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軽くてパワフルは当たり前! 百花繚乱の最新コードレス掃除機はどれを選ぶ?

今や、掃除機といえばコードレススティック型が主流になり、ここ1~2年は本体質量1.1kg、1.2kgというように軽さを競う向きも。もちろん軽くて取り回しのいいモデルも人気ですが、この秋ずらりとラインナップした2022年の新モデルでは、ハイスペックなフラッグシップモデルに注目です。

SDGsに配慮したもの、自動ゴミ収集ドックを搭載したもの、運転音に着目したものなど、各社が注力したポイントがはっきりと分かれているのが今年の特徴といえるでしょう。その中から、特に注目したい4機種をピックアップしてご紹介したいと思います。

シャープ「RACTIVE Air POWER EC-SR8」

シリーズ最強の吸引力なのに高い静音性でストレスフリー。軽快なデザインにも注目!

シャープ「RACTIVE Air POWER(ラクティブエアパワー) EC-SR8」店頭予想価格:99,000円。カラーはホワイトのほかブラックも

シャープが業界に先駆けて、軽さをアピールしたモデル「ラクティブエア」を初投入したのが2016年のこと。「軽量化=吸引力の弱さ」という印象を払拭しつつ、着脱式バッテリーと急速充電器によって掃除機の置き場所を選ばないという使い勝手のよさや、ハイパワー&長時間運転などに取り組んできました。

誕生から7年目となる2022年モデルでは、在宅機会の増加によって生活音を気にする人が増えていることに着目。本体のモーター音や排気音、振動による駆動音を抑えるノイズリダクション設計により、実感音を従来機比約36%低減し、英国の騒音防止団体が発行する低騒音化技術の証である「QUIET MARK」を国内で販売されている掃除機で初めて取得しています。

実際に使ってみると「強」運転時でも、耳障りな音がせず、本当に静か。それでもダストカップにはどんどんゴミが溜まっていき、ぐんぐんゴミやホコリを吸い込んでいくのでびっくりします。

EC-SR8用に開発されたファンネルサイレンサー

特に高音の風切り音がしないのが心地よく、これなら赤ちゃんがいたり、掃除機を掛けると逃げ出してしまう犬や猫などのペットがいるご家庭でも安心して掃除ができることでしょう。夜間や早朝に気になるゴミをサッときれいにしたいという時にも躊躇しないで掃除機がかけられるのはいいなと思います。

今回、こうした機構を搭載する上で、フルモデルチェンジしてアルミパイプとハンドルを連携させた軽快なデザインを採用しているのも注目ポイント。特にホワイトモデルでは、ハンディとして使う際のシリコン製の吸引部にまでホワイトを採用し、先端は薄いグレーで汚れを目立たなくさせるなど、細やかな配慮があって美しいのです。

ヘッドの右端までブラシを配置して壁際の掃除もスムーズにできますし、吸込口のパイプ部の自立で、かがまずに通常ヘッドとブラシの切り替えができるのに加え、床掃除とハンディ掃除の切り替えもかがまずにできる構造にするなど、使い勝手もブラッシュアップさせています。本体質量1.7kgながら、軽やかに進むところもいいなと思います。

新モデル(写真右)ではヘッドの左端までブラシが配されている
ハンディとして使う時用のシリコン製のノズル。先端は淡いグレーになっている

日立「パワーブーストサイクロン PV-BH900K/PV-BH900SK」

パワフルで機能的だけじゃない。再生プラスチックを使用した環境配慮型モデルがスタイリッシュ!

日立「パワーブーストサイクロン PV-BH900SK」。店頭予想価格:110,000円前後。高度循環社会の実現を目指したモデル

日立のコードレススティッククリーナー「パワーブーストサイクロン」は、その名の通りのパワフルさに加え、モーター駆動方式による自走機能で軽い力でスイスイ進むことや、押す時も引く時も吸って取り残しを減らすヘッドが特徴的です。

また、先端に備えた白色と緑色のLEDライトを組み合わせた合計7灯の光で、見えにくいゴミもくっきり照らし出す機能を搭載したのも日立が初めて。特にフローリングの掃除をする際にはその威力を発揮します。

目視しにくい細かなホコリもくっきり浮き出して見せるLEDライト

新モデルでは、新開発の「パワフル3Dファンモーター」で、これまで通りの小型・軽量を維持したまま空気を吸い込む力を約20%向上させ、強烈なパワーを実現。

標準・強モードにプラスして「ターボ運転」モードを新搭載して、カーペットやラグなどの奥の汚れもしっかり吸引できるようになりました。充電時間が従来の約3.5時間から約2時間に短縮されたのもうれしいですね。ダストボックスのゴミは圧縮されてドーナツ状になるため、ゴミ捨て時もスマートです。

引き出しの中やサッシの掃除に活躍するほうきブラシや伸縮すき間用吸口、ミニパワーヘッドなどアタッチメントも豊富でスタンド式充電台にすべて収納できる方式も従来からの日立の掃除機の特徴の1つ。今回、スマートホースの収納フックの高さを低くしたことで、見た目もすっきりしています。

手動モードは「標準」「強」「ターボ」の3つ。写真はライトゴールドのPV-BH900Kの操作部
スタンド式充電台にアタッチメントを収納した様子。スマートホースの収納フックの高さを低くしたことで、見た目もすっきり

そして、今回注目すべきは、プラスチックの大量廃棄が世界的に問題視される中、高度循環社会の実現を目指して生まれたモデル「PV-BH900SK」の同時発売。スペック等は「PV-BH900K」と同じですが、ハンドルカバーや付属品にも再生プラスチックを活用し、再生プラスチック使用率を重量比で40%以上にしています。

研究開発グループ・プロダクトデザイン部の担当者が「異物が目立たないダークトーンを基調とした色調を採用。部品ごとに樹脂の種類や表面処理を使い分け、コントラストを生み出すことで品質感を高めた」と語っているように、サテンブラックと名付けられた本体色は、ライトゴールドの塗装を施されたPV-BH900Kと遜色ない魅力を放っています。

エシカル消費という言葉がありますが、そうした共感だけではない、そもそもの美しさ。使いたくなる“製品力”に感動する一台だと思います。

シャーク「EVOPOWER SYSTEM iQ+」

自動ゴミ収集ドック搭載。ハンディの便利さをコードレススティックに応用した日本専用モデルがさらに進化!

シャーク「EVOPOWER SYSTEM(エヴォパワーシステム) iQ+」。店頭予想価格:79,750円。自動ゴミ収集ドック搭載

シャークが米国No.1シェアの掃除機メーカーとして日本に上陸してから早4年。ハンディクリーナーの「エヴォパワー」シリーズは、コードレスハンディクリーナー市場でNo.1シェアを獲得しています。

そんなシャークが2020年から手掛けているのがコードレススティッククリーナー「エヴォパワーシステム」。今年9月にはこの最新モデルとして「エヴォパワーシステムiQ+」が登場しました。

掃除機内に搭載されたセンサーがゴミの量を検知して、グリーン、イエロー、レッドの3色のiQモニターで可視化。このモニターはヘッドのほか、手元の操作部にもあるので、ハンディで使うときにも家具の下を掃除しているときにもチェックできます。

ゴミの量を検知して、グリーン、イエロー、レッドの3色のiQモニターで可視化
ヘッドだけでなく手元の操作部にもiQモニターがあり、ハンディとして使うときにも活躍する

モニターがグリーンになった時には、ゴミが少量なので低吸引力&ヘッドのブラシも低回転速度に。ゴミの量が中くらいのイエロー表示の時は、中吸引力&中回転速度、レッド表示では高吸引力&高回転速度というふうに自動で調整してくれるからムダなく短時間で掃除が終わる仕組みです。

シャークの掃除機の象徴となっている「フレックス機能」ももちろん搭載。これはボタン1つでパイプが曲がり、腰をかがめなくても掃除ができるというもので、家具の前に十分なスペースがなくてもしっかりと奥まで入り込んで掃除ができるのが特徴です。ぐっと手前に引きながら掃除機を上にもち上げるようにすると、自然に元のスティックに戻るのもいいなと思います。

シャークの掃除機の象徴となっている「フレックス機能」。ボタン1つでパイプが曲がり、腰をかがめなくても掃除ができる

自動ゴミ収集ドックがあるので、掃除が終わったらここに戻すたびに自動でゴミをドック内のダストボックスに吸引。1回あたり15秒かけて掃除機本体のダストカップにたまったゴミを収集してくれますが、夜間や赤ちゃんが寝ている時、仕事や勉強中などゴミ収集時の音が気になるときにはドックにある三日月マークのボタンを押しておけば、そのまま充電モードに入ります。

収集ドックも紙パック式ではないのでランニングコストもかからず、大きめのダストボックスでゴミ捨ては約1カ月に1回でOK。水洗いができるから清潔に保てます。ドックにはHEPAフィルターが搭載されていて、細かいホコリやアレルゲンなどを99.99%閉じ込めておけるとのこと。排気がきれいなので安心ですね。

ドックに立てたまま、片手でリリースボタンをつまむだけで簡単にハンディになるのも特徴ですが、このモデルでは床用のヘッドだけでなくハンディのほうにもLEDライトが搭載されていて、さらに便利に。アタッチメントも豊富ですし、片手で着脱できるのも便利です。

【更新】初出時、HEPAフィルターの粒子捕集率を99.97%としていましたが、シャークの公式情報が「99.99%」に更新されたため反映しました(10月4日/編集部)

東芝「トルネオコードレス VC-CLX51」

フィルターレスサイクロンで吸引力がずっと続く。お手入れも楽々!

東芝「トルネオコードレス VC-CLX51」。店頭予想価格:82,000円前後

東芝のトルネオコードレスのフラッグシップモデルの特徴は、何と言っても目詰まりするプリーツフィルターがない「フィルターレス構造」なこと。キャニスタータイプにも搭載されてきた「バーティカルトルネードシステム」により、3つの気流が微細なチリや花粉まで99%以上分離し、強い吸引力が99%持続します。

多くのクリーナーには排気部にプリーツフィルターが搭載されていて、ここに粉状のチリやホコリが蓄積されていくため、50日程度で「お手入れサイン」が点灯し、プリーツフィルターを水洗いする必要があるのですね。これをしないと風量がぐんぐん落ちてしまいます。

トルネオコードレスVC-CLX51は、このプリーツフィルターがないので、お手入れの手間なしでずっと吸引力が持続するというわけです。ダストカップ内のゴミは約1/4まで圧縮され、ダストカップは帯電防止加工をされているため、ネット部にゴミがつきにくく、ゴミ捨てもスマートにできます。

ということでそもそものお掃除力やお手入れのラクさはある意味、別格。従来からこのフィルターレス構造を備えているのですが、その利点が広まっていないのがやや残念なところかもしれません。

写真左がVC-CLX51ならではの「フィルターレス構造」。右は同社の下位モデルや他社の掃除機に多く採用されているプリーツフィルター付きのサイクロン構造

新モデルでは、ブラシの毛を横糸で編みこんでブラシのすき間に髪の毛が入り込んでしまうことを抑制した「からみレス自走ヘッド」を採用したほか、ヘッドだけでなく、すき間ノズルや丸ブラシにも取り付け可能な「ピカッとライト」が付属品として加わっています。アルミの延長管の採用で本体質量が1.5kgと軽く、自走感もあるので軽い掛け心地も魅力です。

着脱が簡単なカートリッジバッテリーを採用していて、本体に取り付けたままプラグを差して充電することもできるほか、付属の充電器を使うことで本体の収納とバッテリーの充電を別の場所で行なうこともできる2WAY仕様。本体は2色展開ですが、シックなボルドーブラウンが目を引きます。

ハンディの先端に丸ブラシとピカッとライトを付けた様子。階段などの掃除にぴったり
取り外し可能な「ピカッとライト」。付属品としての扱いが珍しい
神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。