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加湿器でやけど事故。使い方と置き場所に注意

加湿器の蒸気で子供がやけどする事故などが報告されている

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、加湿器を使用する機会が多いこの時期に、加湿器を正しく使うよう注意喚起している。

代表的な4つの事故事例と注意ポイント

高温の蒸気に触れたやけどの事故

スチーム式加湿機能付き空気清浄機を使用中、幼児(1歳)が蒸気口で、左手に植皮手術を要する重度のやけどを負った事故が発生している。

保護者がスチーム式加湿機能付き空気清浄機を幼児の手の届くところに設置していたため、目を離した際に幼児が蒸気吹出口に触れてしまい、やけどを負ったものと考えられるとする。なお、取扱説明書及び本体の蒸気吹出口付近には、「蒸気口に手や顔を近づけない、やけどのおそれがある。幼児の手の届く範囲では使用しない」旨、記載されているという。

NITEは、「スチーム式、超音波式、気化式、各方式を複合させたハイブリッドタイプと、様々な加湿方式の加湿器が販売されています。中でも、水をヒーターで加熱する仕組みをもつタイプは、高温の蒸気が生じたり、中に熱いお湯が貯まっていたりするため、やけどのおそれがあると考えられます。お持ちの製品がどのタイプか、取説説明書や本体表示を確認してください」とし、熱いお湯や蒸気を使う製品を使用する際は注意するよう呼びかけている。

また、「子どもは目につくもの、手が届くもの、興味を引くものをすぐに触ろうとします。蒸気吹出口から吹き出す蒸気は子どもの興味を引く部分ですが、蒸気は高温であり、蒸気吹出口に触れると、やけどを負うおそれがあります。保護者の方は熱い蒸気が吹き出る加湿器に子どもを近づけないよう注意してください」としており、有効な対策として加湿器の周囲に柵を設置するなどして立ち入れないようにすることを案内している。

こぼれたお湯がかかったやけどの事故

使用中のスチーム式加湿器が倒れ、幼児(1歳)がこぼれたお湯で左足にII度のやけどを負った事故が発生。加湿器を幼児の手の届くところで使用していたため、幼児が加湿器を転倒させ熱湯が流出してやけどしたものと考えられるという。

NITEは、「スチーム式や一部のハイブリッド式の加湿器はヒーターで水を加熱しているため、製品内部にお湯が貯まっており、製品の転倒によってお湯がこぼれ出て、やけどを負うおそれがあります」とし、やけどの事故を防ぐためには、子供を製品に近づけないことが大切だと説明している。

また、手の届かないところに設置する場合でも、電源コードが引っかかったり、子供が引っ張ったりして製品が転倒するおそれもあるため、「電源コードの取り回しに注意が必要です。また、ぐらつきのある台、傾斜のある所、毛足の長い絨毯の上など、不安定な場所に製品を置かないで下さい」と呼びかけている。

湯が吹きこぼれてやけどの事故

使用中の加湿器から異音がしたため、製品のふたを開けたところ、お湯が飛び出して右足にかかり、II度のやけどを負った事故が発生した。

NITEは、加湿器に満水ラインを超えて水を入れていたことに加え、水道水以外の成分(非イオン界面活性剤)が入っていたため、ふたを開けた際にお湯が吹きこぼれたものと考えられるとし、対策として「加湿器の給水タンクには、水道水を入れる」「製品によっては水道水にアロマオイル等の他の液体や薬剤を加えて使用できる場合もあるが、指示された液体や薬剤以外のものは入れない」ことを伝えている。特に、多くの製品がアロマオイル等の使用を禁止しているため、必ず取扱説明書を確認するよう促している。

水が過度に泡立ったり、蒸気経路が詰まったりすることでお湯が吹き出し、やけどのおそれがあるほか、満水ラインの指示がある場合、満水ラインを超えて水を入れると中身が溢れる原因となるため、確認する必要があるとする。

堆積した水アカによる漏水で発火

スチーム式加湿器を使用中、加湿器が焼損する火災が発生。これは、使用者の手入れ不足により加熱槽に多量の水アカが堆積したことで、加熱槽とパッキンの間に隙間が生じて漏水。内部のヒーター線が腐食して異常発熱し出火に至ったものと考えられるという。

このほか、超音波式加湿器の電源を入れたところ、加湿器を焼損する火災が報告されている。これは、使用者が加湿器の送風口に水をかけるなど本体ごと洗浄したため、電源基板に浸水してショートし、発火に至ったものと考えられる。

これらの事故を起こさないため、NITEは、定期的な手入れを呼びかけている。内部に水アカが過度に堆積したことで、パッキンに水アカが浸入してできた隙間から機器内部で漏水したり、温度センサーや給水センサーに水アカが固着して正しく働かなくなったりすることで事故につながるため、毎日、水を交換し、定期的に手入れを行なうことを案内している。

また、手入れは、電源プラグを抜いた状態で行ない、送風口や機器内部、マグネットプラグやUSB端子などの電源接続部に水がかからないように気をつけるよう呼びかけている。

電源コードに大きな力が加わり、変形や断線などした部分から発火するおそれがあるため、コードの取り扱いについても注意が必要だという。「電源プラグをコンセントに差し込んだまま製品を移動したり、机の脚で踏んだりするなど、電源プラグや電源コードに過度に力が加わるような使い方はしない」「電源プラグを抜く際はプラグを持って抜く」「同様に、保管時に電源コードを本体にきつく巻き付けない」などの注意点を挙げている。

これからの季節、加湿器を使用する機会は多いだろう。上記の事例や注意点を頭に浮かべ、十分に注意しながら加湿器を使いたい。