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パナソニック「くらしをアップデート」による未来の姿、人について回るロボットや手ぶらで会議できるテーブルなどを展示

 パナソニックが、2018年10月30日にスタートした創業100周年記念イベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」では、基調講演や特別講演などのフォーラムに加えて、同社が思い描くこれからの「A Better Life, A Better World」の姿を具体的に示す総合展示会が開催されている。

暮らしをIT化するプラットフォームになる「HomeX」

 まずは総合展示会場での展示から紹介しよう。

 「HomeX」は、住宅設備や家電、セキュリティ用のセンサー類などをネットワークで接続することで、人々の生活に根ざした機能やサービスを提供することを目指す「くらしの総合プラットフォーム」だ。住宅などとインターネットやソフトウエア技術と連動・融合することで、これからの暮らしを常に"アップデート"することを目指すという。

 展示会場では、パナソニック ホームズの都市型IoT住宅に、HomeXのプラットフォームに対応した「HomeX Display」を設置してさまざまな機能やサービスを実現するというデモを行なっていた。

Wi-Fiやセンサーを内蔵するタッチパネルディスプレイ方の「HomeX Display」。機器の開発・製造はShiftallが中心となり、パナソニックと共同で実施しているという
住宅内のHomeX対応機器と連携してさまざまな機能やサービスを実現する。パナソニックの機器だけでなく、他社の家電製品やスマートスピーカーなども含めて一元的に活用できるようにしたいとのことだ

人を支えてつなぐ、ロボットや小型コミューター

 「歩行トレーニングロボット」は、ICカードをかざすと、その人の身体状況やトレーニング進捗状況に応じて最適なトレーニングができる。介護施設などへの導入を目指しているという。

「歩行トレーニングロボット」は、介護施設などへの導入を目指しているという
ICカードに基づいて、その人に合った最適なトレーニングができる
歩行中は、歩行速度や体の傾きの推移なども分かる
歩行時に押したときの重さ、ブレーキの強さなども設定できる。後ろに下がらないようにロックも可能

 高齢者など、外出が困難な人の斜め後ろをついて回って、荷物持ちをサポートしてくれる「パーソナルポーターロボット」も展示されていた。フタの開閉は、顔と骨格で認証して行なう。2Lペットボトルを6本まで入れられるという

「パーソナルポーターロボット」は、人の斜め後ろを付いてきて、視界の端に入ってくれるので安心して散歩や買い物ができる
前方に内蔵するカメラで顔・骨格認証して、フタを開閉する

 こちらは、新しい移動手段として提案される「eパワートレイン」。バッテリーと駆動部、キャビンをモジュール化し、キャビンを載せ替えることでさまざまな小型電動コミューターを作れるという。無人運転のためスペースが広いことに加え、乗車中に英会話教室や健康相談などを実施し、移動時間を別の有意義な時間に充てることができるようになるという。

「eパワートレイン」のベース。バッテリー、駆動部、キャビンをモジュール化し、載せ替えることで、各種小型電動コミューターを作れる
チャージャーとDC/DCコンバーター、インバーター、モーターを一体化したモジュール
eパワートレインをベースにした、自動運転の電気自動車「SPACe_C」の一例。スクールバスをイメージしたもの
無人運転のためスペースが広い
スクールバスとして移動しながら、英会話教室を実施するイメージのデモ
可動式の椅子をベッドにして健康相談を受けることもできるという

空港や街のアクセスビリティを向上させるロボットなど

 「WHILL NEXT」は、独自の制御技術を搭載した電動車椅子。スマートフォンアプリで呼び出した後は、歩いている人や物などを避けながら、チェックインカウンターまで自動的に進んでくれる。またフロア内を自律移動するサイネージロボット「Signage HOSPI」は、すでに2018年1月から2月にかけて成田国際空港で実証実験も行なわれたという。

電動車椅子「WHILL NEXT」。空港をイメージしたデモ
スマホアプリで呼び出す
スーツケースをカートに入れる
歩いている人や物などを避け、自動的に進んでくれる
自律移動できるサイネージロボット「Signage HOSPI」
2018年1月から2月に実証実験も行われたという

「NEXT100」会場では先鋭的なプロジェクトを多数展示

 続いて、新規事業の創出活動のほか、パートナーとのマッチングによってオープンイノベーションをアピールする「NEXT100」の展示会場の様子を紹介しよう。

 まずはパナソニックのドラム式洗濯乾燥機の中で3Dキャラクターが踊るデモが目を引いた。これは、ピクシブが提供する、3Dモデルを簡単に作成できるキャラクターメイカー「VRoid Studio(ブイロイド・スタジオ)」と、Life is Styleが提供するホログラムディスプレイ「3D Phantom(スリーディーファントム)」の両サービスがコラボした展示。

ピクシブのキャラクターメイカー「VRoid Studio」と、Life is Styleのホログラムディスプレイ「3D Phantom」のコラボした展示
ドラム式洗濯乾燥機という日常にある生活機器と、「VRoid Studio」のキャラクターを組み合わせ、未来を表現したという

 ブレスト内容の録音、検索などが行なえるため、手ぶらで参加可能な新しい会議の形を体験できる「Transparent TABLE」は、タッチディスプレイ付きの会議テーブルだ。また、「Smart 菜園's(スマートサイエンス)」プロジェクトは、完全閉鎖型植物工場の技術を生かし、街中植物工場システムの開発・検証を行なっているという。

タッチディスプレイ付き会議テーブル「Transparent TABLE」で、会議に手ぶらで参加できるようになるという
街中植物工場システムの開発・検証を行なう、Smart 菜園's」プロジェクト

 パナソニックが、ロフトワーク、カフェ・カンパニーとともに「100年先の世界を豊かにするための実験区」として開設している、「東京渋谷ヒャクバンチ」。その展示会場で担当者が「これからの100年を楽しくしているプロジェクトならなんでも歓迎」と話していたように、いい意味で"学園祭"のような、熱気とアイデアにあふれた取り組みが紹介されていた。

ランタン型照明にディスプレイを貼り付け、空間の演出、デジタルサイネージとしての商品訴求、映像コミュニケーションなさまざまな映像表現が可能な「Lanterna(ランターナ)」
3Dプリンターのようだが、さまざまな素材を編み込むことで構造物を作る「Solidknit」プロジェクトの展示
R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のLEDを混ぜて白色にするのではなく、あえてRGBそれぞれの影を作り出す「RGB_Light」プロジェクトの展示
光は白いもの、影は黒いものという固定概念を覆す、「彩る影を楽しむ照明」というユニークなコンセプト
翻訳機を漫画の重要な要素である「吹き出し」のような形にし、コミュニケーションツールとして利用するというコンセプトの「Fukidashi」

未来の社会課題解決に取り組む「Game Changer Catapult」の展示

 新しい技術・サービスを活用した新規事業アイデアで、未来の社会課題解決に取り組むという「Game Changer Catapult(ゲーム・チェンジャー・カタパルト)」。会場には、製品発売やサービス実現に向けて開発が進められている、さまざまなプロジェクトが展示されていた。

CO2(二酸化炭素)カートリッジとH2O(水)を組み合わせて作り出した「OHラジカル」で、優しく歯のホワイトニングできるという「Sylphid」
本体は約500ドルで、約10ドルのCO2カートリッジは2時間ほど使えるという。(ホワイトニングの目安は計20時間程度とのこと。2021年以降の発売を目指している
テーブルのコマを動かして気分や感情を表現すると、状況に合ったアロマを放出する「AROMATION」のデモ。商業施設のほか、個人向けの展開も模索しているとのことだ
「AMP(Ambient Media Player)」は、自然環境やアート作品など、さまざまな映像を映し出して商業施設などの壁を彩る

 また「Game Changer Catapult」には、調理関連のプロジェクトもある。これらプロジェクトについては、発足のきっかけなどを、2018年8月8日の「Smart Kitchen Summit Japan(スマートキッチン・サミット・ジャパン)2018」の記事でお伝えしているので、気になる方は読んでみてほしい。

温度センサーとスマホアプリによって温度推移を管理しながら手作りの味噌を造れるという、マルコメとのコラボレーションプロジェクト「Ferment 2.0」
日本発のヘルシーフード「おにぎり」をおいしく作れる「おにぎりロボット」に加えて、アプリによる具材・トッピングのカスタマイズ、発注・販売管理までのトータルパッケージによって海外展開を目指す「ONIROBOT」のプロジェクト
オフィスの“ランチ難民”を解消する「totteMEAL」プロジェクト
「totteMEAL」では、市販の冷蔵庫にスマートロックやQRコードリーダーなどを加えることで、スマートな弁当販売が可能になる