e-bike試乗レビュー

新型RIDGE-RUNNERはバッテリー内蔵だけでなく走りも変わった!! 先代モデルと乗り比べて実感

ミヤタサイクル「RIDGE-RUNNER i 8080(リッジランナー アイ)」。価格は630,000円

2023年6月に発売されたミヤタサイクル「RIDGE-RUNNER i 8080(リッジランナー アイ)」。前後にサスペンションを備えたフルサスe-MTBで、同社のe-bike「RIDGE-RUNNER」としては2世代目になります。「i(アイ)」はインチューブバッテリーを示していて、ミヤタサイクルの「i付きe-bike」はみんなフレーム内にバッテリーを内蔵しています。

RIDGE-RUNNER i 8080のカラーは2色展開。こちらはネイビー/ブラック
こちらはグリーン/ブラック

筆者は2018年にフロントサスペンションのみのハードテイルe-MTB「RIDGE-RUNNER」を購入して現在でも乗っていますが、初代のフルサスRIDGE-RUNNERが登場したときに「欲しい! 乗りたい!」と思いました。乗っているRIDGE-RUNNERは快適性も汎用性も高いので、「これがフルサスになったらもっと楽しいハズ」と思ったのです。

これは初代のフルサスRIDGE-RUNNERこと「RIDGE-RUNNER 8080」。バッテリーはダウンチューブの上に装着されるスタイルでした

しかしコロナ禍だったり物流の影響があったりで、結局、乗る機会を得られず。そうしているうちに今年に入った……と思ったらフルサスRIDGE-RUNNERの2世代目となるRIDGE-RUNNER i 8080が登場。そして試乗する機会を得ました。また、トレイルを走ることもできました。

そんなわけでRIDGE-RUNNER i 8080のレビューをお届けします。でもとりあえず試乗の印象をザックリ書きますと……とてもイイですRIDGE-RUNNER i 8080。

実は1世代目の「RIDGE-RUNNER 8080」と乗り比べてもみましたが、2世代目は乗り味がかなり変わってより本格的なe-MTBに仕上がっているという印象。舗装路をパワフルに走れるのはもちろん、急峻なダートロードにもしっかり対応でき、もちろん舗装路でもダートでも激坂をグイグイ上っていけます。

写真で見るRIDGE-RUNNER i 8080のスペック

価格は、1世代目のRIDGE-RUNNER 8080が460,900円で、最新のRIDGE-RUNNER i 8080が630,000円。17万円近く高くなっていますが、パーツや作りを刷新しつつe-MTBとして大きく進化したと感じられるRIDGE-RUNNER i 8080には割安感も感じられます。興味のある方はぜひ試乗なさってください!

ミヤタサイクルのフルサスe-MTB「RIDGE-RUNNER i 8080」。車体サイズは400(適応身長165~190cm/車体重量量24.6kg)と460(適応身長175~200cm/車体重量量24.9kg)があります
ドライブユニットはハイエンドのシマノSTEPS「E8080シリーズ」で、最大トルクは70Nm、定格出力250W
ハンドル周辺。アルミ製で幅は750mm
ハンドル左側にはドロッパーシートポスト操作レバーがあり、その上にアシストモード変更用のコンパクトなボタンがあります。前方にはリアブレーキレバー
中央・ステム右にはシンプルなディスプレイ
ハンドル左側にはシフターと、前方にフロントブレーキレバー
電源ボタンはダウンチューブ下方にあります
車体左側シートチューブ下方にはバッテリー充電用のコネクターがあります
バッテリーはダウンチューブ内に格納されています。ダウンチューブ下の黒いカバーを外してバッテリーを取り出すことができます。バッテリーのみを室内などで充電することも可能。容量は504Wh(36V/14Ah)と大容量。1充電あたりの航続距離はECOモードで140km、NORMALモードで130km、HIGHモードで95km。バッテリー切れからの充電時間は、80%までが約4時間、フル充電までが7.5時間
主なコンポーネンツはシマノ「DEORE」。10段変速でギア歯数は12-46T。チェーンリング歯数は34T
フロントサスペンション(フォーク)はSR SUNTOUR SF20-ZERON35-BOOST 140mmで、上下可動幅であるトラベル量は140mm
フロントサスペンションはロックアウトして動かない状態で走ることもできます
リアサスペンション(リアショック)はSR SUNTOUR RS21-EDGE-PLUS 190×51mm。こちらもロックアウトできます
初代フルサスRIDGE-RUNNERと比べると後方フレームがコンパクトになり、そのぶん剛性が高まっており、サスペンションの動作感触がよりクイックでダイレクトになっています。ペダリングパワーのロスも少なくなっているとのこと
タイヤは前後ともKENDAブランドでサイズは27.5×2.6。ブレーキは前後とも油圧式ディスクブレーキで、4パッドタイプです
ドロッパーシートポストを採用。トラベル量は125mmです
miyataおよびRIDGE-RUNNERのロゴが入ったサドル
主だったケーブルはフレーム内を通っており、トラブルが少なく外観もスッキリしています
ゴツい印象があまりないe-MTBです

RIDGE-RUNNER i 8080は、安定感も操作感も◎のe-MTBだった!

最新フルサスRIDGE-RUNNERで房総半島の林道を走ってみました。海を背にしてダートロードをヒルクライム。かなりしっかりと試走できました。

房総半島の西側、富津市の山の中でRIDGE-RUNNER i 8080の試走……というかe-bikeサイクリングを楽しみました。まずは海沿いから山に向かって出発です
ダートロードが続き、素掘りのトンネルがあり、そんな感じのわりと悪路です。e-MTBもしくはオフロードモーターサイクルじゃないとちょっと無理という環境
結構急な上りが続く林道です
たま~に眺望も。でも全体的に悪路で、どちらかといえばアドベンチャーサイクリングって感じです
21%の上り坂。このあたりは舗装されていました

RIDGE-RUNNER i 8080で走った房総半島の林道は、予想以上に急なアップダウンがあり、「えっ?」と思うほどの悪路が多くありました。上り始めは「この雰囲気の林道ならグラベルロードバイクタイプのe-bikeでも行けるのでは」と思いましたが、途中から「この道はe-MTBじゃないと無理!」という斜度と路面状況になりました。

たとえばゴロゴロした石と砂利、そして房総半島の砂っぽい土壌で構成されたダート。そこをRIDGE-RUNNER i 8080で走ると、まず車体の剛性感とタイヤが路面を掴んでいるような安定感があり、「こんな道でもどんどん走れちゃうんだ!」という楽しさがわき上がります。

また剛性感があると同時に、サスペンションの追従性が高いので、荒れた路面をスムーズに走破できる感じがします。とくにリアサスの動きがよく、轍にはまりそうになったり横滑りしそうになったりしても「すぐにバランスを取り戻してくれる」という印象です。

操舵性というか操作性というか、RIDGE-RUNNER i 8080の「コントロールしやすさ」も好印象です。実は写真の林道、単なる森のなかに見えますが、片側は崖だったりする細道も多い。「落ちたら遭難騒ぎだな」と本気で思う場所も少なくありません。

最初はそういう細道をe-bikeで走ることに結構恐怖を感じますが、RIDGE-RUNNER i 8080の走破性とコントロール性の高さにより、徐々に「こんなふうに安定して走れるなら安心」という気分になってきました。激坂+片側崖、みたいな状況だと「怖いから押そう」となりがちですが、「こっち側崖ですよー」「はいーご安全にー」などと会話しながらヒルクライムでき、非常に楽しい試走&サイクリングになりました。

なお、房総半島の林道ライドの話は、また別の記事で。近々公開予定ですのでご期待ください!

踏める! 力強い! e-MTBらしさが光るRIDGE-RUNNER i 8080

試走の途中、2世代目・最新RIDGE-RUNNER i 8080と初代RIDGE-RUNNER 8080の乗り比べもしてみました。大きな違いはバッテリーがオンチューブかインチューブかですが、ジオメトリも異なることのと。でも同じフルサスe-MTBシリーズの初代と2代目なので、そんなに違わないんだろうなあ、と予想していました。

赤いフレームが初代フルサスe-MTBのRIDGE-RUNNER 8080。緑のフレームが2世代目・最新RIDGE-RUNNER i 8080です

しかし走り比べてみたら、かなーり違いました。大雑把にいえば、初代は「車体任せでフワッとラクに乗れるe-MTB」というイメージ。少しクルーザー寄りで、ゆったりと走れる気がします。すこーしクロスバイクっぽい軽快さも感じられます。

一方のRIDGE-RUNNER i 8080は、快適ではありますが、マウンテンバイク的な方向性がより強い感じ。少し前述しましたが、より剛性が高く安定感のあるe-MTBならではの走りを味わえます。走っていると、積極的に悪路に挑戦したくなるような、そんな車体です。

個人的に強く感じたのは「RIDGE-RUNNER i 8080は踏める! 踏んだだけパワーが出る!」というフィーリング。急峻なダートロードのヒルクライムで、最新RIDGE-RUNNER i 8080と初代RIDGE-RUNNER 8080を比べると、明らかに最新RIDGE-RUNNER i 8080のほうが力強い。剛性の高さやトラクションの良好さもあってそう感じるのかもしれません。

もしかしてコレって最新RIDGE-RUNNER i 8080のジオメトリと、ドライブユニットのシマノSTEPS「E8080シリーズ」が、なんかこー非常にうまく協調してパワーを発揮しているってこと? と思いましたが、そのあたりは勉強不足でよくわかりません。

林道で新旧フルサスRIDGE-RUNNERを乗り比べました
試走を通じてRIDGE-RUNNER i 8080のe-MTBとしての走りの良さを実感。シマノSTEPS「E8080シリーズ」ドライブユニットのパワーもあらためて思い知りました

といった感じのRIDGE-RUNNER i 8080。「インチューブバッテリーになっただけなんだろうなー」といった予想が完全に外れ、想像を超える驚きがあるe-MTBでした。ホントに初代と2代目とでは全然違う乗り味なので、「初代で試走したことあるし」という方も、ぜひ2代目に乗って違いを体感してみてください。

スタパ齋藤