家電レビュー

最近話題のコンパクトクーラーがヒンヤリ涼しい! 部屋干しにも重宝

6月に梅雨も明けてしまい、早くも猛暑がスタート。エアコンの無い部屋や、冷房が届かない場所での活動となるともう汗だくだ。そこで今回は、工事不要で置くだけで涼がとれるスポットエアコンを紹介しよう。近頃は家庭向けの製品が揃い選択肢も増えた中から、山善の「コンパクトクーラー YEC-M03」を使った。直販価格は49,800円だ。

山善「コンパクトクーラー YEC-M03」冷風運転時は付属の排熱ダクトを取り付ける

YEC-M03の大きな特徴は「冷風」はもちろん、洗濯物の部屋干しに役立つ3段階の「送風」に、室内や浴室の結露やカビ予防、さらに浴室での洗濯物の乾燥機としても活用できる「ドライ」の3つの機能を備えていることだ。

加えて風が広範囲に広がる工夫として、左右はボタン操作により自動、上下は手動で調整できるルーバーを吹出口に搭載。ルーバーは上記3つの機能全てに活用できるのもポイントだ。複数人過ごす場所での使用や、効果的な部屋干しも考慮に入れた設計となっている。

また、冷風とドライ運転時に生じるドレン水(除湿水)は、簡単に着脱できるタンクに1.7Lまで溜められるので、排水の処理も簡単。もちろん、満水になると運転は自動的に停止する仕組みもある。他に、タイマー運転にも対応している。

ざっと特徴を挙げたが、YEC-M03は単なる季節家電のスポットクーラーにとどまらず、年間を通してマルチに利用できる機能を備えている。

そこで今回は、ポータブルクーラーの使用感だけでなく、除湿運転のドライでどのぐらい洗濯物が乾くかを実際に試した2つを軸にレビューをお届けしよう。

10kgあるがコンパクトな本体。持ち運びは現実的

YEC-M03の大きさは、270×266×432mm(幅×奥行き×高さ)で、本体の重量は約10kg。丸みをおびたフォルムに、取っ手や吹出口のフレームと脚に木目調の仕上げが施された柔らかなデザインは、インテリアにも馴染みやすい。カラーバリエーションとして、ブラックも選べる。

正面と右側面の様子。正面にルーバー付きの吹出口、右側面に吸込口がある

10kgある本体はかなりどっしりとしているものの、上部にはしっかり握れる大きな取っ手がついているので、持ち上げて部屋から部屋への移動程度なら現実的といえるだろう。

本体正面にルーバーのついた「吹出口」があり、その内側に約15cmの5枚羽のファンがある。背面に「排熱口」があり、吹出口と同じ5枚羽が組み込まれている。排熱口のファンは冷風とドライ運転の時にのみ作動し、熱交換されて温まった空気が排出される。その下には冷風とドライ運転時に生じるドレン水を溜める「タンク」が差し込まれている。

背面と左側面の様子。背面に排熱口とドレン水を溜めるタンクがある。左側面にも吸込口がある
本体上に操作パネルと、収納式の取っ手がある
本体を持ち運ぶ際に使用する取っ手は、しっかり握れる大きさがある

側面には左右どちらにも室内の空気を取り込む「吸込口」がある。どちらの内側にも熱交換器が組み込まれており、着脱式のエアフィルターが覆っている。

ルーバーのついた吹出口の様子。内部に直径約15cmの5枚羽が見える
排熱口の内部にも、吹出口と同じ姿の羽がある
右側面の吸込口の内部に熱交換器がある
左側面の吸込口の内部にも同様に熱交換器がある

冷風運転時、排熱ダクトは必須

一般的なエアコンは室内機と室外機に分かれているが、YEC-M03はコンパクトな本体にその2つを1つにまとめたものと考えていいだろう。

冷房運転時のエアコンの仕組みを簡単に説明すると、室内機と室外機を循環する冷媒が室内の空気の熱を取り込み、その熱を室外機のファンで室外へ放出。冷えた冷媒が室内に戻ってファンが冷気として室内に放出し部屋を冷やす。熱交換の際に発生するドレン水は室内機から室外機へ送って室外に排出する、といった具合だ。

一方YEC-M03は、エアコンの室内機と室外機を1つにまとめたようなもの。正面から冷風が出てくると同時に、背面の排熱口からは温められた空気が排出される。

使用する前に冷風で試運転してみると、室温28℃時、正面からは24℃の冷風が出てくるのに対し、背面からは36℃の 温かい弱風が排出される。正面側は涼しくても、これでは室温が徐々に上昇するのは避けられない。

室温は28℃で冷風を試運転した
本体正面(画面右)からは24℃の冷風が出るのに対し、背面からは36℃の温風が出ていた

そこで必要になるのが、排熱を室外へ誘導する付属の排熱ダクトだ。

ジャバラ式の排熱ダクトは背面の排熱口にねじ込んで簡単に着脱できる。排熱ダクトの直径は約155mm。縮めた状態の排熱ダクトの長さは約205mmで、めいっぱい伸ばすと820mmになる。冷風時はこの排熱ダクトを部屋の外に伸ばして、温風をできるかぎり室外へ排出するのが冷風運転の使い方となる。

排熱を外に出すため、窓は最低でも15cmほど開けっ放しになるのは致し方ない点だ。したがって運転中でも、外気は室内に流れ込んでしまうため、室内全体を冷やす一般的なエアコンの効率の良さは望めない点と、冷風運転時の設置場所はどうしても窓の近くに限定されるという割り切りは必要だ。

付属の排熱ダクトを背面の排熱口にねじ込んで装着する。簡単に着脱できる
ダクトの長さは最小で205mm、最大に伸ばして820mm
冷風運転時はダクトの端を窓の外に出して、温風を外に排出する必要がある。外気が入りにくいようカーテンで窓を覆う

少しでも冷風の効率上げるのに必要な排熱ダクトだが、正直いって本体のインテリアを意識したデザインに対し、排熱ダクトのあり方はかなり無骨。カラーバリエーションのホワイトとブラックから、その中間の色を採ったのかもしれないが、太さもあるグレイのダクトはかなり部屋にそぐわない印象が強く不格好。この点はもう少し工夫の余地があると感じた。

運転を始めて数分で冷風が出てくる! 冷風は2m先にもしっかり届く

掃き出し窓を開けて排熱ダクトを外に出し、開口部をカーテンで覆ってさっそく実際に冷風運転をしてみよう。

操作はとても簡単で、本体上面のパネルの左端の電源ボタンを押すだけで、初期は冷風の強運転「H」で始まる。運転をスタートすると、グォン! と一瞬唸ってファンが勢いよく回り始めた。

操作パネルの左端の電源ボタンを押すと、初期は冷風「H」の運転が始まる。ボタンは左から「電源」、「冷風(2段階)」、「ドライ」、「送風(3段階)」、「切タイマー(1,2,4,8H)」、「スイング」となる

運転前の室温は30℃と暑い。YEC-M03を設置するだけでじんわり汗が出てくるほどだった。だが、冷風運転を始めると、1分もしないうちにヒンヤリとした冷風が出てきた。吹出口の直前に置いた温度計は反応に時間差があるものの、風を浴びていると確実に涼しい。冷風を浴びはじめて数分後には汗が引いてしまうほど快適だ。3分過ぎる頃、温度計の周囲の温度は27℃になった。

運転前の室温は30℃。ちょっと動くだけでも暑い
冷風運転をスタートすると、1分もかからずにすぐに冷風が出てくる。時間とともに温度計の周囲の温度がどんどん下がってくるのがわかる

10分経過しすっかり涼しくなったので、今度は弱運転の「L」に切り替えた。YEC-M03には温度調節機能は無いので、風量を変えて調節するが、切り替えたあとも温度計の表示は下がり、6分後に温度計は24℃となった。その後1時間が経過しても温度計の周囲は24℃をキープしたままだった。室温30℃の部屋で、風量が変わっても24℃の風は十分に涼しい。

10分後に弱運転の「L」に切り替えたが、冷風自体の温度は変わらないようで、時間経過とともに温度計の周囲の温度は下がっていく
1時間後も24℃をキープしていた

見事なのは風が遠くまでしっかり届く点だ。風が当たる面積は必ずしも広くはないが、たとえ「L」運転で本体から2m離れてもしっかりと冷風が感じられるので、離れた位置にいても涼しい。

風が当たる範囲は限られても、ルーバーを作動させれば冷風が感じられる範囲がぐっと広がる。

吹出口の前には上下、左右のルーバーが取り付けてある。上下の向きは、各約35度の合計70度の範囲を手動で変えられる。左右は自動だ。パネルのスイングボタンを押すと、左右各45度の合計90度の範囲に風を広げられる。左から右、そして左へと、スイングは約20秒で一巡する。

スイングが届く範囲の印象は、例えば本体から1.5m離れたところに寝転がって、冷風が頭の先から足先まで届く、というイメージだ。実際に横になってみると、頭から足先へ、足先から頭へとゆっくりと冷風が全身にくまなく当たる。「L」運転でも全身にわたり、しっかり風が感じられた。

ルーバーの上下の向きは手動で変えられる。上35度、下35度の合計70度だ
左右のルーバーは上下ルーバーの内側にある。「スイング」ボタンを押すと自動で左右に風を送ってくれる。約20秒で一巡する

ここまでは本体のそばでほとんど動かずに過ごしたが、次は、部屋全体がどのぐらい涼しくなるかも別の日に試みた。温度計は本体から1.5m以上離した。

外出から戻った部屋の温度は29℃。空気が籠もりムッと暑い。帰宅してすぐに窓を開けてダクトを外に出し、冷風「H」、スイングをONにして運転をスタートした。

風が当たればしっかり涼しさは感じられるのに、スイングで冷風が温度計に間欠的に当たるのもあり、30分経過しても1℃下がった程度で、部屋全体の温度は大きく変わらない。

それでも1時間以上運転したあと、一旦部屋を出て戻れば、帰宅時に感じられたムッとした暑さはかなり和らいでいる印象はあるが、風がまったく当たらない場所で動いていればやはり汗ばんでしまう。そんな状況は連続して4時間運転しても変わらなかった。

別の日に温度計を1.5m離して計測した。家に戻った時の室温は29℃でムッと暑い
30分運転したところで、気温が1℃下がった。部屋全体は冷えていないが、風が当たれば涼しい
同じ条件(H運転・スイング)で4時間連続運転したが、室温は大きく変わらなかった

この結果から、スポットクーラーであるYEC-M03は、部屋全体を冷やす一般的なエアコンとは異なるものとわかる。あくまでも冷風に当たって涼を取る、というものだ。それでもYEC-M03が有ると無いとでは雲泥の差があった。たとえ室温がさほど変わらなくても、風が当たっていれば確実に涼しく過ごすことができるのは間違いない。

なお、冷風運転時はドレン水がタンクに溜まる。4時間連続運転した時のドレン水の量は690mlだった。その日の気温と湿度によってドレン水量は変化するだろうが、最大1.7Lのタンクなら余裕だろう。

4時間連続運転後、タンクにかなりの量のドレン水が溜まっていた
その量は690mlもあった
タンクは本体から引き出すだけで簡単に外せる
タンクのフタをとってドレン水を捨て、中を軽くすすいで本体に戻す

涼しいけどうるさいです(野暮を承知で)

風が当たると涼しいが、ゴーッ! という作動音は相当耳障りなのは否めない。冷風運転時は2つのファンが同時に作動し、熱交換器の作動音も重なるのでどうしても大きな音がする。「H」運転は特に掃除機をかけている時のような音が続くため、そばに置くとテレビの音は聞こえづらく、会話の邪魔にもなるほどうるさい。

参考までに本体のそばで音の大きさを簡易的に測定してみると、日中窓を開けた我が家の日常の音は40dB前後で、いわゆる「日常生活で望ましい範囲」に収まっていた。冷風「H」運転時は65dB前後で「うるさく感じる」音が発生する。「L」に切り替えても60dB前後で、日常生活で望ましい範囲といわれる50dBを超えていた。

したがって、静かな環境が求められる勉強や読書、さらに就寝には不向きといわざるを得ない。とはいっても、2mほど離した「L」ならば、体感的にテレビの視聴にも会話にもさほど気にならないぐらいにはなった。

窓を開けた日中の部屋の音の大きさは40dB強
冷風H(右)は65dB前後でかなりうるさい。Lは60dB前後になるが、近い場所にあるとやはりうるさい

冷風運転以外も音は大きめだ。「ドライ」は60dB前後。今回は実際に利用する様子を省いたが、「送風L」は50dB強と比較的静か。「送風M」は60dB弱、「送風H」になると「冷風H」と変わらない65dB前後だった。

ドライは冷風Lよりも少し静かな程度。やはり作動音は大きい
「送風L」は静か。M、Lになると冷風運転時と大差なくなる

ついでの流れで消費電力についても触れておこう。「冷風H」は約180W、「冷風L」は約167Wだった。「ドライは」162Wで、「送風L」は33W、「送風M」は72W、「送風H」は冷風並の174Wとなった。待機電力は0.4W。「冷風H」の電気代を単純に試算したところ、8時間使用した1日の電気代は約39円。1カ月間毎日8時間使い続けた電気代は約1,187円となる。

ただ、音の大きさを計測までしていまさらいうのもアレだが、一般的なエアコンと同目線でスポットクーラーを比較、評価するのは野暮というものだろう。もともとスポットクーラーは、あくまでも工事無しで設置でき、簡易にエアコン並みの涼しい風を一時的、または局所的に得るのを目的とした製品だからだ。

換気扇を利用すると排熱がより効果的!

エアコンが完備された広くはない我が家だが、それでもYEC-M03がバッチリ役立つ場所があった。そこはキッチンだ。我が家のキッチンはエアコンから最も遠い位置にあるため、夏は火を使う台所仕事は汗だくになりやすく、とても億劫だった。

そこでYEC-M03をキッチンに置いたところ快適に台所仕事ができるようになった。本体は10kgあってもコンパクトなので、安定して置けるカウンターや作業台があるなら簡単に載せられる。室温を上げる原因となる排熱口から出る温風は、コンロ上の換気扇にあずけてみたところ、これがバッチリ機能した。

台所仕事中はずっと上半身にたっぷりの冷風が浴びられるので、調理中も後片付けもずっと快適に台所仕事をこなすことができた。排熱口から出る温風は、コンロ上の換気扇の「弱」運転で吸い込んで室内側には流れてこないので、とても勝手が良い。換気扇が回っていることもあり、YEC-M03の作動音は台所仕事の邪魔にもならなかった。

コンロ脇から十分距離をとってYEC-M03を設置。火を使う台所仕事中も冷風をたっぷり浴びられるので快適! 排出される温風はコンロ上の換気扇が漏らさずに吸い上げて排出してくれた

我が家には、エアコンは無いが換気用に窓用換気扇を取り付けている部屋がある。ここでも換気扇を少し回しながら(風力が変えられるようコントローラーを使っている)YEC-M03を冷風運転させたところ、やはり掃き出し窓を開けっ放しにしてダクトを外に出すよりも、より効率的に涼が取れる印象があった。

風力がコントロールできる窓用換気扇を利用したところ、キッチンでの利用と同様に効率良く涼が取れた

以上の使用方法はちょっと異例かもしれないが、YEC-M03から排出される温風を換気扇でフォローする使い方はなかなかの効果を実感したので敢えて紹介した。冷房が届きにくく、窓の無いキッチンでも台所仕事が飛躍的に楽になるのはありがたい。換気扇をうまく利用すれば温風は確実に外に排出できるので、ちょっと蒸し暑い程度なら涼風だけでも案外快適に過ごすことができた。

「ドライ」で洗濯物がパリッと乾いた!

YEC-M03は冷風運転だけでなく、除湿を目的とする「ドライ」機能も搭載されている。取り扱い説明書にある定格除湿能力は4.5L/日(50Hz)とあったので、ここは洗濯乾燥機としてどれほど使えるかを試してみた。

今回洗濯乾燥を試すものは、Tシャツ2枚、ポロシャツ2枚、薄手の長ズボンと短パン1着ずつに、下着2枚、靴下2セット。さらにフェイスタオル2枚、厚手のバスタオル1枚。自分の2日分に当たる洗濯物だ。

縦型自動洗濯機でそれらをいつものように普通に洗い、ハンガーなどにかけてそれぞれが重ならないように10cm程度離して突っ張り棒に吊るした。その下に排熱ダクトを取り付けないYEC-M03を浴室の洗い場に置き、ドライ運転をスタートして浴室の扉を閉める。乾燥が目的なので、浴室の換気扇は運転せずに密閉された空間をキープするのがポイントだ。

なお我が家の浴室は、1.2x1.6x2m(幅x奥行きx天井高)の、天井に換気扇がついた典型的な集合住宅向けのユニットバス。幸いなことにYEC-M03のコードを出したまま浴室の扉が閉められ、密閉に近い状態を保ちつつ、電源は脱衣所のコンセントから取ることができた。

ハンガーにかけた洗濯物はそれぞれが触れないように10cm強離して吊るした
YEC-M03を洗い場に置く
コードの太さは約6.5mmだが、コードを出しながら扉が閉められた

洗濯物を吊り下げた直後の浴室の気温は29℃で、湿度は84%。ルーバーは上向きにし、スイングをONにしたドライ運転を開始し、すぐさま浴室の扉を閉めた。温度と湿度の変化と乾く過程を確認するために、1時間ごとに扉を開けて観察した。さて、洗濯物は本当に乾くのか!?

ドライ運転直前の浴室。気温は29℃、湿度は84%だった。じっとりと暑い
1~2時間後

1時間後、気温は32℃に上昇するも湿度はもう52%に下がった。まだ洗濯物は湿ったままだが、タンクの底には2.5cmのドレン水が溜まり、確実に除湿が進んでいるのがわかり、思わずおおっ! となる。

2時間後は気温33℃、湿度45%となり、ドレン水はさらに2cm増えていた。洗濯物はまだしっとりしているが、数値を見れば乾燥が順調に進んでいるのがわかる。

洗濯物はまだしっとりしているが、2時間経過(下)で湿度は初動84%から45%に低下。確実に乾燥が進んでいる
3~4時間後

3時間後、気温は34℃で湿度は32%に下がり続け、ドレン水はさらに2cm弱増えた。この頃になると薄手のハンドタオルは乾き始めるも、ポロシャツやバスタオルはまだまだ生乾き状態だった。

4時間後は気温34℃、湿度は下がり具合が鈍るも26%になった。それでもドレン水の増加は1cmあった。この時点で浴室内に入ると空気はかなり乾燥しており、ポロシャツは裾、Tシャツは脇の下が湿っている程度で着られそうなぐらいまで乾いていた。フェイスタオル、下着類は2枚とも乾いていた。バスタオルと靴下はまだほんのり湿っていた。

4時間後(下)で湿度は26%になった。ドレン水もたっぷり溜まり、バスタオルと靴下以外はほぼ乾きはじめていた
5~6時間後

5時間が過ぎると、気温は34℃、湿度は14%と更に乾燥が進む。4時間経過でまだ湿っていたバスタオルや靴下も「あ、もう取り込んでもOKだッ!」と思えるぐらいどれも乾ききっていた。それでもドレン水は1cm弱増加していたので、さらにドライ運転を続けた。

6時間後、気温は1℃上昇して35℃となったが、湿度は5時間経過時と変わらず14%。ドレン水も3mm増えた程度なので、観察はここで終了した。

5時間後の湿度は14%。洗濯物すべてが乾いた印象だ。それでも4時間後よりもドレン水が8mmほど増えていたので、さらに1時間運転を続けた。6時間後は湿度に変化がなく、ドレン水の増量も3mm程度になったので、ここでドライ運転を終了した

以上の結果から、ドライ運転は見事としかいいようがない。大人1人×2日分の洗濯物ならば、たった5~6時間でキッチリ乾ききってしまう実用性は相当のものだ。

改めてドライ運転で溜まったドレン水の総量を計量したところ、1,345mlだった! つまり、6時間で1.3L以上の水を洗濯物から取り除けたといえるだろう。

溜まるドレン水の変化を1時間ごとにタンクに印した。1H→355ml、2H→671ml、3H→947ml、4H→1,140ml、5H→1,295ml、6H→1,345ml。5時間から6時間で増えたドレン水量は50mlと極端に減った。取り除かれる水量の変化からも洗濯物が乾いていく様子がわかる

乾いた洗濯物は、まるでカラッとした天気の良い日に外干ししたかのような、とても気持ちの良い仕上がりだった。YEC-M03があれば確実に洗濯物がキッチリ乾かせるので、天気に左右されずに躊躇なく洗濯に勤しむことができるのはかなり心強い。「切タイマー」を併用すれば、自動的に停止してくれるので便利だ。

大人1人×2日分の洗濯物が6時間もかからずにパリッと気持ちよく乾いた。天気の悪い日が続く時でも躊躇なく洗濯ができるのは大いに助かる

今回試した洗濯物の量なら、1.7Lのタンクの満水までまだまだ余裕があった。タンクには「浮き」が組み込まれており、浮きが触れる水量までドレン水が溜まると浮きが上方へ移動しはじめ、1.7L溜まると本体が浮きを察知し、自動的に運転が停止する。また、タンクを正しく装着しないと、運転しない仕組みもある。

タンクのドレン水が満水に近づくにつれ、浮きが上方へ移動する
タンクを装着する奥に、センサーがある(中央右)
ドレン水が満水になると、操作パネルの「満水」ランプが点灯し、自動的に運転が停止する

日常的な手入れは主に2つ。

1つは、タンクはドレンが溜まるごとにドレン水を捨て、その都度きれいな水またはぬるま湯でタンク内をすすぎ、外側を拭いて本体にきちんと戻す。

もう1つはフィルターの手入れだ。定期的に2枚のフィルターそれぞれを本体から外し、ホコリやチリを掃除機で吸い取るか、水洗いで取り除く。十分に乾燥させてから本体に取り付ける。

年間を通して活用できる山善のコンパクトクーラーは心強い存在

実際に試してみて、冷風運転は無骨な排熱ダクトと作動音が気になるも、冷風はヒンヤリと冷たく風に当たれば確実に涼が取れる。局所的な涼しさに限定されるも、遠くまで冷風が届くパワーもあり、ルーバーを利用すれば冷風が届く範囲が広げられるのは好ましい。

本体は10kgあるが、コンパクトで持ち運びが現実的なので、床以外に置く快適な使い方も見いだせた。既存の換気扇と併用すれば、エアコンの風が届きにくい場所の補助的な冷房器具として、効率良く活用範囲が広げられるのも実感できた。

しかも、大人1名×2日分の衣服に、分厚いバスタオルも含めた洗濯物が、一晩もかからずに乾かせるドライ運転の能力の高さは驚くほど実用的。備えておけば、エアコンが真夏に突然故障したとしてもかなり心強い上、乾燥機として年間を通して大いに活用できる。

暑い日はまだまだ続く。補助的に、または備えとしてスポットクーラーの購入をお考えならば、今回のレビューが少しでも数ある中から選ぶ参考になれば幸いだ。マルチに活用できる山善のコンパクトクーラー・YEC-M03はその候補の一つとしてオススメしたい。

藤原 大蔵