮度が驚くほど長持ちします。切ったきゅうりやパプリカなどを入れておきましたが、カットした断面がそのままの状態で1週間もちました。ラップで包む手間とゴミが削減されるのでラク。調理時間の短縮にもつながります。
冷蔵室も多湿タイプで、ラップなしで生魚などを保存してみましたが、乾燥することはほぼありません。除菌、脱臭システムを採用しているので、ニオイも気になりませんでした。
このほか、手がふさがっていても、ひじなどで軽く触れるだけで扉を開けられるタッチオープン機能など、便利な機能も搭載されています。
また、ワンタッチでドアポケットの高さを変えられるフリードアポケットも、調味料などの高さによって簡単に調節できるので想像以上に便利。独自の使いやすい機能が色々搭載されていますが、使ってみると実用的でした。
ちなみに我が家は子供達が野菜好きで、いつも野菜室がパンパン。なるべく長期間鮮度を保ったまま野菜を保存したかったので、家では東芝の冷蔵庫を使っています。
冷凍食品をたくさん買い込むならシャープ
市販の冷凍食品を利用する人におすすめなのは、シャープ「SJ-MF55M」です。これなら、たくさん買い込んでも大丈夫。
冷凍室「メガフリーザー」は、冷凍食品派にとってはとにかく便利でした。1段目は左側が深さ約16cm、右側が約13cmで、市販の冷凍食品を立てて入れられるサイズです。自由に動かせる仕切りがあり、ブックエンドのような役割をしてくれるので、立てておいた冷凍食品が倒れることはありません。探すときのイライラもなく、スッと取れるので、冷凍食品の整理のしやすさに感激しました。
下段冷凍室中央にはフレキシブルトレイがあり、「快速冷凍」を選ぶと急冷ができます。ここにはアイスクリームなどの細々した冷凍食品も入れておけます。下段には背の高い食品や箱物が入れられて、2段積みも大丈夫。500mlのペットボトルも立てて保存できます。冷凍室の使いやすさは抜群でした。
冷蔵室の扉にセンターピラー(扉に付いているパカパカした柱のようなもの)がないというのも、地味にすごいことです。他社はすべての冷蔵室にセンターピラーがありましたが、それがないのでドアポケットが広く、2Lのペットボトルなどもたくさん入れることができました。スペック上の数値よりもたくさん入る印象です。
奥行き63cmを実現しており、システムキッチンの標準的な奥行き65cmに収まるサイズということも注目です。奥行きが狭い分、横幅は少し広いのですが、奥まで手が届きやすく、食品の出し入れがしやすいこともポイント。背が低い方でも使いやすく、食材を管理しやすいので、庫内のスペースを有効活用できそうです。
肉や魚を美味しく冷凍したいならアクア
コストコなどでまとめ買いした肉や魚を、霜を抑えて美味しく保存できる冷蔵庫がアクアの「AQR-TXA50P」です。
他社では、鮮度を保ちながら冷凍保存するために、取扱説明書を読んで最初に設定を変えなければならない冷蔵庫もありますが、アクアなら冷凍室に入れておくだけ。
独自の「おいシールド冷凍」は、自動霜取り運転時に発生する暖気の侵入を防ぎ、冷凍室内の温度変化を抑えて鮮度を保つことができます。1カ月冷凍しておいたお肉も霜付きが抑えられており、解凍してもドリップはごくわずか。手軽に美味しく冷凍できる、というアクア独自の機能は、冷凍する食品が多い家庭ではとても助かります。
冷蔵室の底にある窓は、冷蔵室の下にある野菜室の中を見ることができます。野菜室を開ける回数が減るので、省エネも期待できそう。ただ、野菜をたくさん入れて出し入れすると曇ってしまい、見えにくくなることがありました。もう少しこのあたりは改善してほしいところです。
デザインに関しては、かなり攻めた印象です。冷蔵室扉の下部にある「LEDステータスバー」は、近付くとふわっと点灯してエラーなどを視覚的に知らせてくれるので、わかりやすく見た目もスタイリッシュ。庫内は白ではなく、グレー。ワインセラーのような高級感がありました。さらに冷蔵室は背面と天面全体にパネル照明があしらわれており、食材が映える冷蔵庫です。他社にはない攻めたデザインでも勝負しています。
Wi-Fi接続モデルは、ぜひ活用を!
お借りした冷蔵庫6台のうち、5台はWi-Fi接続できるモデルでした。それぞれ独自のアプリをダウンロードして接続して設定すれば、より便利に使えます。今回、全部接続して使ってみましたが、進化して使いやすくなっていました。
水タンクが空になると教えてくれたり、部屋の温度が上がりすぎると心配してくれたり、しばらく扉の開閉がないと知らせてくれる見守り機能があったり、便利に使える活用方法を教えてくれたり……いったん接続しておくと冷蔵庫をよりムダなく使えるようになります。
また、ユーザーが使用している時間をみて学習し、使わないときは温度を下げすぎないように調整する、指定しておいたスーパーなどの施設に一定時間以上いると、これから食材が多めに入ると予測して温度を下げるなど、省エネにつながる制御も自動で行なってくれます。
個人的には忘れがちな予定を音声で教えてくれる、東芝の「ウィークリー音声リマインダー」機能が気に入りました。1週間の予定をアプリの「音声通知」内にあるリスト一覧から登録しておくと、設定した時刻以降に冷蔵庫を開けた初回に音声で知らせてくれます。例えば「不燃ゴミの日」といったことを、冷蔵庫が教えてくれるようになるのです。
最近では、日立のようにカメラ機能がある冷蔵庫も増えつつあります。外出先から冷蔵庫の中身チェックができることも、当たり前になるのかもしれません。
上位モデルの冷蔵庫にはWi-Fiがほぼ搭載されています。接続方法は面倒で複雑なものもあるので慣れない方はちょっと苦労するかもしれませんが、一度つなげてしまえばとても便利です。ぜひ活用してください。