ミニレビュー

これから自転車のメンテナンスをしたい人にオススメできるbirzmanの高品質工具

ミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

e-bikeをはじめ、最近のスポーツタイプの自転車には、ディスクブレーキが多く採用されています。リムを挟み込むタイプのブレーキに比べて、制動力やコントロール性が高いこと、雨が降っても制動力が変化しないことがメリット。また、リムブレーキに比べてメンテナンスの頻度も少なくて済みます。

ただ、愛車を自分でメンテナンスしたい人にとっては、できることが少ないのは寂しく感じるかもしれません。特に油圧式のディスクブレーキは、下手に素人が触ると油圧部分にエアが入り込んでしまったりして、ブレーキが効かなくなってしまうこともあるので、メンテナンスはプロに任せたほうが無難です。

とはいえ、何もしないでいいというわけではありません。ブレーキパッドの交換を依頼するにしても残量の確認くらいはしておきたいところ。走行距離が伸びればブレーキのディスクプレートも減っていきますので、長く乗っているなら一度確認しておいてもいいでしょう。

高品質な専用工具もリリースされている

そうしたブレーキパッドの残量や、ディスクローターの厚みを確認できる専用工具も販売されています。リリースしているのは、高品質な自転車向けの工具を数多く手掛けている「birzman(バーズマン)」。今回は、この工具を使って自分の自転車のブレーキ整備をしてみたいと思います。

ブレーキパッドの残量を確認できるのは「Brake Pad Wear Indicator」という製品。ブレーキパッドがどこまで減ったら交換すべきなのかは、メーカーによって異なるのですが、この工具はシマノ、SRAM、MAGURA、TEKTRO、TRP、HOPEと主要なブレーキメーカーにはほぼ対応しています。

brizmanの「Brake Pad Wear Indicator」はステンレススチール製の3枚のプレートで構成されています。価格は3,520円
プレートにはそれぞれ切り欠きが設けられていて、その隙間を使ってパッドの残量を確認します。シマノ、TEKTRO、TRP、HOPEについてはプレート下の切り欠きを使う

パッドの交換時期に指定されている厚みはメーカー各社によって異なります。シマノ、TEKTRO、TRP、HOPEはパッド表面の盛り上がっている部分が0.5mm以下になると交換時期。SRAMとMAGURAはパッド全体がそれぞれ3.0mm、2.5mmを下回ると交換が必要になります。

我が家には4台のディスクブレーキ付きの自転車がありますが、残念ながらSRAMとMAGURAのブレーキを使っているものはなく、シマノ用のプレートしか試すことができませんでした。それなりに走っているつもりでしたが、どれもまだ交換時期には遠い状態。そこで最近すごい距離を走っているe-bike Watch編集部の清水氏が「そろそろパッドの交換時期かも」と言っていたのを思い出し、そのパッドを測らせてもらうためだけに呼び出してみました。

写真のようにパッドの表面に工具のプレートを当てて測りますが、清水氏のパッドでもギリギリまだ交換時期には達していない状態。ディスクブレーキのパッドって結構長持ちなんですね

リムブレーキ用のゴム製のパッドは結構減るのが早く、特に雨の中などを走るとすぐ交換時期になってしまう印象でしたが、ディスクブレーキのパッドは素材が樹脂(レジン)や金属(メタル)となっていることもあって、かなり長持ちするのだということが実感できました。

続いて試してみたのが同じくbrizmanの「ROTOR WEAR INDICATOR」という工具。こちらはディスクローターの厚みを計測し、交換時期を確認できるものです。

「ROTOR WEAR INDICATOR」は7075アルミをCNCで削り出した造形。高品質で持つだけでワクワクします。価格は4,840円
こちらもブレーキメーカーごとに4種類の切り欠きが設けられていて、それぞれの交換時期を確認できます

シマノとHOPE製のディスクローターは1.5mmが使用限界。SRAMは1.55mm、MAGURAは1.8mm、TEKTROとTRPのe-bike向けローターは2.0mmが交換時期に指定されています。つまり、ローターに工具の隙間になっている部分を当てて、入ってしまったら交換時期ということ。前述のように、我が家にはシマノ製のブレーキしかありませんが試してみました。

このように隙間にローターが入らないのが正しい状態。入ってしまったら交換時期になっているということです
ただ、ついつい隙間には差し込みたくなるもの。隙間が4種類あるので、今のローターの厚みがどれくらいあるのか確認することはできます
清水氏の自転車でも測らせてもらいましたが、こちらも交換時期には至っていないようでした

どちらの工具も交換時期か否かを確認するだけなので、ブレーキパッドは外す必要がありますが、それほどの時間はかかりません。ただ、どちらも質感の高い完成度なので、ついつい使ってみたくなる魅力があります。ディスクブレーキを装備した自転車で走り込んでいる人はもちろん、これからメンテナンスなど手をかけて愛車との距離を縮めていきたい人にも適した工具だと感じました。

ディスクブレーキのピストンを押し戻す工具も

brizmanのディスクブレーキ向けの工具には「DISC BRAKE PISTON PUSHER」という製品もあります。こちらはキャリパーから出てきてしまったピストンを押し戻すためのツール。輪行などでホイールを取り外す機会の多い人はご存じかもしれませんが、ディスクブレーキ(特に油圧式)のピストンは一度出しすぎてしまうと、キャリパー内に押し戻すのがなかなか難しかったりします。大きめのマイナスドライバーを間に差し込んでこじって戻したりすることが多いですが、これはパッドの表面などを傷めてしまう可能性があるので、あまりオススメできない方法。そんなシーンで便利なのがこのツールです。

「DISC BRAKE PISTON PUSHER」の価格は7,040円。ちょっと値段ははりますが、輪行の機会が多い人は持っていると助かる場面は多そう
この部分をキャリパーに差し込み、ピストンを押し戻します。左右対称に押し戻せ、ローターやパッドを傷める心配がありません
折りたたみ式のハンドルを回すと、パラレル機構でピストンを押し戻せる構造。ハンドルの動きはスムーズでクオリティの高さが感じられます

ホイールを外した状態でブレーキレバーを握ってしまった場合だけでなく、使い込んだパッドを新品に交換すると、厚みが増えるのでピストンを押し戻さないと新しいパッドが入らなかったりもします。そんな場面でも、この工具は役に立ちそう。実際に油圧ブレーキのピストンを押し出して、実力を試してみました。

こういう感じで、キャリパーもホイールも車体に取り付けたままで使えます(パッドのみ外しています)。油圧キャリパーのピストンを押し戻すのはかなり力が必要
この工具を使うとハンドルを回すだけでスムーズに押し戻すことができました。左右対称にピストンを押し戻せていることがわかります

出番の多い工具ではありますが、実際に油圧ピストンを押し戻したことがある人ならば、ありがたさがわかるかと思います。輪行する機会の多い人や、これからパッド交換などをやってみたい人は持っておくといいかもしれません。

筆者はエンジン付きのバイクにも乗るので、そっちのブレーキキャリパーでも試してみました
推奨される使い方ではありませんが、こちらもスムーズに押し戻すことができました

ディスクブレーキのメンテナンスというと、ハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんが、交換時期を調べるだけでも自分で作業をすると、愛車との距離が縮まった気分になれます。特に今回試したbrizmanの工具はどれもクオリティが高いので、工具箱の中にあるだけでメンテナンスをしようという気分が上がりそうです。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。