藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

心配性の災害対策グッズその2 「消臭袋 キッチンの生ゴミ用」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 家庭での災害対策として最優先事項は飲料水の備蓄、次点が廃物(排泄物)の処理想定だと思っている。中高層マンションの上階に住まいがあるので、エレベーターが停止してしまった後のライフラインの確保は死活問題だ。

 東日本大震災の時、わが家では生後半年の赤ちゃんと、おねしょがちな幼児が紙オムツを消費していた。頻繁に起こる計画停電時、電気でポンプアップしなければいけない水道も止まったので数時間トイレもままならなくなった。

 午後7時時点で停電し、街中が漆黒の闇に包まれるなか、水も流れず換気扇も止まったトイレのドアを開け放ったまま懐中電灯を持って耐えきれず小用を済ます子ども。おしっこだけなら2、3回できるが、トイレットペーパーの使用は少なめでないと水が出るようになってからも詰まりかねないので注意が要った。

 この期間、お腹がゆるくなった家族がいなかったので助かったと後からしみじみ思った。腹下し、水を流せないトイレを前にした状況では年長の子どももオムツの使用ないしは災害用トイレの利用を免れない。大人もしかり。

 しかし使用済み子どものオムツ(しかも大)の処理を日常的に行なったことのある人ならわかると思うのだが、このテのゴミに相対すると、とにかく尋常ではない臭いに(日常的に)見舞われることになる。中身と臭いが漏れないように適切に処理(ゴミ収集日まで)するのに非常に気をつかう。正直やわなゴミ袋では心もとなさ過ぎる。

 そういうわけで私は「ゴミ袋」というものに対し強い興味関心を覚え、あれこれ買い集め使い比べることを始めた。いわゆる自治体のゴミ収集用有償のものは大抵が弱く、特に炭カルゴミ袋は嫌いである。

 ハウスクリーニングやオフィスクリーニングの専門業者が使用している業務用ゴミ袋は素晴らしいが市販していないのでつらい。100均のは概ね薄い。黒ゴミ袋には懐かしさを覚える。そして消臭機能付きゴミ袋は神である。

 そう、「消臭袋 キッチンの生ゴミ用」……この謎テクノロジーを搭載したゴミ袋に「うんこオムツ」を入れると……驚くほど臭わないのである。全然。

マルアイの「消臭袋 キッチンの生ゴミ用」

 商品裏の説明によれば、「アンモニア(尿・汗)、トリメチルアミン(腐敗魚)、硫化水素(腐敗卵)等の悪臭を、化学反応により分解・消臭するポリエチレン製品です(無機系脱臭剤配合)」。何やらポリ袋そのものに消臭成分が練りこまれているらしい。

 「即効性、持続性にすぐれ、低温でも脱臭効果抜群です」「食品包装材料として使用が認められた、極めて安全性の高いポリエチレンです」。

 とりあえず臭いものを捨てて口を縛るだけで臭いが漏れない程度にラフな扱いで済むのも良かった。「ゴミに対して神経質な態度でいること」というのは想像以上に心を疲労させる。

 排泄ゴミでなくても臭う夏の生ゴミ処理にもストレスなく、生ゴミに重曹をふりかける的な臭い対策も要らないこの消臭機能付きゴミ袋の備蓄もまた、私にとっては欠くべからざる防災対策なのである。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして17年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、中3、小5、小1の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。