e-bike日々徒然

ボッシュ「Performance Line CX」を分解!! e-bikeドライブユニットのしくみを学んできた♪

ボッシュのドライブユニットの新型が登場!!! 2021年モデルの「Performance Line CX」です。Performance Line CXはe-MTB向けのドライブユニットですが、2020年モデルと比べるとさらにパワフルになりました。2021年モデルPerformance Line CXは、最大トルクが10Nm増しの85Nmとなり、日本国内のe-bike用ドライブユニットとしては“最強トルク”となりました♪

ボッシュの日本市場向けドライブユニットは、現在2種類。ひとつは動作音が静かなActive Line Plus。もうひとつが小型・大トルクでe-MTB向けのPerformance Line CXですが、これがパワーアップしたというわけです。

さらに、より大容量のインチューブ型バッテリー「PowerTube 625」(容量約625Wh)も登場。2021年モデルPerformance Line CXと組み合わせると、1充電あたり208km航続が可能です。早くも2021年モデルPerformance Line CX搭載のe-MTBの登場が見えてきていますので、完成車のお目見えが楽しみですね~。

なお、ボッシュからは2021年モデルとして、ほかにもバッテリーシステムや新型のカラーディスプレイも登場します。前のめりですね~!!!

バッテリーとしては、フレーム外付けタイプの「PowerPack500」(容量約500Wh/航続距離167km)と「PowerPack400」(同約400Wh/135km)。これまで国内で流通していた「PowerPack300」(容量約300Wh)より大容量ですがサイズは同じで互換性もアリ。PowerPack300から買い換えれば航続距離が伸びる♪

そして、ドライブユニットにバッテリーを2個同時接続できる「DualBattery」システムも登場。例えば2021年モデルPerformance Line CXにPowerTube625とPowerPack500をつなげば、1充電あたりの航続距離を188km(Turboモード)~375km(Ecoモード)にまで延ばせる!!! すご~い♪

新型カラーディスプレイ「Kiox(キオックス)」も登場。1.9インチの高解像度カラーディスプレイで、クリアな表示と豊富な情報量を誇ります。走行速度やバッテリー残量や時刻はもちろん、ライダーのペダル踏力のワット(W)表示などにも対応。Bluetooth接続の心拍計(別売)の情報を表示したり、スマートフォンとBluetooth接続して専用「eBike Connect app」アプリ上でライド情報チェックしたりもできます。

ちなみに、このKioxディスプレイはハンドル部マウントとの脱着もスマート。マグネットでマウントに吸着していて、軽い力で脱着できます。e-bike(ドライブユニット)と紐付けしてほかの同型ディスプレイを接続しても、ドライブユニットが起動しないようにもできます。なので、休憩時などにKioxディスプレイだけ取り外してe-bikeに施錠しておけば、より強固な盗難対策となります。

筆者の場合、2020年モデルのPerformance Line CX搭載e-MTBに試乗してから、「あ~やっぱ今度買うならPerformance Line CX搭載のe-MTBだな~」と“ドライブユニット惚れ”しました。十分なトルクがありつつ、トレイルライドでのペダリングへの追従性もバッチリ。ドライブモードの「eMTBモード」が非常に秀逸だったんです。

Performance Line CXのアシストモードは、電池節約のEcoモード、節電とパワーのバランスがあるTourモード、MTB走行向けのeMTBモード、アシスト力最大のTurboモードの4つ。eMTBモードでは、ペダルへの踏力によりアシスト力がTourモードからTurboモードまでの範囲で二次曲線的に変化するという動作をします。

ペダルを踏む力加減で、アシスト力を繊細にコントロールできるので、まず非常に自然で違和感が少ない。その自然さは「自分のMTB走行が上達した」ような気持ちになるほど。非常に気持ちの良いアシスト力を発揮してくれるんです。

そのイカシたドライブユニットがパワーアップして登場。2021年モデルのPerformance Line CXはホントに大期待です♪

……ところで、そんなふうな高完成度のドライブユニット、中身はどーなってるの!? まあ中身を見たところでどうなるものでもありませんが、惚れたドライブユニットの中身、見てみたいナ~とか思うわけです。そしたら、なんと、中身を見るチャンスに恵まれました♪ ので、以下に写真と説明文にてドライブユニットの中身をご紹介してみます。

こんにちは~インプレスのe-bike部です~、とボッシュにお邪魔したら、机の上にドライブユニットがッ!!!
迎えてくれたのはボッシュ 電動自転車システム事業部 マーケティングの豊田 佑一さん。専用工具を用意し、分解して中身を見せてくれる気満々です。豊田さんは国内メーカーでe-bikeドライブユニットを手がけた後にボッシュへ。様々なドライブユニットについてよく知るエンジニアでもあります
じゃあバラしますね~、とイキナリ分解!!! おーこれが中身か……何だかよくわかりませ~ん
さらに基板を外してしまいます。右矢印先にあるのがモーターで、毎分3,000回転ほどで回りますが、それを3段のギアで減速。最終的にボトムブラケット内クランク軸へ力を伝え、アシスト力としています。左矢印先に見える端子は、ボトムブラケット外周にあるトルクセンサーとケイデンスセンサーにつながっています。トルクセンサーは磁歪式で、磁性体であるクランクシャフトに踏力が加わることで、シャフト周囲の磁力の通しやすさが変化。検出用コイルに電磁誘導にて生まれた誘導起電力を検出し、誘導起電力の左右差より踏力を算出するそうです(磁気ジュール効果/ビラリ効果を利用)
これがメイン基板。ドライブユニットの頭脳部分ですが、プロセッサにはPowerPCが使われていて、ファームウェアアップデートなどを効率良く行ないつつ、ドライブユニット開発に関わるコスト減にもつなげているそうです。矢印先にある3つの穴は、モーターに電流を流すための接続部です
基板上の3つの穴とモーターからの端子を“カシメ”て接続しています。日本製のドライブユニットの場合、こういった部分はコネクターやケーブルで接続していますが、ボッシュの場合は端子をカシメている。これは同社自動車部品製造技術のひとつだそうで、コネクターやケーブルを省いてドライブユニットの小型化や信頼性向上に寄与しているそうです
Performance Line CX(最大トルク85Nm)の内部のギアは金属製です。これは大きなトルクをコンパクトなサイズのドライブユニットに収めるべく、力の加わる部分を金属にし、最小限のサイズにするため。小型軽量化できましたが、金属製のギアに大トルクが加わるため、若干の騒音が出てしまいます
こちらはActive Line Plus(最大トルク50Nm)。内部のギアは樹脂製です。ある程度大きな樹脂製ギアを使うことで、最大トルクに十分耐え、同時に高い静音性も獲得しています

中身を見ただけだとイマイチわかりませんが、説明を受けると「なるほど!!」となりますネ。ドライブユニットの中身のほかにも興味深い話を聞くことができましたので、その話はまた別の回にお伝えしたいと思います♪

スタパ齋藤