藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
心配性の災害対策グッズその8:ポータブル電源
2020年5月11日 06:30
不要不急のフリーライターである筆者は、もともとあまりアクティブではなく、身体も丈夫でなく、緊急事態宣言以前からも引きこもりがちだったのだが、以後はいつもにも増して身動きをしない生活となった。
5人家族の一日3食、つまり日に15食分にもなる食料品の買い物や、在宅時間が長いため平素の倍速に近いペースで無くなるトイレットペーパー類、家にいても出る洗濯物のための洗剤等の日用雑貨の買い物は、家人が担ってくれている。
動けないのは、不自由だが、動かないのが、人のためになる。特殊な状況だ。不満はいえない。
そして、水道は出る。電気は来る。ガスもある。天気が良ければお日様もある。ゴミの収集もある。ライフラインは滞っていない。
このありがたさを、動かず在りながら、日々噛み締めていた。
そんな折の晩、風呂の中で地震を感じた。ややでかいやつだった。マンション中層階の家の浴槽のお湯は筆者を置いて、ばしゃん、ばしゃんと波打った。
今、この状況で大地震が起こったら…かなりヤバいことになる。
血の気が引いたのは、筆者だけではなかったはずである。
スマホを充電するためのモバイルバッテリーというものは、長年に渡り買い足し買い足し、幾つも用意してあったのだが、いわゆる「ポータブル電源」に手を出したのはほんの2年ほど前のことである。
Amazonで何日も眺めてああでもないこうでもないと悩み、ようやく選んだ品がスペック的に、果たしてベストだったのか。分からない点がなさけないのだが、正直なところである。
気まぐれに購入するにはあまりに高額なのにもかかわらず、平素から活躍させるような品ではないから、「いざ」というときに使えなければ意味がないのにだ。
だが、これを買った後、不思議と筆者の心は安らいだ。「ある程度だけど手持ちの電気がある」という、謎の安堵感が生じた。
以後、3カ月に一度、満充電している。なにげに放電してしまっているらしく、少しだが充電する余地が生じている。その度に「このさきも活躍しませんように」と願う。今日も、電源に差しながらそう、お祈りをした。