藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

ノンアルコールでどこでも拭きまくれる抗菌水溶液「テルクリンライト」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 「そういえばあれは10年前だったか……」と、今年は年明けから10年前である2009年に想いを馳せることが多い。正月早々インフルエンザにやられたのも契機のひとつだ。

 なんなれば、昨年末から今年にかけて猛威を振るったインフルエンザは、2009年に世界的に流行った型(A/H1N1)だという。なるほど……。あの年、GW明けから不穏な空気漂う中、近隣の中学、高校、小学校は次々新型インフルエンザによる学級閉鎖にバタバタ倒れていった。

 当時就学したての1年生と、身体の弱い2歳の保育園児を抱え、そもそも「小1の壁」のあまりの高さに体調を崩しがちだった(さっそくPTA役員もやっていた)筆者は、ご多聞に漏れず新型インフルエンザにも心底怯えきっていた。

 そんな中、長年のかかりつけ医はこう言った。

 「あなたね、子どもたちに、心配だからって、うがい手洗いとか目を三角にして命令してちゃダメよ。あなたみたいな神経質な人は放っといても、床でもどこでもそこらじゅう除菌して回ってるんでしょ!」

 グッ……図星……。

 「もっと適当でいなさい。どーんと構えてなさい。罹ったら罹ったで診てあげるんだから!」。

 神経質なために神経がやられかけていた未熟な母親に対し、なんておおらかで有難い言葉だったのだろう。しかし……。筆者の「除菌」志向は当時にして殆ど病気の域にあった。

 その後、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸、二酸化塩素、塩化ベンザルコニウム、消毒用エタノール等々を使いこなすことになったが、世の中には上記の道具を安全性の問題や変色、変質のリスク等のためにうまく活用できない場やシチュエーションがあることを痛感することになる。

 ドクターの箴言を生かしつつ、「いかにテキトーに気楽に、しかし要らぬばい菌は効果的に除去せしめ得るか?」という一種アンビヴァレントなライフワークの探求は続き、それから、10年が経過したころ、筆者は「テルクリン」を知った。

 率直に言えば、筆者は今回ご紹介する抗菌水溶液「テルクリンライト」(家庭用)の成分を理解してはいない。「アルコールおよび塩素を含まない水溶液タイプで、環境、人体にもやさしく、強力に効果を発揮します」と謳われており、じゃあなんなんだ? というところがイマイチわからない。しかしこの「ウエットペーパータイプ」の使い勝手は、けだし無類と思っている。

テルクリンライト ウエットペーパータイプ
メーカー名テイジン
製品名テルクリンライト ウエットペーパータイプ
実売価格1,728円

 なにぶん無臭で、手も荒れず、拭いても対象物は変色等傷むことなく、それこそフローリング床もドアもテーブルも便器もトイレ壁床も畳もどこでも選ばず拭きまくれる。使い捨てがもったいないなら手持ちのクロスを「スプレータイプ」で湿らせて使用してもいいし、スプレーは靴の中などに噴霧してもいい。

 ともあれこれで拭いたり、スプレーしてみると、そこにいたであろう目に見えぬ「菌」に何らかの作用がなされたことを、悪臭の低減から察する。拭いた場所がその後長期にわたって抗菌状態になるという点も興味深い(確かに臭わない)。

 製品にはウイルスに対しての効用は謳われていなかったのだが、熱で朦朧としながら、筆者はインフルエンザに倒れつつも他の家族への感染を避けるべく、「テルクリンライト」でのドアノブ、スイッチ、床、トイレ便座等の清拭を行なっていた。その影響もあるのだろうか。家庭内パンデミックは回避することが叶った。

 過日医師に指摘されたほどの生真面目さをもって住まいの掃除に邁進する気概も時間もなくなった昨今だが、我が家がまあ「臭くない」で済んでいるのには、こういったさまざまな新しい道具の活躍の成果が現れているためなのだろうな、と、静かに合点している今日この頃なのである。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして17年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、中3、小5、小1の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。