家電レビュー
アラジン初のオーブンレンジ、どんな料理が作れる? 使ってわかった
2025年6月26日 08:05
日本エー・アイ・シーの「アラジン」ブランドから、初めてのオーブンレンジが登場した。約0.2秒ですばやく発熱する「グラファイトヒータ」が特徴的で、新たに独自の新技術「グラファイトレンジ加熱」も採用し、トースターとしての機能に加えて、オーブンレンジとして活用できるのが魅力の製品。
これまでグラファイトヒータを搭載した製品といえば、アラジンの「グラファイトトースター」が有名。初代モデルがバルミューダの「BALMUDA The Toastor」と同じ2015年に登場し、ともに高級トースター市場をけん引してきた。
グラファイトトースターの魅力は0.2秒で発熱するため、トーストがすばやく焼けること。そしてもうひとつが、1930年代に生まれたブルーフレームヒーターから続く、レトロなデザインとカラーリングにある。象徴的なグリーンとホワイトの2色があり「おしゃれなキッチンに置いてある家電」というイメージを持つ人も少なくないだろう。
これらの機能と魅力を備えた「アラジン グラファイト」シリーズに新たに追加されたのが、今回紹介する「アラジン グラファイトオーブンレンジ AEM-G14A(以下グラファイトレンジ)」というわけだ。直販価格は67,100円。
レンジ機能が付くことで、どんなメリットが生まれるのか? トーストにも違いはでるのか、実際にトーストや様々な調理をしてみると、
0.2秒で発熱するからすばやくトーストが焼ける
実はこれまでのトースターでもオーブン機能は利用できた。上位モデルのグリル&トースターではグリルパンが付属し、オーブン調理やグリル調理、煮物や蒸し物、炊飯(専用の炊飯釜を使用)まで対応できた。そして今回、初めてレンジ機能を搭載したというわけだ。
そこで、実際にメーカーから製品を借りて、さまざまな調理に使ってみた。
オーブンレンジながらトースト機能が充実
今回登場した「グラファイトオーブンレンジ」は、庫内総容量22Lの小型レンジだ。ただし、本体サイズは468×387×338mm(幅×奥行き×高さ)と、同クラスでは大きめ。グラファイトヒータを天井に備えていることで、特に背が高いようだ。
機能としては、あたため(レンジ)、解凍、飲み物、トースト、リベイクの自動メニューがあり、手動メニューはレンジ、オーブン、グリルのそれぞれがある。レンジ出力は最大1,000Wで、800W/600W/500W/200W/100Wにも設定できる。オーブン機能は、30~45℃の発酵と、80~250℃(250度は約5分間)に設定可能。22Lクラスのオーブンレンジとしては非常に充実した機能を搭載している。
そして、中でも一番のポイントとなるのが、「グラファイトヒータ」による強力なトースト機能を搭載することだ。トーストは付属のヒートトレイに4枚までセットして焼く仕組み。ヒートトレイの裏面には発熱体が内蔵されており、レンジ加熱によるマイクロ波で発熱することでトーストの裏側も同時に焼ける。
さらに、操作パネルの左端に「トースト」キーが用意されており、ワンボタンでトーストが焼ける。枚数は特にセットすることなく自動制御できる。冷凍食パンでも問題ない。庫内のセンサーが食パンの枚数と温度を検知する。なお、仕上がりは5段階で調整可能。標準では仕上がりは3になっており、加熱開始から約12秒までにダイヤルを回すことで設定できる。
トースト1枚の焼き時間は、約3分40秒。本家グラファイトトースターの早さにはかなわないが、「レンジ」としては最速だ。
実際に6枚切りの食パン2枚を並べて焼いてみたが、4分11秒で焼けた。裏面にもしっかり焼き目がついている。トーストは表面がサクッとしており、中は温かくフワッと仕上がっていた。トースターと比較しても遜色のない焼き上がりだった。
金属製のマジックラックでリベイク
さらに、「グラファイトオーブンレンジ」には格子状のマジックラックも付属。金属製ながらレンジ加熱でも使えるようになっており、クロワッサンや惣菜パンのリベイクに利用できる。
このリベイクモードでは最初にレンジ加熱で、食材の内部を温めたあと、グラファイトヒータで表面を加熱する仕組み。仕上がり調整は5段階でできるので、クロワッサンなどの焦げやすいパンをリベイクするときは仕上がりを弱に設定する。加熱終了後に最大1分30秒まで延長ができるため、最初は弱めにしておくといい。
街のベーカリーで買ったクロワッサンと惣菜パンをリベイクしたが、サクサク食感で中まで温かく仕上げられた。仕上がりを1で設定してクロワッサンだけ取り出したあと、追加加熱することで他の惣菜パンもおいしくリベイクできた。
なお、リベイク機能では、パンだけでなく、から揚げやフライ物などの温め直しもできる。ただし、その場合、食材に含まれる脂などが庫内床に落ちるため、クッキングシートなどを敷くことが推奨されている。このため、揚げ物のリベイクでは底面の仕上がりがややうまくいかなかった。
クッキングシートをマジックラックに敷くのではなく、庫内床に耐熱容器を置く方が油がしっかり落とせそうだ。
グラファイトヒータでグリル・オーブン調理
続いて、おかず調理も試してみた。まずは、グラファイトヒータによるグリル調理だ。使い方は非常に簡単で、ヒートトレイにハンバーグや鶏肉などを並べて、ダイヤルで火力を3段階で選び、加熱時間を1分単位で設定するだけでいい。ヒートトレーはメニューによって上段、下段を使い分けることになる。
手動グリル機能でもマイクロ波によるヒートトレイの加熱は自動的に行なわれるため、ハンバーグなどを焼くときも裏返す必要がなく、手軽に焼くことができた。
レシピブックに掲載されていた「揚げないから揚げ」は鶏もも肉2枚にした味をつけたあと、グリル強で約20分焼く。衣がカリカリに仕上がったから揚げは中高生の娘達にも大人気で、すぐにリクエストされる出来だった。
続いて市販の味付けチキンを焼いてみた。揚げないから揚げと同様に、ヒートトレイに並べ、火力を2に設定して12分ほど焼いて完成。味付けや肉のサイズにあわせて、火力や焼き時間を調整することで、さらにおいしくできそうだ。
続いてオーブン調理も試した。レシピブックに掲載されている「焦げまでごちそうBBQスペアリブ」は豚のスペアリブと野菜を同時に焼きあげるメニューだ。これも肉に味付けして漬け込んだあとは、予熱したオーブンの中にいれて約30分、ゆっくりと焼くだけでいい。ほったらかしで手軽に作れる割に、非常に豪華なので、メインディッシュになるメニューだ。
1台でグリルレンジ&トースターとして活用できる
約2週間にわたり、グラファイトオーブンレンジでさまざまなメニューを作ってみた。そこで感じたのは、やはり、トースター機能のすごさだった。一般的なオーブンレンジが搭載するトースト機能とは一線を画す焼き上がりだった。
さらに近年トレンドともいえるリベイク機能はグラファイトヒータとレンジ加熱を組み合わせることで、より短時間でのリベイクを可能としている。
ただし、気になる点もある。1つは価格の高さだ。22Lクラスのオーブンレンジは3万円前後が主流。それにグラファイトトースターを組み合わせても5万円前後で購入できる。それに対してグラファイトレンジは6万円台と割高だ。
トーストは一般的なトースターのような使い勝手ではないことも留意しておきたい。例えばドアの開閉にあわせて前に出てくる焼き網ではなく、ヒートトレイを棚に入れて焼く仕組みなので、焼き上がったあとは熱くなったヒートトレイをミトンなどで引き出してからトーストを取り出す必要があるのが、やや手軽さに欠ける印象だった。
また、6万円台のオーブンレンジとしてみると自動メニューやオリジナルレシピなど、ソフトウェア面がやや弱いように感じた。レシピなどは、今後、製品サイトなどに追加されていくことを期待したい。
この製品の大きなメリットはスペパ(スペースパフォーマンス)だ。1台でレンジとトースターの両方で使えるため、狭いキッチンでも起きやすい。グラファイトヒータは、トーストだけでなく、グリル調理にも活用できる。ヒートトレイを上段にセットすれば、短時間で焼き調理ができる。
やや割高感があるのは事実だが、1台でトースト、グリル、レンジなどの機能がしっかり使えるのがポイント。さらにシリーズ共通のデザイン性の高さも魅力的で、デザインが気に入って買う人も少なくないだろう。
キッチン空間をシンプルにしたい場合やトースターとオーブンレンジの両方は置けないという場合に有力な選択肢に入るだろう。





















