神原サリーの家電 HOT TOPICS

【ダイソン4機種比較】コードレス掃除機、どれを選ぶのが正解?

今回、使用感を試した4機種。左からDyson V12 Detect Slim(Total Clean)、Dyson Omni-glide Complete、Dyson Micro 1.5kg、Dyson Digital Slim Fluffy

今や掃除機と言えばコードレススティックが当たり前の時代に。その先駆けとなって業界をけん引してきたのがダイソンです。でも、いつの間にか機種が増えて、同じダイソンでもどれを選んでいいのかわからないという声も多く聞かれます。

そこで、現在店頭に並んでいるダイソンのコードレス掃除機の中から、4機種を同社のショールームで使わせてもらい、どんな人に向いているのかを探ってきました。ダイソンの掃除機選びの参考になれば幸いです。

「Dyson Micro 1.5kg」は高齢の方におすすめ。ご両親への贈り物にも

2020年10月に発売された、ダイソン史上最も軽いコードレスクリーナーが「Dyson Micro 1.5kg」。今回初めて使ったのですが、「あら、軽い!」と思わず声が出てしまうほど軽く、マイクロの名に恥じないモデルです。付属品の異なる2タイプがあり、公式オンラインストアでの価格は53,900円/69,300円。

これまでトリガー式のイメージが強かったダイソンのコードレスクリーナーですが、このモデルは電源ボタン式。1回ボタンを押せば、軽やかに掃除が始まります。

最長の運転時間は20分で、フローリングの床用のMicro Fluffyクリーナーヘッドのほか、ミニモーターヘッドやすき間ノズル、卓上ツールが付属しています。

初めて触れるDyson Micro 1.5kgは2020年10月発売。確かに軽いけれど、ヘッドが小さく、全体的にバランスが今一つの印象

実際に床の掃除をしてみると軽いけれど、小さなヘッドが安定せず、全体的にバランスが今一つの印象。「軽さは正義」という人にはいいかもしれませんが、これ1台で家中きちんと掃除をしたい人にはちょっと物足りないかもしれません。

ダイソンの担当者によれば「軽量化が進む中で1.5kgが分岐点になっていて、ここをクリアしないと選択肢に入れてもらえないという場合もあるんですよね。このモデルは、身体に負担を掛けずにお掃除したいという高齢の方に向いています」とのこと。

なるほど! ダイソンファンだけれど重いのは卒業したいという方や、年齢高めの方のダイソンデビューにいいのがDyson Micro 1.5kgということですね。ご両親への贈り物にもいいのではないでしょうか。

トリガー式ではなく、ボタンでオンオフする方式

「Dyson Digital Slim Fluffy」は女性にも使いやすい、パワフルなメイン機

2020年6月発売の「Dyson Digital Slim Fluffy」は、今回試した4機種の中では、最も早くお目見えしたモデルになります。公式オンラインストアでの価格は59,400円~83,900円。

次々に新しいモデルが登場しているので、なんとなく影が薄くなって注目度が下がっているようにも感じますが、実は私個人の所感では、最も気に入った機種です。

Dyson Digital Slim Fluffyは重さ1.9kg。最近の軽量コードレス群の中では、決して軽くはないはずなのに、ヘッドの大きさとヘッドが床に吸い付きつつもすいすい進む感じが心地いい!

というのも、重さ1.9kgと最近の軽量コードレス群の中では、決して軽くはないはずなのに、ヘッドの大きさと吸引力のバランスがいいと言えばいいのでしょうか。ヘッドが床に吸い付きつつも、すいすい進む感じが心地よく、腕にも負担がかからず、ストレスなく掃除ができるのです。「わー、これ好き! 掃除が好きになりそう!」を連発しながら、体感させてもらいました。

長くダイソンの製品に触れてきているからか、ダイソンらしい“トリガー式”の電源スイッチが使いやすく、トリガーから指を離せば運転がストップする方式に安心感があります。

しかも硬すぎず、女性でも引きやすいトリガーなので、余分な力は不要。手首を動かすとヘッドが小気味よく動き、掃除をしたい場所にきちんとフィットする感じも素敵です。どんなゴミもぐんぐん吸い込んでいく頼もしい吸引力もうれしくなります。

トリガータイプで私的には安心感あり。トリガーも引きやすく、余分な力は不要

液晶ディスプレイには、使用中の運転モードと、バッテリー残量(時間)が表示されてわかりやすいですし、赤いハンドルを下におろすとフィルターの汚れをこそげ取りながら、簡単にゴミ捨てができるのも便利です。

Dyson Digital Slim Fluffyは女性でも扱いやすく、吸引力重視でガシガシ掃除したい男性にも満足のいくバランスのいい一台。これは万人におすすめできるメイン機だと思いました。

液晶ディスプレイには、使用中の運転モードと、バッテリー残量(時間)が表示されてわかりやすい
赤いハンドルを下におろすとフィルターの汚れをこそげ取りながら、簡単にゴミ捨てができる

「Dyson V12 Detect Slim」はこだわり派のための“俺家電”

2021年5月に発売された最新モデルが「Dyson V12 Detect Slim」。公式オンラインストアでの価格は86,900円~102,300円。

オンライン発表会でその特徴はチェック済みでしたが、いざ目の前にしてみるとびっくりするポイントが満載です。

1つはDyson Micro 1.5kgと同様に電源がボタン式になっていること。ハンドルを握った状態では電源ボタンに届かないので反対の手でボタンを押さないと掃除が始まりません。でも、これは慣れればどうということはないのかもしれませんね。

2021年5月に発売されたDyson V12 Detect Slimも初めての体感。こちらもトリガー式でなく、電源ボタン方式になっていてびっくり

一番気になっていたヘッドに付いているレーザーで微細なホコリも可視化できる機能は、実際に使ってみると、便利便利! しかもゴミの量が多いと判断すると自動で吸引力を高めたり、液晶ディスプレイには吸引したゴミの量とサイズがリアルタイムで表示される機能まで。

私はバッテリーの残り時間がわかればそれでいいと思いますが、10μm以下の花粉、60μm以下の微細なホコリ、180μm以下のダニの死骸、500μm以下の砂糖……というようにゴミのサイズごとに吸引した量が表示されるなんて、きれい好きでメカが好きな男性にはワクワクするんじゃないかと思います。

レーザーで微細なゴミまで照らして可視化できるので、掃除が楽しくなりそう
液晶ディスプレイには吸引したゴミの量とサイズがリアルタイムで表示される。下の数字はバッテリーの残り時間

ダイソンの担当者いわく「ダントツで男性に人気ですね」と。やっぱりね。これは私的には“俺家電”に認定。これを買う場合、家の掃除は男性(パートナー)の担当ということで、毎日Dyson V12 Detect Slimで家中きれいにしてもらいましょう。

円錐形のユニークな形が特徴の毛絡み防止スクリューツールも付属していて、ハンディ仕様にして使えば、ソファやマットレスなどの奥に入り込んだハウスダストも取り除けるのもいいですよね。

毛絡み防止スクリューツールは円錐形のユニークな形が特徴。ハンディ仕様にして使えば、ソファやマットレスなどの奥に入り込んだハウスダストも取り除ける
着脱式のバッテリーは最長60分運転できる。別売のバッテリーと交互に使用すれば、さらに長時間の掃除も可能に

「Dyson Omni-glide」はロボット掃除機との併用や、フローリングの家のサブ機に

Dyson V12 Detect Slimより1カ月早く、今年の春にお目見えしたのが、自由自在に動くコンパクトなヘッドが特徴の「Dyson Omni-glide」です。公式オンラインストアでの価格は64,900円/69,300円。

Dyson Omni-glideは今年4月の体験会で体感済み。自由自在に動くコンパクトなヘッドが特徴

こちらは、体験会に参加してプレゼンを聞いたり、実際にいろいろな場所の掃除をしてみたりしているので使用感はわかっていました。でもあらためて触ってみると、小回りが利き、狭い場所にもヘッドが縦方向に入っていく様子などとてもユニークで、Dyson Digital Slimとは違う意味で掃除が楽しくなる一台だと思いました。

重さは1.9kgとDyson Digital Slimと同じですが、全方向駆動なので掃除中はとても軽く感じます。パワフルな吸引力というよりは、細かいところにも手が届く感じの便利さが特徴なので、ロボット掃除機と併用して、取り残したところを補ったり、ちょっと気になるところの掃除をしたり……という使い方がよさそうです。この掃除機はボタン式でも片手で押しやすいのでそういう点でも手軽に使えますし、老若男女に向いていると思います。

ツールを切り替えると、布団クリーナーとしてやハンディクリーナーとして車の中の掃除などにも使えるところも魅力的。バッテリーは最長20分と長いとはいえませんが、着脱式なので別売のバッテリーを用意して交互に使用するようにすると安心かもしれません。

最長20分の運転時間のバッテリーは着脱式。別売のバッテリーを用意しておくと安心かも
神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。