e-bike試乗レビュー

冬支度をはじめよう! e-bikeサイクリングのオススメ防寒対策は?

間もなく冬を迎えます。ベテランのサイクリストなら自分の走りに合わせた冬用のウェアなどを揃えていると思いますが、e-bikeで初めて冬のサイクリングを楽しみたい、冬のサイクリングツアーに参加したい初心者は、どんな装備で走ればいいんだろう? という方も少なくないのでは。そこで今回は、一般社団法人 日本サイクリングガイド協会の理事長・渋井 亮太郎さんに「サイクリング冬装備」について話を伺ってきました。また、具体的なウェアなどのアクセサリー例として、ジャイアントLivブランド担当の山口 真代さんにもご協力いただきました。

ジャイアント本社にて参考用にLivブランドのウェアなどを多数用意してもらいました

冬のサイクリングはどんなスタイルで走るべきか

渋井氏によると「天気予報の気温条件を下回る気温を想定した」準備が大切とのこと。特にツアーの場合は参加者全体のペースで走るため、1人で自由に走る時とは異なり、体温の維持ができないケースも出てきます。そのためには「寒さ対策の保険」となる上着などがあると安心だそうです。そこでe-bikeでのサイクリングやツアー参加の際は、下記のポイントを頭に入れておきましょう。

・ロードバイク専用ウェアだけでは寒さが堪える
・“ランニング”ではなく“散歩”するつもりで防寒対策
・冬期のツアー参加なら過剰なほどの寒さ対策が必要
・特に末端の寒さ対策が重要

ロードバイク専用ウェアだけでは寒さが堪える

本格的なサイクルジャージは、たとえ真冬用でもペダリング負荷で発汗することを想定しています。しかし、e-bikeのアシスト領域(24km/h未満)での走行では負荷が低く、気温や風の状況によっては発熱量が放熱量を下回ってしまうため、それを想定したウェア選びがポイント。具体的には「防風」だけでは不十分で「保温」まで考える必要があるとのこと。

防風などの機能性に優れた冬用の自転車専用ウェアだが、ロードバイクでの発熱量が前提なので、気象や走行ペースなど条件に応じた準備が必要。参考商品/LIV FLARA WINDPROOF THERMAL JACKET(17,000円)

“ランニング”ではなく“散歩”するつもりで防寒対策

ガイド経験が豊富な渋井氏が、ロングライドなど自身のツアー以外のイベントに参加した時に「寒さ対策が甘い」と感じるのは、自転車やランニングなどの経験に自信のある人だそうです。例えば冬の沖縄イベントでは、「沖縄は暖かい」というイメージなのか夏用ジャージだけで走り、雨で気温が下がってもレインジャケットだけで寒さにガタガタ震えて走る危険な参加者が散見されたそうです。そこで自身がガイドするツアーでは“散歩”するぐらいの防寒準備を事前に案内するそうです。参加者のレベルも経験もバラバラなので、そもそも大汗をかくほど高負荷なペースにはしないうえ、ウェアの脱ぎ着もきめ細かくガイドが指示するのが前提、ということです。

冬期のツアーなら過剰なほどの寒さ対策が必要

繰り返しになりますが、ツアーでは自分1人ではなく参加者全体のペースで走るため、想定外の低速で走り続けることもしばしば。日差しがあれば暖かさも感じますが、日陰や風が吹けば体温はすぐに奪われ、多少ペースを上げてもe-bikeでは負荷もそれほどかかりませんし、山間部で雨になり気温が急降下した時も自分だけ勝手に下山などできません。そのため、気温に応じたベースの服装に加えて、レインウェアやダウンジャケット、冬用の厚いグローブなど、1人なら用意しないような防寒対策も視野に入れておくのが重要です。

ウィンドジャケットは防風保温効果も。突然の雨に備えて常備したい

特に末端の寒さ対策が重要

自転車に限った話ではないですが、手足など末端が冷えてくると体全体が寒さを感じます。真冬の「風がある日」はスキー用グローブくらいの防寒レベルが必要だそうです。シフトやスマホの操作性が下がるというデメリットもありますが、まずは寒さ対策が優先です。また、風を通してしまうシューズはサイクリングを中止させるほどのダメージがあるので、靴下や足底カイロなどの対策が重要。ほかにも、ニットキャップやイヤーバンド、ネックウォーマーなども気温によっては必須となります。

冬用グローブもしっかり準備したい。参考商品/(手前)LIV HEARTY LF WINTER GLOVE(3,500円)、(奥)LIV NORSA X LF GLOVE(4,500円)

これらを踏まえると下の写真のような重ね着がまずはベースとなります。

ちょうど冬用のアイテムを探していた琴音さんも「あったかーい。しかも動きやすい!!」とご機嫌。参考商品/ジャケット:LIV FLARA WINDPROOF THERMAL JACKET(17,000円)、グローブ:LIV HEARTY LF WINTER GLOVE(3,500円)
メインのジャケットを脱いだ状態。参考商品/LIV FLARA MID-THERMAL LS JERSEY(12,000円)
e-bikeでも機能性を考ればタイツがオススメと語るLiv担当の山口 真代さん。とはいえ、タイツに抵抗のある女性はショーツを組み合わせるとよいとアドバイス。参考商品/タイツ:LIV FLARA THERMAL TIGHTS(15,000円)、ショーツ:LIV ENERGIZE BAGGY SHORTS(12,000円)、シューズ:LIV FAMA(12,000円)

最低限揃えて置きたいアイテムは? 手軽にできる寒さ対策は?

自転車専門ウェアは、当然ながら快適に自転車に乗るために開発されており、細部までこだわりを持った高機能が特徴です。したがって写真のように上から下まですべて揃えられれば確かにスタイリッシュで高機能ですが、その使用頻度に対して一式100,000円超という価格のハードルは高く、しかも前述したツアーペースの問題などもあります。そこで、最低限揃えておきたいアイテム、代用できるアイテムなどについても聞いてみました。

機能性に優れる専用ウェアながらシックなデザインとオーバパンツ着用で初心者にも馴染むスタイリング。でも、全部揃えるとそれなりの金額……

まずは防風・防水機能のある秋冬用の専用ジャケット。体の動きを妨げないストレッチ素材と設計で、重ね着しても動きやすく、スポーツサイクルの前傾姿勢にぴったり。お腹がタイトで背中が長めのデザインが外気の流入を抑え保温してくれます。財布やスマホ、ウインドブレーカーなどを快適に収納できるバックポケットやリフレクターなど、サイクリング向けの機能が充実しているため、冬でも夏でもアウターは専用ジャケットがオススメとのこと。

動きやすさと寒さ対策を両立させるジャケットは女性専門ブランドがオススメ
1枚内側のウェアは真冬なら終日隠れているため専用ジャージでなくともOK
専用ジャケットならスマホや財布はもちろん、レインジャケットなども安心収納

そして雨や冷気から手を守るグローブも、安全性と機能性の両面から自転車専用品を使って欲しいそうです。さらに余裕があれば、防風性と運動性を両立してくれる冬用の専用タイツが安心。サドルの痛みを軽減してくれるお尻のパッドがe-bikeには必須だからです。

冬用グローブは自転車の専用品がマスト

これらをベースにして、アウトドアブランドや最近人気のワークマンプラスなどの防寒インナーやフリース、タイツ、軽量ダウンジャケット、レインウェアなどを、インナーやミッドウェアとして、あるいは念のために携行するウェアとして取り入れるとよいでしょう。

そして、手軽な寒さ対策として「携帯用カイロ」もオススメだそうです。自転車に乗っていると身体の正面が意外に冷えます。体内の臓器を冷やすと体調に悪影響があるため、胸からお腹にかけての中心部分に縦にカイロ2〜3枚を貼るとグッと快適になるそうです。ほかにも、手首の内側や二の腕の前側、靴の中敷なども、カイロが効果的な場所だそうです。

また、これは寒さ対策ではないですが、e-bikeで自転車生活をはじめる方へのアドバイスもいただきました。アシスト領域内で走るe- bikeはペダルへの力が少なくて済むのと比較的前傾姿勢がゆるいぶん、体重がサドルに集中するためにお尻が痛くなりがちです。そのため、ロードバイク入門以上に本格的なパッドのあるパンツがオススメだそうです。

さらに、シューズのソールがやわらかいとペダリングのパワーを吸収してしまい足が疲れやすくなるので、ライトトレッキングシューズやウォーキングシューズなどのようにソールが固めのものを選ぶと良いとのこと。あるいは、カジュアルなデザインのサイクリングシューズもオススメです。

お尻が痛くなりがちなe-bikeにはパッドがあると安心。まずは夏冬兼用として本格的なサイクルジャージのパンツかタイツを入手したい
見かけは専用ビンディングシューズながら歩きやすいサイクリングシューズも。参考商品/LIV FAMA(12,000円)

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