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パナソニック、「HomeX」の推進や新たなセンシング技術の活用など、2019年の取り組みについて発表

 パナソニックは、2019年1月7日(現地時間)、米ラスベガスで開催しているCES 2019のプレスカンファレンスで、くらし統合プラットフォーム「HomeX」について説明。パナソニックが目指すコネクテッドホームの具体的な取り組みを示した。

くらし統合プラットフォーム「HomeX」について説明

 パナソニック 専務執行役員兼CTOである宮部 義幸氏は、「HomeXは、キッチン家電やブラインド、防犯カメラ、音楽といった家の中の、すべてのIoTデバイスを制御し、人間中心の設計をもとにした新たなテクノロジーを簡単に使うことができるものになる」とし、HomeXを通じて、お気に入りの曲で目覚め、ブラインドを開き、部屋の空調を自動的に制御することで、快適な朝を過ごせる例を紹介した。

パナソニック 専務執行役員兼CTO 宮部義幸氏

 一方で、宮部CTOは、「パナソニックの家電には、毎日10億人以上のアクティブユーザーがいる。こうしたユーザーとの接点を生かして、より深く人々の暮らしを理解したソリューションを提供していくことになる」と発言。また、2018年に100周年を迎えたパナソニックが打ち出した「くらしアップデート業」を具現化する取り組みとして、「Human-Centric Technology」を紹介した。

 Human-Centric Technologyの実例として、カメラ映像の画像処理技術とAIによって、顔認識、年齢、性別などの外見的な人の特徴と心拍数を同時に認識する「人センシング」、空間における人体の動きを3Dでセンシングして、個人の身体特性を定量化する「身体負荷センシング」、カメラや熱画像カメラ、感圧センサー、匂いセンサーなどの独自デバイスと分析アルゴリズムを組み合わせて、感情や温冷感、体動、ストレスなどの人の状態を高精度に推定する「感情センシング」を紹介。

 「これらの技術は、家電製品から学んだことに基づいて開発したものであり、新しい市場へ展開していくことになる。たとえば、この技術を活用することで、ドライバーが眠くなっていることを検出し、事故を防ぐために使用できる」などと述べた。

 さらに、「Human-Centric Technologyを活用することで、日々のやりとりのなかから、家族の好みを理解して、より良い体験を提供できるようになる」などと語った。

「人センシング」
「身体負荷センシング」
「感情センシング」

ディズニーとのパートナーシップを強化、ミッキーのアトラクションにプロジェクター

 また、パナソニックは、ディズニーとのパートナーシップを強化することを発表。映像・音響技術を活用した「Immersive Experiences」を新たに提供するほか、今年ミッキーマウスが誕生90周年を迎えたことにあわせて、ミッキーマウスをベースにした初のライドスルーアトラクションを、米フロリダ州オーランドのディズニーハリウッドスタジオテーマパークで導入することを発表。ここに、パナソニックのプロジェクターを使用することも明らかにした。

ミッキーの新アトラクションに同社のプロジェクターを使用するという

 さらに、LUMIXの新製品であるフルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX Sシリーズ」を、2019年3月末に発売することを公表したほか、欧州市場向けに発売する有機ELテレビの新製品「GZ2000」や、テクニクスブランドのDJ向けターンテーブル「SL-1200 Mark 7ダイレクトドライブターンテーブルシステム」などを発表してみせた。

フルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX Sシリーズ」
有機ELテレビ「GZ2000」
テクニクスのDJ向けターンテーブル「SL-1200 Mark 7ダイレクトドライブターンテーブルシステム」
DJによるパフォーマンスも行なわれた

 自動車関連では、小型EV向けの新プラットフォーム「48V ePowertrain」を発表。電源システム部(車載充電器、ジャンクションBox、インバータ、DC-DCコンバータ)と、駆動部(モーター)で構成されるが、モーター設計や冷却構造を見直すことで、従来と同じ容積で2倍以上の出力となる18kWの高出力を実現。このプラットフォームをベースとした上下分離構造のコンセプト小型モビリティ「SPACe_C」も同社ブースに展示するという。

 パナソニックの北米総代表であるトーマス・ゲッパード氏は、「パナソニックは、60年以上にわたり自動車産業で事業を行なっており、車載エンターテインメントおよび車内情報システムのマーケットリーダーである。また、急成長している電気自動車向けバッテリー分野でも、市場をリードしている。今回発表した新たなプラットフォームを採用することにより、小型EVのさらなる軽量化、車室空間の拡大、走行距離の延長が可能になる。様々なパートナーとともに、EV普及と新ビジネス創出に取り組む」とした。

パナソニックの北米総代表であるトーマス・ゲッパード氏

 そのほか、フィコサによる世界初の量産用C-V2X車載用商用ユニットの開発や、コロラド州運輸局が推進・提供するインテリジェントな道路ソリューションについても説明。「V2X(Vehicle-to-Everything)プラットフォームのCirrusは、オープンなアーキテクチャーであり、実用化に向けてフォードやクアルコムなどと協業している。今後、米国全土における標準的な業界プラットフォームになるだろう」などとした。

 また、次世代航空機内サービスのプラットフォーム「アビオニクスnext」を発表。業界初のエンタープライズデータクラウドプラットフォームと位置づけ、航空会社の業務の最適化と旅客体験の向上を実現するという。

 さらに、Van Desselとハーレーダビッドソンの電動二輪車を紹介。Van Desselにパナソニックのモーターを採用していることや、ハーレーダビッドソンが北米市場向けに投入する初の電動バイク「LiveWire」のコネクティッドサービスに、パナソニックの通信ユニット(TCU)やクラウドサービスを提供することを紹介。バッテリー残量や走行可能距離の確認、バイクの状態の常時管理、盗難時の追跡などに利用できるという。

 ゲッパード氏は、「パナソニックは、日本のe-Bike市場において、40%の市場シェアを持つナンバーワンのe-Bikeドライブシステムメーカーである。米国でも、e-Bikeの売上高は、2014年以来、8倍以上に成長している」などとした。

ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」
Van Desselの電動二輪車

 会見の最後に、ゲッパード氏は、「パナソニックは、コネクテッドモビリティ、インテリジェントリビングスペース、イマーシブエクスペリエンスの分野において、物理的な世界と、デジタルの世界をシームレスにつなぎ、すべてのコンシューマ向けにパーソナライズしたサービスを提供することになる」と、今後の方向性を示した。