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パナソニック、サービスプロバイダー向けプログラム「HomeX CROSS VALUE STUDIO」の説明会を開催

 パナソニックは2019年1月30日、東京・池尻大橋のBPM by TABILABOにおいて、くらしの統合プラットフォームである「HomeX」を対象にしたサービスプロバイダー向けプログラム「HomeX CROSS VALUE STUDIO」の説明会を開催。約15社のスタートアップ企業などが参加した。

 パナソニックからも、HomeXを推進するパナソニック ビジネスイノベーション本部の馬場 渉本部長をはじめ、HomeXの担当者のほか、アプライアンス社、パナソニック ホームズの社員などが参加。参加企業とパナソニック社員をあわせて約60人が、パナソニックによる説明、参加企業によるプレゼンテーション、ランチミーティングなどを通じて、情報交換を行なった。参加企業は、サービスプロバイダーを中心に13社が集まった。

HomeX CROSS VALUE STUDIOの説明会の様子
参加した企業一覧

 HomeXは、家電や住宅設備の機能を統合し、クラウドとつながることで、各種機器を遠隔操作したり、多彩な情報を提供。一人ひとりのライフスタイルに合わせて、くらしをアップデートできる家を実現するプラットフォーム。

 構成は、HomeXの世界を実現するソフトウェア基盤である「HomeX Platform」、HomeX Platformに対応したタッチポイントでデバイスである「HomeX Display」、Home Xに対応した機器である「Home X Appliance」となっている。HomeX向けのAPIは、すでに200種類以上が用意されており、様々なデバイスがHomeXと接続できるようになる。

 オープンプラットフォーム化しているのが特徴で、顧客やパートナーとともにエコシステムを構築し、くらし社会への貢献を目指すという。

 パナソニックは、2018年10月に、HomeX対応の第1弾製品として、「HomeX Display」を発表するとともに、パナソニック ホームズの都市型IoT住宅「CASART URBAN(カサート アーバン)」にHomeXを搭載。HomeXを通じて、伝言や宅内通話などによる家族同士のコミュニケーション、おすすめの生活情報の提案のほか、複数の居室に設置したHomeX Displayから、照明やシャッターを遠隔操作するといったことができる。

 今回の説明会には、CASART URBANの購入者も参加。説明会終了後には、東京・駒沢の駒沢公園ハウジングギャラリーの「CASART URBAN」の見学会も実施された。

HomeX CROSS VALUE STUDIOプログラムの概要

 今回発表したサービスプロバイダー向けプログラム「HomeX CROSS VALUE STUDIO」は、HomeXに関心を持つサービスプロバイダーなどを支援する内容となっており、オープンイノベーションの考え方に基づいて、HomeXの世界に多くの企業が参加できるように支援するプログラムとなる。

 具体的には、「新しいくらしの価値創出ワークアウト」、「価値検証に向けたPoC/PoV検証やMVP開発」、「HomeXサイドおよびパートナーサイドでのアジャイル開発と価値検証」、「共同PRやマーケティング活動」を予定。

 米シリコンバレーに本拠を置き、ビジネスイノベーション本部が推進している「Panasonicβ」で培ったデザインシンキングやプロトタイピングなどのノウハウと、パートナーが持つノウハウを融合させたり、パートナー同士のコラボレーションを視野に入れたイノベーション創出活動につなげる考えだ。

 費用負担や実施時期、実施内容については個別相談とし、米シリコンバレーのPanasonicβを活用した集中ワークアウトの実施なども視野に入れている。

Home Xにおけるプラットフォーム、デバイス、サービスプロバイダーの位置づけ

 今回の説明会は、HomeX CROSS VALUE STUDIOを説明するとともに、HomeXがオープンプラットフォームであることを前面に打ち出し、様々な社外パートナーと共創活動を行う姿勢を示すことも目的とした。

 説明会において、パナソニック ビジネスイノベーション本部の馬場 渉本部長は、「一般的に、家電や住宅設備は、購入したタイミングで最大の価値および機能を有しており、その後、陳腐化していくことになる。だがHomeXは、購入後にアップデートし、それぞれの家族にとって、最適な家へと進化させることができる。テスラがアップデートによって、いま乗っているクルマをまるで新車のように進化させることで新たなワクワク感を体験できる。これと同じようなことを家でも実現したいと考えている」と話した。

HomeX CROSS VALUE STUDIOの説明を行なうパナソニック ビジネスイノベーション本部の馬場 渉本部長

 続けて「そのためには、家電・設備メーカーやサービスプロバイダー、ハウスメーカーといったパートナーとの共創が不可欠である。パナソニックにとって、競合となるような家電メーカーや住宅メーカーも、Home Xではパートナーになる。まずは、パナソニックによる垂直統合型の開発が先行しているが、今後は、オープンイノベーションによって、よりよい暮らしを実現をしていくことになる。

 パナソニックの製品には、毎日10億人のユーザーがアクセスしているが、こうした人たちをデジタル化する一方で、HomeXによって、Googleが展開するスマホ向けのAndroidや、自動運転向けWaymoのような役割を、住宅領域で果たしていきたい」と説明した。

オープンプラットフォームにより、くらしがアップデートしていく
HomeXが対応する家電や設備

 また、HomeX CROSS VALUE STUDIOの狙いについて、「IDEATE」、「DEVELOP」、「UNITE」という3つの観点から説明。

 「IDEATE」では、これまでPanasonicβで行なってきた、デザインシンキングの手法を取り入れたユースケース検証やプロトタイピングによって作り上げた5000を超えるアイデア、900を超えるユースケースの実績やノウハウをパートナーと共有したり、融合させ、アジャイル開発を加速することを目指すという。

 「DEVELOP」では、Panasonicβの実験ハウスによる検証や、国内での量産プロトタイピングのノウハウを活用して、パートナーとの共同開発を加速。このプロセスを活用することで、エンドカスタマーに近いフィールドで価値検証を行なうという。

 「UNITE」では、各パートナー企業が目指すビジョンを実現するために必要となるテクノロジーやノウハウなどを持った他のパートナーとの共創を促進したり、共同開発や価値創造を行なうための競争の場を提供。新たなエコシステムを創出することを目指すという。

 HomeXの取り組みにおいては、まだ具体的な成果が出ていないものの、これまでにも大手企業などと共創を開始していることには言及していたが、今回の説明会では、主にスタートアップ企業が参加しており、HomeX CROSS VALUE STUDIOプログラムを通じて、新たな共創の輪が広げようとしていることを示す内容となった。