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BESVで人気のミニベロ・クロスバイクe-bikeの選び方

昨今、自転車通勤需要の高まりとともに街で見かける機会が増えているのがBESV(ベスビー)のe-bike。人気の理由はスタイリッシュなデザインと豊富なラインナップです。大きなバッテリーが目立つ電動アシスト自転車とは異なり、e-bikeらしいスマートなルックスのモデルが揃っています。特にタイヤの小さなミニベロなど、街乗り向けのラインナップが充実していますが、モデル数が多いので逆に迷ってしまうという人もいるはず。そこで今回はBESVの人気4モデルに試乗し、それぞれの特徴とオススメのポイントをまとめてみました。

軽快に走りたいこだわり派に!! カーボンフレームで軽量なミニベロ「PS1」

BESVの中核を担っているのが、20インチタイヤを採用したミニベロの「PS」シリーズ。そのフラッグシップモデルが「PS1」です。ポイントは軽量なカーボンフレームを採用していること。これによって17.4kgという車重と、流麗なボディラインを実現しています。

カラーは写真のレッドのほか、イエローとホワイト、限定のカーボングレイが選べます。価格は276,000円。変速ギアはシマノ製TIAGRAの10速で、フル充電での走行距離は最大100km
カーボン製のフレームは流れるようなラインを実現。前後にはサスペンション機構も搭載しています
2020年モデルからは小型のカラーディスプレイを採用。スマートモードを含む4つの走行モードが選べます

実際に走行してみても、フィーリングは軽快です。小径のホイールは漕ぎ出しも軽く、ストップ&ゴーの多い街乗り向き。タイヤが小さいと、段差などを乗り越えた際に車体が振られやすいものもありますが、前後のサスペンションがショックを吸収してくれるので、非常に安定して走ることが可能です。BESV独自のスマートモードは非常に賢く、ペダルを踏む力に合わせてアシストをコントロールしてくれるので、平坦な道ではアシストを抑えてバッテリー消費を低減し、上り坂ではパワフルなアシストが味わえます。

アシストモードを切り替えなくても最適なアシストが得られるスマートモードは、かなり便利。結構な斜度のある上りも問題なく走破できました
e-bikeとしては車体が軽いので、ちょっとした階段を持ち上げて上らなければならないような場面でも負担が少なくて済みます

シリーズのフラッグシップモデルだけあって、ペダルをスルスルと回しているだけで軽々と車体が加速していきます。変速ギアもロードバイクなどに採用されているグレードなので、変速のフィーリングも良く、クロスバイクやロードバイクに乗っていた人が初めてのe-bikeとして選んでも満足できるでしょう。車体の軽さは、走っているときだけでなく自宅に持ち込む際にもメリットが感じられるはずです。

コスパ重視派にオススメ!! アルミフレームで買いやすい価格の「PSA1」

上位モデルと基本設計は同一ながら、アルミ製のフレームを採用したり、変速ギアを変更するなどして価格を抑えたのが「PSA1」。やや直線的なシルエットとなっていますが、フレーム一体型のバッテリーのデザインなどは共通なので、見た目の印象はほとんど変わりません。車重は19.6kgとなります。

8月から新カラーが追加され、バリエーションはホワイト、レッド、イエロー、ブラック(グロス)、ストライプピンク(限定)と豊富。価格は185,000円。変速ギアはシマノ製Altusの7速です。アシスト可能な走行距離は最大90km
フレームの中央部がバッテリーになっていて、取り外しが可能なのはシリーズ共通。バッテリーは軽いので、持ち運びも苦になりません。「PS1」同様に小型のカラーディスプレイを採用し、4つの走行モードが切り替え可能でスマートモードにも対応

上位モデルの「PS1」から乗り換えると、やや重さを感じますが、その差は2kg程度なので直接比較しなければ気にならないレベル。ペダルを踏んだ力にキレイにアシストが上乗せされていくe-bikeならではの感覚で、通常の電動アシスト自転車とは一味違った走行感が味わえます。前後にサスペンション機構が装備されている点や、小径ながら太めのタイヤを装着している点はシリーズ共通なので、多少荒れた路面でも車体は安定しています。

スマートモードにも対応しているので、走行中に坂道があっても切り替えることなく走っていけます
持ち上げた際の重さは「PS1」よりありますが、少しくらいの段差であれば十分持ち上げられる程度です

「PS」シリーズのスマートなスタイルと賢いアシストが、20万円を大きく切る価格で入手できるのが最大の魅力。安定した乗り味などは上位モデルと共通なので、初めてのe-bikeとして選んでも不安なく乗れるはずです。高価なカーボンフレームだと、傷つけてしまわないか気遣ってしまう場面もありますが、丈夫なアルミフレームであればその点で安心して乗れるのもメリットでしょう。

置き場に悩むマンション住まいに!! 折り畳みが可能な「PSF1」

「PS」シリーズの中で唯一、コンパクトに折り畳めるのが「PSF1」。フレームはアルミ製で、シルエットはほぼ「PSA1」と同じですが、フロントはサスペンション機構のないリジッドフォークとなっています。その分、車重は軽くなって18.3kg。フレームには折り畳み機構はないので、剛性も確保されています。

カラーはゴールドとグレイブルーの2色で、変速ギアはシマノ製Altusの7速。価格は245,000円。アシスト可能な走行距離は最大90kmとなっています
メインフレーム自体は折り畳まず、リアフレームをサスペンションの付け根から前方に向かって畳みます
続いてフロントフォークを畳む方式。工具は必要ありません
ハンドルも根本から折り畳める機構で、だいぶコンパクトになります
最後にシートポストを下げれば完了。折り畳み時のサイズは840×770×340mm

実際に乗ってみても、走行フィーリングは「PSA1」とほぼ同じ。フロントのサスペンションがないので、段差を乗り越える際などには衝撃がハンドルに伝わってきますが、不安定になることはありません。リアのサスペンションは装備されているので、サドルへの突き上げはなく、安定感も高いレベルを維持しています。バッテリー容量やスマートモードなどの基本機能も同一なので、平地も坂道も自然なアシストフィーリングが味わえます。

アシスト機構は「PS」シリーズ共通なので、街乗りでも気持ちいい風を感じられます

オプションで専用のハードケースも用意されているので、電車やクルマなどに積んでちょっと遠くまで出かけたい人には最適なモデル。また、コンパクトに収納できるので、マンション住まいなどで収納スペースが限られる人にもありがたい選択肢といえるでしょう。フレーム自体を折り畳む方式だと、長く乗っているとヒンジ部分の剛性が落ちてきたりしますが、その心配もありません。

ちょっと遠出したいならコレ!! スマートなクロスバイクタイプの「JF1」

ミニベロタイプが注目されることの多いBESVですが、実は大径ホイールのe-bikeも魅力的なモデルが揃っています。その代表がクロスバイクタイプの「JF1」。近年のe-bikeでは一般的になっているインチューブ方式のバッテリーをいち早く採用したモデルでもあります。

タイヤは700×35Cでロードバイクと同等。XSとMの2サイズが選べ、車重はそれぞれ16.1kgと16.2kgと軽量です。カラーはグロスブルー、マットブラック、グロスホワイトの3色。価格は230,000円
インチューブタイプのバッテリーでスマートなルックス。36V/7.0Aの容量で最大115kmのアシスト走行が可能です
モーターは後輪のハブ(車軸)と一体となったタイプ。前後とも機械式ディスクブレーキを採用
変速ギアはシマノ製DEORE(デオーレ)の10速。フロントには変速を搭載していません
カラー液晶のディスプレイは、色でアシストモードを表現。スマートモードにももちろん対応しています

クロスバイクタイプのe-bikeとしても軽量な車体は漕ぎ出しから軽々と加速します。ミニベロの「PS」シリーズとの大きな違いは、大きなホイール径で速度の維持がしやすいこと。カタログ上の航続距離も長いですが、アシストをあまり使わない速度域で走れるので、実際のバッテリーの持ちはさらに伸ばせそうです。

カーブを曲がる際のハンドリングもキレがあって気持ちいい。よりスポーティな走りが楽しめます

BESVにはロードバイクタイプの「JR1」というモデルもありますが、「JF1」の車体やアシスト機構はそのモデルとほぼ共通。それだけ走行性能の高いモデルでもありますが、フラットなハンドルで初心者にも馴染みやすいのが魅力です。スピードが出しやすく、安定感も高いので少し長い距離の通勤やツーリングなどを楽しみたい人は、ミニベロの「PS」シリーズよりもこちらのほうが向いているでしょう。

ストップ&ゴーの多い街乗りがしやすく、気軽に寄り道ができるのが魅力のミニベロに対して、クロスバイクタイプはある程度スピードを出して巡航するのが得意。同じe-bikeでも少しキャラクターが異なります。最近ニーズの高まっている自転車通勤に当てはめると、片道5km程度の距離なら「PSA1」、同程度の距離でオフィス内に自転車を入れたいのであれば折り畳み可能な「PSF1」、もう少し距離が長く10kmくらいまでなら軽量な「PS1」、それ以上の距離になるのであれば「JF1」という選択になるでしょうか。もちろん、どのモデルでも、街乗りは楽しめますし通勤にも使えますので、デザインや色の好みや予算で選んでも構いません。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。