難波賢二のe-bikeアラウンド

e-bikeを快適に楽しむための"初心者向け"必須アクセサリー【前編】

 各メーカーから続々と新モデルが発表され、e-bike市場はますます盛り上がっています。そろそろe-bikeに乗ってみたい、始めてみたいと思う読者の方も多いのではないでしょうか。今回は、e-bikeを安全で快適に楽しむために必要なアクセサリーを、前後編に分けてご紹介しましょう。サイクリストにとっては基本中の基本ではありますが、e-bikeで初めてスポーツサイクルを体験するような方は、ぜひ参考にしてください。

e-bikeと一緒に揃えておきたいアクセサリー

 まずはe-bikeに乗るために絶対に必要なアクセサリーは「ヘルメット」「サングラス」「グローブ」です。日本では、シティサイクルに乗る際に必ずヘルメットを着用する人はまだまだ少ないのが現状ですが、e-bikeでのサイクリングはアクティビティとスポーツの両方の面があります。頭部保護のためにヘルメットを着用することは、スポーツサイクルの最低限のマナーと安全確保といえます。

 現在はe-bike専用ヘルメットが存在しないので、スポーツサイクル用ヘルメットのラインナップの中から、ロードバイク用かマウンテンバイク用を選ぶのがよいでしょう。ロードバイク用は軽量でエアフローに優れたモデルが多く、高級モデルでは空力性能を考えたモデルもあります。しかし、e-bikeでは0.01秒のタイムを気にする必要はないので、被り心地が良くてエアフローが優れたモデルをオススメします。MTB用を選ぶと多くの場合、サンバイザー(ひさし)が付いてきます。太陽を遮ることでオフロードの路面状態を見やすくする装備です。眩しいのが苦手な人は、MTB用を選択するという方法もあります。ちなみに、e-bike部のメンバーは「LAZER Blade+AF」のヘルメットを愛用しています。

サイクリング用の「ヘルメット」「サングラス」「グローブ」は、e-bikeサイクリングを始めるための3点セット。サングラスはサイクリング用に設計されている「Shimano AEROLITE S-MR」。ゆがみのない広い視界と撥水性を備えており、使いやすいのが特徴。メーカー希望小売価格は10,000円(税抜)。ヘルメットは被り心地に個人差があるので、しっかり被り心地をチェックしたい。e-bike部メンバーの愛用は「LAZER Blade+AF」で、最先端テクノロジーを搭載しながらコスパも良いのが特徴。メーカー希望小売価格は10,000円(税抜)

 次にサングラスが必要な理由ですが、まぶしさの軽減はもちろん、安全装備でもあるからです。人間の身体の中で眼球は最も弱い部分であり、アメリカの大学の研究では時速10km/hの事故でも失明の危険性があると報告されています。最近はテニスや野球などの球技でも安全のためにサングラスを装着する人が増えましたが、サイクリングでも同様に必須品です。高級品や自転車専用品の必要はありませんが、やはり名の知れたブランドの専用品はサイクリングをするために設計されています。例えば、ゆがみのない広い視界や撥水性が確保されており、使いやすく乗っていても快適です。

 そして、グローブ。落車(転ぶこと)の際には手のひらから着地するケースが多いため、擦過傷防止の意味でも安全装備として必須です。また、e-bikeは大容量バッテリーでロングライドもラクラクですが、30分を超えるようなライディングでは、段々と手のひらが痛くなってきます。できればサイクリング用のパッド入りグローブを購入しておきたいところです。

サイクリング用に設計されたグローブは、パッドがグリップと当たる位置に装備されており、速乾性に優れるのでライディングの快適さが大幅に向上します。写真はシマノのORIGINALグローブ。メーカー希望小売価格3,300円(税抜)

 また、e-bikeでアクティビティとしてロングライドを楽しむならば、パッド入りのウェアを用意しておくとよいでしょう。サイクリング用のパッド入りショーツを用意するのが最適解ですが、パッド付きインナーパンツを履いてその上にフィットネス用のウェアという選択肢もあります。また、私が街乗りで着用しているのは、普通のポロシャツに見えるデザインですが、速乾性に優れたスポーツ用ウェアです。サイクリング専用ウェアは敷居が高い……という人にも非常にオススメです。どんなスポーツにも共通しますが、定評あるブランドの製品はそのスポーツ向けに専用設計されているものが多いので、筆者としては専用品をオススメします。

写真はシマノのトランジット・ポロシャツ。速乾性に優れたファブリックと襟付きのスマートなデザインが特徴。サイドにポケットも付いています。メーカー希望小売価格7,000円(税抜)

 アクセサリーやアパレルを最初からいろいろ揃えようとすると、まとまった金額になってしまいます。まずは必要最低限のアクセサリーから始めて、経験値が増えるに従って揃えていくのがよいでしょう。次回はステップアップ編として、揃えておくと安心&便利なアクセサリーなどをご紹介します。

難波賢二

国際派自転車ジャーナリスト 1979年生まれ。20年近く昔のe-bikeの黎明期よりその動向を取材してきた自転車ジャーナリスト。洋の東西を問わず自転車トレンド全般に詳しく世界の自転車業界に強いコネクションを持つ。MTBの始祖ゲイリー・フィッシャーの結婚式にアジアから唯一招待された人物として知られる。