家電製品レビュー

ミニベロタイプのe-bike「Vektron S10」を試乗したら購入意欲が急上昇!!

ミニベロe-bike「Vektron」で走ってみた!!

 ここのところ「ポタリング」に凝っております。お散歩感覚のサイクリングですね。使う自転車はもっぱら、以前レビューを書いたミヤタ「RIDGE-RUNNER」というMTBタイプのe-bikeです。

愛車のミヤタ「RIDGE-RUNNER」。アスファルトから道なき道までどこでも走破する、スポーツタイプの電動アシスト自転車です。レビュー記事はコチラに書きましたのでゼヒ!
RIDGE-RUNNERには、電動アシストコンポーネントとしてシマノSTEPS「E8080シリーズ」が搭載されています。すご~くパワフル♪

 ちなみにe-bikeとは、スポーツタイプの自転車にスポーツ走行向け電動アシストユニットを搭載した自転車で、従来型電動アシスト自転車(ママチャリタイプやシティサイクルタイプ)とはちょっと違います。どう違うかと言うと、自転車自体が加速や登坂に優れていたり剛性が高かったりしつつ、アシストもよりアグレッシブに機能してくれる。移動がラクというのは電動アシスト自転車全般共通するメリットですが、e-bikeはさらにスポーツ走行のハードルを下げてくれるというイメージです。e-bikeについて、より詳しくはコチラで解説されています。

 さておき、MTBタイプのe-bikeでポタリングを楽しんでいる筆者。のんびりと、日がな一日、自転車でウロウロと走るのはとても楽しいです♪ しかもe-bikeだと、とりわけ「登坂」がラク! 坂が多いエリアでも楽しく走れるというわけです。

 ……でも、ポタリングと言えばやっぱりアレだろ。ミニベロ(小さめタイヤのコンパクトな自転車)だろ。とか思った筆者。

 MTBタイプのe-bikeは「どこでも走れる万能e-bike」だと思いますが、コンパクトなミニベロなら小回りも利くし気軽に乗れるような雰囲気? とか漠然と考えつつ「ミニベロのe-bikeってあるのかな?」と調べてみました。

 そうしたら、良さそうなのがあ~るじゃないですかぁ~♪Tern Bicycles(ターン・バイシクルズ)「Vektron S10(ヴェクトロン)」です。Ternは人気急上昇中の自転車メーカーで、優れた独自機構と堅牢性を備えたミニベロが人気を集めています。DAHON創業者の息子さんが2011年に起こした新興ブランドです。

Ternの「Vektron S10」。ミニベロタイプのe-bikeで、折り畳むこともできます。価格は29万8,000円(税抜)
こちらは同じくTernのミニベロ「Verge P10」。価格は13万6,000円(税抜)。上の Vektron S10 のベースとなったモデルなのか、よく似ています

 Vektron S10、調べるほどにイイ感じのミニベロタイプe-bikeです。なんか急激に興味が。というコトでメーカーからお借りし、試乗してみました。

Vektron S10はフォールディング・ミニベロ・e-bike

 まずVektron S10の概要を。前述のとおりミニベロタイプのe-bikeで、電動アシストコンポーネントとしてボッシュ「Active Line Plus」を搭載しています。最長アシスト距離は約100km。また、このe-bikeはコンパクトに折り畳むこともできます。

Vektron S10は20インチサイズ(406規格)のタイヤを採用したミニベロタイプのe-bikeです。車体重量は22.1kg
電動アシストコンポーネントはボッシュ「Active Line Plus」。最長アシスト距離は約100kmで、バッテリーは2.5時間でフル充電できます。空の状態から50%充電までだと1時間で充電可能
こんなふうにコンパクトに折り畳むこともできます。折り畳んだときのサイズは41×86×68cm(幅×前後×高さ)

 折り畳めるとなると、自転車を畳んで袋詰めして電車に乗って輪行! とか思うわけですが、車体重量は22.1kgありますので、自転車を担いでの電車移動はちょっと辛いところ。ただ、重心位置を持つようにすれば、重いですが片手で持ち上げて歩くことはできますので、輪行は絶対無理というわけでもありません。クルマのトランクに乗せるのはわりと容易です。

 なお、写真のように折り畳んだ状態で、左方向に引いて転がして移動することができます。あるいは、サドルを右に90度倒して、サドルを持って左方向に押して転がして移動することもできます。

 ほか、変速機はシマノTiagra(ティアグラ)を採用し、リアのみ変速可能な10段変速。歯数は11-32Tです。フロントギアの歯数は52T。ブレーキは前後ともドイツ「MAGURA」製の油圧ディスクブレーキを採用しています。そのほかの主な特徴は、TernのVektron S10公式ページから見ることができます。

グイグイ走るぞVektron S10!!

 さてさて早速試乗です。街中、裏道、サイクリングロードや車道も走ってみましたが、結論から申しますと、筆者の「ミニベロに対するイメージ」がことごとく覆されました。e-bikeということを抜きにしても、Vektron S10はヒッジョーに魅力的なミニベロだと思います。買うかも。

 まあでも、まずは当初の興味であるミニベロタイプe-bikeとしてのVektron S10について。も~、かなりグイグイ走ります。まず走り出しが非常に軽快です。ミニベロ(小径車)はタイヤサイズの小ささから、総じて走り出しが軽快だったりしますが、Vektron S10はそれに加えて電動アシストがあるわけです。走り出しからアシスト上限24km/hまで滞ることなく加速していけます。

ハンドル左側にはボッシュ「Active Line Plus」のサイクルコンピューターがあり、さらにその左下に操作ボタンがあります。ボタン操作でスピード/走行距離/走行時間/航続距離/バッテリー残量/現在時刻など表示を切り替えられます。また同じくボタン操作でアシスト力をOFF/ECO/TOUR/SPORT/TURBOの5段階に切り換えられます
Vektron S10は小径車でありe-bikeなので、漕ぎ出しが非常にスムーズ。アシスト上限24km/hまでスイ~ッと加速してくれます

 坂道も非常にラク。ミニベロって登坂時にスムーズという印象を持っていましたが、e-bikeのVektron S10はなおさらです。また、坂の途中で停車して、そこから再度上に向かって走り出すときも軽快。アシスト力は、弱い順からECO/TOUR/SPORT/TURBOを選べますが、TURBOにすると拙宅近所の激坂を総ナメ。誰もが自転車を押して上る坂を、話をしながらスイスイ上って行ける感じです。

 それと、この電動アシストコンポーネントの音。ボッシュ「Active Line Plus」ですが、思いのほか静かです。TURBOモードなどで強いアシスト力がかかると、少しモーターの駆動音が感じられますが、それ以外ではかなり静音。自然の音を静かに感じたいサイクリングには好適です♪ バッテリーの搭載位置も良く、低重心でわりと目立ちにくいところも好印象。

 あと、やはり小さめタイヤのミニベロならではの、取り回しの良さ。小回りが利くんですね。また、e-bikeなので低速でも後輪に十分なトルクを加えられるため、低速域での安定性もあります。裏道細道をゆっくりクネクネ走って、Uターンするようなときでも、ラクだし安定しているしで、安楽にサイクリングを楽しめます。

 電動アシストということを除外しても、Vektron S10は魅力的なミニベロです。というか、前述のとおり、筆者のミニベロに対するイメージをことごとく覆してくれた、ちょっと驚くべきミニベロです。

 具体的には、Vektron S10って車体はコンパクトなミニベロですが、走ってみると「クロスバイクで走っている感じに近い」んです。ミニベロっぽくない剛性感と安定性があります。アシストオフでもちょっと頑張ると40km/hくらいスピードが出たりします。そんなふうにペダルを踏み込んでも車体がヨレない感じ。

 ミニベロ経験はあまり多くないんですが、それまで筆者がミニベロに感じていたネガティブなほうの乗り味をザッと挙げてみますと……。直進安定性がいまひとつでスピードが出るとなんか怖い。路面の凹凸を拾いがちで、けっこうコツゴツした乗り心地。車道から歩道に乗り上げるときの、1~2cmの段差でもちょっと怖い(タイヤを取られたりしがち)といった感じ。

 その一方で小回りが利いたり取り回しが良かったり、漕ぎ出しが軽かったり、登坂がわりとスムーズだったりするミニベロ。だから、ミニベロはゆっくり走るポタリングにマッチするんだろう、と考えていました。

 しかし、Vektron S10は、クロスバイク的な走行性能があるように感じられます。第一に車体の剛性が明らかに高いんですよ。グイグイとペダルを踏んでも、その力が抜けるような、何と言うかフレームのグニャグニャ感がない。

 それと、タイヤの太さゆえだと思いますが、路面のギャップをほどよく吸収しつつ、グリップ感も良好。段差を越えるのが怖くないですし、路面に凸凹が多めでも乗り心地がけっこうイイ♪

Vektron S10は、見かけはコンパクトなミニベロですが、乗って走ってみるとクロスバイクに近いわりとカッチリした乗り味です。ついスピードを出したくなるような、ちょっとその気にさせる走り。こんな感覚のミニベロってあるんですね! と驚いちゃいました
タイヤはSCHWALBE(シュワルベ)の「BIG APPLE(ビッグアップル)」。タイヤ外径20インチ×タイヤ幅2.15インチ(20×2.15/ETRTO 55-406)。ミニベロにしては非常に太いタイヤが設定されています

 Vektron S10では、筆者が抱いていたミニベロのイマイチ部分が全部克服されていて、なんか凄く気に入っちゃったんですけど。ていうか、ミニベロとe-bikeに興味がある方には、Vektron S10の試乗を強くオススメします。かなりイイですコレ♪試乗可能ショップの一覧はコチラで見られます。

いろいろ好都合だぞVektron S10!!

 小径車なのにグイグイ走るVektron S10が超気に入って、もはや買いたくてしょうがないモードに入ってしまった筆者。やばーい! また自転車買いそう~! そして Vektron S10には、この自転車購入欲を後押しするナイスな要素が多々あるんでした。

 イロイロあります。かなり明るいヘッドライトと目立つテールランプがあり、その電源がボッシュ「Active Line Plus」のバッテリーから取られていて夜間走行にも便利とか。ディスクブレーキがすごくよく効くとか。前方にカゴなどを取り付けられるネジ穴があるとか。後方に荷台が付けられるらしいとか。

Vektron S10の特徴一覧

 とくにイイと感じられたのが、まずハンドルとサドルの調整幅が広く、その調整も手軽に行なえること。メーカーは身長147~195cmのライダーに対応しますヨと言っています。

……ということらしい。どういうこと?
サドルをいちばん低くした状態
サドルをいちばん高くした状態。2層構造で伸縮するシートポストにより、幅広いシート高を設定できるというわけです
ハンドル部には工具不要でハンドルバー位置を調節できる機構があります。2つのレバーを上げればハンドルの位置を変更可能
手前に寄せたり
前方へ離したり
ちょっと下げたりできます。ハンドルを調節することでライディングポジションを変えられます

 サドル高やハンドル位置を工具ナシで手軽に変えられるので、たとえば家族の誰が乗っても最適なポジションに調節できます。個人的には、ハンドルの位置が変えられるので、長距離走行時やチョイ乗り時にライディングポジションを変えられるのがとても実用的と感じます。

 それから、折り畳みが手軽なこと。手軽なわりには前述のとおりフレームの剛性感がしっかりあるってのがイイですね。

Vektron S10は赤矢印の部分2カ所が畳める構造です。その2カ所に独自のレバーがあり、ロックをスライドさせつつ折り畳みます。「OCL+フレームヒンジ」というそうです。もちろん工具は不要
はい、Vektron S10でサイクリングしてきました~。折り畳みます!
まずはハンドル部を折り畳んで
ハンドルがフレームと平行になるように回して
フレームを折り畳めば完了。前後輪にはマグネットがあり、折り畳んだ状態から不意に開かないようになっています。この状態で左方向に引いて転がせますが、サドルを右側に90度倒してサドル先端を握って押して左方向へ転がしてもラクです

 ん~、イイ! その後も借り物 Vektron S10で走っていますが、こういう小径車でのポタリングは非常に楽しいですネ♪ e-bikeだというのも大きな理由ですが、小径車の楽しさをあらためて知ってしまいました。欲しいぞVektron S10! 買うかもVektron S10! Vektron S10によりかなりテンションが上がった筆者なのでした。

スタパ齋藤