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冷蔵庫にカメラ付きだと何が便利なの? パナ新モデル見てきた

パナソニックからカメラ付き冷蔵庫が登場。その特徴は?

パナソニックがこの春に発売した冷蔵庫「CVシリーズ」の大きな特徴は、上部にAIカメラを備えて中の食材を管理でき“食品ロスを抑えられる”ということだ。日立やアイリスオーヤマからもカメラ付きの冷蔵庫は登場しており、これからの冷蔵庫の注目ポイントの一つといえる。パナソニックの違いはどんなところなのか、滋賀県草津市にある工場で見てきた。

滋賀県草津市にあるパナソニックの草津工場。1969年操業開始で55年目。冷蔵庫のグローバルマザー工場でもあり、高品位/高品質を誇る。工場の記事は別途お届け予定だ

早く使った方がいい野菜を冷蔵庫が教えてくれる。AIがレシピ提案も

CVシリーズは、定格内容積525Lでフレンチドア(観音開き)の6ドア「NR-F53CV1」と、457Lで5ドア片開きの「NR-E46CV1」の2種類。

冷蔵庫にカメラを備えたことで、ドアを開けた時に中に何があるかを記録して、長い間入っているものを早めに使い切るよう提案するのが特徴。外出先でも冷蔵庫内の最新の状態を確認可能になり、買い忘れやダブリ買いを減らせて、買い物もスムーズになるのがメリットだ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は順に37万円前後、34万円前後。5ドアは右開きと左開きを用意する。野菜室は真ん中、冷凍室が下段のタイプ。

容量525Lのフレンチドア「NR-F53CV1」

カメラは冷蔵室の庫内棚、ドアポケット、冷凍室上/下段、野菜室上/下段とボトルコーナーまで全エリアをカバー。

特にすごいのは野菜室の部分で、入っている野菜の種類を画像からAIが自動で判別して「チンゲン菜」や「にんじん」などに分類し、その利用期限目安も設定。入庫日(新しく画像に加わった日)と、日持ちの目安をもとに、早く使った方がいい順にリストを作ってくれる。これは業界初だという。

冷蔵庫カメラでの食材管理の概要

現時点で種類を認識できるのは野菜室にある45種類で、野菜の形状が把握できるものに限られるが、例えばキャベツを半分に切って戻しても、置き場所が同じであれば同じ野菜と認識して管理を続けてくれる。複数の同じ野菜があった時も別物として管理する。なお、野菜室に野菜以外のものが入っていると、それは除外する。

認識の精度は使い続けないとなかなかわからないとは思うが、パナソニックによれば現時点で既に「人と同じ程度」とのこと。カット状態や、パッケージに入ったものも認識するという。もちろん厳密に比較すれば人の方が正しく認識できそうには思えるものの、在庫を常に覚えておく大変さに比べると、できることは冷蔵庫に任せた方がラクになりそうだ。

45種類の野菜を認識
冷蔵庫カメラの野菜認識をリアルタイムで見られるようにしたデモ。たくさんあってもここまで分類。野菜以外は除外

カメラ部は冷蔵室やドアポケットを見渡せる広角カメラと、下の冷凍室までカバーする狭角望遠カメラの2つを装備。引き出しを開けた際にタグを読み取るセンサーや、冷蔵室の赤外線測距センサー、画像を見やすくするためのLED照明も備えている。

カメラは動画で撮り続けて、扉が閉まる最終タイミングを静止画として保存するため、閉まっている庫内とほぼ同じ状態が記録される形だ。冷凍室上段は、外気の侵入を防ぐ「うまもりカバー」をスライドさせた時に撮影する。

広角と望遠の2つのカメラを備える
ドアを開いても広く撮影。LEDで照らす
引き出しにタグを備え、カメラで認識

食材の管理は、スマホアプリのLive Pantryで行なう。アプリでは最新画像1枚と直近の過去画像5枚が見られる。

アプリでの画像例

野菜室以外の食材は、手動でリストに文字入力することで管理できる。一つ一つ入力するのは手間ではあるが、まずは特によく使う食材や、消費期限が短いものなどを中心に入力していくと、習慣として使い続けられるかもしれない。

ただ使うことを催促されるだけではなく、ちゃんとレシピ提案までしてくれるのはパナソニック独自の機能。AIを用いて、冷蔵庫にあるものから今日使ったほうがいい食材で作れる料理を教えてくれる。野菜室だけでなく、リストに加えた冷蔵室の食材も組み合わせて提案するため、例えば冷蔵室に豚肉があれば、それと野菜を合わせたメニューが分かる。

リストの野菜は、早く使った方がいい順番で上から並ぶ。そこからタップで選択
野菜を選ぶとレシピを提案

パナソニックにとっては今回が初めてのカメラ付き冷蔵庫だが、野菜の自動認識やレシピ提案など独自の特徴を出してきた。これからもAIやアプリのアップデートによって、認識できるものが増えたり、レシピの多様化なども期待できて、買った後も長く使い続けられる冷蔵庫といえそうだ。