e-bike試乗レビュー

世界に1台のカスタムe-bikeで、ボッシュ新型ドライブユニットの実力を日本最速で体感!!

ボッシュの広報や試乗活動用のオリジナルe-bike(日本仕様)。プロショップによる部品選定でゼロから作り上げたカスタムe-MTBで、驚きの新システムが搭載されているとのこと

ボッシュからドライブユニットの新製品などが発表されました。実は昨年秋にボッシュが広報や試乗活動用e-bikeとして、ゴリゴリのカスタムe-MTBを作ったらしい! e-bikeとしても新しいらしい! てなニュースがe-bike部内を駆け抜けました。プロショップがガチで部品選定したんだとか。そして試乗OKだとか!

じゃあそのカスタムe-MTB見に行くしかっ!!! 乗るしかっ!!! ということでボッシュのカスタムe-MTBを作った「バイクプラス所沢店」を訪れました。

スポーツ自転車専門点「バイクプラス」所沢店。最寄駅は西武池袋線・小手指駅です。駐車場(7台)があるのでクルマでも行けます。定休日は水曜と木曜(祝日の場合は営業)
もちろん店舗前にはサイクルラックもあります
広々とした店内にはスポーツ自転車がたくさん。試乗を積極的にオススメしている店舗なので、自分にどのタイプの自転車が合うのか知るのにもぴったりです。e-bikeの試乗もできます
完成車以外にもヘルメットなど用品も多々揃っています
シューズやペダルなどもあります
ほか、スポーツ自転車走行に必要になる消耗品やアクセサリー類も陳列されています
スポーツ自転車の整備にも対応。知識と技術を備えたスタッフに、本格的なメンテナンスを依頼することができます
そして本日の主役がこちら! できたてホヤホヤのボッシュのカスタムe-MTBです
そしてボッシュのカスタムe-MTBの部品選定と組み立てを行なったのがこちら!バイクプラス所沢店の相田 優介さんです

このカスタムe-MTBを構成するパーツは、ほとんどが相田さんによるチョイス。相田さんはバイクプラス所沢店の優れたメカニックであり、ロードバイクもMTBもこなす自転車大好き男子であり、パン屋さんを探しつつのサイクリングも楽しんでいます。また、所沢という土地柄、MTBに好適なトレイルもあり、トレイル走行も楽しまれているとのこと。

そんな相田さんが構成したボッシュのカスタムe-MTB。どんなコンセプトで組んだかというと……「まずe-bikeということで軽さよりも耐久性や実用性に目を向けました。カーボン製のパーツはあえて選ばず、耐久性や実用性が高くコストパフォーマンスにも優れたアルミ製パーツなどを使っています。また、要所要所はワイヤレス化してケーブルを省いてメンテナンス性を高めつつ、快適な操作性も加えています。パーツのカラーにも遊び心をということで、ブルーの車体に合う紫の差し色パーツをアクセントとして使っています」とのこと。どんな車体なのかちょっと見てみましょう。

ボッシュのカスタムe-bikeは、前後ともにサスペンションを装備したフルサスe-MTBです。フレームは特注品(非売品)。豪華な装備ですがギリギリ2桁万円に抑えているそうです
リアサスペンション(ショック)はRockShox(ロックショックス)「Super Deluxe 65mm」。フロントサスペンション(フォーク)はRockShox「ZEB Ultimate 2023 BK 160mm」
主なコンポーネンツはSRAM(スラム)製。カセットスプロケットはSRAM「XG-1275 EagleTM Cassette 52T」。チェーンリングの歯数は34T。登坂力がありそうです
タイヤは前後ともMAXXIS(マキシス)「REKON(29×2.6)」。チューブレス仕様で前後ともにタイヤインサートを使っています。さすがプロショップによるカスタムe-MTBという感じですね
シートポストはRockshox「Reverb AXS 31.6mm 150mm」。電動(ワイヤレス)ドロッパーシートポストです。サドルはfi'zi:k(フィジーク)「AIDON X3 TERRA kiumレール」
ドライブトレインにはSRAM「GX EAGLE AXS UPGRADE KIT」が追加され、電動(ワイヤレス)ディレイラー化してあります。こういった装備まであって2桁万円に抑えられているってナニゲにすごいですよね
ハンドル周辺。左のレバーでドロッパーシートポストを、右のレバーでリアディレイラーをコントロールできます。両方とも電動なのでワイヤーがない。とてもスッキリしたハンドル周りです
バッテリーはダウンチューブに最新かつ大容量の「PowerTube 750」が入っていて、充電用コネクターはトップチューブ前方にあります

実はこのe-MTB、合計費用が2桁万円のわりに、要所要所のパーツがめちゃめちゃ豪華じゃないですか? とくにワイヤレスのパーツとか。相田さんに聞いてみました。

「そうなんですよ、カーボンパーツをあえて使わず、その代わりに快適性と実用性を高めるパーツを使っています。e-bikeなので車体重量にはそれほど気を使わなくていいですし。フルサスe-MTBでトレイルをガンガン走るということを想定すると、軽さより車体剛性や破損しにくさが大切という判断もありました」

なるほど。つい「カーボンのほうが」って思ってしまいますが、競技の世界ではありませんし、質実剛健なe-MTBに仕上げたという感じなんですね。

「ですね。あと新しいドライブユニットのシステムなんで、よりパワフルな走りがあるので車体がある程度重くても……」

なんと、このボッシュのカスタムe-MTBには「Smart System」と呼ばれる新しい電動アシスト・システムに対応するドライブユニット搭載されているとのこと。そして今後、国内で発売される新しいe-bikeにはSmart Systemが搭載されていくそうです。

ボッシュのカスタムe-bikeのドライブユニットは「Performance Line CX」ですが、これは新しいe-bikeシステムのSmart Systemに対応しているものだそうです。正式名称は「Performance Line CX - The smart system」
こちらはSmart System対応のコントローラーの「LED Remote」
ディスプレイは「Kiox 300」。コントローラー部とはセパレートになっており、必要に応じてディスプレイ部分を取り外すことができます

ボッシュ「Smart System」とは?

ボッシュの新しいe-bikeシステムとして、日本にもSmart Systemが導入されます。日本市場に導入されるSmart System対応ドライブユニットは新しい「Performance Line CX - The smart system」で、ほかのSmart System対応ドライブユニットの導入は未定とのこと。

日本市場にSmart System対応の新しいドライブユニットとなる「Performance Line CX - The smart system」が導入されます。今後発売される多くのe-MTBにこの新型ドライブユニットが採用されるでしょう

これまでのボッシュ製ドライブユニットについて少々まとめてみましょう。モデルとしてはオンロード向けの「Active Line Plus」とオフロード向けの「Performance Line CX」がありました。

アシストモードは、「Active Line Plus」(最大トルク50Nm)がEco、Tour、Sport、Turboの4つ。「Performance Line CX」(最大トルク85Nm)がEco、Tour、Sport、eMTB、Turboの5つ。こちらは車種によってSportかeMTBのどちらかを選ぶことになります。

そして、新型の「Performance Line CX - The smart system」(最大トルク85Nm)。位置付けとしてはPerformance Line CXと同じオフロード向けのドライブユニットですが、アシストモードが7種類に増えました。具体的には、Eco、Tour、Tour+、Sport、Auto、eMTB、Turboの7種類。Tour+とAutoという3つのモードが追加されました。

Performance Line CX - The smart systemで使える7種類のアシストモードの出力イメージ図。横軸が踏力(ペダルを踏む強さ)で縦軸がモーターのアシスト力です。eMTBモードとTour+モードは、踏力に応じてアシスト力の高まり方が変化する可変アシスト比となっています。ほかのモードでは踏力とアシスト力の高まり方がほぼ比例しています

新たに加わったTour+モードは、弱い踏力だとEcoモード程度のアシスト力となりますが、上り坂などでペダルを強く踏む(強い踏力になる)とTurboモードと同じアシスト力が出ます。Tour+モードは、EcoモードからTurboモードまでのアシスト力が可変で出るので、平地では節電しつつも坂道では強力にアシストさせるという走り方が可能です。また、eMTBモードほど急激なアシスト力変化はなく、踏力に対するアシスト力の反応が滑らかなので、緩やかなアップダウンがあるような状況にもよくマッチします。

上の図にはAutoモードのグラフはありません。Autoモードは「向かい風や坂道等で車速が落ちた際に、車速を回復させようと強くペダルを踏まなくても、自動でアシストが増えて車速を回復・維持しようとするモード」です。Autoモードのアシスト力はTourからTurboモードの間。舗装路で、ギアチェンジを頻繁に行なわなくても快適にクルージングできるモード、というイメージです。

Autoモードは車速に応じてアシスト比が変化するアシストモードで、TourからTurboモードの間でアシスト力が変化します

なお、Performance Line CX - The smart systemの場合、7種類のアシストモードのうち、ディスプレイ/コントローラーに登録可能なのは「4モード」。7種類全部を切り替えて使えるというわけではありません。これら登録モードの切り替えは販売店にて行なえます。

Performance Line CX - The smart systemの7種類のアシストモードのうち、車体にインストールして使用できるのは4つまで。この写真の場合、Tour+、Auto、eMTB、Turboがインストールされています

ちなみに、従来のPerformance Line CXを、ソフトウェア更新などでPerformance Line CX - The smart systemへアップデートすることはできません。なので、今後しばらくの間は、日本市場に以下の3種類のボッシュ製ドライブユニットが混在する状態となるでしょう。

(1)Performance Line CX - The smart system
(2)従来のPerformance Line CX
(3)Active Line Plus

この3つのドライブユニットの大雑把な違いとして、iPhoneに例えてみるとわかりやすいかもしれません。具体的には以下のようなイメージです。

(1)iPhone 14 Pro(Performance Line CX - The smart system)
(2)iPhone 13 Pro(従来のPerformance Line CX)
(3)iPhone 13(Active Line Plus)

普段使いにマッチするActive Line Plus。従来のPerformance Line CXは、よりトルクフルな走りができる。そしてPerformance Line CX - The smart systemはより自由度の高いアシストモードが利用できるようになった、という感じです。

Performance Line CX - The smart systemで実際に走ってみると……?

実際にPerformance Line CX - The smart systemを搭載したe-MTBで走ってみました。上記にてご紹介したボッシュのカスタムe-MTBです。

Performance Line CX - The smart systemを搭載したボッシュのカスタムe-MTB。大容量バッテリー「PowerTube 750」を搭載しつつ、ゴツめのフルサスフレームはアルミ製。実は少々重い類のe-MTBです。トランポでクルマに積み込むとき「うっ、重っ!」とついつい声が
走ってみたのはこんな道。そこそこのアップダウンがあるダートロードです

久々にPerformance Line CX搭載のe-MTBに乗りましたが、相変わらずeMTBモードは痛快です。「あっ坂の斜度がどんどんキツくなっていく」という状況でも、前のめりでどんどんアシスト力が出てくるという感覚。上り坂の頂点直前がいちばんキツい斜度だったりしても、グイン! と一気に走破できるパワフルさを体感すると、つい笑顔に。

また、「少々重い類のe-MTBです」と書きましたが、走ってみるとその重さをすっかり忘れてしまう。Performance Line CX搭載のトレック「Rail 9.7」とも乗り比べましたが、ボッシュのカスタムe-MTBはバランスがよく走りが軽快。「走り出すと軽いe-MTB」という感じで、カーボンフレームのトレック「Rail 9.7」と比べても勝るとも劣らない車体だと感じられました。

Turboモードも使いましたが、今回走ったトレイルは、キツい坂が長く続くほどではないので、「ずっとTurboモードだとアシスト力が強すぎかな」という感じ。ただ上り坂の途中で止まって再スタートといったシーンではバッチリ役立ってくれました。

そして期待の新モード。Tour+モードやAutoモードです。

なだからなアップダウンが続くエリアでAutoモードを試してみましたが、ギアチェンジをあまりしなくても快適に走れるという印象で、「なるほど、こんなふうに気楽に走れるんだ」という感じです。スポーツ走行をあまり意識せず、仲間と喋りながらゆっくりポタリングを……といったシーンにもよく合いそう。ギアチェンジにあまり慣れていない初心者にもよく向くと思います。

個人的に非常に気に入ったのがTour+モード。踏力に応じてEcoからTurboモードの間のアシスト力が出る可変アシスト比のモードです。

今回走ったのは「そこそこのアップダウンがあるダートロード」で、たぶんEcoモードやTourモードだと「もうちょっとアシスト力が欲しい」となりそうな道。ただ、TurboモードやeMTBモードだとペダルを踏み込んだときのパワーがけっこう強いので、その瞬間に若干の不自然さがあります。たぶんもっとアップダウンのキツい道だとTurboモードやeMTBモードが楽しいのだと思います。

Tour+は、全体的に「不自然さを感じるほどは急にアシストされない」という、わりと自然なアシストフィール。ですが、ここぞという上り坂では十分強いアシスト力が加わる。なので、適宜ギアチェンジをしつつアシスト力も頼りにしつつ、楽しめる負荷を感じながらダートを気持ちよく走れるという印象になりました。走行の後半は「もうTour+だけでいいかも~」とか言いながらダートロード走行を楽しんでいました。

ともあれ、Eco、Tour、Tour+、Sport、Auto、eMTB、Turboの7種類のアシストモードを使い分けられるPerformance Line CX - The smart system、より幅広い“走り”、そして“ライダー”に対応した新しいドライブユニットという感じです。とても魅力的であり実用性が高いので、機会があればぜひPerformance Line CX - The smart system搭載車にご試乗なさってください。

ウワサの“追いアシスト”こと「Extended Boost」とは?

ボッシュ製ドライブユニット搭載e-MTBのライダーたちの間に、興味深いウワサ話広がっています。それは「追いアシスト」。「ペダルを踏み終えた直後にアシスト力が一瞬残る」というボッシュ独特のアシスト力チューニングです。

追いアシストは、正式には「Extended Boost」と呼ばれるモーターの動作仕様。従来のPerformance Line CXや新しいPerformance Line CX - The smart systemで機能します。また、とくにeMTBモードでは“瞬間的に強い踏力が加わった際に鋭く動作する追いアシスト”が備わっています(ほかのモードではやや地味めな追いアシストが入っています)。

2020年秋以降のPerformance Line CXや新しいPerformance Line CX - The smart systemには「Extended Boost」がセッティングされており、とくにeMTBモードでは“瞬間的に強い踏力が加わることで鋭く強いアシスト力”が発揮されます。我々は別名「追いアシスト」と呼んでいます

追いアシストは、MTB走行時の「困る瞬間」を回避するためのセッティング。たとえば、ペダルを十分に回せない状況で、大きめの障害物を乗り越える必要があるとき。Performance Line CXのeMTBモードなら、その瞬間にペダルを少し上げつつ即踏み込む「ケンケン踏み」などをすると、瞬間的に強く鋭いアシスト力が発生し、障害物を乗り越えられるというわけです。

タイヤが深めのわだちに入りつつの走行、倒木を乗り越えての走行、段差の乗り越え。MTBライドでは「ここでペダルを回せないと止まるしかない」というシチュエーションがよくありますが、それをわりと容易に走破できるのが追いアシストこと「Extended Boost」なんですね。

この「追いアシスト」もPerformance Line CX - The smart system搭載のボッシュ広のカスタムe-MTBで試してみました。最初は「……?」という感じでしたが、何度か試すと「あぁ! アシスト力がポンッと出る!」と気づきました。ちなみに体感的には「1~2秒アシストが残っている感じ」がしましたが、実際はペダルを踏んだ直後0.1秒など「一瞬」です。

ともあれ、この機能を知っていると「走りに余裕が出る」という感覚。「あの段差を越える瞬間に追いアシストを使おう」と思えるので、段差など障害物を少し気楽に攻略できるようになります。そんな余裕は、サイクリングをより楽しくしてくれますよね。

なお、追いアシストはヒルクライムでも有用なのだとか。たとえば足を休めつつも、アシスト力を使って上りたいという場合。ペダリングをしつつも、「ちょっと足を休めよう」というときにペダルをカンッと一瞬強く踏む。すると、より大きめのアシスト力を引き出せますので、休み休みのペダリングでも力強く走り続けられるというわけです。

これも非常に興味深いPerformance Line CX系ドライブユニットの機能性なので、機会があればぜひお試しください。eMTBモードだとわかりやすいです。

スタパ齋藤