ミニレビュー
コーラやビールを冷たいまま持ち運べる、炭酸OKなボトル2モデルを使い比べ!
2022年4月6日 08:05
街を歩く小学生を見ていると、みな一様に首から水筒を提げている。かくいう筆者も、休みの日には120mlの小さな水筒をバッグに入れて、持ち歩いている。それほど喉が渇くこともない秋冬は、このくらいのサイズでも半日くらいであれば十分な大きさだ。
だが桜が咲き、ポカポカと暖かくなるにつれて、外出先で摂取する水分量も増してきた。120mlでは、心もとないのだ。それに暖かくなると、なぜか炭酸飲料が飲みたくなる。筆者は、下戸だということもあるが、桜を眺めていると、ビールではなくコーラが欲しくなるのだ。
頃合いもよく、タイガー魔法瓶とサーモスから、それぞれ炭酸飲料対応の水筒が発売された。さっそく、タイガー魔法瓶の「真空断熱炭酸ボトル MTA-T050」(6,000円前後)と、サーモスの「保冷炭酸飲料ボトル FJK-500」(3,300円前後)を購入し、使い勝手をチェックした(いずれも容量は500ml)。
まずはじめに炭酸飲料を入れられるボトルは、文字通りに「炭酸を入れてもいいよ」という水筒であって、炭酸が抜けない、または抜けづらいボトルではない。そのため、持ち歩いて何度もフタ(キャップ)を開閉すれば、炭酸は抜ける。
一般的な炭酸非対応の保冷ボトルの多くは、炭酸ガスがボトル内に充満してしまい、フタが開かなくなったり、開けた時に飛んでしまうといった危険がある。そのため、各メーカーは炭酸飲料を非対応としている。
一方で、炭酸飲料対応ボトルのフタは、炭酸ガスを上手に逃してあげる構造となっている。このため、炭酸ガスがボトル内に充満することがなく、スムーズにフタを開閉できるのだ。
こうしたことから想像できる通り、炭酸を保持する効果としては、一度開けたフタを締めて持ち歩く、一般的なペットボトルと変わらない印象だ。できるだけ炭酸が抜けないようにするには、容量いっぱいの500mlを入れておき、できるだけボトルを動かさずにジッと置いておき、開閉回数を減らす。そうすれば、炭酸の抜けは少ない。
さて、タイガー魔法瓶のフタは、飲料の補充時にはフタ全体を回して外し、飲む時には上部の小さいフタを回して外す構造。一方で、サーモスのフタは、見た目は非常にシンプル。1つのフタを外して、そのまま本体に口をつけて飲む仕様。
なお、両モデルとも保冷専用だという点も気を付けたい。気を付けると言っても、これは、温かい飲み物を入れると構造的に壊れそうになるというものではない。熱い飲み物を入れて、そのまま気を付けずに飲み始めると、やけどの原因になりかねない。そのため、メーカー各社は保冷専用としている。
両モデルの使い勝手の違い
休日に両モデルを持って、息子と一緒に公園へ行ってみた。近所のスーパーで、コーラ(1L)のペットボトルを購入。店の前で、2つのボトルにコーラを注ぎ分けた。そしてペットボトルは、ラベルを外して、スーパーに設置してあるゴミ箱へ入れた。
ボトルとは直接関係のない話であるうえ、誰もが知っていることだろうが、コーラを含むソフトドリンクは、自動販売機やコンビニで買うよりも、スーパーやドラッグストアで買うほうが圧倒的に安い。また、500mlペットボトルを2本購入するよりも、1Lを1本購入した方が断然安い。さらに、筆者の近所のコンビニだと、なぜか容量500mlはアルミ缶しか売っていないが、他のコンビニで売っている500mlのペットボトルよりも、かなり安い。
筆者は、コーラが好きなのだが、500mlを一気に飲むわけではなく(一気飲みはできない)、数時間から半日をかけてちょびちょびと飲む。そのため、1Lや1.5Lのペットボトルや、500mlのアルミ缶のコーラを買う気にはなれずにいた。
いつも、割高な350mlのペットボトルを買うことに、悔しさを禁じえないのだ。だが、500mlの炭酸飲料対応ボトルを使えば、1.5Lや1Lのコーラを買って、その日に使う分だけをボトルに小分けして持ち出せば良い。また、500mlのアルミ缶でも、ボトルに入れ替えれば、持ち歩きやすくなる。炭酸飲料対応ボトルが届く前から考えていた構想が実現して、ボトルを手にしてさっそく嬉しさを感じていた。
話が脱線したが、本題に戻ろう。
2つのボトルに分けて入れた後は、2つとも息子のリュックに入れて、20分くらい自転車で移動した。背中にしょっていたので、ボトルが大きく揺れることはなかっただろう。
公園へ到着し、ボトルを入れたリュックを地面に置き、少しサッカーやドッジボールをして身体を動かす。30分ほど身体を動かすと、息子が「のどが乾いた!」と言って、リュックからボトルを取って飲み始める。あらかじめ、彼の分はタイガー魔法瓶だと決めていた(理由は分からないが、息子がタイガー魔法瓶の方が良いと決めていた)。
タイガー魔法瓶の上部の小さなフタを開けて、グビグビと飲む。小さなフタは、ラバーのストラップで本体とつながっているため、フタを手で確保しておく必要がなく、小学生には飲みやすそうだ。また、飲み口が小さく狭いため、適量が口に注がれていくようだ(後述するが、このことは、もう一方のサーモスを使って分かった)。
タイガー魔法瓶でグビグビと飲んだ後は、またドッジボールをして身体を動かす。息子は激しく動くうえに、その日は暖かったため、徐々に汗を拭うほどになっていた。頻繁に「のどが乾いたぁ!」と言うようになり、息子はボトルに駆け寄る。結局は筆者もタイガー魔法瓶の方を飲んでいたので、中のコーラは、どんどん少なくなっていった。
タイガー魔法瓶を全て飲み干し、息子が「こっち(サーモス)の方を飲んじゃうよ」と言って、フタを開ける。そのまま勢いよく飲もうとすると……勢いあまって、サーモスの飲み口からコーラが溢れてしまった。息子の口の周りやシャツが、コーラで濡れる。
「なんか、こっちは(サーモスは)たくさん出てきちゃうんだよぉ」とのこと。しばしば勢いあまる行動を取りがちな息子(おそらく多くの小学生)には、サーモスの飲み口は広すぎて、こうなる可能性が大きそうだ。こうして小学生の息子の、水筒を使う様子を見ていると、タイガー魔法瓶の方が良いだろうと思った。
ちなみに筆者がサーモスで飲んでみたところ、飲み口がくるっと丸まった感じなので、口につけた時に優しい感じ。気を付けていれば、飲み物がドバっと出てくることもなく、飲みにくいと感じることはなかった。
メーカー各社が、フタをコップとして使う水筒以外のモデルを、「保冷専用」としている理由も分かった気がする。幼い子供たちだと、水筒の中身が熱湯だとしても、フタを勢いよく開けて、グビグビと飲もうとしてしまうだろう(保温性の高いボトルほど、手に持っただけでは、中身の熱さを体感できないからだろう。熱伝導率の高いコップであるほど、熱い飲み物の場合は、子供も警戒して飲むはずだ)。保冷専用の水筒に、熱い飲み物を入れて子供に渡したら、たしかにやけどの危険がありそうだと、再認識した。
炭酸対応ボトルのメリットを十分に感じられた
炭酸対応ボトルだからと言って、炭酸ガスが抜けづらいわけではない、ということは冒頭でも触れた。「え? じゃあなんで、わざわざ水筒に入れ替えるの?」と、思わないでもない。
ただし、いずれも真空断熱ボトルなので、保冷効果を備えている。持ち歩いていると炭酸が抜けて、生ぬるくなっていき……「さっきまで、あんなに美味しかったのに、単なる砂糖水になってしまった……」などというがっかり感は、少し軽減される。まだ風が冷たく感じる今ですら、そのありがたみを感じられたので、本格的に暑い夏になれば、たとえ炭酸が抜けていっても保冷されていれば、炭酸の抜けたホットコーラになってしまうペットボトルで飲むよりも、かなりマシだろう。
また、ペットボトルとは異なり、氷を入れやすいのも水筒ならでは。コーラと一緒に、1つ2つの氷を入れたら、さらに冷たく美味しく飲める。
2モデルをフタを外した状態で比べると、タイガー魔法瓶の方が口が少し広い。飲み物の注ぎやすさは大して変わらないが、タイガー魔法瓶の方が、中までスポンジで洗いやすいと感じた。
そのほかの違いだが、冒頭で記した通り、まず価格が異なる。タイガー魔法瓶の「真空断熱炭酸ボトル MTA-T050」は6,000円前後で、サーモスの「保冷炭酸飲料ボトル FJK-500」は、3,300円前後だ。購入時には、「なんでこんなに違うの?」と思ったが、すぐ分かる部分ではタイガー魔法瓶の方が、フタの構造が複雑で、パーツ数も多そうだ。
大人用として購入するのなら、いずれでも良いと思う。大人の筆者用であれば、価格の安いサーモスを購入しただろう。ただし、小学生の息子用として考えるなら、前述した飲みやすさから、タイガー魔法瓶を選ぶ。
その他、外観に関しては、タイガー魔法瓶は太くて低く、サーモスは細長い。リュックであれば、入れやすさは変わらないかもしれないが、ビジネスバッグなどには細長いサーモスの方が入れやすそうだ。
塗装に関しては、筆者の印象では、タイガー魔法瓶の方が高級なイメージを抱いた。おそらくタイガー魔法瓶の色みと、よりザラッとしたシボ感が、筆者の好みに合うのだろう。
注意点としては、フタの構造が複雑なので、一般的な炭酸非対応のボトルよりも、使用後はしっかりと洗った方が良いということ。特にコーラやビールのように糖分が多く、ベタつきやすい飲み物を入れた場合は、飲み干したら、できるだけ早く水道などですすぐようにすべきだろう。
ちなみに、タイガー魔法瓶「真空断熱炭酸ボトル」の容量は、500/800/1,200/1,500mlから、サーモスの「保冷炭酸飲料ボトル」は、500/750mlから選べる。
色々と甲乙はつけがたいが、暖かくなる前に、炭酸対応ボトルを購入したのは正解だったと思う。ビールなどを含む炭酸飲料が好きな人であれば、どちらを購入しても、十分に満足するはずだ。