家電製品レビュー
「Dyson Micro 1.5kg」は、軽量タイプのスティック掃除機で最強かも
2020年12月16日 08:00
正直、ダイソンのスティック掃除機には、苦手意識があった。吸引力は高く、ゴミをよく吸ってくれる。だが、身長168cm(本当は167.8cm)の筆者には、延長パイプを付けた時の本体が、長すぎるように思えたからだ。続けて使っていると、どうしても腕や肩に負担がかかるように思えた。
そんなダイソンに「Dyson Digital Slim」シリーズが追加されてから、同ブランドへのイメージがガラッと変わった。使ってみると、筆者の身長でも使いやすい。女性に聞いてみても、本体が短くなりつつ軽くなったことで、使いやすくなったという。スリムになったことで吸引力が変わったのかと言えば……厳密には変わったのだろうが、部屋で使っている分には、明確に違いが分かるほどではない。扱いやすくて、吸引力も強いとなれば最高だ。
そして今年は、さらに軽量化したモデル「Dyson Micro 1.5kg」が発売された。名前の通り、重さが1.5kgと軽い。
さっそく、典型的な昭和期のマンション設計である、我が家での使い勝手を試してみた。
メーカー名 | ダイソン |
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製品名 | Dyson Micro 1.5kg |
直販価格 | 64,900円(税込) |
日本の住環境に適しているのか?
ここ20年前後で建てられたマンションとは状況がだいぶ違うだろうが、筆者宅は、とにかく段差が多い。主な段差としては、ダイニングと和室との間に高さ3~4cmほどの段差。また、廊下とダイニングの間にも約1cmの段差……。廊下とユーティリティルーム(というか、単なる洗面所)の間にも3~4cmほどの段差がある。
言われてみれば……という程度のことだが、今までは、これらの段差を越えるために、スティック掃除機を持ち上げていた。この持ち上げるという動作が、地味に疲れる……。ちょっとしたハードルなのだけど、例えば「今日は洗面所は掃除しなくてもいいかな」などと弱気になったり躊躇したりする原因になっているだろう。おそらく、スティック掃除機を持ち上げて段差を越えたくないからだと思う。
これが「Dyson Micro 1.5kg」だと、特に持ち上げるという意識で身構えなくても、掃除機掛けしている延長、そのままの姿勢でヘッドをサクッと持ち上げれば、段差を越えられる。今までのように「さぁ越えるぞ」と、スティック掃除機の持ち方を変えなくても良いのだ。
もちろん筆者が稀代の面倒くさがり屋だからといのもあるだろうが……。そんな面倒くさがり屋にとっては、この差は大きい。
もし3階建ての1戸建てに住んでいても、このサイズと軽さであれば、苦もなく運べるだろう。
吸引力は他モデルと変わらない強力さか?
多くの日本人がそうであるように、我が家の構成員もみんな裸足で暮らしている。裸足だと、小さなゴミやホコリに敏感になる。
スティック掃除機でこまめに掃除するようになって以来、脚の裏に何かがひっつく……あの嫌な思いをする頻度は、かなり減った。それでも、毎日掃除機をかけているのに、脚の裏がなにかザラつく感じは、ゼロにはなっていない。
ダイソンの掃除機は吸引力が強い、という以上に、ゴミやホコリの種類に限らず、よく吸い込んでくれる。試しに、青のりと毛玉のようなものをゴミやホコリに見立てて、吸ってみた。
フローリングの床はもちろん、畳の上でも、これらのゴミを一網打尽で吸い取っていた。ちなみにこれは標準の「エコモード」でのこと。普通に部屋を掃除していても、さらにパワフルに駆動する「MAX」ボタンを押そうと思ったことはなかった。それだけ「エコモード」でもゴミを確実に吸い取ってくれる。
上の動画のテストの他にも、普段使っている状況では、吸引力に不満を感じることは一切ない。一般的なゴミやホコリであれば、ほぼ一発でキレイになる。
そのほか、普段の掃除で困っていたのは、筆者の妻の髪の毛。部屋のあちこちに彼女の長い髪の毛が落ちている。これまで、どのスティック掃除機を使っていても、悩まされてきた。
悩みの一つは、ヘッドのロール部分に髪の毛が巻き付いてしまうこと。掃除するたびにヘッドに巻き付いた髪の毛を除去すれば、それほどの手間ではないだろうが……なにせ面倒くさい。結局は月に1度か2度、ハサミを使って巻き付いた髪の毛を除去する必要に迫られていた。
一方で「Dyson Micro 1.5kg」では、長い髪の毛がどういう動きをしているのか分からないが、しっかりと吸い込まれていく。ヘッドをひっくり返してみても、髪の毛は巻き付いていないし、痕跡すらない。
髪の毛のもう一つの問題が、ダストボックスに入ってからだ。だいたいがダストボックス内のどこかに絡みついていたり貼り付いていたりする。多くのスティック掃除機では、ダストボックス内のゴミを捨てようとしても、髪の毛が絡みついて取れない。しかもたいていは髪の毛に絡め取られたホコリも、ひっついて剥がしにくい状態になる。
「Dyson Micro 1.5kg」では、ダストボックスの下にある赤いレバーを持ってグイッと押すと、カバーがカパァ〜っとズレて、ゴミやホコリがバサッと落ちる。このときに髪の毛も絡みついているのだけれど、このレバーを押したり引いたりしているうちに、巻き付きが少量であれば、どうしてだか直接触ることなくゴミ箱に落ちていってくれる。少し不思議ですらある。
「Dyson Micro 1.5kg」に弱点は無い?
「Dyson Micro 1.5kg」は、日本の住環境向けに研究開発された、「微細なホコリを99.99%閉じ込め、吸引力が変わらない唯一の1.5kgコードレスクリーナー」というモデル。日本の住環境もだいぶ変わっただろうが、同モデルを使い始めてから、段差が気にならなくなった。
それにも増して、女性でも持ちやすい本体の長さと軽さが、このモデルの利点だろう。男の筆者でも、このサイズと軽さは気に入っている。
ただ、軽さを実現するために、失ったものもある。主要なのは、ヘッドの幅が狭くなったこと。このことで、一度の動作で掃除できる範囲も狭まっている。筆者宅のような狭い家ではなく、一戸建てのように広い家だと、もっと幅の広いヘッドで掃除したくなるかもしれない。その場合は同社の「Dyson Digital Slim」が選択肢となりそうだ。
そのほか、軽量化とは関係ないが、電源のON/OFF操作が、従来機のようにトリガーではなくなった点も大きい違いだ。駆動部の上面にボタンが配置されているため、トリガーのように片手でON/OFFの切り換えができない。片手で本体を握ったら、もう一方の手でボタンを押す必要があるのだ。
ずーっとトリガーを握っているのも面倒だったが、電源のON/OFF操作に両手が必要になるのも、面倒に感じる場面が皆無とは言えない。ただし、これの良し悪しは、好みによるところが大きいだろう。
そのほか筆者としては自立させられない点が気になる。特に納戸などにしまわずに、部屋の壁に立て掛けておきたい人は、スタンド(専用充電ドック)が付属する「Dyson Micro 1.5kg Pro」をおすすめする。「Dyson Micro 1.5kg」にも壁に釘で留める収納用ブラケットが付属するが、賃貸住宅では取り付けるのに抵抗を感じるだろう。
最後に細かい点を指摘したが、この価格とサイズと軽さで、これだけキレイにゴミを吸い取ってくれるのは、すごいことだと思う。筆者が挙げた不満点は「そういう人は他のモデルを選択すべき」といったたぐいのものだ。
「Dyson Micro 1.5kg」をおすすめしたいのは、例えば、それほど広い部屋に住んでいない場合。もしくは、汚れている場所だけ気軽にサッと掃除できれば良いと考えている人などだろう。より広い範囲を一気に掃除したい場合は「Dyson V11」もしくは「Dyson Digital Slim」シリーズを選択するとよさそうだ。