藤山哲人の実践! 家電ラボ
初めてのe-bike体験で「ラ●ライ●」の聖地巡礼をしてみた
初めてのe-bike体験で「ラ●ライ●」の聖地巡礼をしてみた
2019年7月8日 00:00
「藤山さん、一緒にe-bikeに乗りましょうよ~。楽しいっすよ♪」と毎回ウルセー編集者がいる。いつも華麗にスルーを決め込んでいたが、先日たまたまその編集と一緒にシェアサイクル(電動アシスト自転車)に乗る機会があり、「これ楽しいかも!?」と小声が漏れてしまったのを聞かれてしまい……さあ大変!!
「e-bikeはね、もっとスゴいっすよ。レベル違いますよ。よし、乗りましょう!! 決まり!! いつ乗りましょうか? できるだけ早いほうがいいっすよね♪」と、悪質サークルの新入生勧誘のごとく、右も左も分からぬまま「e-bike部」に仮入部。いや今思うと、あれは「狩り入部」だった!!
「電動アシスト自転車のスゴいヤツって、原付みたいな感じなん?」と聞いてみると、編集は「e-bikeと電動アシスト自転車や原付を一緒にしちゃダメっすよ!!」と、超絶&饒舌に説明し始めた。
聞けばe-bikeとは、「電動ドライブユニットを搭載する“スポーツ”タイプの自転車」だという。だから街でお母様方が乗っているシティサイクルの電動アシスト自転車とは、まったく別モノ。電動アシスト機能はスポーツ用にチューニングされているうえ、よりスムースでパワフルにアシストしてくれるという。さらに、大容量バッテリーを備えて100kmを超える長距離走行もできるそうだ。
なるほど! 同じ排気量のクルマでも、気軽に街乗りするタイプもあれば、スポーツカーで運転そのものを楽しむタイプもある。e-bikeのレンタルや試乗できるスポットが増えているそうだが、たっぷり乗るなら今、伊豆方面が充実しているという。
「伊豆方面でe-bikeに乗るならば、アレをやってみたい」。そう、とある理由から尻込みしていた「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地巡礼だ!! と、個人的な欲望を提案してみると……編集は「ラブライブ!サンシャイン!!」を見たことすらないのに、あっさりOK。e-bikeに乗って楽しめればいいらしい。経費で聖地巡礼……まさにウィンウィン!! 羨むがよい同士諸君よ!!
さらに鉄道大好きな筆者としては、伊豆箱根鉄道の撮影スポットと、そろそろ引退が噂される185系の勇姿もカメラに収めたい。ということで、いざ伊豆方面へヨーソロー!!
【1日目】伊豆長岡から山を降り、いざ聖地へ!!
今回の旅の拠点に選んだのは「コナステイ伊豆長岡」。ここは温泉とレンタルe-bikeなどを備えたB&Bスタイルのホテル。チェックインは15時からだが、e-bikeのレンタルは朝8時からできる。しかも、宿泊者には魅力的な特典があり、なんとレンタル料が半額になるという。
今回は宿泊なのでクルマと荷物を預け、さっそくe-bikeをレンタル。初めてと伝えるとミヤタ「CRUISE(クルーズ)」をオススメされた。編集はフカヤ「DAVOS(ダボス) E-600」をレンタルし、翌日はe-bikeを交換することに。基本的な操作方法などのレクチャーを受けて、さっそく聖地巡礼スタート!!
「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地として名高いのは沼津駅近くだが、e-bikeで向かった先は、西伊豆は淡島のある内浦湾に点在する舞台。コナステイ伊豆長岡のあるエリアは、伊豆の東西を分ける山の上にある。なので内浦湾に行くには、尾根づたいにゆるやかなアップダウンと急な坂道がある。
初日に乗った「CRUISE」は9段ギア。スタート地点からしばらくは、最適なギアを探すために上げ下げしていたのだが、走っているのがゆるく長い上り坂とは気が付かなかった。気が付いたのは帰り道(笑)。ペダルを踏まなくても、ぐんぐんスピードが上がるほど急な坂道だったのだ。e-bikeのドライブユニットによるアシストは、驚くほど自然にアシストしてくれるのでまったく違和感なく、怖さを覚えることもなかった。
海に出る急な下り坂も非常に安定した走り。クルマならエンジンブレーキを使うような坂だが、なんと「CRUISE」や「DAVOS E-600」には、前後に油圧式ディスクブレーキを搭載しているので、しっかり速度をコントロールできる。
平坦な海沿いの道は、ギアをトップギアにチェンジして快適なサイクリング。時折ある坂道は、ギアを3~5段に入れてペダルを軽くする。おそらく普通の自転車なら立ち漕ぎするところだろうが、電動アシストモードの切り替えでローギアまで入れることなく、急な坂を上りきれるのが頼りになる。
さらにe-bikeのスゴいところは、とにかく電動アシストが自然という点。トップギアでも適度にアシストしてくれるので、途中ギアを落とすこともなく18~20km/hで快適にクルージングできる。ゆるい坂道を中段ギアで上るのも、必要なパワーだけをアシストしてくれるので、足に入れる力は平地とほぼ変わらない。ただしギアを落としているので速度はだいたい16km/h程度だった。
また電動アシスト自転車によくありがちな、出だしでペダルを踏んだ瞬間に「ドッ!!」と不自然に加速することがないので、自転車に安心して体を預けられる。「CRUISE」も「DAVOS E-600」も“ペダルをガンと踏み込んでも”ジワリと加速をつけてくれるようにドライブユニットが最適にチューニングされているようだ。
何より驚いたのは、帰りの急な上り坂。ヘアピンカーブやトンネルが続く山道なので、帰りは相当に苦労すると思っていた。しかし、ふだん自転車にも乗らないし、まったく運動をしない筆者でも、ギアを2~3段ぐらいまで落とせば、急坂をグングン上れるのには感動した。もちろん立ち漕ぎすることもなく、前輪が左右にふれることもなくだ。アシストがない自転車だったら、かなり腕(足?)の立つサイクリストでも立ち漕ぎ必須。初心者ならば、まず自転車を降りているような坂だ。
そんな坂を初心者が12~14km/hで上って行けるのだから、スゴいとしか言いようがない。帰りの上り坂は来たときの3倍は時間がかかると見ていたが、実際には行きの下り坂の1.5倍程度で済んでしまったほどだ。
初心者でも簡単に乗りこなせるe-bikeを支えるのが、心臓部のドライブユニット。前述したが、「CRUISE」や「DAVOS E-600」はシマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載している。シマノは釣具メーカーで有名なあの「SHIMANO」。大型魚を釣る電動リールなども開発しているだけに「なるほど!」なのだ。
最大の特徴は「ダイレクトで自然なペダルフィーリング」だという。e-bike初心者の筆者が一発で乗りこなせて、かつ自然な電動アシストなのが分かるほどのナチュラルさ。これに速度や距離計など自転車のステータスを管理・表示するサイクルコンピューター、走りに合わせてアシストモードを切り替えるスイッチユニット、そして36V/14Ah(504Wh)という大容量バッテリーが合わさってびっくりするような走りを実現している。
聖地巡礼者よ! 刮目せよ! マストアイテムは「e-bike」かもしれない
ご存じのとおり聖地巡礼は、どんなアニメやドラマにしても、歩いて回れる聖地が集中している地域があるかと思うと、電車やバスに乗って別の集中する地域に移動という場合が多い。
なんでもないちょっとした路地が舞台の中心になっていることも多く、クルマで巡礼すると、聖地より駐車場探しに時間を取られる。しかも、聖地の集中地同士のの移動があるので、クルマだと距離感がつかめず付近を行ったり来たり(笑)。
かといって電車やバスで移動となると、時刻表を気にして行動しなければならず、待ち時間で大幅なロスタイムが出ることもある。
e-bikeなら地域間移動のロングサイクリングもラクラクで、集中したところでも距離感を掴みやすく、駐車場を探す時間もバスや電車を待つ時間も不要なので、思いっきり聖地巡礼を楽しめる最強の武器になる。
冒頭で「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地巡礼をためらっていたのは、実はコレが理由なのだ。公式のスタンプラリーを制覇しようとなると、沼津駅からおよそ15km離れた内浦湾まで聖地が点在。これでは、バスを使ってもクルマを使ってもめちゃくちゃ苦行になるからだ。
さらに楽しいのは、地元の方とのコミュニケーション。もちろんGoogle マップを頼りに走ってもいいが、地図上である程度目星をつけたら、近所の人に場所を尋ねながら、地元ならではのローカル情報を仕入れるなんて楽しみも。
内浦湾では養殖が盛んで、鯵が美味だということを地元の方に教えてもらった。なんでも栄養が豊富な湾らしく、ハマチや鯛なども養殖しているんだとか。海に浮かぶ養殖場に鳥が止まってガン見していたのは、どうやら魚目当てらしい。さらに海沿いを走ると、「アジフライ」や「マアジ」といった暖簾の数々。そう、獲れたて新鮮な鯵料理の店が軒を連ねているのだ。
こうして初めてのe-bike体験をし、今宵の宿でスタート地点となった「コナステイ伊豆長岡」に戻りチェックイン。いたるところに天井採光窓があり、館内は明るくモダンなイメージ。今回は個室に泊まったが、次回はリーズナブルなドミトリーに泊まって、海外から訪れる仲間とめちゃくちゃな英語でコミュニケーションしたい。
ドミトリーには欠かせない共有スペースや共有キッチンもあるので、近所のスーパーまで食材を買いに行って、ほかの観光客に振舞うなんて楽しみ方も。何より日本人なら、源泉掛け流しの大きな温泉があるので、e-bikeでかいた汗を流すと最高の夜になる。
コナステイ伊豆長岡にはハイエースと軽自動車が用意されており、グループなど大人数の場合にはキャリアトレーラーで、1人や2人のような少人数の場合には軽自動車で周辺の目的地まで送迎してくれるのも魅力の1つ。
【2日目】e-bikeで沼津観光へ。聖地巡り続行&鉄道写真撮影
初日は横浜→伊豆の移動後、午後スタートのため走行距離は20kmちょっと。とはいえ、長いダラダラ坂や急坂を走破したのに、筋肉痛のひとつも感じない! スゲー、e-bike!! ドライブユニットもさることながら、スポーツタイプのe-bikeは一味違う面白さと快適さを楽しめることがわかってきた。ということで、2日目は沼津市内までコナステイ伊豆長岡の送迎を使ってスタート!
e-bikeを「DAVOS E-600」に乗りかえた筆者この日のお目当ては、沼津自慢の「ラブライブ!サンシャイン!!」仕様のマンホールから(笑)。こちらの写真は後ほどまとめて紹介しよう。またスタンプラリー以外にも、スマホの聖地巡礼アプリもあって、これを使うとAR空間にキャラクターを登場させて写真を撮ることができて楽しい。
クルマやバス、電車で移動していると、あっという間に車窓を流れる看板だが、e-bikeならよそ見運転にならない程度に看板が読める。だから名産品なども自然に目に飛び込んでくるのが、また楽しい。
またクルマやバスなどの乗り物を使うと、事前に調べたポイントをGoogle マップで最短距離で結んで移動するので、現地での新たな発見はあまりない。しかし、e-bikeなら街をサッと走って、いろんな発見ができるのも醍醐味だ。
たとえば「のっぽパン」。実は静岡県内でしか売っていないパンで、いわばご当地グルメだが、売ってる店が意外と限られているので、歩きで店探しをするのは少しためらう。しかし、e-bikeならサクッと走って店を探せるし、歩く時間も乗り物を待つ時間のロスもない。
そんなご当地グルメのパンを沼津の観光スポット「千本浜公園」で満喫したあとは、沼津駅でマンホール巡りを堪能し、三島駅に向かうというスケジュールだ。鉄道写真撮影スポットには、自転車と一緒に乗れるというサイクルトレインを利用する。沼津駅~三島駅は歩くと1時間半、クルマでも20分かかる道のりだが、e-bikeなら40分で到着。
とはいえ、意外とダラダラと続くゆるい上りがずっと続くので、普通の自転車なら苦行になることだろう。実際に女性観光客2人で普通のレンタサイクルを借りて観光しているのを見かけたが、ペダルも重くかなり疲れた様子だった。
始発の三島駅でサイクルトレインに乗って降りたのは3駅先の三島二日町駅。ここは伊豆箱根鉄道の勇姿を富士山をバックに撮れるという、絶好の鉄道写真スポットなのだが、当日は曇っていて富士山が見えず。とはいえ、ラッピング車両やいつ引退してもおかしくない185系の勇姿をカメラに収めることができた。
再びサイクルトレインに乗って宿のコナステイ伊豆長岡に戻ると、走行距離計は2日間合計でなんと約47km。「初めてe-bikeに乗った人にしては、かなり走りましたねー」とスタッフの声。およそ東京駅から鎌倉駅まで2日かけて走ったことになる。
e-bike超初心者の筆者がこの旅で感じたのは、「その土地の印象がより深まる」ということだ。徒歩だと駅前散策ぐらいしかできず、クルマだと地元の人とのコミュニケーションが取れない。でもe-bikeなら数十kmという広範囲をいろいろ散策しながら、いろいろ街の人の話を聞きながら楽しめる。より発見の多い旅ができることを保証しよう。
そして、全国数千万の同志「聖地巡礼者」のみなさんにも強くオススメしたい。e-bikeは聖地巡礼の最強の武器になること間違いなし!! これからはPCとe-bikeが巡礼のマストアイテムとなるだろう。聖地付近でe-bikeがレンタルできないか検索してほしい。
さらに鉄道写真、いわゆる撮り鉄のみなさんにもオススメだ。撮影スポットは、駅から離れて近くに駐車場もないので、クルマで行くにも徒歩で行くにもつらい場所が多い。しかしe-bikeなら、楽勝で撮影スポットまでたどり着ける。しかも、架線のポールの間隔が長い場所や障害物がない場所、イイ感じのカーブなんかを歩いて探すのは一苦労。e-bikeなら沿線をさくっと走って、もうワンランク上の撮影スポットを見つけるのにも便利なはずだ。
最後にもう1つだけ。e-bikeに乗るならサイクリング用のお尻にパッドの入ったパンツを履くことをオススメする! サイクリストはレーパン(レーシングパンツの略)を履くと教えてもらったので調べてみたら、インナーとして履けるパンツは2~3,000円から買える。今回は普段着の作業ズボンだったので、実は途中からお尻が痛くなってしまったのだ。ただし、乗り方や慣れで何度も乗っていると、長距離を走ってもお尻が痛くならないと、コナステイ伊豆長岡のスタッフのみなさんにも教えてもらった。次にe-bikeに乗る際にはぜひ試してみたいと思う。
とにかく、イイこと尽くしのe-bike。聖地や鉄道撮影スポットに限らず、自宅の近所にe-bikeをレンタルしているショップや施設があるか調べてほしい。そして、まずは試乗してみてほしい。e-bikeのスゴさや魅力をすぐに体感できるはずだ。