e-bike試乗レビュー

パナソニックのe-bike「XM-D2/XM1」で白馬岩岳MTBコースを満喫してきた!! MTB初心者こそオススメ

 白馬といえば冬のスキーリゾートとして名高い。また夏は北アルプスへの登山口として、多くの登山客やトレッキングを楽しむ人が多く集まる。そして国内をはじめ、海外からも注目されているのが、白馬岩岳のMTBコースだ。「MTB」とは「マウンテンバイク」のこと。悪路やつづら折りになった急カーブを、オフロード用の太いタイヤとサスペンション(緩衝装置)を備えたマウンテンバイクで疾走する。

白馬岩岳はMTBの聖地とも言われ、国際基準のレースも開催できる(写真はダウンヒルコース)

 白馬岩岳MTBパークには、山を駆け下りるダウンヒル、息をのむ白馬の絶景を楽しむ山頂周遊コース、凸凹道を走り抜けるデュアルパンプトラックなどのMTB用のコースがたくさんある。いずれも世界的に有名なトレイルビルダーが手がけたコースなので、楽しさも安心も保証つき。

 しかし自転車ゆえに、素人の僕らには大きな壁がある。上り坂はいくらギアを軽くしてもキツイという点。あまり張り切りすぎると、確実に筋肉痛で足を引きずることになる。

 ところが、電動アシストしてくれるe-MTBなら話は別。パナソニックと白馬観光開発がタッグを組んで提供するのが、脚力の弱い僕らや女性でも、プロライダー並みに爽快に坂道を駆け上り、MTBコースをより楽しめる新しいアクティビティだ。

パナソニックが監修した白馬岩岳MTBパークの新コースを同社の最高峰モデルXM-D2で駆け抜ける!(撮影用に特別展示されたもの)

 パナソニックが監修した白馬岩岳MTBパークの新コースが完成したということで、体験試乗会に参加してきた。つい先日初めてe-bikeで「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地巡礼をした筆者。e-bikeに乗るのが2回目の「ド」が付く素人でも楽しめるのか? そんな素人でも初めてのe-MTBでも乗りこなせるのか? 本格的なMTBコースを走れるのか? をレポートしよう。

e-MTBを最高に楽しむコースをパナソニック最高峰のe-MTBで疾走!!

 今回オープンしたコースは白馬岩岳MTBパークの山頂にある。先日こちらの記事でも紹介されているように、麓(ふもと)でe-MTBを借りてもよし、自分で持ち込んでもかまわない。通常のMTBの持ち込みもOKだが……、たぶん上級者じゃないとキツイかも!?

白馬岩岳MTBパークの山頂へはゴンドラで移動する。持ち物は飲み物とタオルくらい。特に夏場は汗をかくので、コレ大事!
ゴンドラにはサイクルキャリアがついておりMTBも一緒に運んでもらえる

 筆者のような初心者は、手ぶらでゴンドラに乗って山頂で借りるのがいちばんラクチン! e-bike部の清水氏はマゾヒストなので「苦しい=美徳」らしいが、俺の美徳は「ラクしていいとこ取り」なのだ!

 先の清水氏や全国のマゾヒストのみなさんにオススメしたいのは、白馬岩岳MTBパークでのヒルクライム。ヒルじゃなくてマウンテンだ! ダウンヒル(複数のコースあり)は、天候次第で随時楽しむことができるが、ガイド付きの特設e-MTBヒルクライムなども計画されているそうだ。気になる人は白馬岩岳MTBパークのホームページなどで確認して欲しい。

 山頂の新コースでレンタルできるのは、パナソニック製のe-MTB「XM1」「XM2」の2車種。ダウンヒルコースを楽しむ場合には、ゲレンデ下のショップで「XM-D2」(レビュー記事)をレンタルしてゴンドラで上ってくることになる。

山頂にあるレンタルe-MTBの受付。山頂では「XM1」「XM2」のレンタルが可能。「XM-D2」は下のショップで借りられる
車種を交換しながら走っても楽しい

 「XM1」と「XM2」はフロントのサスペンションはあるが、リアのサスペンションがないので、凸凹道だと後輪がバンバン跳ねまくる。いわゆるハードテイルというヤツだ。下り坂はサドルに座ることなく走るのでお尻は痛くならず、じゃじゃ馬に乗っているようで、スリリングさが楽しい。

ハードテイルタイプの「XM1」
リアにもサスペンションを備えたフルサスの「XM-D2」(本来ならヘルメットを着用)

 「XM-D2」はリアにもサスペンションがあるので安定した乗り心地。平坦な凸凹道でサドルにお尻を預けても、それほど痛みを感じない。こちらはいわゆる「フルサス」ってヤツ。ただ、リアのサスペンションをロックもできるので、慣れてきたらハードな走りを楽しむこともできる。

 電動アシストユニットの操作性は、「XM1」「XM2」「XM-D2」で変わりはない。電源を入れて左ハンドル付近にある操作スイッチで、アシストの強弱を決めるだけ。レンタル料金は、コース利用料も含めて1時間2,000円。手ぶらでe-MTBに乗れてコースまで楽しめちゃうんだから、かなりリーズナブルかも。

 まずはレンタル誓約書にサインして、e-MTBとヘルメットを借りる。

まずは誓約書にサインをして、e-bikeとヘルメットを借りる

 はやる気持ちを抑えてコースまでe-MTBを押しつつ、ブレーキの感覚などを確かめる。試乗は梅雨明け早々の8月上旬に実施されたので、直射日光が厳しかったが、標高1,272mの山頂。木陰に入ると汗が引くほど涼しく、何より北アルプスの山々の緑が美しい! 秋になれば、さらに涼しく快適なe-MTBアクティビティをエンジョイできるだろう。

山林を駆け抜けるコースでe-MTBを満喫するぞ!

ジェットコースター好きなら大興奮の迫力と爽快感! 超楽しいー!!

 山頂テラスの「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」の下がスタート地点となる。見晴らしの素晴らしいロッジには、空中にせり出すテラスが設けられていて、「超」が付くほどインスタ映えするスポット。

いよいよe-MTB初体験!
緊張してぜんぜん「映え」がネー! 背景に自分がかぶって大失敗だなこりゃ……

 コースは初心者~上級者まで楽しめるつくりだ。まずはフルサスの「XM-D2」で、緩い坂道を下っていく。コレ、超楽しい!

 ラブライブ!サンシャイン!! の聖地巡礼で乗ったときは、巡礼の手段としてe-bikeを利用した感じ。でも今回のe-MTBは、「乗ること」「疾走すること」「うまくコントロールすること」、それ自体が超楽しい!!

最初は緩い下り坂からスタート!

 道幅は3~4mほどあり、時速20kmほど出しても怖さを感じない。まあ調子に乗ってると、たぶんケガをするハメになるので疾走感を楽しみながら、本格的なコースを味わうといいだろう。ちなみに自分のコントロールできる範囲を把握することが重要らしい。

緩い坂でもかなりの速度が出る。でも道幅が広いので怖さはそれほどない
よく見ると路面はかなり凸凹なのが分かる

 時折路面には凸凹もあり、フルサスe-MTB「XM-D2」の場合は、前後輪のサスペンションがいい具合に効いて、ググッと上下にかかるGも気持ちいい。速度をコントロールすれば、縦横にかかるGも安全な範囲で調整できるが、ジェットコースターに乗った時のように内臓をかき回される感じが心地いい。遊園地の絶叫系ライドが好きな人なら、絶対にハマること請け合い。なにせ初めてのe-MTBがこんなに楽しいものと感じたぐらいだ。

いやもう、オッサンは少年のように大はしゃぎ!!
タイヤをロックさせるのはあまりよろしくないとアドバイスを受ける

 e-MTB最大の楽しみは、普通なら絶対に上っていけない激坂でも上れちゃう凄さ。もちろん平坦なコースでも突っ走れる。

 コースは起伏に富んでいて急坂もあれば、平坦な道もある。電動アシストのないMTBなら、タイヤは太いし、道の凸凹で抵抗が大きいので、必死になってペダリングをしなければならない。でもe-MTBなら軽くペダリングすれば、速度を落とさず時速20km近くで疾走できる。よりエンターテインメントにMTBを楽しめるのがe-MTBなのかもしれない。たとえるなら、自分が競輪選手の足を持ったかのように悪路を駆け抜けられるのだ。絶対に経験できない疾走感を楽しめるのがe-MTB。こりゃクセになりますわ……。

怖いぐらいの下り坂もあれば……
その下り坂が今度は急な上り坂となる

 そしてトンでもない急坂!!(笑) パナソニックの監修したコースとあって、e-MTBの魅力を最大限引き出せる激坂も体験できる。斜度はだいたい45度といった感じ。スキーなら上級者がパラレルを駆使して左右に降りてくるような急坂だ。坂道じゃないが、駅の階段の角度を自転車で上ると想像してもらってもいいだろう。

 富士山五合目までバッテリー交換せずに上ったe-bike部の清水氏は、アシストをECOモードにして中段のギアでトライしていたが、あえなく玉砕……。ヤツはアホに違いない(笑)。2度目のトライではHIGHモードで中段のギアでやっと上りきり「このぐらいの負荷がないと……」なんてマゾっぷりを披露していた。

アホの清水氏。マゾヒストなので苦しいことが生きがいらしい。フラフラしながらもギアをローに入れずに上ってきた!
激坂をサクサク上る動画

 筆者はインストラクターの言うとおり、最大アシストのHIGHモードでいちばん軽いギアで挑戦!! 何のことはない、あっさり上れるじゃないの!! ええ、e-MTBに初めて乗る体重76kgのオッサン。駅にエレベーターやエスカレータがあれば、迷わず利用するこの俺が、余裕で激坂を上れちゃう!! 絶対できない経験と風景を楽しめちゃうワケっすよ。

 山の風の涼しさ、そして見渡す限りの緑の山々は、ペダルをひと漕ぎするごとに違う顔を見せ、爽快感を加速させてくれるのも楽しい。

だらだら長い坂を「XM1」で走る。アシストがなかったら即、メゲるところだが楽々と完走!

 また、途中でハードテイルの「XM1」を試乗してみたが、これまた一味違ったおもしろさ。リアのサスペンションがない分、後輪がバンバン跳ねてオモシロイったらありゃしない! でも、車体のコントロールはフルサスよりも難しく、スリルも2割増しといった感じだ。この感覚をどう伝えたらいいのか難しいのだが、軽トラックで雨の日に山道を攻める感じ(荷物載せてないと後輪が食いつかずスリップしっぱなし、って分かりづらいなー)。まぁ、とにかく楽しいってこと。

e-MTBの楽しさを最大限に引き出すコース設計となっている

 パナソニックが監修した山頂のコースを走り終えた後、初心者用のダウンヒルコースも体験させてもらった。「白馬のスキー場を自転車で走れるようにしただけでしょ?」と思うかもしれないが、コースはまったく別物。たまに「これゲレンデだ!」というところを横切るも、コースはその脇の山林に入り、林の中を駆け抜ける。つまりMTB専用のコースってわけ。

 ダウンヒルコースについて筆者が感じたのは、山頂から麓まで降りてくると、足じゃなくて手がクタクタになるという点。常にブレーキを緩くかけ続け(ディスクブレーキなのでかけっぱなしでも)、悪路の凸凹を押さえ込むのは腕だからだ。1日2回もダウンヒルしたら、握力がかなりダメになるかも!? 上級者はあまりブレーキを使わずに下りてくるらしいが、初心者はブレーキ必須なのであまり無理しないスピードで下ることをオススメする。

初めてのMTBがe-MTBという人でも安心! リピート確実のおもしろさと美しい白馬の山々

 今回、初めてe-MTBを体験したが、結論としては、幅広い人たちに強くオススメしたい。「MTBなんて乗ったことネーよ!」なアナタ! そう、アナタです! 筆者のようなジジイでもOK! 足腰の強さ不問! もちろん女性や(適応身長に達した)子どもでも!

みんなでワイワイ走るのもまた楽しい!

 そんな人たちこそ、e-MTB+白馬岩岳の初体験を楽しんでほしい。絶対ハマる。ハマらないとウソ!「つべこべ言わずに1回乗ってみろ!」という言葉をみなさんに送りたい。白馬へのアクセスは夏だと登山客で新宿発のあずさも、名古屋発のしなのも混雑するが、9月以降はひと段落するのでラクになる。何より北陸新幹線+バスを使えば、あずさで行くより早く着く。

いやー、また行きたいですなー! リピーター続出すること請け合い!

 白馬の山並み、爽快なe-MTB、肌で感じる風、そして緑の香りと、走り抜けたあとのメシと温泉。五感で楽しめることを保証しよう!!

藤山 哲人