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携帯発電機での一酸化炭素中毒に注意。停電復旧後の通電火災も

一酸化炭素中毒事故のイメージ(テント入口で携帯発電機を使用)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、携帯発電機の事故事例を8月29日に発表した。台風等による停電の際に使用される携帯発電機において、不十分な換気により一酸化炭素中毒となる事故が毎年発生しており、さらに停電復旧後の通電に伴う火災にも注意が必要としている。

携帯発電機の事故事例

災害による停電が長期化する場合の非常電源として用いられる携帯発電機。しかし携帯発電機の排ガスには毒性の強い一酸化炭素(CO)が含まれており、屋内や風通しの悪い場所での使用による死亡事故も報告されているという。主な事例は以下の3つ。

【事例1】一酸化炭素中毒により1名が死亡し、現場に家庭用の携帯発電機があった

停電時に携帯発電機を換気の不十分な屋内で使用したため、排ガスが滞留し、一酸化炭素濃度が上昇して事故に至ったものと考えられる。

【事例2】一酸化炭素中毒で1名が死亡、2名が重症を負い、現場に家庭用の携帯発電機があった

携帯発電機を換気が十分に行なえない屋内で使用したため、排ガスにより屋内の一酸化炭素濃度が上昇し、一酸化炭素中毒になったものと推定される。

【事例3】車両内で携帯型の発電機を使用後、一酸化炭素中毒で1名が死亡

屋外で作業をしていた使用者が熱中症の状態になったため、運転中の携帯発電機が搭載された車両で休憩していたところ、症状が悪化したため病院に搬送され、後日死亡した。

【携帯発電機の使用時の注意】

NITEはこうした事故を防ぐため、携帯発電機を使用する際は以下に注意するよう呼びかけている。

  • 屋内では絶対に使用しない。発電機運転中の排ガスには一酸化炭素が含まれており、屋内で使用すると一酸化炭素中毒になるおそれがある。
  • 屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等以上の危険性がある。排ガスが逆流しないように、出入口や窓など開口部から離れたところ、かつ風通しの良いところで使用する。

通電火災の事故事例

さらにNITEは、停電復旧後の通電により、電熱器具が周囲の可燃物に接触していたことによる発火や、家電製品の水没や部品の破損によりショートして発火するなどの製品事故も発生しているという。主な事例は以下の2つ。

【事例1】停電復旧後に電気こんろの上に置いていた電気製品を焼損する火災が発生

当該製品(電気こんろ)は、落雷による停電以前にスイッチが入った状態で、切り忘れ防止機能が働いた状態だった。停電時に切り忘れ防止機能がリセットされ、停電復旧後にヒーターへの通電が再開されたため、ヒーター上に置かれていたほかの電気製品が焼損したものと考えられる。

【事例2】停電復旧後に電気ストーブ及び周辺を焼損する火災が発生

当該製品(電気ストーブ)は、停電発生以前に電源プラグがコンセントに接続された状態で電源スイッチがオンの位置のまま、切り忘れ防止タイマーが働いた状態であった。停電時にタイマーがリセットされ、停電復旧後にヒーターに再通電して近傍の可燃物を加熱し、出火に至ったものと考えられる。

【通電火災の注意】

NITEはこのような事故事例を受け、停電復旧後の通電火災を防ぐために注意喚起を行なっている。

  • 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防止するため、分電盤のブレーカーを切る。普段から分電盤の位置や操作方法を確認しておく。
  • 特にヒーターを内蔵した電気こんろや電気ストーブなどの電熱器具は、停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、停電時には電源プラグをコンセントから抜く。
  • 停電復旧後、浸水や落雷などによる損傷を免れた製品を使う際は、機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないかなど)を確認の上、分電盤のブレーカーを入れ、機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用する。異音や異臭がする場合は必ず使用を中止し、メーカーや販売店に相談する。
浸水による通電火災のイメージ。水に濡れた家電製品の内部には、水分が残っていたり、泥や塩分などの異物が付着していたりすることがあるため、通電時に電気回路基板から発火するおそれがある