ミニレビュー

e-bikeなどの整備用にWeraの自転車用工具セットを購入してみた

ミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
Wera「自転車 セット 1」

個人的に非常に好きな工具メーカーWera(ヴェラ)。このメーカーの工具を使ってe-bikeなどを整備していますが、前から欲しかったWera製品があったので購入してみました。Wera「自転車 セット 1」です。

Wera「自転車 セット 1」のケース表裏。裏面上部には面ファスナーの柔らかい側があります。Weraはけっこう硬派な工具メーカーだと思いますが、このケースの自転車マークはちょっと楽しげ。ケース外寸は135×95×40mm(全長×全幅×高さ)で、工具を含めた重さは約260gと、自転車用の携帯工具セットとしては大きめ重め。ですが、筆者はWera製であることと、この楽しげな外見で購入してしまいました
ケースの中身はこんな感じ。工具類は、サイクロップミニラチェット(ビット式ラチェットレンチ)、エクステンションバー(ビット延長用バー)、そして10個のビットです。ビットは、トルクスがTX10/TX25、六角が2/2.5/3/4/5/6/8。ケースのフラップ内側にはメッシュポケットがあります

この工具セットは、確か2019年頃には国内市場に出回っていたんですが、品薄の状態が続いていました。そして案の定、転売屋がぼったくり価格で販売。高すぎる値段なので買いませんでした。しかし去年あたりには6,000円くらいのマトモな価格で買えるようになりましたので購入(でもまだぼったくり価格品が出回っていますのでご注意を)。さておき以降、Wera「自転車 セット 1」の使用感などについて書いてみたいと思います。

大きめ重めだけど……六角ビットはWeraがイイ

さてこの工具セット、ぶっちゃけた印象ですが、携帯用工具セットとしては正直言って大きめで重めです。前述のとおり、ケース外寸は135×95×40mm(全長×全幅×高さ)で、工具を含めた重さは約260g。ロードバイク向けなどの携帯用工具セットと比べると明らかに大きいし重い。

左がWeraのセット、中央と右はよくあるスポーツ自転車向けの携帯用工具セットです。中央や右のセットはコンパクトですし、Weraのセットと比べると重さも半分くらいです

ケースの柄がカワイイだけの携帯用工具セット、とは言いませんが、単純に比べちゃうと……なんだかなぁという印象になってしまうかもしれません。筆者の場合はe-bikeで使うので、携帯工具のサイズや重さはあまり気にしないんですが、一般的に見たらビミョーなWera「自転車 セット 1」?

ただ、実際の使い勝手は、コンパクト指向の工具セットより良好です。ケースに余裕がある分、レンチやビットの出し入れが行ないやすく、小ささからくる使いにくさなどはあまり感じさせません。各ツールの作りも非常によく、触っていて気分がイイという感触。ラチェットレンチは65Nmの負荷に耐えられる頑丈さがあり、ノッチ数が60と多いのでより精密なネジ締めにも向きます。

サイクロップミニラチェットの作りは非常によく、工具として精巧でありかつ使用感も良好です。エクステンションバーは、自転車用の携帯工具セットとしてはちょっと長いかな、という気はしますが……

そして最大の良さは、独特の六角ビットです。Wera独自の「Hex-Plus (ヘックスプラス)」形状となっており、一般的な六角レンチよりも六角穴を痛めにくく、高いトルクでも安全に締められます。

Hex-Plus形状を採用したWeraの六角レンチセット。筆者が多用している工具ですが、普通の六角レンチと比べると明らかにネジへの食いつきがよく、容易にがっちりと締められます。緩める時も同様。ネジ穴を痛めにくいレンチだと実感しています
Hex-Plus形状レンチは、レンチの各面が緩やかに凹んでいます
Hex-Plusのイメージ図。各画像の左側が普通の六角レンチで右側がHex-Plusです。普通の六角レンチはネジ穴に点で接触するのに対し、Hex-Plusは面で接触。これによりネジ穴が傷みにくくトルクもしっかりかかるというわけです

で、Wera「自転車 セット 1」に付属する六角ビットも、このHex-Plus形状を採用。そしてその使い勝手はほかのWera製六角レンチと同様、とてもしっかり締められて、トルクもしっかりかけられます。レンチとネジが密に嵌合する「Wera製六角レンチならではの締め心地」があります。

Rapidaptor付きビットホルダーを追加♪

Wera「自転車 セット 1」は付属六角ビットの使い心地の良さが光る工具セットです。が、自転車用の携帯向け工具セットなので、必要最小限のツールしか含まれていません。なので、場合によっては一般的な工具セットと比べると作業性に劣る部分があります。

特に筆者的に気になるのは、Wera「自転車 セット 1」に付属するビットホルダーであるサイクロップミニラチェット(ビット式ラチェットレンチ)です。作りがよくラチェットの動きも繊細で使いやすいのですが、状況によっては「普通のドライバーのように握って使えるツールが欲しい」と思ってしまいます。

付属のサイクロップミニラチェットの場合、ビットと90度の角度で力を加えることになります。状況によっては、このビット向きだと作業しにくいことも

そこで、普通のドライバーのように握れるビットホルダーを、このWera「自転車 セット 1」に追加してみました。追加したのは同じくWeraの「813R ビットホルダー(ラピダプター付き/051272)」です。

Wera「813R ビットホルダー」は、長さ10cm弱のドライバー型のビットホルダーです。2,500円くらいで売られています
Wera「自転車 セット 1」付属の六角ビットを装着した様子。これでドライバーのようにネジ回しができるようになりました
Wera「自転車 セット 1」のケースに「813R ビットホルダー」を追加。ラチェットレンチを縦向きにしたら、ややギリギリですが追加工具も収まりました

ちなみに、なぜ「813R ビットホルダー」を追加したかと言いますと、まずは前述のとおりドライバーのような作業性を求めたから。各ビットを普通のドライバーのように使えるようになりました。グリップも良好なので、ある程度高いトルクをかけてのネジ回しもできます。

また、このビットホルダーはRapidaptor(ラピダプター)というWera独自のビットホルダー機構が採用されていて、コレが秀逸。多くの六角ビットを確実にホールドし、作業中にビットが抜けるようなことがまずない。ビットの脱着も容易。筆者が使ったビット装着機構の中ではダントツに高性能だと感じられるのが、このRapidaptorです。

写真はWera「Rapidaptor」。「813R ビットホルダー」の先端にもこれと同じ機構が備わっています。Rapidaptorへのビット装着時は、先端を前方に押し出した状態にします。その状態でRapidaptorへとビットを押し込むと、自動的に先端が後退してビットがロックされます。ビットを抜く時は、Rapidaptor先端を軽く前方に引いてビットを抜き取ればOK。ビットの抜き差しが非常に手軽であり、ビットの保持性能にも優れているというわけです

非常にイイです、Rapidaptor搭載のドライバー型「813R ビットホルダー」。そして前述のHex-Plus形状の六角ビットも使いやすい♪ ちなみに、Weraのビットはバラでも売られていますので、「813R ビットホルダー」と各種ビットを別々に買って、オリジナル感のある携帯用自転車工具セットを揃えてみるのも楽しいと思います。

スタパ齋藤