e-bike試乗レビュー
【野沢温泉e-bike旅】e-MTBでダウンヒルに続いてヒルクライムレースも走って大満足!!
2022年10月26日 08:05
今年の夏に「乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム」のe-bike部門に参戦して、e-bikeレースの楽しさを体感。さまざまなe-bikeオーナーとの出会いも楽しく、その勢いのまま今度は「野沢温泉自転車祭2022」にも参戦。トレックのフルサスe-MTB「Rail 9.7」でダウンヒルとヒルクライムの両レースを走ることに。前回はゲレンデを下るダイナミックなダウンヒルレースのレポートをお届けしましたが、今回はヒルクライムレースとレースの合間に楽しんだ野沢温泉サイクリング情報などをご紹介します。
ヒルクライムレースをe-MTBで楽しむ
2日目はオンロードを上るヒルクライムレース。ゴール地点はダウンヒルのスタート地点あたりなので標高差は同じく800mですが、舗装路を上るので13km走ることになります。前回走った乗鞍スカイラインのヒルクライムに比べると、距離も標高差も小さいので「e-MTBなら行けるだろう」と軽く考えていたのですが、試走したe-bikeオーナーに聞いたところ「乗鞍よりスピードが出てe-bikeのメリットが活きる場面が少ないからキツいよ」とのこと……。大丈夫なのかと不安になってきます。
“e-MTBペダリング”でヒルクライムレースを走る
和太鼓のパフォーマンスでテンションが上がっていますが、スタートゲートをくぐって、しばらくはパレード走行。タイム計測のラインを越えると本格スタートです。フルサスのMTBで走っているのは、たぶん筆者くらいなのでパレード区間はのんびり走りますが、ロードの人たちはこの区間からやる気満々な感じ。タイム計測のライン手前からみんなガンガン加速していきます。
乗鞍スカイラインに比べると、高低差が少なく、コースも最後に激坂が待っている以外はわりと傾斜が緩やか。そのため24km/h以上出る区間もあるので序盤は結構抜かれます。しかし、ここは我慢。後半の上りがキツくなる区間に備えます。
そして、今回は乗鞍で3位に入っていた「Powerfly」のオーナーさんに教わった「Performance Line CX」の特性を活かすペダリングを試してみました。それは3回漕いだらあえて一度ペダルを止めるという走り方。これをやると再び漕ぎ出したところで強くアシストがかかるため、e-bikeのメリットを存分に活かすことができるのです。
後半になり、斜度がキツくなってくると、普通のロードバイクの人たちはペースが落ちてきますが、e-bikeは逆にアシストを活かしてガンガン上って行けます。特に、このペダリングだとアシストのおいしいところを使えるので、激坂になるほどメリットが活きてくる感じ。前半で体力を温存しておいたこともあって、後半はかなり追い上げることができました。
特にゴール手前の激坂では、立ち漕ぎも併用して“e-MTBペダリング”で前を走る人たちを抜いて行くことができました。前半に抜かれた人たちを、ごぼう抜きして行くのは自分の力ではないですが、かなり気持ちいい。前回の乗鞍では約10分の差をつけられた清水氏にも、約30秒差でゴールすることができました。
レース後にボッシュの担当者にこのペダリングについて聞いてみました。85Nmにトルクがアップした「Performance Line CX」には、「extended boost」というアシスト調整がされています。山で轍の中を走行していて、ペダルを360度回せないという超マニアックな状況対策だそうです。ペダルをハーフストロークさせた際に、合法の範囲内で瞬間的に車体がキックされる感覚でモーターがアシストするそう。それがヒルクライムで活かされたようです。
まさかのトラブルが……あっても楽しかった野沢温泉
レース後は表彰式のはずでしたが……、e-bikeの男子クラスはちょっとトラブルが発生。1位でゴールしたマシンがあり得ないようなタイムを記録し、主催者による審議が入ったため、e-bikeの男子クラスだけ表彰式を行なうことができませんでした。スタート直後にそのマシンに抜かれましたが、かなりの速度差で危険を感じるほど。エンジンがついているんじゃないか? というスピードで、記録された平均速度も36km/hオーバー。海外仕様も含めていろいろなe-bikeに乗ってきましたが、ここまで速いものは乗ったことがありません。
今大会の規則には、e-bike部門について細かい規定が明記されていなかったので、いわば何でもありのような状態だったのですが、さすがにここまで速度差があるのは危険と判断され、当該マシンは失格となりました(「主催者が危険と判断した選手や改造車両は失格とします」という規定による)。ちょっと後味が悪い部分は残りましたが、これからe-bikeクラスを設けるレースやイベントでは、このあたりの規定をしっかり設けておく必要がありそうですね。車検の問題などもありますが、海外仕様や違法改造の車体が出てくる可能性もあるので。
そんなこともありましたが、筆者の順位は5位。完走6台なので、またしてもブービー賞ですが(乗鞍もそうだった)、次はもう少し練習を積んで挑みたいところです。ちなみに清水氏は4位だったので、まずはe-bike Watch内での争いになりそうです(笑)。
ちなみに、レースの前後には周辺のエリアをe-bikeで走って、蕎麦を食べに行ったり、観光スポットを巡ったりしましたが、周辺エリアもかなり気持ち良くていい感じ。飯山に向かって千曲川沿いを走るルートは景色も良く、e-MTBなので未舗装路も走れて爽快でした。ダウンヒルレースに出なかった清水氏は、朝早起きして朝市に行ったり、周辺を走り回っていたようですが、それもかなり気持ち良かったとのこと。坂が多いので、e-bike向きのエリアですが、レースだけじゃなくその前後にサイクリングも楽しめる場所でした。またぜひ行きたい!!