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従来モデルと何が違う? 種類は? ボッシュe-bike向け新型「Smart System」をまとめてみた
2023年7月21日 10:05
つい最近、ボッシュから新型ドライブユニット「Performance Line SX(パフォーマンス ライン エスエックス)」が発表されました。システム全体で約4kgという軽さが特徴であり強みのドライブユニットです(Performance Line SX/CompactTube 400/Mini Remote/System Controller使用時)。2023年秋からヨーロッパで市販されます。
このPerformance Line SXもボッシュのe-bike向け最新システム「Smart System(スマートシステム)」に対応しています。スマートシステム対応ドライブユニットのPerformance Line CX搭載のe-bikeはすでに日本でも発売されています。また、同じくスマートシステム対応のPerformance Line SXも、今後日本で発売される可能性が高いです。
そこで、あらためてこの「スマートシステム」についてまとめてみたいと思います。現在わかっている「ボッシュ スマートシステムのすべて」です。
スマートシステムはボッシュの第3世代e-bikeパーツ群
スマートシステムは、ボッシュのe-bike向けのパーツ群を指します。2023年モデルで、世代としては第3世代です。
なお、それ以前の世代としては、2011年版の第1世代、2013年版の第2世代がありました。また、スマートシステムは第1・2世代のパーツ群とは互換性のない、すべてが一新されたe-bikeシステムとなっています。
互換性がないと「じゃあ手持ちの旧システム用バッテリーを最新スマートシステム搭載のe-bikeに使うことができないじゃないか」といったネガティブな要素も出てきます。しかし、それを補ってやまないくらい、スマートシステムにはメリットが多々あります。それらメリットを含め、スマートシステムの具体的な部分を見ていきましょう。
より扱いやすく自然なフィールになったドライブユニット
まずはドライブユニット。現在発売されているスマートシステム対応Performance Line CXについて見てみましょう。……その前に、いきなりですが、ここでクイズです!
新旧のドライブユニット(Performance Line CX)を並べた写真です。どちらが新型でしょう?
正解は左側。左が最新のスマートシステム対応Performance Line CXです。ネジの本数やコネクター形状が変更になっています。完成度の高いドライブユニットで、大きな変更は加えられていませんが、それでも本体の強度を高めるための改良なども加えられています。
ほかドライブユニットの変更点は、リムマグネット対応のスピードセンサーの内蔵(スポークマグネット/ブレーキローターマグネットにも対応)などがあります。しかし最も大きな更新点はアシストモード数とチューニングの変更です。
従来品ドライブユニット(国内流通品として)はActive Line Plus(最大トルク50Nm)とPerformance Line CX(最大トルク85Nm)がありました。アシストモードは、前者がEco、Tour、Sport、Turboの4つで、後者がEco、Tour、eMTB、Turboの4つ。モードにSportとeMTBの違いがあります。
最新となるスマートシステム対応Performance Line CX(最大トルク85Nm)は、旧Performance Line CXと同じe-MTBなどオフロード車種向けのドライブユニットですが、アシストモードが7種類に増えました。具体的には、Eco、Tour、Tour+、Sport、Auto、eMTB、Turboの7種類。Tour+とAutoという2つのモードが追加されています。
新搭載のTour+モードは、踏力が弱いとEcoモード程度のアシスト力となり、踏力が強いとTurboモードと同じアシスト力となります。平地では節電しつつ走り、坂道にさしかかったら強力にアシストさせるという走り方ができます。ただeMTBモードほど急激なアシスト力変化はなく、踏力に対するアシスト力の反応は滑らか。なので、緩やかなアップダウンがあるような状況によくマッチします。
上図にはAutoモードのグラフはありませんが、Autoモードは「向かい風や上り坂で車速が落ちたとき、車速を補おうと強くペダルを踏まなくても、自動でアシスト力が増えて車速を回復・維持する」というモードです。Autoモードのアシスト力はTourからTurboモードの間です。「自転車のギアチェンジを頻繁に行なわなくても快適に巡航できるモード」というイメージです。
従来のドライブユニットと比べると、スマートシステム対応Performance Line CXではソフトなアシストモードから強力なアシストモードまで幅広く使えるようになりました。また、ドライブユニット任せの可変アシストモードも実用的。e-MTB向けのドライブユニットではありますが、多彩な車種・走行シーンをカバーできそうです。
ちなみにスマートシステム対応Performance Line CXの場合、7種類のアシストモードのうち、ディスプレイ/コントローラーに登録可能なのは「4モード」まで。7種類全部を切り替えて使えるわけではありません。なお、登録するモードの切り替えは販売店にて行なえます。
多彩で自由度の高いコントローラーとディスプレイ
続いてディスプレイとコントローラー。現在のところ、日本国内向けとしては電源ON/OFFやアシストモード変更などを行なうコントローラーが3種類、各種情報を表示するディスプレイが2種類発売されています。なお、ディスプレイはオプションとなっており「装着しなくてもアシスト走行が可能」です。
コントローラーとディスプレイは組み合わせて使えます。コントローラーは最低ひとつ必要ですが、ディスプレイは必要に応じて2種類のどちらかを追加できます。
各種コントローラー/ディスプレイの実物に触れましたが、非常にコンパクトになりボタン類の操作感も良好。コントローラー類は「これならディスプレイはつけなくてもいいかも」と思わせる機能性があり、ディスプレイの代わりに自前のサイクルコンピューターを装着したい向きにもよく合うと思います。ただ、新しいディスプレイもコンパクトで視認性がいいので、こちらもなかなか捨て難いという印象。ともあれ、こういう選択肢の自由があるのは大歓迎ですね。
スマートシステムでは、コントローラーやディスプレイの装着に関しても改良があります。高さ違いのコントローラー用マウントやディスプレイ向きを変えられるしくみが加えられ、より自由に設置位置を決めることができます。
インチューブバッテリーに750Whの大容量品が追加、ABSも搭載可能に
バッテリーは、インチューブバッテリーとして750Whの大容量品が加わりました。従来品とは互換性はありませんが、従来品ラインナップと比較するとバリエーションが増えた形です。
ただし、すべてのe-bikeに各容量のバッテリーを入れられるわけではありません。チューブ長さによる制限があったり、完成車メーカーの仕様があったりで、車種により使用できるバッテリーは異なります。
それからABS。すでに記事でも紹介していますが、スマートシステムではe-bikeにAnti-lock Breake System(アンチロック・ブレーキシステム)を搭載可能になりました。
といったあたりが、ボッシュの新しいスマートシステムのについて現在わかっていることです。今後、パーツが増えるなどの可能性もありますが、都度記事にてお伝えしたいと思います。