ニュース
CES2018が開幕。創業100年を迎えるパナソニックが目指す未来の姿とは
2018年1月11日 11:53
CES 2018が、2018年1月9日から12日(現地時間)まで、米ネバダ州ラスベガスにおいて開催されている。
パナソニックは、ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のセントラルホールに、前年の約1.7倍となる2,508m2の展示スペースを確保。例年同様のソリューションエリアに加えて、今年はビジョンエリアを設置して、創業100周年を迎える同社の経営理念と将来の姿を示してみせた。
さらに、Tech West会場では、サンズエキスポに、同社オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社が、ワンタッチホームオートメーションなどを展示。ベネチアンタワーでは、Technicsの新商品などを展示した。
家電製品の展示は、アプライアンス社が取引先などを対象にMGM GRANDで実施。メイン会場では家電の新製品展示は一切行なわれていなかったが、対象者を限定した形で家電製品を紹介する場を設けた。
創業100周年の歩みを松下幸之助氏の言葉を用いた映像で紹介
関係者の間で注目を集めたのが、LVCCセントラルホールのメインブースにおいて展示した「Concept Exhibit Meet Mr. Matsushita~創業者の熱意とイマジネーション」である。
同社では、「2018年3月に創業100年を迎えることへの感謝を伝えるとともに、次の100年に向けて歩み出す将来ビジョンを、映像を中心に紹介した」としており、パナソニックの100年の歩みと経営理念を、創業者である松下幸之助氏の言葉を用いた映像で紹介。
ここでは、「Panasonic DNA」として、パナソニックの歴史的商品の展示に加え、家電で培った技術が、現在のB2Bソリューションビジネスにも息づいていることを伝えた。
また、「住空間」、「サプライチェーン」、「モビリティ」、「環境(エネルギー)」の4領域で、パナソニックが2030年に目指す、人のくらしや社会に貢献する姿も紹介した。
IoTやロボティクス技術で人に寄り添う「家」を実現するHome Xプロジェクト
さらに、メインブースでは、「Home Xプロジェクト」のコーナーを設置。住空間に適したUX/UIを提供することで、新たな価値を創造するHome Xのコンセプトと、「家とはどういうものになるべきなのか」を考えるPanasonic βの活動を映像で紹介した。
そのほか、車載関連展示では、「自動運転時代の移動時間の過ごし方に新しい価値を提供する未来空間」をテーマに、完全自動運転車の普及が想定される2030年において、車内がリビングとしても利用できることを提案する「Living Space Autonomous Cabin」を展示。Living、Business、Relax、Enterteinmentの4つのスタイルをデモンストレーションし、シーンに応じて姿を変える2030年の快適な車室内空間のコンセプトを提案し、移動時間や移動空間の過ごし方が変化することを示した。
Home Xでは、IoTやAI、ロボティクスの技術がさりげなく人に寄り添う快適な「家」を実現。家をモチーフにした構造物の周囲に様々な家電を、グラフィックや白い家電模型で配置。照明効果とあわせてHome Xのコンセプトを紹介した。
テクニクスブースでは、オーディオメーカー各社が展示しているベネチアンタワーの一室を使って、Reference Classダイレクトドライブ・ターンテーブルシステム「SL-1000R」および「SP-10R」を展示。試聴スペースを設けて、テクニクスの最新製品が提供する音を楽しめるようにした。
SP-10Rは、昨年秋のIFAで開発発表していたものであり、いずれの製品も、今春から欧米で導入する予定だ。
「ハイエンドターンテーブルを再定義すべく開発した製品」と位置づけており、トルクを強化した新開発のコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを搭載し、比重の大きいタングステン製のウェイトを配置。「慣性質量を1トン・cm2にまで高めたプラッターを、強力なモーターで駆動させる世界最高レベルの回転安定性を実現し、音の感動をお届けすることができる」と自信をみせる。また、SL-1000Rは、軽量で高減衰特性を持つマグネシウムパイプを用いた高感度トーンアームや、異種素材を組み合わせた高剛性筐体を採用しているという。
スタートアップとの協業で、早期事業化を狙う独自デバイスを核とした新サービス
サンズエキスポにおいて、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)メカトロニクス事業部が展示したのが、ワンタッチホームオートメーション「eny(エニー)」、「ワンタッチID認証」、「3Dカメラスタビライザ」である。
メインブースとは別にこの会場に出展したのは、「多くのスタートアップ企業が集まるSands Expoへ出展することで、スタートアップ企業との協業などを通じたり、顧客パートナーとのネットワークを強めたりすることで、新事業の早期事業化を加速するのが狙い」とする。
同メカトロニクス事業部では、シリコンバレーを中心としたスタートアップ企業とともに、IoT分野での新サービス、新事業の創出に向けた取り組みを推進しており、ICT向けスイッチ事業や車載向けタッチパネル事業で培ってきたHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)設計技術の強みを活かして、独自デバイスを核とした新しいサービスを開発している。
今回の展示では、サンズエキスポの「Smart Home」のエリアに、19m2のブースを設置。「タッチを起点にして実現できる新しいサービスを紹介するとともに、デバイスの強みをベースに、クラウドサービスとスマートフォンアプリを掛け合わせたソリューションを、家や工場での適用事例とともに体験して頂くことを狙った」という。
ワンタッチホームオートメーション「eny(エニー)」は、ワンタップによるシンプルな操作で、生活の様々なシーンを快適に変える「心地よい」スマートホームを感じてもらうもので、電池レス無線スイッチを使用。家に帰ってきてこのボタンを押すだけで、照明とテレビ、空調機器を一度にオンにするといった使い方ができる。起床時や外出時などの操作をひとつのボタンで一度に行なえるようになる。2018年4月以降に商品化する予定で、一般住宅、シニア住宅、ホテル、オフィス空間などでの利用を想定している。
ワンタッチID認証は、権限情報を通信することによって、簡単にID認証が行なえる人体通信応用デバイス。腕時計型のデバイスは、人の表層面の電界を使用することで通信および認証が可能で、工場現場では、作業者が使用する工具を認証し、正しい人が正しく利用できる環境を作り、トラブルを未然に回避できるという。また、「病院などオペレーションの順番が決まっている現場でのヒューマンエラーを防ぐことができる」いう。工場のほか、オフィスや病院などでの利用を想定しているという。
3Dカメラスタビライザでは、今回は「カメラ一体型スタビライザ」を展示。カメラが激しく振動している悪状況下で被写体を撮影し、ブレの補正ありとなしの映像の違いを体験できるデモを行なった。ドローンに搭載したり、ロボットへの採用、アクションスポーツでの利用などを想定している。
スマートスピーカーに4K有機ELテレビなど。CES2018初披露の製品も
一方、アプライアンス社がMGM GRANDで行なった家電製品の展示コーナーでは、CES2018の開催にあわせて発表された新製品を展示。
欧州市場において6月から導入する予定の4K有機ELテレビ「TX-65FZ950/TX-55FZ950」、「TX-65FZ800/TX-55FZ800」は、3D-LUT(ルックアップテーブル)を採用することで、暗めのシーンと明るめのシーンで、それぞれ最適化した設定を適用することで、色とコントラストの表現力をさらに高め、映画制作者の意図をより正確に再現することができるという。また、FZ950シリーズでは、テクニクスの音響技術を採用した「Tuned by Technics」とし、とくに低音域の表現力を強化しているという。日本での発売は未定としている。
欧州で4月から順次発売するUltra HDブルーレイプレーヤー「DP-UB820」、「DP-UB420」、「DP-UB330/320」は、パナソニックハリウッド研究所(PHL)で培った高度な映像処理技術を応用して新開発した4K対応エンジン「HCX(Hollywood Cinema Experience) Processor」を搭載。さらなる高画質化を実現。高輝度部の色や、階調を最適化する新機能「HDRオプティマイザー」を搭載することで、接続されるHDR対応テレビによらずに、安定したHDR画質での再生が可能になっているという。
そのほか、欧米で2月から発売するミラーレス一眼カメラ「DC-GH5S」に加えて、ビデオカメラ「HC-WXF1/VXF1」、「HC-VX1」、「HC-V800」、スマートスピーカー「GA10」などを展示した。