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【'22年春の冷蔵庫】カメラ付き続々登場! 省エネ&大容量は当たり前、各モデルの違いは?

これまで秋に発売されることが多かった冷蔵庫の新モデルですが、この2~3年で発売時期が春にシフトし、2022年モデルが勢ぞろいしています。高い省エネ性に加えて、省スペース&大容量はもはや当たり前に。

特に今年は、カメラ搭載で冷蔵庫の中が外出先から確認できたり、野菜がさらに長持ちするようになったりと、より進化しています。各社の冷蔵庫の中から「これは!」というものをピックアップして、その魅力を探ってみたいと思います。

日立:庫内カメラで在庫をチェック。買い物時の迷いを払拭!

日立グローバルライフソリューションズ「まんなか野菜 R-KXCC50S」は、冷蔵室のドアを開けた際に自動で撮影し、外出先などからスマートフォンアプリで冷蔵室内の食材をチェックできる「冷蔵庫カメラ」を搭載している点が大きな特徴。容量は498Lで、ファミリー向けの大きさです。

日立グローバルライフソリューションズ「まんなか野菜 R-KXCC50S」(実売価格:459,800円)

冷蔵庫本体上部に設置したカメラが、冷蔵室のドアを開けた際に自動で冷蔵室の棚と左右ドアポケットを撮影。画像は「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」から確認できる仕組みで、アプリには拡大機能や最新6枚の過去履歴の表示も可能です。

買い物中に冷蔵室の中身を思い出したいときなどに、スマートフォンでチェックできるので、買い忘れやすでに買ってある食材の二重購入を減らせます。保存する食品を記録すれば、購入日を一覧で管理。賞味・消費期限を登録すると、プッシュ通知で知らせてくれる機能も。

デフォルトでは、まんなか野菜室となっていますが、2つの引き出しは「冷蔵」「野菜」「冷凍」にそれぞれ温度設定ができ、その組み合わせは最大9通り。

暮らしの変化に合わせて、あとから「どっちも冷凍」や「まんなか冷凍」にもできるフレキシブルさは日立だけのもの。ちなみに野菜室設定の場合、冷気を直接あてない間接冷却で、野菜の乾燥を抑えながら葉物野菜も1週間程度フレッシュに保存できます。

冷蔵室には、棚スペース全体がチルド温度の約2℃、湿度約80%となる「まるごとチルド」を採用しているため、どこに置いても鮮度が長持ち。キリリと冷えたビールが味わえるのも日立ならでは。一時保存のサラダなどはラップなしでも乾燥を抑えられます。

アイリスオーヤマ:カメラ付きを若い共働き世帯向けに

アイリスオーヤマ「STOCK EYE(ストックアイ) IRSN-IC30A-W」も、冷蔵室内の食材をスマートフォンで確認できるカメラ付き。こちらは容量296Lと、少人数世帯向きです。

本体は幅・奥行きが60cm以内に収まるため、狭いキッチンにも置けます。冷蔵室内に搭載したネットワークカメラで、冷蔵室の扉を開閉後、約8分後から庫内を撮影して、その静止画像をクラウドに保存。対応するアプリを通じて、外出先からスマートフォンで確認できる仕組みです。

アイリスオーヤマ「STOCK EYE カメラ付き冷凍冷蔵庫 IRSN-IC30A-W」(実売価格:128,400円)

買い物の際に必要な食材の買い忘れや二重買いの防止に加え、買い物中に庫内を確認しながら献立を検討するという活用方法も。アプリによって、庫内の食材の名称・個数・賞味期限を手動登録することで食材管理ができ、賞味期限前日の食材を事前に通知する機能も備えています。

実はリリース当初、庫内容量300L弱のミドルクラスの冷蔵庫に、こうした最新のカメラ機能を搭載したことについて、注目される機能ではあるものの、オーバースペックというか必要性をあまり感じられなかったのでした。

そこで、取材時に企画開発の背景を聞いてみたところ、「20~30代の若い世代の共働き世帯をターゲットにカメラ付きの冷蔵庫を作った理由は、この世代は食事の支度を当番制にしていたり、早く帰宅できる人が担当するなどしていることが多いため、冷蔵庫内の食材を把握しておらず『買い忘れ・二重購入』の悩みを抱えているから」とのこと。その世代ならではのライフスタイルに合わせた提案に納得しました。

全定格内容積296Lに対して冷凍室容量が91Lと大きく、買い物カゴ 1.7個分に相当する冷凍食品を収納できるほか、このクラスの冷蔵庫では数少ない自動製氷機能も搭載しています。

AQUA:インテリア性に優れた美しい冷蔵庫は使い勝手も向上

AQUA「TZシリーズ AQR-TZA51M」は、深澤直人氏デザインによる薄型設計と大容量冷凍室が特徴。2022年モデルには、使いかけ野菜もラップなしで新鮮に保存できる「ラップなしフレッシュ野菜ケース」が新たに加わりました。

これまでの弱点だった“野菜室がもっと大きかったら”という点をカバー。旬鮮野菜室に加え、4Lケース1個、2Lケース2個で野菜収納容量26Lから34Lにアップしています。全体の容量は512L。

AQUA「TZシリーズ」(実売価格:327,800円)

「ラップなしフレッシュ野菜ケース」は、ボックス型になっており、冷蔵室内に置いて使います。ケースの上蓋裏には、野菜室にも採用されている湿度調節フィルターを搭載。このフィルターが容器内の湿度を調整し、野菜の鮮度保持に最適な環境に保つので、使いかけの野菜や傷みやすい果物も最長2週間おいしく保存できます。これにより、野菜を保存できるスペースが増え、鮮度保持機能により食品ロスの軽減にも役立つとしています。

奥行き635mmの薄型設計で、最上段の奥まで手が届きやすいだけでなく、カップボードや食器棚との面を揃えてすっきりと。キッチンのスペースを広く快適に使えます。

冷凍室内の温度変化を抑えて、食材の霜つきや乾燥を防ぐ「ドリップ抑制機能」により、食品のうまみや食感を損なわず長期間おいしさをキープできる独自の冷凍機能も魅力です。

シャープ:メタルドアのスタイリッシュな冷蔵庫

シャープ「MFシリーズ SJ-MF46J」は、奥行き630mmの薄型設計でシステムキッチンや食器棚と並べても横ラインがそろってすっきり収まります。さらに、光沢の質感にこだわったメタルドアと、木目調ハンドルを採用し、スタイリッシュな外観も目を引きます。容量は457L。

同社のキッチン家電「ヘルシオ」や「ヘルシオ ホットクック」ともマッチしたデザインで、統一感のある空間を作れるとしています。

シャープ「MFシリーズ SJ-MF46J」(実売価格:305,800円)

2022年モデルでは新たに「抗菌お手入れトレー」を野菜室手前に設置。トレーを外して野菜くずを捨てられるので、中身を取り出すことなく簡単にお手入れできるほか、冷蔵室は、チルドルーム上部の棚も簡単に着脱できる仕様にするなど、清潔機能を強化しています。

冷蔵庫に親しみを感じやすいと好評の発話機能を活用し、冷蔵庫の使用状況や季節などに応じて本体機能の使い方をアドバイスします。たとえば、自動製氷モードの使用頻度が低いときは、「自動製氷モードをOFFにすると省エネになります」といった提案を行ないます。

チルドルームが2段式になっているのも特徴。1段目は密閉構造の0~2℃の「うるおいチルド」でラップなしでも刺身やサラダを保存でき、2段目はさらに温度を下げた-2~0℃の低温制御の「作りおきルーム」に。作り置きの総菜や買い置きの生鮮食品の保存に適しています。

また、上段冷凍室では20分で粗熱取りができ、菌の繁殖の抑制やビタミンCの残存率がアップする「作りおき急冷モード」も搭載するなど、チルドルームと上段冷凍室とを連携させる使い勝手の工夫も魅力的です。

パナソニック:業務用レベルの急速冷凍・冷却機能が進化!

パナソニック「WPXタイプ NR-F608WPX」は、ホームフリージングの「味が落ちる」「食感が変わる」という不満点を解消。業務用レベルの急速冷凍により、ドリップの抑制や食感を保持することを実証した「はやうま冷凍」を搭載しているのが、パナソニックの大きな特徴です。容量は600L。

大風量の「集中シャワー冷却」とアルミプレートにより、水分が凍る温度帯を、通常冷凍よりすばやく通過することで、解凍時のうまみ成分の流出を抑えておいしさを守ります。

パナソニック「WPXタイプ NR-F608WPX」(実売価格:396,000円)

2022年モデルでは、「はやうま冷凍」の設定をより効率よく便利に操作できる「クイック操作ボタン」を、冷蔵室ドアの下側に新搭載。

食材を製氷ルーム隣のクーリングアシストルームへ入れた後、冷蔵室内のパネル操作をするためにドアを開け閉めする必要がなく、調理中でも簡単に設定できるのが魅力です。お弁当のあら熱取りなど、クーリングアシストルームを使った“冷やす調理”もより便利に使えます。

クイック設定ボタンでの操作は1プッシュで「冷ます」3分、2プッシュで「急冷」10分、3プッシュで「急凍」45分。冷蔵庫の「Cool Pantry」アプリで、よく使うモードの設定時間を自分仕様にカスタマイズすることも可能です。

そのほか、管理したい食品を「キッチンポケット」アプリに登録し、重量検知プレートに載せれば、IoT機能によって残量の変動が自動で更新され、外出先から確認できる機能も。

三菱:8年ぶりのフルモデルチェンジで容量アップ&使いやすく

三菱電機「MZシリーズ MR-MZ60H」は、同社が8年ぶりに冷蔵庫をフルモデルチェンジ。容量は602Lで、野菜室は真ん中に配置しています。

新ウレタン原液を採用し、断熱性を保ちながら側面や背面の断熱材を薄型化したほか、内箱の傾斜を排除することでデッドスペースを削るなどして、幅・奥行きはそのままで、容量を買い物かご1個分となる30Lアップしています。

三菱電機「MZシリーズ MR-MZ60H」(実売価格:419,094円)

給水タンクを埋め込み式にしてスペースを確保し、チルド室と氷点下ストッカールームをダブルでワイド化したことで、収納量や一覧性も高めたことも大きな特徴となっています。給水タンクの形状が変わって持ちやすくなったため、子供でも給水できるうえ、従来モデル同様、製氷皿は外して洗えるため清潔でおいしい氷ができます。

AIが家庭ごとの生活パターンを学習して、部屋別に最適な運転を実施し、自動でムダなく賢く冷やせる全室独立制御や、解凍の手間をかけずに食材をおいしく長く保存できる“切れちゃう瞬冷凍”機能も従来どおり搭載。

まとめ買いをした生鮮食品も今週のうちに食べるなら「氷点下ストッカー」、まだ決めていないなら「瞬冷凍」、というように保存する場所を使い分けられる点で自由度があるのも三菱ならでは。

見た目のデザインに変化はほとんどありませんが、冷蔵室の扉を開けてみれば、段違いになった左右の棚や、埋め込み式になった製氷用のタンクやワイドな氷点下ストッカー、ドアポケットにも設置ができる卵ケースなど、使いやすくて広々とした庫内の様子が確認できます。

東芝:野菜に強いベジータに“使い切り野菜BOX”が付いて強化

東芝ライフスタイル「VEGETA GR-U550FZ」は、注力している野菜室に新機能を搭載。使いかけ野菜の乾燥・水腐れを抑えて鮮度を保つ「使い切り野菜BOX」が追加されました。容量は551Lで、野菜室は真ん中に配置。

東芝ライフスタイル「VEGETA GR-U550FZ」(実売価格:339,570円)

冷蔵室・野菜室の除菌・脱臭性能、省エネ性も向上させています。野菜室は、湿度を最適に保って野菜の鮮度を守る「ミストチャージユニット」に、脱臭効果の高い銅イオンを新採用。ニオイの強い野菜からのニオイ移りも抑制できるようになっています。

この「ミストチャージユニット」を活用した、新開発の「使い切り野菜BOX」を野菜室上段に搭載。使いかけの野菜やまとめてカットしておいた野菜を、ラップ無しでも約10日間新鮮に保存できます。

従来からチルドルーム・野菜室に搭載しているUV-LEDを増設した「W-UV除菌」によって、UV照射の量と範囲を拡大。清潔性を高めただけでなく、UV照射の効果で、野菜などのビタミンCやβカロテンなどの栄養価を高めるとしています。

また、ユーザーの生活パターンを学習し、最適な省エネ運転をAI制御する「かってにエコ」機能を、スマートフォン専用アプリ「IoLIFE」に追加。無線LANに接続するだけで、ユーザーの使い方にあった省エネ運転を実現します。エコ運転率や扉開閉回数も確認でき、節電効果も実感できます。

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。