老師オグチの家電カンフー

結婚指輪もしないのに一生使い続ける気がしてきたスマートリング「Oura Ring 4」

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
ŌURA「Oura Ring 4」52,800円(Silver、Black)、59,800円(Brushed Silver、Stealth)、74,800円(Gold、Rose Gold)

最近、更年期のせいなのか、夜中の3時や4時に目が覚めることが増えてきました。睡眠のウォッチが必要だと思いつつ、とはいえスマートウォッチによる睡眠データは継続できませんでした。もともと詰め襟やネクタイ、タートルネックが息苦しく、腕時計やネックレスといったアクセサリーも煩わしく感じるタイプなんですよね。

スマートリングも、同じ理由で無理だと思っていたのですが、7月に発売された「Oura Ring 4」を使い始めてから10日以上が経過。結婚指輪すら窮屈という理由で着けていなかったのに、普段ほとんど気にすることなく装着し続けています。

続いている最大の理由は、従来のスマートリングよりもスリムで軽量化されていることです。しかも、内側のセンサー部分に凹凸がなくフラットなので、指に違和感がほとんど生じません。

内側に凹凸がなくフラット
こちらは初代のOura Ring。ゴツくてかっこよいかもしれないが、自分には無理そう

Oura Ring 4には専用の無料サイジングキットが用意されており、事前にサイズを計測します。サイズの計測は左手の薬指で行ないましたが、発表会でŌURAのスタッフの皆さんがほぼ全員人差し指に着けているのを見て、人差し指に装着することにしました(指の太さがほとんど変わらなかったし)。

薬指だと小指と中指に挟まれるので、若干窮屈さがありましたが、人差し指は親指側に空間があるので圧迫感がなく、自分にとってはこちらの方が正解だったと思います。

Oura Ring 4のサイズは4〜15(米国規格)の12種類。サイズを計測するための無料キットが用意されている

あとは普通の指輪や眼鏡などのアクセサリーと同様で、慣れの部分が大きいです。最初、スマートリングを着けた指で目をこすったりして焦りましたが、徐々に慣れてきました。

100mの耐水性能があるので、入浴時などに外す必要もありません。食器洗い時はカチカチと食器とぶつかるものの、チタン製の本体には傷ひとつつきません。充電などで外す際は、せっけんをつけて滑らせるように取るのですが、うっかり排水口に流さないように注意が必要です。

1回の充電で最大8日間駆動する
慣れと防水性能とで、日常生活において違和感を感じることはほぼなくなってきた

冒頭に書いたとおり、個人的にもっとも知りたかったのは睡眠のデータです。Oura Ring 4では、「深い睡眠」「浅い睡眠」「レム睡眠」「覚醒」のほか、睡眠時の心拍数や血中酸素飽和濃度(SpO2)、呼吸もモニタリングします。

やはり、夜中に目が覚めているので、6時間は寝たと思っていても、合計睡眠時間が4時間程度だったりすることが可視化されました。また「深い睡眠」の時間が、だいたい全体の10%前後。理想的な割合は15%から25%とされるので、改善のしがいはありますね。

睡眠データはかなり詳細に可視化される。睡眠時の呼吸や心拍、血中酸素濃度についてもデータがとれるので、その手の症状が気になる人にも役立つだろう

ちなみに、お酒を飲むと眠りが浅くなると言われますが、自分の場合はさほど影響がないというか、飲んだ日に「深い睡眠」が20%を超えたりします。ちょっと理由が分からないのですが、家で飲む際は夕食が軽めだったせいかもしれないし、楽しく話すことでストレスが軽減しているのかもしれません。睡眠の質と生活の関連については、今後探っていきたいですね。

もう1点、スマートリングは、通知に煩わされることがないのも個人的にはメリットに感じました。スマホでも家電でも、最近の製品は通知が多すぎです。Oura Ringもアプリでは「少し足を伸ばしませんか?」などと通知が来ますが、設定でオフにできますし、リング自体は何も通知してこないのがいい。

黙々とデータだけを計測してくれ、存在を意識せずに使えるという意味では、チップを体に埋め込む未来の1歩手前です。体にチップを入れるのは、ちょっと怖いので、スマートリングでいいかな。なんなら、一生使い続けていくような気もしています。

違和感なく装着でき、通知に煩わされることもないため、一生使い続けられそう
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>