難波賢二のe-bikeアラウンド
e-bikeを快適に楽しむための“初心者向け”必須アクセサリー【後編】
2019年9月24日 00:00
前回はスポーツサイクル初心者向けに、e-bikeに乗るための必須アクセサリー「ヘルメット」「サングラス」「グローブ」について取り上げましたが、ここではステップアップ編として、より安全に快適にe-bikeを楽しむためのアクセサリーをご紹介します。
メンテナンスに必要なアクセサリーを揃えよう
まずメンテナンスで必要なアクセサリーはフロアポンプ(空気入れ)です。e-bikeに限らず自転車を所有すれば、空気は自宅で入れる人がほとんどでしょう。特にスポーツサイクルの高圧タイヤの空気は、すぐに圧が下がってしまうため、乗る前に必ず規定空気圧にセットする必要があります(MTBタイプは数日なら調整なしでも大丈夫ですが)。タイヤサイズや体重によって空気圧が異なるため、e-bike購入時にショップで空気圧について教えてもらいつつ、フロアポンプも購入するのがベストでしょう。また自転車専用に設計された六角レンチ(自転車の規格はミリ)セットも揃えておくと、簡単なネジの増し締めができて便利です。
アクセサリーによって値段はピンキリですが、ヘルメット、サングラス、グローブ、フロアポンプ、六角レンチセットの5点で2~5万円程度の予算を見ておけば、しっかりしたものが入手できます。
トラブル回避&予防のためのアクセサリー
目の前に見える山を越えて、さらにその先までe-bikeで目指すような場合には、さらに必要なアクセサリーが増えます。まず自転車でいちばん多いトラブルはパンクです。パンク修理を学び、その修理ツールを携帯することは必須です。
タイヤレバー、タイヤパッチ、携帯用ポンプがあれば修理は可能ですが、私はパンクしたチューブは再利用せずにスペアチューブと交換しています。一度パンクしたチューブはもう一度パンクしやすく、そもそもパンクする頻度もそんなに多くありません(筆者の場合は3,000~5,000kmに一回くらい。乗り方やフィールドで異なりますが)。ゴム製品は新しい状態のほうが乗り心地や性能面で優れるため、交換してしまうというのが理由です。
パンク修理やチューブ交換の方法は、プロショップで行なっている講習会に参加して学ぶのがよいでしょう。修理に自信のないうちは、複数のスペアチューブを用意したり、パッチも多めに持って行くと安心です。また当然ですが、自転車はチェーンが切れては走行できません。e-bikeの多くで専用に設計されたチェーンが装着しているとはいえ、万が一のトラブルに備えてチェーンコネクティングピンと、チェーンカッター付きの工具を携帯しておけばより安心でしょう。
そしてe-bikeといえど、サイクリングの発汗量は相当なものになります。まったく水分補給しない場合は、驚くほど早く脱水症状が現れますので、水分補給用のボトルとボトルケージがあると安心で快適です。e-bikeで主流の外付け式バッテリーの場合は、ボトルケージを1つしか装着できないモデルが多いのが現状です。しかし、インチューブ式バッテリーのe-bikeは2本装着可能なモデルが多いので、2つのボトルケージを装着して、1つは修理ツール類を入れておくのもオススメです。
ボトルケージが1つしか装着できない場合は、サドルバッグやハイドレーションバッグを用意して修理ツールや用品を入れておくのもよいでしょう。サドルバッグはその名のとおり、サドル後方に装着する小さなバッグで、修理ツールやパンク用品を入れておくのにちょうどいいサイズです。ハイドレーションバッグは、背中に背負うコンパクトなバッグで、5L程度の収納容量と水分補給用のウォーターバッグを装備しています。水を入れると重くなりますが、アシスト付きで快適なe-bikeですから、走行距離や時間に応じてウォーターバッグを併用するのもよいでしょう。
e-bikeでロングライドを楽しむのに便利で快適なアクセサリー
e-bikeに乗り慣れてきて、バッテリーの性能を最大限に活用して乗りたい。1泊2日で出かけたい。こうしたサイクリングでは、峠も含む長距離を走ることになります。そんな時にサイクリング専用のシューズを履くと、より快適にロングライドを楽しむことができます。とりあえず短距離を乗ってみよう、e-bikeを始めてみよう、といったケースであれば、つま先が露出せずに踵がカバーされているシューズで十分です。
ただしロングライドでは、サイクリング用に設計されたソールが硬めのシューズが快適です。スポーツサイクルにはスキーのビンディングのようなビンディングシステム(シマノのSPDというシステムが圧倒的に有名です)があります。シューズとペダルを固定することでペダリング時にペダルを引き上げる力を使えるようになり、キレイで高効率なペダリングが可能になります。脱着にはコツが必要なので、購入時にショップで脱着方法を習うのがよいでしょう。さらにサイクリング専用に設計されたソックスを履くと、より快適に走行できます。一般的なソックスは蒸れやすく、サイクリングではくるぶしが特有の動きをするため、専用に設計されたものでないと、ペダリング時に不快な感覚になりがちです。
また、坂を上って高所に向かうと、100mごとに約0.6℃気温が下がっていきます。e-bikeなら気楽に1,000m程度の坂を上れてしまうので、麓では汗が出るほど暑かったのに、下る時には寒くて手がかじかむようなことも普通に起こります。高所に向かうのであれば、サイクリング専用に設計された透湿防水用のウインドブレーカーなどの防寒アクセサリーは必須装備といえます。
e-bikeで走るようになって、山を越えて、もっと遠くに行きたいと思ったならば、必要なアクセサリーを順番に揃えていくのも楽しいものです。誰にでも初心者の時期はありますが、それは一生に一度しかないものです。ぜひ、安全で楽しいe-bikeライフを送ってください。