家電トレンドチェッカー

地震や豪雨など、災害に備えておきたい防災アイテム特集。大容量電源、トイレになる椅子も

アイリスオーヤマが発売した「防災リュックセット」

1923年(大正12年)の9月1日、関東大震災が関東一円を襲った。その日は「防災の日」と制定され、「広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」こととした。また9月1日を含む1週間は「防災週間」となっている。

記憶に新しいだけでも、九州豪雨や熊本地震、'19年の台風19号など、毎年のように日本列島では台風や豪雨、地震といった大規模な災害が起こっている。これらの災害は、いつ起こるかの予測は難しく、完全に防ぐこともできない。そこで重要になるのが、災害時の避難グッズを備えておくことだ。

今回は、そうした災害時に役立つアイテムを、家電 Watchに掲載したものを中心に紹介していきたい。

防災アイテムには、避難時に有用なアイテムが詰まった防災バッグ、ライフラインとも言える電気を供給するポータブル電源、情報収集に欠かせないラジオ、避難時の移動や暮らしに役立つLEDライトなど、さまざまなものがリリースされている。

昨今増えているのが、災害時にすぐに使えるよう、できるだけ普段の生活スペースに置きやすいデザインのものだ。さらに、ポータブル電源、手回し充電や外部機器充電が可能なラジオなども注目されている。

こうした紹介アイテムの中から、自分や家族には、どれが最適かを考えてみてほしい。また、家に防災グッズがある人も、その内容などを改めて確認しつつ、防災についてもう一度考えるきっかけとしてみてはいかがだろうか。

いつも目の届くところに置いておける、スタイリッシュな防災バッグ

いつ起きるか分からない災害に備えて、避難グッズを揃えている人も多いだろう。だが、災害時には、誰しも慌ててしまうもの。そうした状況でもサッと持ち出せる場所に、避難グッズを置いてあるだろうか? 多くの人が、クローゼットや物置の奥の方へ、しまい込んでいないだろうか?

そこで、例えばリビングや廊下などにも置いておける、インテリアに馴染みやすいデザインの避難リュック(非常持出袋)2点を紹介する。

避難時に必要な厳選アイテムをパッケージした防災リュック
アイリスオーヤマ「食品あり 1人用(45点セット) BRS-45」、「食品あり 2人用(55点セット)」

避難所での快適性を高める商品を充実させた、アイリスオーヤマの「防災リュック」シリーズ。用途に応じて、食品なしの1人用(20点セット)、食品ありの1人用(45点セット)/2人用(55点セット)から選択できる。価格は、「1人用(20点セット) BRS-20」が11,800円、「食品あり 1人用(45点セット) BRS-45」が22,800円、「食品あり 2人用(55点セット) BRS-55」が25,800円。

マスクや除菌ウェットティッシュ、からだふき等の衛生商品が充実しているほか、厚さ220mmの超極厚タイプエアベッドなどが同梱されているのが特徴だ。

オシャレ防災グッズのロングセラー「非常持出袋」
防災防犯ダイレクトの非常持出袋「地震対策30点避難セット」

2012年にグッドデザイン賞に選ばれた、防災防犯ダイレクトの非常持出袋「地震対策30点避難セット」は、玄関やリビングにも違和感なく置けるデザインが特徴。価格は18,000円。

バッグの素材は、火災時の延焼を防ぐ防炎素材を採用している。地震や停電時でも設置場所がわかるよう、持ち手部分には暗闇で光る蓄光材を使っている。さらに防水素材と止水ファスナーにより、雨天時の避難でも雨水の侵入を防ぐ。

家電なども動かせる高出力なポータブル電源

一般的な家電製品も動かせるポータブル電源も、防災グッズとして注目されている。特に停電を伴う自宅避難時には、活躍してくれるはず。一般家庭でも現実的に置いておけるサイズのもので、高出力なモデルでは、瞬間最大出力2,000Wなども実現している。高出力であれば、炊飯器などに使っても、数日分の電力はまかなえそうだ。

ポータブル電源は、ソーラーパネルなどがなければ、それ単体では発電できない。だが燃料やカセットボンベなどの危険物の保管が不要で、静粛性に優れ、排気もないため屋内で使える点がメリットだ。また操作がシンプルなため誰でも安全に使いやすく、オートキャンプやテレワーク時の車中でのPC作業などでも活躍するはず。

瞬間最大2,000W出力のポータブル電源「BN-RB10」
JVCケンウッドのポータブル電源「BN-RB10」

高性能リチウムイオンバッテリーを搭載し、シリーズ最高出力となるAC定格1,000W、瞬間最大2,000W出力を実現したJVCのポータブル電源「BN-RB10」。従来モデルでは使用が制限されていたIHクッキングヒーター、小型ポット、コーヒーメーカなどの電化製品にも使用できる点が特徴。店頭予想価格は、136,000円前後。

太陽光を利用した充電・給電に対応するポータブルソーラーパネル「BH-SP100」と合わせて利用すれば、災害時により安心できるだろう。

SPEC DATA
本体サイズ:333×234×244mm(幅×奥行き×高さ)
重さ:10.9kg
容量:1,002Wh(27万8,400mAh)
最大出力:1,000W(瞬間最大出力:2,000W)
入出力:AC100V/3口、USB端子/4口(USB Type-CおよびUSB Type-A端子各2口)、DC12V(シガーソケット端子)/1口

レトロなデザインで容量297WhのAC出力対応ポータブル電源
Aukeyの「PowerStudio」

防災グッズと同様にポータブル電源も、いざという時に取り出しやすい場所に置いておきたいもの。ただ、リビングなどに置いておくのには無骨過ぎるデザインが多いのも否めない。Aukeyの「PowerStudio」は、背面までこだわった、レトロデザインが特徴の容量297Whのポータブル電源。価格は39,800円。先行販売中のMakuake(マクアケ)では21%オフの31,442円(いずれも税込)。商品は12月末までに発送予定。

最大出力は400Wと、使用できる家電製品は限られるが、扇風機や小型テレビ、パソコンなど低消費電力の家電製品であれば利用可能。災害時に役立つSOS点滅が可能なLEDライトも備える。

持ち手部分には牛革を使用し、背面のデザインにもこだわっている

SPEC DATA
本体サイズ:262×160×156mm(幅×奥行き×高さ)
重さ:3.6kg
容量:297Wh(約8万mAh)
最大出力:400W
入出力:AC100V/2口、USB端子/5口(USB Type-C/1口およびUSB Type-A端子/4口)、DC出力/1口、シガーソケット端子/1口

災害時の情報収集に役立つ、手回し充電対応のラジオ/ワンセグテレビ

長期の避難時などには、普段情報源となるスマートフォンが使えなくなることも想定される。そうしたときに、心強いのがラジオだ。ただし、このラジオも乾電池式などでは、電池が切れた段階で使えなくなる。そこでオススメなのが、手回し充電対応など乾電池以外でも使えるラジオだ。

昨今、手回し充電対応のラジオにもさまざまなバリエーションが存在する。電源だけでも、手回し充電/乾電池/充電池のものから、手回し充電/AC電源/モバイルバッテリー/乾電池などで駆動するものもある。また、ラジオだけでなく非常用のLEDライトやワンセグテレビ、スマートフォンなどが充電できるUSB搭載モデルなど、ラインナップが豊富。

10年間放置後も充電して使える、手回し充電テレビとラジオ
山善の「手回し充電テレビ+ラジオ YTM-RTV200」

コンデンサー充電池搭載により、10年間放っておいても手回し充電ができる山善の「手回し充電テレビ+ラジオ YTM-RTV200」。実勢価格は12,000円前後(税込)。

コンデンサー充電池は、ニッケル水素やリチウム充電池と比べて長期保管に強く、長期保管後でも手回し充電をすれば使用可能。USB端子を備え、スマートフォンの充電も行なえる。このほか停電時などに役立つLEDライト、自身の居場所を知らせるサイレン機能、ほこりや水の飛沫などから内部を保護する防塵・防水機能(IP57相当)も備える。

SPEC DATA
本体サイズ:約143×40×85mm(幅×奥行き×高さ)
重さ:約300g
主な機能:テレビ/ラジオ/LEDライト/外部機器充電/防塵・防水(IP57相当)
電源:手回し充電/AC電源/USB/単三形乾電池3本

手回しハンドルで発電できるポータブル「テレビラジオ」
OVERTIME 4.3インチ液晶搭載ポータブルテレビラジオ「OT-PT43AK」

手回しハンドルによる発電で使える、LEDライト搭載のダイヤモンドヘッドの「OVERTIME 4.3インチ液晶搭載ポータブルテレビラジオ OT-PT43AK」。価格は9,300円(税込)。

4.3インチ(480×272ドット)の液晶画面を搭載し、ワンセグテレビが視聴でき、EPG番組表の閲覧も可能。AM(522〜1,701kHz)またはFM(76.0〜108MHz)ラジオも聴ける。スピーカー内蔵のほか、3.5mm径のイヤホン出力端子を2つ備え、複数人でも楽しめる。

内蔵バッテリーは2,000mAhで、USB電源出力ポートからスマートフォンなどの充電も行なえる。またLEDライトや緊急ブザーを搭載する。

SPEC DATA
本体サイズ:156×45.5×90mm(幅×奥行き×高さ)
重さ:約290g
主な機能:テレビ/ラジオ/LEDライト/外部機器充電
電源:手回し充電/AC電源/USB/単三形乾電池3本

スマホ充電やSOSアラーム機能を備えた「手回し/ソーラー蓄電ラジオ」
クマザキエイムの「手回し/ソーラー蓄電ラジオ チャージオ ラムダ SL-091」

スマートフォンの充電もできるクマザキエイムの「手回し/ソーラー蓄電ラジオ チャージオ ラムダ SL-091」。価格は8,000円。

手回し/ソーラー/USB、3通りの方法で充電できるAM/FMラジオ。スマートフォンへの給電、懐中電灯、SOSアラーム、オーディオ機器のスピーカーとしても使用可能。容量4,000mAhのリチウムイオン電池を搭載。満充電に掛かる時間は、手回し充電では約10~12時間(毎分130~150回転させた場合)。ソーラー充電は約40~50時間。USB充電は約6~7時間。

SPEC DATA
本体サイズ:202×80×90mm(幅×奥行き×高さ)
重さ:約490g
主な機能:ラジオ/LEDライト/外部機器充電/防水(IPX3)
電源:手回し充電/USB/ソーラー

LEDライト付きの、シンプルな手回し充電対応ラジオ
小泉成器の「ダイナモラジオ SAD-8702/W」

ラジオやLEDライト、SOSサイレンを備え、手回し充電可能な小泉成器の「ダイナモラジオ SAD-8702/W」。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は4,000円。

ワイドFM対応のAM/FMラジオやLEDライト、非常用のSOSサイレンを備えるほか、内蔵充電池と乾電池(単四形乾電池3本)の2Way電源を採用する。内蔵充電池には容量1,200mAhのリチウムイオンポリマー電池を採用。内蔵充電池がフル充電の場合は、ラジオが約13時間、LEDライトが約18時間、非常用ブザー機能が5時間、使用できる。

SPEC DATA
本体サイズ:約134×50×62mm(幅×奥行き×高さ)
重さ:約220g
主な機能:ラジオ/LEDライト/外部機器充電
電源:手回し充電/USB/単四形乾電池3本

LEDランタン

災害時の夜間停電は街全体の明かりがなくなるため、普段の消灯時とは全く異なり、真っ暗闇となる。そうした状況で避難したり、家族の安否確認や救助をするためには、まずは照明が必要になる。また、自宅や屋外を問わず、夜間の明かりは精神の安寧にも寄与するという。

今回は、特に災害時に役立ちそうな、水深20mの防水性能を備えたライトと、乾電池やソーラー充電など複数電源に対応するランタンを紹介する。一般的なLEDライトは、どの家にも1つ2つは常備されているだろうが、それらとは別に、防災リュックなどに入れておくと安心なアイテムだ。

豪雨でも使えて水に浮かぶ水深20m対応のLEDライトと、コンパクトなLEDランタン
パナソニックの「乾電池エボルタNEO付きLED防水ライト BF-SG01N」

水深20mまで水の中でも使えるパナソニックの「乾電池エボルタNEO付きLED防水ライト BF-SG01N」。店頭予想価格は1,600円前後。

豪雨時でも使えるだけでなく、水に浮かぶため、もし海や川などに落としてしまった場合も沈むことがない。単三形の乾電池エボルタNEOが3本付属し、約77時間の連続点灯が可能。カラビナも直接通せる大径の通し穴付き。

SPEC DATA
本体サイズ:55×120mm(直径×長さ)
重さ:約155g
明るさ:約18lm
電源:単三形乾電池3本

乾電池やソーラー充電など複数電源に対応したランタン
ヤザワコーポレーションの「USB充電もできるソーラーランタン LA9S01BK」

乾電池やUSB充電、ソーラー充電など、複数の電源を利用可能なヤザワコーポレーションの「USB充電もできるソーラーランタン LA9S01BK」。実勢価格は1,870円(税込)。

本体上部にソーラーパネルを搭載。晴天時であれば約6時間でフル充電が可能。またmicro USB端子から充電すれば、約3.5時間で満充電できる。光を白色/暖色/ミックスの3パターンに切り替えられる。

SPEC DATA
本体サイズ:約86mm×120mm(直径×高さ)
重さ:約220g
明るさ:最大約100lm
電源:単三形乾電池3本/USB/ソーラー

災害時にあれば嬉しい、その他の2アイテム

「備えあれば憂いなし」とは、災害対策でよく引用される。より災害時の避難生活や、憂いを払う2つのアイテムを追加で紹介する。

ゴミ箱や簡易トイレになる折りたたみイス「パタット」
ソルシオンの「PATATTO350 plus」

ゴミ箱にも簡易トイレにもなるSOLCION(ソルシオン)の折りたたみイス「PATATTO350 plus」。価格は4,800円。

畳んだ時の厚さは4cmで、開いて押すだけで、5秒で簡単に組み立てられるという折りたたみイス。耐荷重は100kgで、子供から大人まで使え、主にキャンプなどで活躍しそうだ。

座面にある8カ所のボタンを取り外すとゴミ箱としても使えるほか、非常時のトイレとしても活用できる。折りたたみイスとして使用する時は横向きに、簡易トイレの時は縦向きに座る。なお、袋(トイレセット)は付属していないため、市販のトイレセットを使用する。本体素材はポリプロピレンを採用し、丸洗いも可能。

SPEC DATA
本体サイズ:480×335×417mm(幅×奥行き×高さ/組立時)、497×40×470mm(同/折りたたみ時)
重さ:約1.4kg

インテリアと調和するモノトーンの消火器
モリタ宮田工業の「+maffs(マフス) +住宅用消火器」

本体カラーにホワイト/ブラックを採用したモリタ宮田工業の「+maffs(マフス) +住宅用消火器」。価格は10,000円。

従来の赤い消火器と違い、インテリアと調和するため見えるところに置いても違和感がなく、火災時にいち早く消火を始められるとする。消火薬剤は強化液(中性)で、内容量は1L。適応火災は普通/天ぷら油/ストーブ/電気。使用温度範囲は-20℃~40℃。放射時間は約12秒。放射距離は4~6m。本体カラーはホワイトとブラック。

SPEC DATA
本体サイズ:約145×85×375mm(幅×胴径×高さ)
重さ:約2.2kg

河原塚 英信