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バッテリーの「ごみ捨て発火」被害は100億円超、正しい捨て方は?

リチウムイオンバッテリーが破砕されて発火(再現実験)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、ごみに混入したリチウムイオンバッテリーの発火などによる被害額が、2018年度から2021年度の4年間でおよそ111億円に達したと、6月29日に発表した。

不燃ごみやプラスチックごみとして捨てられたリチウムイオンバッテリーにより、ごみ収集車やごみ処理施設での火災事故が多発していることを受け、同バッテリー使用製品の誤った捨て方で事故が起きることを理解するとともに、正しく捨てることで「ごみ捨て火災」を防ぐよう呼びかけている。

ごみ処理過程における年度ごとの発火等発生件数

NITEがインターネットでの報道や書籍の情報を元に収集した、ごみ処理過程における2018年度から2021年度の発火等発生件数は5,851件にのぼり、その被害額は約111億円(原因物がリチウムイオンバッテリー以外による件数および被害額を含む)。

また環境省の報告書に基づく、ごみ処理過程におけるリチウムイオンバッテリー等の充電式電池が原因と疑われる火災等の発生件数は、2019年度が9,732件、2020年度が12,765件にものぼる。これはNITEが調査した件数と比べて全体の件数が非常に多く、NITEが収集した件数および被害額は氷山の一角に過ぎないと考えられるという。

ごみ処理過程における年度ごとの発火等発生件数と被害額(NITE調べ)

正しく捨てて火災を防ぐ

NITEは、ごみ捨て火災を防ぐために、正しいリチウムイオンバッテリー製品の捨て方を紹介している。

製品にリチウムイオンバッテリーが使用されているか確認する

充電して使用する製品は、外観上プラスチック製品に見えてもリチウムイオンバッテリーなどの充電式電池が使用されている。そのため製品本体の表示や取扱説明書を確認し、同バッテリーが使用されているかを確認する必要がある。「リチウムイオン」の他に「リチウムポリマー」「Li-ion」「Li-Po」などと記載されている製品にもリチウムイオンバッテリーが使用されており、記載がない場合などは販売店やメーカーに確認する。

表示例(電池パック本体表示)

自治体の指示に従って正しく捨てる

ごみ処理過程では、ごみを圧縮したり、破砕したりするなど、強い外力を加える工程が含まれることがある。誤った捨て方により、リチウムイオンバッテリーがこれらの工程で強い外力を受けて損傷すると火災につながるおそれがあるため、他のごみと区別する必要がある。同バッテリーが使用されている製品は、分別方法など含め、居住地域の自治体の指示に従って正しく捨てる。

一般社団法人JBRCの回収対象電池は協力店・協力自治体に持ち込む

一般社団法人JBRCでは、資源有効利用促進法に基づき、所属会員企業が製造または販売したリチウムイオンバッテリーを含む小型充電式電池の回収を行なっている。回収対象となる小型充電式電池は、電池の表面にリサイクルマークの表示があり、不要になった電池は、家電量販店やホームセンター等の協力店または協力自治体で回収してもらえる。会員企業、協力店・協力自治体は、JBRCのウェブサイトで確認できる。

リサイクルマーク表示例

メーカーや販売店による回収サービスを利用する

製品によっては、メーカーや販売店等が不要になった製品の回収を受け付けている場合があるため、取扱説明書やメーカー等のホームページを確認する。

放電してから(電池を使い切ってから)捨てる

一般に、リチウムイオンバッテリーは満充電状態よりも、放電しきった(使い切った)状態の方が発火等のリスクが低くなる。事故防止のため、できるだけ電池を使い切ってから捨てる。